ローマン・ゴティエ~なぜ1000万円なのか? + SIHH2018 新作速報!

 From : Romain Gauthier (ローマン ゴティエ )


今年のSIHHに初出展するブランド、ローマン・ゴティエ。

唯一無二のムーブメントの仕上げの美しさはもちろん、2013年にはジュネーブ時計グランプリのコンプリケーション部門でグランプリに輝くなど、機械の独自性でも高い評価を得ているブランドです。 

ローマン・ゴティエの時計は、三針(もしくは二針)の時計でありながら、一本1000万円前後します。
それはなぜなのかご説明させていただきます。
 

①ローマン・ゴティエの時計は、約25人の最高の技術者が、1本の時計を完成させるのに1か月以上の期間を要します。


●工房の様子


最高級スイス・ブランドと言われるブランドにおいても年間数万本を製作しております。

それに対し、私どもの時計は約25人のチームをもってしても、年間約50本しかつくれません。いかに私どもの時計が1本あたりに妥協をせずに作られているかということがお分かりいただけると思います。 

つまり、三針の時計を、自社工房で妥協せずに作り上げるオンリーワンのブランドなのです。

他のブランドであれば、1000万円の時計といえば、機能・機構を搭載したり、貴石で飾ったりしますが、ローマン・ゴティエの時計は同じ1000万円でも、パーツひとつひとつを妥協せずに作ることに費やす究極の三針時計です。


ローマン・ゴティエ(左)とパトリック・マルタン(右)。実はマルタンは今から約25年前、ブランパン社より発表された6つの複雑機構を搭載した、シリーズものとしては世界で最も複雑な機械式時計「1735グランドコンプリケーション」の開発責任者である。

 

②ひとつひとつのパーツの妥協しない仕上げ。


●香箱のブリッジ

時計業界においては、面取り自体が高級とされていますが、ローマン・ゴティエの面取りは他社に比べて切断面の幅が広く、切断面がきれいなカーブを描いております。この美しい面取りこそローマンが「金属加工の魔術師」と呼ばれる所以です。例えば、この香箱のブリッジですが、仕上げに20時間ほど要します。ロジカルワンには約350のパーツが使われていることを考えるといかに妥協せずに作っているかということをご理解いただけると思います。


●時計本体裏側(プレステージHMS)

面取りの切断面を見てください。切断面の幅が広く、美しいのがよくわかります。



また、鋭角部分の面取りは深く、きれいな鋭角です。これは手作業によい施される最高級の面取りの証です。
仕上げにはジュウ渓谷の伝統的な時計作りで使われてきたジャンシャン(リンドウの一種)が使われています。



●ローマン・ゴティエ(右)と、彼の師でもあるフィリップ・デュフォー(左)。
ともに現在では数少ない、伝統的なジャンシャンを使った仕上げを行っている。

 

仕上げの美しさという点で言えば、ローマン・ゴティエの時計は、彼の師であるフィリップ・デュフォーのものと肩を並べ、スイス時計史において史上最高の仕上げです。

腕時計黄金期と呼ばれる20世紀半ばの、クオーツショック以前の年代においても、ここまでの仕上げはないです。懐中時計の時代までさかのぼらなければ、ここまでのクオリティの面取りはないでしょう。

シンプルな時計であっても、細部にこだわって妥協をせずに作っていることをご紹介させていただきました。
次に機械の独自性をご紹介させていただきます。

ローマンはもともと、ジュウ渓谷の伝統的な時計作りにも精通していて、それぞれの時計のムーブメントを自分で設計し、仕上げまで行うことに非常に高い意識と責任感をもっています。同時に彼はエンジニア(精密機械コンストラクター)としての側面ももっています。それ故、妥協しない時計作りと共に、常に効率の良いに新しい構造を提案しています。彼のバックグラウンドはもともとエンジニアであり、ジュネーブのパーツ工場をヨーロッパで一番精算効率の良い施設にしたという彼の最初の成功からも、効率の良さを機械に求める姿勢が伺えます。

もちろんほとんどのパーツも自社工房で作っていて、他最高級ブランドにもパーツを提供しています。(特注サイズの受石や、曲線で構成された歯車、S字のネジ頭がローマンの部品の特徴です。)


