マリーン エクアシオン マルシャント 5887

 From : BREGUET (ブレゲ )
アブラアン-ルイ・ブレゲは、その時計師としての生涯を通じ、時間計測に対する比類ない専門技術を絶え間なく実証し続けました。時計に傾ける情熱や革命的な開発が彼に目覚ましい評判をもたらし、数々の名誉を授けました。ブレゲの名声がヨーロッパの隅々まで広まる中、とりわけブレゲを熱烈に称賛したのはフランス国王ルイ 18 世です。そしてルイ 18 世は、ブレゲをパリの経度委員会のメンバーに任命します。この団体は、天文学のさまざまな分野を促進し、それを地理学や航海術、測地学(地球の物理的な形や大きさ測定し、地球を解明する学問)に応用することを目的に掲げ、1795 年に国民公会によって設立されました。天文暦といった参照資料を年刊で出版することも職務の一つでした。この経度委員会は非常に格式が高い団体で、全部で 20 名ほどの委員には幾何学者、天文学者、船乗り、関連の専門職人たちが含まれていました。物理学者や船乗りにとって極めて有用だった時計の分野から、その職種を代表する唯一の人物がブレゲでした。彼は、特に海上での経度計算に関しては、時計界の権威になりました。その名声を受けて、1815 年 10 月 27 日にルイ 18 世は王令を発し、アブラアン-ルイ・ブレゲに対してフランス王国海軍のマリン・クロノメーター製作者という称号を正式に授けました。
海洋上で時間を測定するという考え方そのものに科学知識が反映されていることを思えば、この名称は、時計師が羨望してやまない最高峰の栄誉に他ならないものでした。それはまた、国に対して重責を負うことも意味しています。なぜなら、海軍の艦隊にとって、マリン・クロノメーターによって海上での船の位置が計算できることは、非常に重要だったからです。

ブレゲに残るこうした独自の遺産に触発され、今年は「マリーン  エクアシオン  マルシャント  5887」と名付けた特別モデルを世界に向けて発表します。この“グランド・コンプリケーション”は、現行の“マリーン・コレクション”にとって、まさに新時代の幕開けを告げる時計です。

イクエーション・オブ・タイム、すなわち均時差は、時計のコンプリケーションのうちで数も極めて少なく、かつまた魅力的な複雑機能の一つです。均時差表示は、日常生活で使う平均太陽時と、実際の太陽に対応する時間、すなわち真太陽時との差を示すために用いられます。

古代より時間の基本には太陽が用いられてきましたが、しかしながら、日時計のダイヤル上に示される真の太陽時がそうであるように、視覚でとらえられる太陽の動きは規則的ではありません。正確な時間管理の技術が向上するにつれて、ウォッチやクロックが時間の基本になると、1 日の長さを 24 時間と均等に定める平均太陽時が真太陽時に取って代わるようになりました。この平均太陽時では、真太陽時に対してマイナス 16 分からプラス 14 分の差が生じ、二つの時間が一致するのは年間でわずか 4 日しかありません。天空における太陽の位置の変化を、該当する同じ日に対応させて再現するなら、ウォッチメーカーは、それを特別なカムによってプログラミングすることが可能になります。数字の 8 に似たこのカムの形は、アナレンマ・カーブと称される太陽の連続的な位置変化を機械的に再現したものです。
非常に正確に作ることが要求されるこのカムには、それに接触して形をなぞるスピンドルが組み合わされ、このスピンドルが均時差表示のレバーを動かし、平均太陽時と真太陽時との差(-16 分から+14分)を表示します。均時差の読み取りには、一般的にセクター(扇型)もしくはサブダイヤルが用いられてきましたが、ユーザーがこれらの方式で真太陽時を読み取るとなると、均時差表示に示される平均太陽時との差分を足したり引いたりして、頭で計算しなくてはなりません。ブレゲの新しい「マリーン エクアシオン マルシャント 5887」では、この方式に取って代わり、平均太陽時と真太陽時が 2 本の独立した分針によって同時に示されるのです。ゴールドの太陽モチーフを先端に付した、常時動き続ける分針によって真太陽時を直接読み取ることができる方式では、素早くわかり、使い勝手の良さも抜群です。この見かけはシンプルな表示の背景には、ごくわずかな時計メーカーのみが成しうる非常に困難な製造過程があります。真太陽時の分針には、最優先される二つの要件に合致していなくてはなりません。
まず、平均太陽時の分針と同軸で、従来通りに文字盤上を回転しなくてはならないこと。そして、均時差を表示するために、アナレンマ・カーブに従って変化する差分だけ平均太陽時の分針と分離していなくてはならないことです。ブレゲはそれを次のような仕組みによって実現しました。常時動き続ける真太陽時の分針にディファレンシャル・ギアを組み入れ、完全に独立した働きをする二つのソースから回転の動力を得ます。一つは、平均太陽時の回転による動力で、他方は 1 年で 1 周する均時差カムに接触するレバーによって制御される動力です。ブレゲは、極めてスリムな均時差カムを開発し、それを透明なサファイアディスクに担わせています。このディスクはまた、均時差の月単位での修正にも用いられます。

