オーデマ ピゲ「 ロイヤル オークRD#3」~ 第二弾に37ミリが登場

 By : KITAMURA(a-ls)


今年4月にご紹介した、「ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン エクストラ シン」。
(参照:https://watch-media-online.com/news/5531/ )

これはオーデマ ピゲ(Audemars Piguet)が、自社技術の最先端を提示する特別なRDシリーズの最新作として発表されたものだ。2015年のコンセプトRD#1以来、その実験的な機構は常に大きな注目を集めてきた。
繰り返しになるが、まずはそののRDモデルの歴史を振り返ってみよう。

【RD#1】
スーパーソヌリ機構。2015年発表。腕時計サイズのミニッツ・リピーターの音響的最適化を図るため、音響盤を用いるという構造革新に挑み、"手本"とする懐中時計リピーターに匹敵する響きと音量を得た機構。

【RD#2】
世界最薄の自動巻き永久カレンダー機構。厚さわずか6.3mmのムーブメントとして2018年発表。当初はコンセプトモデルとして発表されたが、翌2019年、ロイヤル オークに搭載され実用化。

【RD # 3】
薄型のロイヤル オーク エクストラ シンにフライング トゥールビヨン機構を収納。史上初のトゥールビヨン"ジャンボとして2022年に発表。ロイヤル オーク50周年記念作のひとつとして追加発表されたモデル。

この記念すべき「ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン エクストラ シン」は、39mm径・8.1mm厚ケース内にトゥールビヨンを収めたモデルであったが、この度その第二弾としてさらなる小型化に成功、37mm径のモデルの発表となったのである。

ご存知のように、ロイヤル オークが入手困難な状況にあることに加え、RDシリーズは、その機構の精密性から年間の生産量がさらに限られているため、ダブルの要素で入手困難なモデルとなることは間違いない。しかしロイヤル オーク級の機械式時計は、入手希望者が急増したからと言って急に生産数を増やせるという代物ではない。そして、入手困難な状況であるからと言って、常に進化を続けているブランドが、その最新形の発表を止めるわけにもいかない。そうしたなかなかに悩ましい状況下での新作ではあるが、以下、プレスリリースを全文掲載する。



オーデマ ピゲの ロイヤル オークRD#3 第二弾に37ミリが登場


オーデマ ピゲはロイヤル オーク フライング トゥールビヨン エクストラ シン(RD#3)の新バージョンを発表します。4月に発売された39ミリの"ジャンボ"モデルに続き、ブランドのノウハウのリミットをさらに押し進めた37ミリのアニバーサリーモデルです。マニュファクチュールがこのように小さなサイズにフライング トゥールビヨンを搭載したのは初めてのことで、細めの手首の方々へお届けします。この挑戦を可能にしたのは新ムーブメント、トゥールビヨン エクストラ シン オートマテックのキャリバー2968。厚み3.4ミリで手仕上げの装飾は伝統的であると同時に、コンテンポラリーでもあります。新鮮なプラムカラーのダイヤルと革新的なエスケープメントシステム。高度な技術とデザインのディテールが美しい洗練されたタイムピースです。

37ミリステンレススティールのロイヤル オーク は、このサイズで初めて自動巻きのフライング トゥールビヨンを備えたタイムピース。© オーデマ ピゲ提供


革新的なエクストラ シン フライング トゥールビヨン ムーブメント
この最新のイノベーションの中心にあるのがキャリバー2968。5年をかけて開発された自動巻きエクストラ シン フライング トゥールビヨン ムーブメントです。
マニュファクチュールの時計師たちが実現した技術的快挙は、これまで41ミリのケースに限られていたコンプリケーションを、さらに最新のエスケープメントを備えたフライング トゥールビヨンとして39ミリケースに搭載し、さらに今回37ミリのケースにまで搭載したことです。

スペースが小さくなったため、自動巻きフライング トゥールビヨンは、オリジナルのプロポーションを保ちながら部品の配置を変えて厚みを減らすなど、根本的に設計を見直すことが必要でした。今回初の周辺駆動[※1]を採用しボリュームを減らしたトゥールビヨンキャリッジはチタン製。この二つの要素によりトゥールビヨンにエネルギーを滑らかに伝えられるだけでなく、キャリッジを薄く軽やかにすることができました。新しいエスケープメントは振動幅の大きいオシレーターに接続し、信頼性、エネルギーの効率性とウォッチの高い精度を実現しています。



さらにトゥールビヨンとムーブメントが見えるよう、オーデマ ピゲのエンジニアたちはメカニズムの設計を根本から見直しました。裏側のブリッジはオープンワークとし、メカニズムの部品と綿密に計算された対称的な配置を見ることができます。ダイヤル側ではテンプのアームの形状と位置を見直したことで、ウォッチの心臓部の目くるめくような鼓動を見ることができます。ムーブメントの設計では、フライング トゥールビヨンをダイヤルの表面に出すことにより、ガラスごしに強力なビジュアルを演出しています。