●時計本体裏側(プレステージHMS)

 

最後に、代表モデルの機械の面白さをご紹介させていただきます。

 

<ロジカルワン>

2013年、時計界のオスカーと呼ばれる「ジュネーブウォッチグランプリ」にて、複雑時計部門グランプリ受賞。

4つの特許 ①チェーンフュジーのルビーのチェーンリンク ②チェーンフュジーのスネイルカム ③プッシュ式巻き上げボタン ④輪列の歯車の形状 

懐中時計の時代から使われていたチェーンとフュジーの組み合わせが使われていましたが、これはゼンマイのほどける力によって供給される時計の動力を一定にするためのものです。

ぜんまいが巻き上がっている時と、ほどけきった時では、供給されるパワーが違うことがご理解できると思います。それを一定にするためにチェーンが巻かれているのですが、懐中時計のチェーンは長く、チェーンの角度が一定ではなかったため、供給される動力が一定とは言えませんでした。 

そこで、効率的な構造を実現するために、画期的な短いルビーのチェーンのフュゼチェーンを発明し、特許を取得しました。

 

<プレステージHMシリーズ>

究極の三針時計。

パーツの面取りの美しさと、ユニークさが特徴。
ローマンが初めて作ったプレステージHMの流れを汲むシリーズ。


 
リューズが裏側にあります。主に1950年代にバックウィンドのリューズの時計はよく製作されていたのですが、とくにメンズの時計においては成功といえたものがありませんでした。
しかし、ローマンはエンジニアとして、全てを一から設計しなおし、はじめて裏リューズで10年以上にわたり、このシリーズを提供しています。
リューズを裏側に配することで、香箱と同一平面上に力が伝わるので、巻き上げ時のパワーロスが減らせます。

バリエーションのHMSはHアワー、Mミニッツ、Sセカンドを表します。
HMS TENはブランド創立10周年記念モデルです。

 

<インサイトマイクロローター>

美しさと効率の良さを堪能できることから「インサイト(洞察力)」と名付けられた初の自動巻きモデル(Basel2017発表モデル)。
精密機械コンストラクターの資格を有するローマンが考えた効率の良い両方向回転ローター(80時間パワーリザーブ)と、ローマン・ゴティエに師事する美しい仕上げが表側から見られるのが大きな特徴。

また、ケースサイズは39㎜とエレガンスさを引き立てるサイズです。
ローマン初の自動巻きのモデルというのがこの時計の大きな特徴です。

マイクロローターの採用にはパーツの効率性を重視する彼の考え方が反映されています。
マイクロローターは、表側のブリッジと、裏側のブリッジ双方から挟まれています。これにより安定性が良くなるのと同時に、双方にルビー製のベアリングが取り付けられているため、部品の摩擦の軽減を実現しました。
もちろん、このモデルも他のモデル同様、美しい仕上げやユニークなパーツを裏側からも堪能することができます。

現在、ローマン・ゴティエの時計は、常時展示場所として下記の二店舗で実物をご覧いただけます。ぜひ、実物の美しさを店頭でご覧ください。

東京:タカシマヤウォッチメゾン(日本橋)
神戸:カミネ旧居留地店

 

また、本記事と併せまして、a-ls氏の工房訪問記事もぜひご覧ください。

https://watch-media-online.com/blogs/1068/





そして、SIHH期待の新作の一端が、1月11日に発表となりました!
本記事のTOP画像にも掲載しましたが、2種の限定ピース、
その名も、<INSIGHT MICRO-ROTOR LADY> 
 ブランド初のレディースモデルです!!


18k red gold featuring Tahitian black mother-of-pearl dial–10-piece limited edition



●18k red gold featuring Australian extra white mother-of-pearl dial10-piece limited edition

 

 

 

 

サイズ: 39.5mm 径 x 12.9mm厚
防水:50m/5atm/170ft
サファイアクリスタル:表裏とも無反射コーティング加工
パワーリザーブ: 80 hours
石数:33
部品数:206



さらなる詳細はSIHH会場よりお届けします!