MB&F x リュージュ「MUSICMACHINE 1 RELOADED」

 From : MB&F (エムビー アンド エフ )


2013年に誕生したMusicMachine 1は、MB&Fと社外のクリエイターとの腕時計の枠を超えたコラボレーションの象徴。MB&Fが精密時計製造以外の分野に挑戦する、コラボレーション作品という新たなカテゴリが誕生した瞬間です。これは、時を知らせるものですらありませんでした。リュージュとともに創り上げたのは、デザインから楽曲まで、オルゴールと聞いて私たちが思い浮かべるイメージを完全に覆す作品だったのです。MusicMachine 1は、最高級のハイエンドオルゴールとしての伝統的要素を全て備えつつも、MB&Fならではの方法で構築されています。現代のオルゴールと言ってもよいでしょう。



「オルゴールの制作というのは、凡人にとっては気が遠くなるような作業です」MB&Fの創業者マキシミリアン・ブッサーはオルゴールの機構に驚嘆します。ハイエンドの機械式オルゴールは精細な仕上げの技術を要し、技術的にも芸術的にも、時計と多くの類似点を有しています。MusicMachine 1 Reloadedでは、動力は巻きばねから得られ、歯車列により伝達されます。従来のミニッツリピーターウォッチと同様のファンレギュレーターにより、巻き戻し速度は入念に調整されています。1400本のピンを精巧に配置して実現したメロディの「楽譜」を備えた2本のシリンダーが、これによって回転します。ピンがシリンダーの回転に伴って、手作業で調律された72音のスチール製コームの歯をはじきます。コームはそれぞれ対応するシリンダーとペアを成しており、どちらが欠けても正しく機能しません。

1865年、スイスのサント・クロワで創業されたリュージュは、155年を超える経験と熟達を誇るプレミアメーカーです。2013年から2015年、MB&Fとリュージュは3種のMusicMachineをリリースしました。伝統的なオルゴール曲とは一線を画した現代的な音楽をそれぞれに選曲したこれらのオルゴールは、いずれも大成功を収めています。MB&F(マキシミリアン・ブッサー&フレンズ)は、最初のMusicMachineを再設計し、新たなエディションをリリースするタイミングだと判断しました。



ブッサーは言います。「最初のデザインは、若き中国人デザイナー、シン・ワンが手掛けました。今回は、当社で数々のクレイジーなデザインを手掛けているマキシミリアン・マルテンスに、もう少し合理的でオープンな発想でこの作品に取り組んでもらいました。」

流線型のアウトリガー着陸装置に、両翼のプロペラと2本のシルバーシリンダーを搭載したMusicMachine 1 Reloadedは、はるか彼方の銀河系からやってきたスペースシップのような外観です。旧モデルからの差異はわずかです。



オリジナルバージョンと同様に、MusicMachine 1 Reloadedのシリンダーは、マキシミリアン・ブッサー自ら選曲した3曲をそれぞれ奏でます。左シリンダーは『スターウォーズ』メインタイトル、帝国の逆襲から『帝国のマーチ』、そして『スタートレック』メインタイトル。右シリンダーは地球に戻って、ピンク・フロイドの『アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール』、ディープ・パープルの『スモーク・オン・ザ・ウォーター』、ジョン・レノンの『イマジン』。

リュージュのCEOアムル・アロテシャンは語ります。「デザインと創造性に関しては、MB&Fの得意分野です。しかし我々は、製品の制作と卓越性 - 技術、エンジニアリング、製造面については自負があります。人々に訴えかける創造的なデザインは驚くべきものです。そして当社は、技術面でそれを下支えする品質を提供できます」。
MusicMachine 1 Reloadedは、ブルー33点、レッド33点、そしてブラック33点の限定品。

アップデートされた有機的でエアロダイナミックなデザイン

リュージュは、名作SF映画やSFテレビシリーズの大ファンであるMB&Fの創設者マクシミリアン・ブッサーの提案した未来的なスペースシップデザインをもとにMusicMachine 1 Reloadedを制作。ECAL(スイス州立ローザンヌ美術大学)のデザイン科卒業生マックス・マルテンスとのコラボレーションで、MB&Fはチン・ワンのオリジナルのスペースシップデザインを発展させるとともに、オルゴールに不可欠な機能 – 調律されたコーム、ピン付きのシリンダー、巻き上げ機構、メインスプリングバレル、レギュレーター、音響的に最適化されたケース – を統合しました。

マックス・ブッサーはこのように語っています。「オリジナルのMusicMachineよりも複雑なデザインになっています。9年の時を経て学んだこと、私の成長や嗜好の変化をもとに、いまの私が望むものになるよう一部のディテールをブラッシュアップしました。旧モデルが気に入らなかったわけではありません。クリエイターとしてのいまの自分のありよう、何をクールだと感じるかを表現したものです。」

ブッサーとマルテンスによるクリエイションは、オリジナルのMusicMachineよりも有機的な外観。ベルリンを拠点とする若きデザイナー、マルテンスは、「モア・エアフロー」と自ら名付けたコンセプトを採用しています。