サファイアケースバックを通して見えるムーブメント部品の手仕上げの装飾は、へこみ角の伝統的な美しさとダイナミズムを際立たせ、地板とブリッジでは伝統的なコート・ド・ジュネーブの代わりにモダンなヘアライン仕上げが施されています。透かし彫りされたブリッジはロジウム加工で仕上げ、ピンクカラーのメカニズム部品との美しいコントラストに輝いています。



「私たちの最初の目標はフライング トゥールビヨンを"ジャンボ"のサイズに合わせることでした。 次に、同じキャリバーを37ミリのケースに合わせることでした。サイズの制約によりトゥールビヨンのキャリッジを根本から見直し、新しいエスケープメントを開発しました 」
ルカス・ラッジ(開発ディレクター)


"ジャンボ"のコードにインスパイアされた洗練されたデザイン
RD#3の第二弾は、サイズはより小さいながら、今年始めに登場した"ジャンボ"のダイヤルのデザインコードを継承しています。新鮮なプラムカラーのプチタペストリーダイヤルはCVD (化学蒸着)加工で仕上げられ、全てのダイヤルの均一で明るいカラーは時が経っても変化しません。



1972年のオリジナルモデルにインスパイアされ、ベニュワール型のインデックスと針は暗い場所でも良く見えるよう、蓄光処理が施されています。オーデマ ピゲのシグネチャーは分目盛と同様にタペストリーの上に白で印刷されています。6時位置で回転するフライング トゥールビヨンのチタン製キャリッジがプラムカラーのダイヤルによく映え、軽やかで目くるめくようなコントラストをアピールしています。
この手仕上げのステンレススティールケースとブレスレットの37ミリバージョンは、“ジャンボ”とは少し異なり、2022年始めにロイヤル オークモデルの多くに採用されたデザイン進化を取り入れています。幅広のポリッシュ面取り、テーパリングしたコマが全体のシルエットをしなやかに仕上げ、エルゴノミーも向上しました。




ロイヤル オーク50周年記念のローター
ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン エクストラ シンはセントラルローターを採用しています。ボールベアリングを使い、2つのインバーター[※2]により双方向の回転による巻き上げを行います。ロイヤル オークのアニバーサリーに向け特別に開発されたこのローターは22Kピンクゴールド製、ロジウム加工仕上げで、50周年のロゴとオーデマ ピゲのシグネチャーが彫り込まれています。ステンレススティールのケースとブレスレットのカラートーンに合わせたコレクションのトレードマークであるポリッシュとサテン仕上げの組み合わせは、サファイアケースバックを通して見ることができます。


技術革新の伝統
1986年、オーデマ ピゲは世界初の自動巻きトゥールビヨンウォッチを発表しました。ジャクリーヌ・ディミエのデザインによるこのウォッチは、トゥールビヨンのエスケープメントを初めてダイヤル側に配置していました。キャリバー2870を収めたのは厚さわずか5.3 ミリの極薄ケース。



チタンのトゥールビヨンキャリッジは径7.2ミリと世界最小レベル、重さわずか0.123グラムと世界で最軽量レベルです。 このモデルはエジプト神話の太陽神にちなみ、別名自動巻きトゥールビヨン ラーとしても知られます。



ジャクリーヌ・ディミエは小さなレギュレーターに太陽光線のような外観を与え、ダイヤルに光線が輝くかのようにデザインしました。このコンプリケーションウォッチは1992年まで401本が製造されました。オートオルロジュリー に新たな道を開き、トゥールビヨンウォッチを始めとする品格高いメカニズムの復活に貢献しました。



ジャクリーヌ・ディミエがデザインしたその30年後、マニュファクチュールは定評のあるイノベーションの継続に光をあてたR&D(研究&開発)モデルのシリーズを発表します。



2015年、最初のプロトタイプRD#1ロイヤル オーク コンセプト ミニッツリピーター スーパーソヌリを発表しました。スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)、時計師、エンジニア、音楽家、音響専門家などのエキスパートからなる専門家集団とともに行った8年に及ぶ研究の成果であるこのウォッチは、スーパーソヌリテクノロジーを搭載しています[※3]。 3つの特許をもつこのシステムはソヌリのメカニズムと革新的なケースの構造を組み合わせ、音響効果、音量、美しい音色という全ての点において大きな進歩をとげています。同年のSIHHで発表された RD#1に続き、マニュファクチュールはその翌年商品化されたロイヤル オーク コンセプト ミニッツリピーター スーパーソヌリを発表。このモデルは2016年のジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ(GPHG)の「優れたメカニズム」カテゴリーでグランプリを獲得しました

