WMO読者と行った 台北時計展覧会「ウォッチ・ビヨンド」~参加ツアー 速報レポート

 By : CC Fan

以前に募集させていただいた、WMO読者と行く「ウォッチ・ビヨンド」参加ツアーに、私CCFanも参加させていただきましたので速報でレポートします。



主に独立系ブランドの輸入代理店を務めるSwiss Prime Brandsの10周年を記念し、取り扱いブランドの関係者が一堂に会し、時計の展示だけではなくブランド創業者や代表による解説・対話型ワークショップを体験、代表者とのディナーも楽しめるスペシャルなイベントでした。

ブランド本国からは以下の豪華メンバーが参加しました。

- Iris Haldimann, Watchmaker at Haldimann/Beat Haldimann's daughter
- Robert Bailey, Sales Director at Laurent Ferrier
- Giuseppe Marcheluzzo, International Sales Director at FOPE
- Tommaso Foralosso, Sales Manager Middle East & Asia Pacific at FOPE
- Claudia Piascerio, Product Development Manager at FOPE
- Giovanni Morandina, Head of Marketing at FOPE
- Christine Hutter, Founder and CEO at Moritz Grossmann
- Weifan Yang, Brand Manager at Moritz Grossmann
- Martina Hanzsch, Watchmaker at Moritz Grossmann
- Alexander Gutierrez, CEO at Lang&Heyne
- Gülsen Tek, Sales Director at Lang&Heyne
- Annet Böttner, Watchmaker at Lang&Heyne
- Walter Ribaga, Co-CEO at Schwarz Etienne
- Chantal Graff, International Sales Manager at Schwarz Etienne
- Torsti Laine, Founder and Watchmaker at Laine
- Michele Starvaggi, Senior Head of Sales at Carl F. Bucherer

ローマン・ゴティエのローマン・ゴティエ氏は残念ながら、出発直前の体調不良によって今回は直接参加できず、ビデオメッセージでご挨拶となりました。

ライネからはトリスティ・ライネ氏が参加とのことで、時計はライネのカメレオンで…





会場にはそれぞれのブランドの世界観を示した什器が持ち込まれました。



ヴティライネンはコレクターのご厚意で実現した「プライヴェートコレクション」の展示。



インサイトマイクロローターのスケルトンバージョン。
各ブランドの展示ブースで時計を見た後、このツアーのいちばんの楽しみである、各ブランドがWATCH MEDIA ONLINEのために用意してくれた対話型ワークショップがスタート。



最初はユニークピース・ビスポーク製作を重視し、様々な取り組みを行っているカール・F・ブヘラから。
Senior Head of SalesのMichele Starvaggi氏(左)とSwissPrimeBrands日本代表のルカ・オルデゥーニャ氏(右)。



プレゼンテーションのあと…



実機が登場!
自動巻きローター・トゥールビヨン・ミニッツリピーターの調速ガバナーの3つに外周で支えるペリフェラルテクノロジーを適用した「トリプルペリフェラル」のマネロ ミニッツリピーター アニバーサリー。



ムーブメント側から。
ミニッツリピーター機構はベースムーブメントの上に積み重ねるように構築されているため、複雑なラックの動きも見ることができます。
ペリフェラル技術によって外周で支えられているトゥールビヨンはどちら側からもさえぎられることなく全容を観察できます。



ギロッシェとジュエリーセッティングベゼルのマネロ トゥールビヨン。



ユーザーからのリクエストで時計を製作するビスポークの実例も紹介。
ユーザーからのリクエストのほか、ブランドからも提案を行うこともあり、それぞれのユーザーごとに時計に込めた思いを形にします。
写真撮影が不可で、目だけで楽しむ「アイズオンリー」も含めて個性豊かな作品が登場します。



くみ上げる前のパーツもボクセルボックスに入って登場!
こちらも、「アイズオンリー」で様々なパーツが登場しました。



続いてはローラン・フェリエのセミナー。
今まであまり語られることのなかった、ローラン・フェリエとクリスチャン・フェリエ父子の、時計製造過程におけるお互いの関り方について、セールスディレクターのRobert Bailey氏から語られます。

