シチズン アテッサ 「HAKUTO-R」コラボモデル 結晶チタニウムの表情を拝見

 By : CC Fan

去年末にシチズンCaliber 0100の特集として四回にわたってお送りしてきた(水晶振動子編半導体・システム構成編機械編全体・総論編)、開発者テクニカルインタビュー。

インタビュー記事という形でまとめた後、クリストロン・メガからの系譜と当時の資料を調べ、追加でより詳細を…という事がたくさん出てきたので、半年ぶりに西東京市田無のシチズン時計東京事業所にプレミアムフライデー6月24日にお伺いしてきました。

こちらは「準備」があるので現時点では近日公開!乞うご期待!と煽るだけですが、同時に拝見したい、と思っていた『シチズン アテッサ』ブランド誕生 35周年記念限定モデル第2弾、結晶チタニウムを使用した⺠間月面探査プログラム「HAKUTO-R」とのコラボモデルも拝見することができましたのでレポートします。



持ち前のチタン加工技術を活かして「HAKUTO-R」の月着陸船の着陸脚パーツにスーパーチタニウム素材とデュラテクトDLCで協力するシチズンが、月のイメージを「結晶チタニウム」で表現したモデルです。



「結晶チタニウム」素材は、粒界結晶処理などとも呼ばれる熱処理を組み合わることでチタンの粒界面(多結晶内のある結晶と別の結晶の境界の面)を模様として浮かび上がらせたもののようで、結晶の構造によって模様がランダムになり天然石のような様々な表情を見せます。

この結晶チタニウムをバンド中心の中駒とベゼルに使用し、文字盤も結晶チタニウムに合わせたパターンとすることで月面のイメージした世界観を作っています。



結晶チタニウム化するために熱処理を行うという事は、熱処理そのものと結晶の成長などの影響で素材が変形してしまうという事で、影響を見越して安定した最終形状を作るためのチタン加工のノウハウとクオリティコントロールの知見が投入されています。
特にベゼルは変形してしまうと防水性への悪影響もあるため、熱処理後に追加で機械加工を行い最終仕上げをするなどの方法を用いているようです。



文字盤も結晶チタニウムの色と模様を表現し、統一された世界観を出しています。
文字盤上の情報量は多いですが、モノトーンにまとめられているのとサブダイヤルが同色なおかげかそこまで押し出しは強くないと感じました。
レギュラーモデルと比べても色が減らされており、挿し色も最小限です。
HAKUTO-Rファンだけではなく、よりシックなデザインを探している、という需要にもマッチしそうです。

一つの針に複数の機能を割り振ってモード切替で使う多機能クオーツなので機能の割には針は少ない、といえるかもしれません。
全ての機能は同時に使わないので、3時位置のモード表示の切替によってそれぞれの機能が呼び出されます。



サイズは直径44.3mm/厚み 16.00mmですが、チタンで軽いのとバンドとシームレスに繋がっているためそこまで大きいとは感じないと思いました。
もちろん私が大きい時計が好き、というのもあります。

今回スペックを再確認して気が付きましたが、通常の電波時計が電波を受信することを前提に「素」の精度は一般的なクオーツと同じ月差±15秒程度にしているのに対し、GPSのアテッサは月差±5秒として「素」の精度を向上させ、電波が受信できない場合でも精度を保つ試みが行われていました。
細かい点ですが、個人的には念には念を、という事で良いと思います。



コラボモデルという事でHAKUTO-Rの分解イメージが裏蓋に記されています。
逆に、表から見るとそこまでコラボモデル!という主張はなく、前述したようにモノトーンでブラックカラーのアテッサ、と考えるとコラボ目的だけではなく、よりシックな時計が欲しいという需要にもマッチしそうです。

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