ARTIME ART01 トゥールビヨンが5N レッドゴールドで登場+機構の詳細を見る
By : CC Fan2023年は盛大に遅れてゴメンなさい、だったARTIME。
今年も、もちろん拝見したので、紹介いたします。
個人的には今年も「会場外」の中ではベスト3にはいる好印象、全体の中でもベスト3かもしかしたら、一番いいかもしれない、と思った作品です。
今回はART01のチタンだった金属部分を5Nのレッドゴールドにした新作を発表。
驚いたのは「レッドゴールド」と言う名前から感じる重さを感じなかったこと、ART01のチタンバージョンに比べれば確かに重くはなっているのですが、イメージするほど重くなっていない、と言えばいいのか、サファイアクリスタルケースやスケルトン構造によって相対的に金属部分が少ないことによって生まれる効果と認識しました。
基本構造はチタンと一緒ですが、レッドゴールドによって色気が加わったカラーになっています。
今回もボーリバージュホテルの一室で…
うろ覚えですが、去年と同じ部屋かも?
今回はファンクションセレクターの動きも動画で…
ケースバック側から。
レッドゴールドケースにもかかわらず、ストラップはなんとベルクロ(面ファスナー)仕様でピンバックルよりも気軽に使え、Dバックルよりも重くないため本体の重さをスポイルしません。
思わずリストショットも撮っちゃいます。
この軽さは素晴らしい。
ベルクロストラップと尾錠。
向かって左側のベルトが折り返して面ファスナーで止まっています。
よく見ると、香箱直読方式のパワーリザーブインジケーターもありますね…
そして今回の最大の収穫は…
3Dプリンターによる大型模型での構造の理解!
去年もふんわり理解でしたが、ART01はケースとムーブメントが一体構造で成型されており、ケースに直接部品を組み込んだうえでブロック状のサファイアクリスタルで蓋をする、と言う構造になっています。
最適化しようと思ったら、ケースとムーブメントに分離している構造そのものが害悪、と言うのは納得できる考えですし、似たような考えはチタンの地板をそのままケースとして使う「モノブロック」構造を特徴としていたKaroshiに通じるものがあります。
ケースとムーブメントの一体化と言うスタート地点は同じで、地板を拡大する方向を考えたKaroshiとブリッジのみを外周から生やす構造を選んだARTIMEのアプローチの違いが興味深いです。
個人的にはKaroshiはより古典、ARTIMEは現代でしか作れないものを、と感じます。
ケースバック側から見ると8つのネジ穴はありますが、ブリッジを直接停めているネジではありません。
これはおそらく、サファイアブロックのケース上部+風防を固定するためのネジで、機構が全て組みあがってから最後に「蓋」を閉じるためのネジ穴であると考えられます。
また、このネジを受けるナットのパーツは文字盤のインデックスに巧妙に隠されていることも分かります。
こうやって見ると黒い樹脂で作られたブリッジが実際には地板に相当するパーツであることが分かります。
再び文字盤側から見ましょう。
黒いブリッジは地板に相当するパーツで歯車の下側の軸を支え、ピンクのブリッジが上側の軸を支えています。
全てのブリッジは同じ面を基準に重ねて取り付けられているため、ケース自体は平面が出ていれば厚みは関係なく、ケースの表裏にブリッジを取り付ける方法よりも組立もやりやすく、取り付けの精度確保(交差の蓄積)も有利であると考えられます。
どのブリッジも複雑な形状で、特に黒いブリッジの複雑な形状は現代ならでは、と考えています。
ファンクションセレクターの仕組みも分かりやすいです。
プッシャーを押すたびにラチェットでコラムホイールが回転、それに合わせて垂直クラッチが巻き上げ機構・時合わせ機構・無接続のどれか一つに繋がります。
このユニットはまとめて外せるようになっているようなので、別に組み上げて調整してから組み込みでしょうか。
古典的なコハゼと巻き上げ輪列。
立体的な構造…
4Nゴールドのガンギと脱進機。
メンバー。
今回はディレクターのFabrice Deschanel氏(一番左)にも話を伺いました。
現在はオーデマピゲルロックルになっているルノー・エ・パピで25年のキャリアを持ち、現在もサプライヤービジネスを率いているようです。
去年からさらに踏み込んで話を聞いたところ、ここまでの開発ができるのは「ARTIME」と言う会社はこの時計を作っているビジネスだけではなく、サプライヤーも兼ねているから。
サプライヤービジネスのARTIME SAで技術協力・開発受託などを行いつつ、自分たちに作れる最高峰のものを作ろう、と言うのがArtime Creations SA、と言う形のようです(これとは別に加工会社のArtime Usinage Sarlがルロクルにあります)。
個人的にはスイスの「独立系」としてはベストなビジネススタイルと考えてる方式で、サプライヤーで導入した高度な工作機械で自分たちの部品も作る…が数と質の両方を満足させる方法かなと。
たしかに、ARTIMEっぽい部品を今年も見かけましたね…(笑顔)
直接のメンバーではないですが協力者に「元クラーレ」の時計師がいて、ホテルの入り口で「Mr.(本名)では?」と話しかけられた(私は例によって忘れていたので、覚えていてくれてありがとう)り、クラーレが潰れてカンタロスどうしよう、と言う与太話から「うちでメンテやろうか?」と言うオファー?も、これはまた別に向き合います…
個人的には大注目です!
