ルイ・モネ、宇宙への旅に思いを馳せるタイムピース “MOON RACE”～トラベルトランクに収めた4種で完成する時計のアート作品

ファースト・オン・ザ・ムーン | 1966

ルイ・モネが発表する特別なコレクション“MOONRACE”は、おそらく現代で最もエキサイティングな大作です。月面着陸競争における4つの重要なエピソードからインスピレーションを受けました。この作品では、最高の職人技と月の隕石、そして素晴らしい天然石を組み合わせています。この4つの作品には、歴史を形作った宇宙船の本物の断片が使われています。それぞれが惑星間空間で100万キロ以上の旅を経て、ルイ・モネのトラベルトランクに収められ、宇宙の旅へと誘います。




 

史上初の月面への軟着陸

月面への軟着陸に初めて成功したソ連の無人月探査機「ルナ9号」。これは当時としては大変な偉業でした。1962年から1965年までの間に、ソ連の探査機は26機も打ち上げられましたが、一度も成功していませんでした。1966年1月31日、バイコヌール宇宙基地から打ち上げられたルナ9号は、同年2月3日に月に到達しOcean of Stroms（嵐の海）と呼ばれる地点への軟着陸に成功。月面に軟着陸の直前にルナ４号から、カメラと通信機器を入れたカプセルを落とされました。下になる部分におもりの入ったこのカプセルは、花が咲くように上部が開き、そこから撮影した写真を発信器で地球に送ることができたのです。

ファースト・オン・ザ・ムーンの芸術的解釈

文字盤には、ルナ9号の軟着陸が描かれています。スペースクラフトはハンドエングレービングした後、全体に塗装を施しました。文字盤には「ルナ24号」の本物の細片が入っています。この欠けらはルナ24号に乗って、地球から月へ、そして惑星間空間を100万キロ以上も往復したものです。月はハンドエングレービングで描き、昔ながらの方法で黒く染め、謎めいた表情を演出しました。空は、アベンチュリンガラスとして知られる黒いアストラライトでできています。この素材は、50年以上にわたり芸術品として保管されていたものです。まるで幾千もの小さな星が輝いているような煌めきを宿しています。地球はミニアチュール（細密画法）で描き、立体的に取り付けることにより空に浮かび上がるように仕上げました。

ベゼルのハンドエングレービング

ルナ9号と、ルナ9号から落としたカプセルを表現しました。カプセルは月面軟着陸の直前に放出されました。100キログラムのカプセルは、エアバッグで保護された状態で、毎秒4〜7メートルの速度で月面に衝突します。月の最初の画像はこのカプセルによって撮影され、アンテナを介して地球に送られました。

機構-キャリバーLM35

60秒トゥールビヨン・ムーブメント。前回の国際クロノメトリー・コンペティションでゴールドメダルを受賞。




マン・オン・ザ・ムーン | 1969

人類初の月面着陸

ロシアが有人宇宙飛行のプロジェクトを進める一方で、アメリカは月への有人宇宙飛行計画であるアポロ計画のミッションを、有人宇宙船の月面着陸と再定義しました。このアポロ計画は、アポロ1号に始まり、1972年までにアポロ17号までのミッションが上げられました。その中で人類の月面着陸を初めて成功させたのは「アポロ11号」です。1969年7月16日に巨大なサターンV型ロケットがケネディ宇宙センターから発射され、7月20日、本体から切り離された着陸船が月に到達し、歴史上初めて月面への着陸に成功した。この人類初の偉大な一歩はビデオカメラで撮影・生中継され、世界中の何億人もの人々を熱狂させた出来事でした。

マン・オン・ザ・ムーンの芸術的解釈

初めて月面を歩いた人類を、現代版のクリストファー・コロンブスとして表現。宇宙服を纏った男性をミニアチュール（細密画法）を用いて、ハンドエングレービングと彩色を施しました。ヘルメットのシールド部分には、広い温度範囲（-250℃～400℃）保護のため宇宙航空材料として船体に使用される、本物のポリイミドフィルムを使用しています。この素材は、アポロ11号が地球から月までの100万キロ以上の惑星間空間を往復する際に使用されたものです。シールドに描かれた細密画は、月着陸船の反射を表現しています。細部を表現するために、職人は筆の毛を1本ずつ刈り取り、最後の1本だけを使って細かい装飾を施しています。月は、Dar Al Gani400と名付けられた本物の月隕石を使用。これは、1998年に地球上で発見された月隕石の一部です。地球は、7,000年もの間、偉大な文明に使われてきた紺碧の宝石、ラピスラズリを採用しました。高品質なブラックアベンチュリンで作られた空に神秘的に浮かんでいます。