MusicMachineシリーズはマックス・マルテンスにとって、インスピレーションのある種の足がかりとして極めて重要な存在です。デザインを学ぶ学生として彼が初めてオリジナルのMusicMachineを目にしたのは2015年のこと。思考法を変えるきっかけとなったといいます。ですから、この作品のリデザインを手掛けるのは、彼にとって夢の実現といえるのです。「でも、僕自身のデザイン言語に合わせ、よりエアロダイナミックなものにしました」と述べるマルテンス。マルテンスは、航空宇宙工学を参照し、より科学的なデザインを目指しました。「作品全体が一種のフローといえます。それは特に翼に表れています。翼は風洞のような形になり、その周囲には、目に見えませんが気流があります。

旧モデルのエッセンスはそのままに、機構の配置を除くMusicMachineのすべてを見直し、リローデッドバージョンと呼ぶにふさわしいものになりました」とマルテンスは語ります。

MusicMachine 1 Reloadedの主構造は基本的には同じですが、マルテンスがいくつかの重要な要素を再考。大きな変化としては、木製であったオリジナルのMusicMachineとは異なり、ボディが陽極酸化アルミ製となりました。「アルミの加工プロセスはとても面白いと同時に精密で、この上なく美しい表面が得られます」ただし、マルテンスが最も注力したのは、ひとつひとつのMusicMachine 1 Reloadedが一体的に溶融・結合されたかのように見せることでした。

「機構を隠そうと考えたことはありません。機構もまた、僕にとって非常に重要なものだからです。」

MusicMachine 1 Reloadedは、SF映画から飛び出したような外観を有しているだけでなく、それが奏でるメロディのうち3曲は名作SFのもの。

MusicMachine 1 Reloadedの左シリンダーには、ジェリー・ゴールドスミス作曲の『スタートレック』メインタイトル、そして、同じく映画音楽の巨匠、ジョン・ウィリアムズによる『スターウォーズ』メインタイトルと「スターウォーズ 帝国の逆襲」より『帝国のマーチ』。最初の2曲が勇敢さや冒険心を呼び起こすアンセムである一方で、『帝国のマーチ』は悪の帝王ダース・ベーダーが間近に迫る緊迫感を表現し、盾を構えて防備を固めたくなるような旋律です。



しかしMB&FはSFだけにとどまりません。ブランドのクリエイションは先鋭的で、高級時計業界の因襲を打ち破るものです。このロックンロールな姿勢は、右シリンダーに搭載された3種類のメロディに象徴されます。ジョン・レノンの誰もが知る反戦歌『イマジン』、ギターリフが印象的なディープ・パープルの『スモーク・オン・ザ・ウォーター』、ピンク・フロイドの心に残る社会派ソング『アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール』。

ブッサーはオリジナルのMusicMachineのために、若い頃に思いを馳せながら選曲を行いましたが、これは骨の折れる作業だったようです。「SFのテーマ曲のほかに、20歳を迎えるまでの自分にとって大切だった3曲を入れたいと思っていました。長いリストの中からなんとか3曲に絞りましたが、本当に辛かったです!」

今振り返っても、これらの曲を選んだことに後悔はないようです。「あれは私にとって初めてのコラボレーション作品で、私がまだ、若い頃や子供時代について多く考えていた時期でした。そして、これは今もそうですが、私自身が所有したい何かを作り上げることが目標だったのです。スターウォーズやスタートレックのテーマ曲は当然入れるとして(若い頃、映画館の案内係をしていたんです)、ディープ・パープルの『スモーク・オン・ザ・ウォーター』が入っていたら最高だなと思いました。伝統あるメーカーであるリュージュに、ディープ・パープルの曲をオルゴールに入れたいと伝えるのは、何ものにも代えがたい経験でした。」

機械で音楽を忠実に再現

リュージュはこれらのメロディを機械的に再現しました。リュージュの職人はまず、楽曲を検討し、最も耳に残る旋律を特定します。その後、片方のシリンダーには3曲のロックが、もう一方のシリンダーには3曲のSF曲が組み込まれること、そして、各シリンダーのピンがそれぞれ一本の72弁コームをつま弾くということに留意しつつ、オルゴール向けにこれらの旋律を再現します。

1曲およそ35秒という制限のもとで3曲を2組作ること、そして、これらの曲に含まれる音符の数(3曲全てに登場する音符もあれば、1曲にしか使われないものもあります)を考えると、これが、どんなコンピューターをも上回る職人の頭脳、表現力、機知による高度な技術的・芸術的成果物であることがわかります。

MusicMachine 1 Reloadedには独立したムーブメントが2つあり、それぞれが、巻き上げ式のプロペラ、メインスプリングバレル(プロペラの下に見えるピストンのようなもの)、3つのメロディを奏でるピン付きの水平のシリンダー、そして音程を刻む、個々に手作業で調律された垂直のコームで構成されています。このムーブメントを2つ複製して、曲だけを変えるのは簡単です。しかし、MB&Fのオリジナルコンセプトでは完全なシンメトリーが求められています。ムーブメントが完全に同一であると、両シリンダーでコームを外側に配置することはできなくなります。そこでリュージュは、2つのムーブメントを鏡写しのように対称に構成するという前代未聞の手順を採用しました。すなわち、ムーブメントの部品とアーキテクチャを完全に反転させて設計したのです。