https://artime.ch/
今年も、もちろん拝見したので、紹介いたします。
個人的には今年も「会場外」の中ではベスト3にはいる好印象、全体の中でもベスト3かもしかしたら、一番いいかもしれない、と思った作品です。
今回はART01のチタンだった金属部分を5Nのレッドゴールドにした新作を発表。
驚いたのは「レッドゴールド」と言う名前から感じる重さを感じなかったこと、ART01のチタンバージョンに比べれば確かに重くはなっているのですが、イメージするほど重くなっていない、と言えばいいのか、サファイアクリスタルケースやスケルトン構造によって相対的に金属部分が少ないことによって生まれる効果と認識しました。
基本構造はチタンと一緒ですが、レッドゴールドによって色気が加わったカラーになっています。
今回もボーリバージュホテルの一室で…
うろ覚えですが、去年と同じ部屋かも?
今回はファンクションセレクターの動きも動画で…
ケースバック側から。
レッドゴールドケースにもかかわらず、ストラップはなんとベルクロ(面ファスナー)仕様でピンバックルよりも気軽に使え、Dバックルよりも重くないため本体の重さをスポイルしません。
思わずリストショットも撮っちゃいます。
この軽さは素晴らしい。
ベルクロストラップと尾錠。
向かって左側のベルトが折り返して面ファスナーで止まっています。
よく見ると、香箱直読方式のパワーリザーブインジケーターもありますね…
そして今回の最大の収穫は…
3Dプリンターによる大型模型での構造の理解!
去年もふんわり理解でしたが、ART01はケースとムーブメントが一体構造で成型されており、ケースに直接部品を組み込んだうえでブロック状のサファイアクリスタルで蓋をする、と言う構造になっています。
最適化しようと思ったら、ケースとムーブメントに分離している構造そのものが害悪、と言うのは納得できる考えですし、似たような考えはチタンの地板をそのままケースとして使う「モノブロック」構造を特徴としていたKaroshiに通じるものがあります。
ケースとムーブメントの一体化と言うスタート地点は同じで、地板を拡大する方向を考えたKaroshiとブリッジのみを外周から生やす構造を選んだARTIMEのアプローチの違いが興味深いです。
個人的にはKaroshiはより古典、ARTIMEは現代でしか作れないものを、と感じます。
ケースバック側から見ると8つのネジ穴はありますが、ブリッジを直接停めているネジではありません。
これはおそらく、サファイアブロックのケース上部+風防を固定するためのネジで、機構が全て組みあがってから最後に「蓋」を閉じるためのネジ穴であると考えられます。
また、このネジを受けるナットのパーツは文字盤のインデックスに巧妙に隠されていることも分かります。
こうやって見ると黒い樹脂で作られたブリッジが実際には地板に相当するパーツであることが分かります。
再び文字盤側から見ましょう。
黒いブリッジは地板に相当するパーツで歯車の下側の軸を支え、ピンクのブリッジが上側の軸を支えています。
全てのブリッジは同じ面を基準に重ねて取り付けられているため、ケース自体は平面が出ていれば厚みは関係なく、ケースの表裏にブリッジを取り付ける方法よりも組立もやりやすく、取り付けの精度確保(交差の蓄積)も有利であると考えられます。
どのブリッジも複雑な形状で、特に黒いブリッジの複雑な形状は現代ならでは、と考えています。
ファンクションセレクターの仕組みも分かりやすいです。
プッシャーを押すたびにラチェットでコラムホイールが回転、それに合わせて垂直クラッチが巻き上げ機構・時合わせ機構・無接続のどれか一つに繋がります。
このユニットはまとめて外せるようになっているようなので、別に組み上げて調整してから組み込みでしょうか。
古典的なコハゼと巻き上げ輪列。
立体的な構造…
4Nゴールドのガンギと脱進機。
メンバー。
今回はディレクターのFabrice Deschanel氏(一番左)にも話を伺いました。
現在はオーデマピゲルロックルになっているルノー・エ・パピで25年のキャリアを持ち、現在もサプライヤービジネスを率いているようです。
去年からさらに踏み込んで話を聞いたところ、ここまでの開発ができるのは「ARTIME」と言う会社はこの時計を作っているビジネスだけではなく、サプライヤーも兼ねているから。
サプライヤービジネスのARTIME SAで技術協力・開発受託などを行いつつ、自分たちに作れる最高峰のものを作ろう、と言うのがArtime Creations SA、と言う形のようです(これとは別に加工会社のArtime Usinage Sarlがルロクルにあります)。
個人的にはスイスの「独立系」としてはベストなビジネススタイルと考えてる方式で、サプライヤーで導入した高度な工作機械で自分たちの部品も作る…が数と質の両方を満足させる方法かなと。
たしかに、ARTIMEっぽい部品を今年も見かけましたね…(笑顔)
直接のメンバーではないですが協力者に「元クラーレ」の時計師がいて、ホテルの入り口で「Mr.(本名)では?」と話しかけられた(私は例によって忘れていたので、覚えていてくれてありがとう)り、クラーレが潰れてカンタロスどうしよう、と言う与太話から「うちでメンテやろうか?」と言うオファー?も、これはまた別に向き合います…
個人的には大注目です!
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