2019年、オーデマ ピゲは41ミリのロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー ウルトラ シンを発表しました。その革新的なプロトタイプは 前年、RD#2の名前でSIHHで発表されています。このカレンダーウォッチはケース厚が6.3ミリで、ムーブメントはわずか2.89ミリ。当時世界で最も薄い自動巻きのカレンダーウォッチでした。ここでの技術的進歩は、通常は3層に分かれているカレンダー機能を一層にまとめて配置したことです。マニュファクチュールのエキスパートたちはさらに二つの特許を取得したイノベーションを達成。月末デイトのカムをデイトの歯車に一体化させ、月のカムを月の歯車に組み合わせました。コンプリケーションウォッチの歴史に新たなページを開いたロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー ウルトラ シンは、2019年11月のジュネーブ・ウオッチメイキング・グランプリ(GPHG)で、全カテゴリーを通じて最優秀とされる「金の針」賞を獲得しました。

今年ル・ブラッシュのマニュファクチュールは、このロイヤル オーク フライング トゥールビヨン エクストラ シンで新たな技術的進歩の成果を発表しました。これまでの革新の延長上にあるRD#3の二つのリファレンスは新キャリバー2968を搭載し、ロイヤル オーク50周年記念へのオマージュとして革新的技術と洗練されたデザインを融合させています。




“Born in Le Brassus, raised around the world.”
⟪ル・ブラッシュの自然が生み出し、人とともに生きていく⟫



[※1]トゥールビヨンキャリッジの周辺駆動により、コンプリケーションの構造を一層減らし薄くすることができました。こうして"ジャンボ"の極薄なケースに入れることが可能となったのです。さらにエネルギー伝達の効率がよくなり、ステップ角がより小さくなることでエネルギー伝達がより安定します。
[※2]この自動巻きムーブメントは、ローターの双方向回転の動きをインバーターが単一方向の動きに変換し、ゼンマイを巻き上げます。
[※3]オーデマ ピゲがスーパーソヌリと呼ぶこの機能は、懐中時計にひけを取らない強力な音響を備えています。スーパーソヌリの優れた音響、美しい音色と音階は特許を取得したゴングとケースの構造から生まれます。


【仕様】
ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン エクストラ シン (RD#3) / 37ミリ
26660ST.OO.1356ST.01

機能:フライング トゥールビヨン、時、分。
ケース:ステンレススティールケース、反射防止加工サファイアクリスタルとケースバック、5気圧防水。
ケース厚:8.1ミリ
ダイヤル:「プチタペストリー」模様のプラムダイヤル、蓄光処理を施したホワイトゴールドのアプライドアワーマーカーとロイヤル オーク針。
ブレスレット:ステンレススティールブレスレット、APフォールディングバックル。

[ムーブメント仕様]
自動巻きキャリバー 2968
外径 :29.6ミリ (13リーニュ)
厚さ :3.4ミリ
部品数 :226
石数 :33
パワーリザーブ :約50時間
振動数 :3 Hz (21 600振動/時)



@AudemarsPiguet でのディスカッションにご参加ください
Follow us on #AudemarsPiguet
日本特別コンテンツ https://borninlebrassus.audemarspiguet.com
Facebook https://www.facebook.com/audemarspiguet
Instagram https://www.instagram.com/audemarspiguet
LinkedIn https://www.linkedin.com/company/audemars-piguet
Pinterest https://www.pinterest.com/audemarspiguet/
Twitter https://www.twitter.com/AudemarsPiguet
YouTube https://www.youtube.com/c/audemarspiguet



[オーデマ ピゲ]
オーデマ ピゲは、今なお創業者一族(オーデマ家、ピゲ家)によって経営される最も歴史ある高級時計ブランドです。1875年以来ル・ブラッシュを拠点に、型破りなトレンドを生み出そうと新たなスキルや技術の開発、そして職人技の向上を続ける才能ある職人たちを、何世代にもわたり育んできました。スイス・ジュラ山脈に抱かれたジュウ渓谷で、マニュファクチュールが受け継いできた職人技と先進的なスピリットが込められた、デザインや技術の粋を極めた数々の厳選されたマスターピースが制作されています。感性という言語を通して、世界中の時計愛好家と情熱や職人技を共有するオーデマ ピゲは、創造的な実践を行うさまざまな異分野と豊かな交流を楽しみ、素晴らしいコミュニティを築いてきました。ル・ブラッシュの自然が生み出し、人とともに生きていく。Born in Le Brassus, raised around the world. — www.audemarspiguet.com
© Audemars Piguet 2022