ベゼルのハンドエングレービング

これらは1960年代にアポロ計画のために開発された有名な宇宙発射装置、サターンV型ロケットを表現しています。この巨大なロケットは、機体は高さ100メートル以上、重さ3,000トンで、11基のエンジンを搭載し有効荷重45トンを月に打ち上げることができました。ベゼル中央部には人類の月面への第一歩を、下部のエングレービングにはアポロ月着陸船の着陸時のフットパッドを手作業で描いています。

機構-キャリバーLM35

60秒トゥールビヨン・ムーブメント。前回の国際クロノメトリー・コンペティションでゴールドメダルを受賞。



アラウンド・ザ・ムーン | 1970

月周回旅行

アポロ13号は、アメリカの宇宙開発計画における3回目の月面着陸ミッションです。巨大な隕石が衝突で、地下の溶岩が噴出したことにより形成されたフラ・マウロ・クレーターに着陸した際、重大な事故により宇宙船が損傷しました。この事故により月面着陸は不可能になり帰還せざるを得なくなり、さらに、帰還のためには月を一周してから地球に戻る必要がありました。アポロ13号のミッションは成功だったのか、失敗だったのか。もちろん目的は達成されませんでしたが、この非常に危険なミッションは、これまでに行われた最も壮大な救出劇の1つと言えるでしょう。無事地球に帰還できたのは、宇宙飛行士の彼ら自身とNASA職員たちの揺るぎない意志と粘り強さのおかげです。

アラウンド・ザ・ムーンの芸術的解釈

"アラウンド・ザ・ムーン"は、大破した宇宙船で無事地球にたどり着いたアポロ13号の壮絶な救出劇を描いた作品です。ハンドエングレービングされた宇宙船に、帰還時、特に大気圏再突入時に宇宙船を保護していたポリイミドフィルムの素材を埋め込みました。この素材は、地球から月の軌道に乗り、地球に戻ってきました。アポロ13号では、惑星間空間を合計100万キロ以上も旅したことになります。月を一周した後、地球に向かう宇宙船の様子を描写しています。オニキスは、古代から使われてきたメノウの一種です。深みのあるブラックが月を覆う神秘的な表情を演出。世界的な宝石研磨職人であるダニエル・ハースが、ベルナー・オーバーラント山群の標高2000m以上の場所で調達した花崗岩で表す月とセットになっています。地球の美しさをイメージして選ばれたのは、ナミビア産のブルーピーターサイト。多色の針状に並んだインクルージョンを含むピーターサイトは、シルクのような落ち着いた光沢と独特のマーブル模様が特長で、絵画のような美しさがあります。宇宙空間を表す素材にはブラックアストラライトを採用。ブラックアストラライトに歴史があり、その起源は17世紀初頭のムラーノ島にまでさかのぼります。ガラス職人がゆっくりと冷却していた溶解ガラスの中に、銅片を意図せず落としたという偶然の行為から生まれました。all`avventura(偶然に)という表現からアベンチュリンとも呼ばれています。ムーン・レースコレクションに使用しているアストラライトは、ルイ・モネのパートナーであるダニエル・ハース氏の父親が入手し、大切に保管していたものです。ハース家は2世代にわたり文字盤に使用する天然石の調達とカッティングを専門とする宝石研磨の先駆者です。

ベゼルのハンドエングレービング

ベゼルには、アポロ13号のクルーを地球帰還に導いた司令船オデッセイのサービスモジュールとコマンドモジュールを、ヒートシールドとともに描いています。中央部には、救出ミッションの目的地である地球が、月越しに見えるように描かれています。下部には、太平洋に着地したコマンドモジュールを施しました。

機構-キャリバーLM35

60秒トゥールビヨン・ムーブメント。前回の国際クロノメトリー・コンペティションでゴールドメダルを受賞。



ラスト・オン・ザ・ムーン | 1976

最後の月探査機

ルナ24号は、ルナ計画で最後に月面に着陸した無人月探査機です。未踏の地である危難の海と呼ばれる地点に着陸した後、170gの月のレゴリス（砂状の表面の堆積物）を地球へ帰還させました。これらのサンプルを分析した結果、月のレゴリスに水が存在することが証明されました。1976年8月18日に月面に着陸したルナ24号が同年8月22日に地球（シベリア）に帰還し、1959年にルナ1号から始まったルナ計画と1961年に始まった月面着陸競争は幕を閉じました。その後、新たな探査機が月面に着陸したのは32年後のことでした（インドの月面衝突装置）。中国も2013年に制御された方法（軟着陸）で探査機（嫦娥3号）を着陸させ、その後2020年に月からサンプルを持ち帰っています（嫦娥5号）。