70歳を超えたローラン氏はコンピューターを使わず手書きでスケッチ、それを息子のクリスチャン氏との共同作業で立体化します。



CADや3Dプリンタといった文明の利器も積極的に活用し、造形の細部が全体の印象に与える影響を検証していきます。
ローランフェリエは「タイムレス」な魅力を目指しており、10年後・100年後であっても「良い時計」と思ってもらえて使う人が快適になるような時計を作りたいと語ります。



コンピューターの性能がどれだけ上がったとしても、検証は画面上だけではなく実機で行う必要がある、ということでカラーがわずかに異なる試作のダイヤルを実際に組み合わせ、どの組み合わせが最も合っているか、を検証していきます。



新作のクラシックムーンについても詳細が。
使いやすいアニュアルカレンダーはリュウズ操作で月をまたいで戻すこともでき、使いやすさと複雑度のバランスが取れている、と感じます。



実機ももちろん登場、実際に逆戻しで月表示が戻ることが確認できます。



モリッツ・グロスマンでは、時計師が実際に針を製作する針製作のワークショップを開催。



時計師机に手元を映す望遠マクロレンズを投入し、時計師の視界を映し出すことを狙います。
この手のイベントでは防火上の条件で火が使えないことが多く、省略されがちな鉄素材を焼いて色を付ける梁や気も今回は行われました!



放電加工機で製作されたブランクは、手作業で研磨、適切な硬さとしなやかさを与えるために行う焼き入れ・焼き戻しの工程を繰り返して針として完成します。



モリッツ・グロスマンの針は軸に直接圧入するのではなく、別部品のハカマを経由して圧入する方式のため、オーバーホールで摩耗し、ゆるくなってもハカマを交換することで針を復活させることができ「同じパーツを使い続ける」ための方法論を感じます。



リアルタイムの作業風景に合わせ、図面のこの部分!と指し示すルカ氏。



アルコールランプを使った針焼きは机を囲んで…
エアコンの風によって炎が安定しないため難しい…と言いつつピタッとタイミングを見計らって加熱をやめて冷ましています。



ラングアンドハイネはなんとエナメルへの絵付けを体験できるワークショップ。



赤・緑・青のカラーエナメルが焼き付けられているベースが配られ、ホワイトエナメルを溶剤で溶いたものを爪楊枝で乗せた後、形を整えて絵を作っていきます。



CEOのアレクサンダーがブランドの説明を行う横で、シャンルベエナメルの地板にエナメルが盛られていく、という豪華二本立てのプレゼンテーション。



エナメラー用の机、焼成を行うための電気炉を持ち込んでいます。
白色で描いた後、一度焼成を行い、「どう盛るとどのような形に広がるか」をつかんでもらい、さらに別の色を乗せて2回3回焼いて完成させる、という本格的なプログラムですがうまくいくかは…



これは乾燥した状態のエナメルパウダーを「振りかける」道具。



惨劇の予感…



思った以上にしろ色が広がりすぎて形がわからなくなったので、パウダーを振りかけて抽象的な模様です、と路線変更しようとしたけど、結局どうしようのならなくなった、の図。

ボックスに入れてお土産としてもらえ、日付と担当者のサインが入った「修了書」も発行されます。



盛りだくさんのワークショップの後はブランドの方々とディナー。
同卓には久しぶりに再会したシュワルツ・エチエンヌのシャンタルライネのトリスティー・ライネ
色々話すとともに、『ジュネーブ ウォッチデイズは来るんだよね…?』との圧が…

ほかの卓も話題は尽きず、ラストオーダーまで盛り上がります。



「延長戦」はホテルのバーにて。会場となったWホテルとのコレボ―レーションで提供された、各ブランドをイメージした創作カクテルをいただきました。

ヴティライネン先生は時計師と縁があるアブサン(飲むと幻覚を見るとされる高アルコールのハーブ酒)のカクテル…



ライネカクテル。



モリッツ・グロスマンカクテル。



カリ・ヴティライネンカクテル。
視界が揺れた気もする…



こちらでも、各ブランド関係者が和気藹々の中、日付が変わってもまだ話題は尽きず…。

各ブランドがこのイベントのために製作した希少な限定モデルなど、その他のご報告はまた後程ということで、まずは速報にて。

参加いただいた読者の皆さま、Swiss Prime Brands スタッフならびに参加ブランドの皆さん、お疲れ様でした。そして本当にありがとうございました!