このモデルに搭載された、常時動き続ける針による均時差(ランニング・イクエーション)の複雑機構を補完するものといえば、“グランド・コンプリケーション”としては当然ながら永久カレンダーです。
文字盤に二つの窓が設けられ、10 時と 11 時の間の窓では曜日を、1 時と 2 時の間の窓では月名と閏年の周期がそれぞれ表示されます。日付はチャプターリングの内側に置かれ、先端にイカリのモチーフを配したレトログラード針が 9 時と 3 時の間を反復して示されます。文字盤の各表示は、シンプルかつ直線的に素早く読み取れるよう入念にデザインされ、美的な魅力のアピールにおいても非の打ちどころがありません。

自動巻きムーブメント、キャリバー581DR をベースにした、新しい「マリーン  エクアシオン  マルシャント  5887」には、さらに 3 つ目のコンプリケーションが搭載されています。それは、ブレゲならではの注目すべきもの、すなわちトゥールビヨンです。60 秒で回転するトゥールビヨンは、チタン製のキャリッジにシリコン素材で作られたブレゲひげゼンマイが収められています。この革新的な素材のひげゼンマイは、テンプを 4Hz という高振動で振動させる一方で、この自動巻きモデルに対し、快適で余裕たっぷりのパワーリザーブを確保しています。80 時間に及ぶパワーリザーブは、7 時と 9 時の間の窓で示されます。

この壮観なモデルの精巧さを一段と強調するのは、ブレゲの社内で腕を振るうアルチザンたちの貴重な専門技術です。文字盤の表面にはタイプの異なる 2 種類のギヨシェ彫りが施され、その一つは、この新作のために特別に開発された“ウェーブ”模様です。トゥールビヨンのバーには“Marine  Royale”(王国海軍)の文字が刻まれ、その仕事ぶりには当然ながら目が奪われます。サファイアクリスタルの透明なケースバックから見えるブリッジには、フランス王国海軍の第一級戦艦だったロワイヤル・ルイの姿が細部まで精緻に彫り込まれています。香箱も、天文学を頼りにした航海に因み、風配図のモチーフで装飾されています。さらに、自動巻きのローターも、入念に場所を選んでムーブメントの外周に置かれているため、このムーブメントに施された見事な装飾を余すところなく見渡すことができます。

ブレゲによってどこまでも格調高く作り上げられた「マリーン  エクアシオン  マルシャント  5887」は、美観においても斬新な方向を打ち出しています。この時計にモダンでダイナミックな表情をもたらしている、新たなデザイン・コードが採用されている点です。すなわち、ポリッシュとサテンブラッシュ仕上げを組み合わせたセンターラグ、フルート装飾の縦溝を拡大し、見栄えを強調したケース側面、サンドブラスト仕上げの下地にポリッシュ仕上げを施した“B”のイニシャルが乗るリュウズ、またそのリュウズを装飾する面取りした溝模様やサテンブラッシュ仕上げのウェーブ・モチーフなどです。この“グランド・コンプリケーション”のケースは直径 43.9 ㎜で、ローズゴールドとプラチナの 2 種類があります。ローズゴールド・モデルでは、シルバー・ダイヤルにアンスラサイト・カラー仕上げのムーブメント、プラチナ・モデルのほうは、ブルー・ダイヤルにロジウムメッキ仕上げのムーブメントが組み合わされていますが、贅を凝らしたこれら二つのモデルに共通する特徴は、気品、認性、美的デザインの調和です。



マリーン エクアシオン マルシャント 5887
SPECIFICATIONS OF THE WATCH
REF. 5887PT/Y2/9WV


Case 
プラチナ 950、ケースバンドに繊細なフルート装飾。サファイア・ケースバック(透明裏蓋)。ケース径 43.9mm。10 気圧(100m)防水。 
Dial 
ブルー仕上げのゴールド製ダイヤル、手彫りギヨシェ模様。個別番号と Breguet のサイン。蓄光ローマ数字のチャプターリングとインデックス。ファセットを加えた 18K ゴールド製の蓄光ブレゲ針、ゴールドの太陽モチーフが刻まれた真太陽時表示針。10 時-11 時位置に曜日表示、1 時-2 時位置に月と閏年表示、9 時-3 時位置に弧を描くレトログラードの日付表示、7 時-9 時位置にパワーリザーブ表示  
Movement 
自動巻、イクエーション・オブ・タイム、パーペチュアルカレンダー、トゥールビヨン。80 時間パワーリザーブ、キャリバー581DPE、番号と Breguet のサインを刻印。 トゥールビヨン軸直結のスモールセコンドとイクエーション・オブ・タイムカム、径 16¾リーニュ(37.79mm)、57 石。シリコン製ガンギ車とシリコン製ホーンのインバーテット・ラテラルレバー脱進機。シリコン素材のひげゼンマイ。振動数4Hz(毎時 28,800 振動)。6 姿勢で調整済。 
Strap 
アリゲーターストラップ、ゴールドフォールディングバックル 
 
 
シルバー仕上げゴールドダイヤルとアンスラサイトのムーブメントのローズゴールドケースもあります
Ref 5887BR/12/9WV 

REF.   5887PT/Y2/9WV:プラチナ                 税込予価 26,935,200 円/本体予価 24,940,000 円
REF.   5887BR/12/9WV:18K ローズゴールド 税込予価 25,142,400 円/本体予価 23,280,000 円

【お問い合わせ先】
ブレゲ ブティック銀座
TEL: 03-6254-7211
https://www.breguet.com/jp