ラスト・オン・ザ・ムーンの芸術的解釈

月面着陸競争の最終回。ルナ24号の成果のひとつは、月に水が存在することを証明したことです。地球への帰還を旅する姿を描いています。ハンドエングレービングで表現されるルナ24号の一部には、本物のルナ24号（樹脂コーティングされた編組繊維）を使用しています。この素材は、ルナ24号に搭載され、地球から月まで100万キロ以上の惑星間空間を旅してきたものです。月は銅にエッチング技法を用いてクレーターを強調し、存在感を高めています。宇宙からみた地球を完璧に表現する、鮮やかな色合いをもつ「アズロマラカイト」。濃い青色の「アズライト（藍銅鉱）」が擬態と呼ばれる現象によって、アズライトの外観の一部を残しつつ、緑色の「マラカイト(孔雀石)」変化する自然の神秘から誕生した鉱物です。別名を“嵐の石”と呼ばれるイエローのピーターサイトで表現された太陽とともに、高品質のブラックアベンチュリンの星空に浮かび上がっています。

ベゼルのハンドエングレービング

低軌道に22トンの衛星を投入可能なロシアの大型ロケット、プロトン・ロケットをハンドエングレービングで施しています。このロケットは、ルナ24号をはじめ多くのソ連の宇宙開発に使用されていました。1960年代初頭の開発以来、現在もロシアの主力ロケットであり、これまでに400機以上のプロトン・ロケットが打ち上げられています。中部には月面の彫刻を施し、ベゼルの下部には偉大な宇宙探査機ルナ24号のデザインを描きました。

機構-キャリバーLM35

60秒トゥールビヨン・ムーブメント。前回の国際クロノメトリー・コンペティションでゴールドメダルを受賞。



【仕様】

手巻きキャリバーLM35
時・分・秒表示
21,600振動(3HZ)
72時間パワーリザーブ
19石
国際クロノメトリー・コンペティションで金賞を受賞した高精度なトゥールビヨンムーブメント

18Kゴールドケース
直径45.5mm
30気圧防水

24mmラグ幅
アリゲーターストラップ
フォールディングクラスプ

宇宙を旅した素材の起源

ルイ・モネは、月面着陸競争で使用された宇宙船の欠片を使った特別な作品を発表します。これらの素材（ポリイミドフィルムや編組繊維）は、100万キロ以上もの距離を宇宙で旅してきたものです。これらの素材は、宇宙飛行士本人やその家族、側近から個人的に入手した専門家、信頼できるオークションから入手したもので、本物であることを可能な限り保証するものです。

ルイ・モネのトラベルトランク

宇宙への旅をイメージしたトランク。世界に一つしかない「ムーンレース」の4つの作品が収められています。ニレの天然木を使用し、ブラックラッカーで仕上げたフルール・ド・リス（アイリスの花を様式化した意匠）のモチーフをドーム型の蓋の中央に施しました。トランクはブラックカラーの2本のレザーストラップで覆われています。内装にはブラックのレザーを使用し、カバーの内側には18世紀の宝物であるバイ・ド・モーナスが描いた「コペルニクスの球体」と「プトレマイオスの球体」の絵が描かれています。水彩画をプリントで施した、まさに世界に一つだけのオリジナルです。

Origins–an encounter with history

CEO兼クリエイティブ・ディレクターのジャン・マリー・シャラーと、ある１つの懐中時計との出会いから、時計ブランド「LOUISMOIMET（ルイ・モネ）」の歩みは始まりました。その時計は、フランス人時計師ルイ・モネが1816年に天文学の研究を目的とし製作した、現在のストップウォッチのように経過時間を針の位置で示す「コンター・ドゥ・ティエルス」”CompteurdeTierces”(1/60秒カウンター)。時計製造における、論文の執筆や機械設計エンジニアとしての仕事など、裏方として活躍していた彼の、その名を冠した最初で最後の時計です。2016年に歴史上「初のクロノグラフ」“Firstchronograph”としてギネス世界記録™に認定されています。

【お問い合わせ】
CMインターナショナル


［About Ateliers Louis Moiinet］
「LOUISMOINET（ルイ・モネ）」は、スイス・ヌシャテル州サン・ブレーズにアトリエを構え、2004年に設立した時計ブランドです。未知なる宇宙のロマンを感じさせる天文時計を手掛けた、アートに長ける天才時計師ルイ・モネの名を継承。「UNIQUE・CREATIVE・EXCLUSIVE・ART&DESIGN」をテーマにハイエンドなタイムピースを送り出しています。2020年12月に、高級で高性能な時計を作り続けている企業グループやブランドが属するFHH（FONDATIONDELAHAUTEHORLOGERIE／高級時計財団）に加盟。ウォッチ&ワンダージュネーブ2021に出展決定するなど、新興ブランドながら、独創的なデザインと確かなクラフトマンシップで確固たるポジションを確立しています。