コーム

2つの垂直のコームは、さながら宇宙船本体の両脇に設けられたベントグリル。それぞれのコームは、シリンダーが奏でる3つのメロディに合わせてリュージュの職人が厳選した72音を有しています。コームは、音響効果を追求した独自の合金鋼でできており、手作業で調律されています。低音の歯では、鉛を加える伝統的な方法で厚みを増しています。その後マシンを使って各歯の振動数を検証し、少量ずつ素材を除去して各音を正確に調律します。このプロセスで用いられる手動ツールは、リュージュの自社開発です。



音が最もよく共鳴するよう、低音の歯の裏側に挿入された小さな透明の合成フェザーがダンパーとしての役割を果たします。最終的にコームは、本体を貫く真鍮製の「振動板」に、青焼きした6本のネジで固定されます。この振動板が音をケースへと伝え、ケースが音響をさらに増幅します。コームの取り付け後、最後の仕上げの調律では、再び職人の耳の出番です。リュージュのCEOアムル・アロテシャンは感嘆しました。「動作している様子は、ただただ美しいです。 施された加工の複雑さ、知覚価値に加えて、この美しさ。隠すのはもったいないでしょう。エンジンは誰でも見たがるものですからね。」

シリンダー

美しく丁寧に手仕上げされたシリンダーは、堂々としたペアの動力炉のように、MusicMachine 1 Reloadedの本体の上できらりと光ります。シリンダーにはメロディの「楽譜」が刻みこまれ、精巧に配置された約1400本のピンが、シリンダーの回転に伴ってコームの歯をはじきます。各ピンの配置は、リュージュの職人によって正確に決められます。ピンは同じ長さに研削・研磨されます。最後に、シリンダーの内側に熱した特殊樹脂を塗布します。これが固化することでピンがしっかり固定され、最高の音質が得られるのです。

1曲分の演奏が終わると、シリンダーが長軸方向にわずかに移動し、次の曲に対応するピンと歯を位置合わせします。1曲の演奏時間はおよそ35秒で、シリンダーの1回転に相当しま す。シリンダーは、歯車列によりMusicMachine 1 Reloadedの後方のエンジンルームに接続されているのが見えます。

ファンレギュレーター

プロペラのような巻き上げレバーの両側に、特徴的な円形パネルが垂直に取り付けられています。まるで小惑星帯内を航行するためのレーダーアンテナ、はたまたプロトン魚雷を跳ね返すためのフォース・フィールド生成装置のようですが、実はシリンダーのスピードレギュレーターです。完全に巻き上げられたメインスプリングは、巻き戻り終わりに近いときよりもシリンダーを速く回してしまう傾向があります。この円形のファンエアレギュレーターは、これを相殺するために、シリンダーの回転が遅い時よりも速い場合に指数関数的に大きな抵抗を発生させ、一定した回転を可能にしています。

機体、支柱、ランディングポッド、ランディングプラットフォーム

ブルー、レッド、ブラックの陽極酸化アルミで作られた流線型のMusicMachine 1 Reloadedの機体は、ケースの中心部に収められた真鍮製の振動板が伝える音を増幅します。この振動板はさらに、カーブした側面の支柱と、ビード吹付加工を施した陽極酸化アルミ製のアウトリガー着陸装置に沿って、MusicMachine 1 Reloadedのランディングプラットフォームにも振動を伝えます。

「クールですよ。私がこの会社の関係者でなかったら、購入を検討するでしょう」アムル・アロテシャンMusicMachine 1 Reloadedの印象をこのように語っています。「魅力が若い世代にも伝わるように、伝統工芸を魔法のように変身させました。」




[リュージュ]~オルゴールの世界的プレミアメーカー
1865年よりサント・クロワ(スイス)に本拠地を置くリュージュは、世界をリードするオルゴールメーカーです。155年超の歴史を持つリュージュは、技術、音響、芸術性のすべての点で最上級の作品を製造しています。機構の動作と極上の音響との邂逅が、比類なき体験をもたらします。リュージュは未来志向で革新的でありながら、伝統的なクラフトマンシップへのリスペクトを忘れていません。新たな素材、独創的なテーマ、画期的な音響を常に追求し、21世紀ならではの現代的オルゴールを模索します。無機的な金属で感性を表現するリュージュの力量は、移り変わる流行を超越して、真の芸術品を探し求める人々を魅了し続けています。リュージュは、クラシックと現代音楽両方の幅広いオルゴールコレクションを展開していますが、それと同時に、目利きの顧客向けにMusicMachinesのような特注品や限定シリーズを製造する能力も誇っています。





【技術仕様】
MUSICMACHINE 1 RELOADED

MusicMachine 1 Reloadedは、ブルー33点、レッド33点、そしてブラック33点の限定品。
ケース、フレーム、プラットフォーム
本体: 陽極酸化アルミ
アウトリガー:ビード吹付加工および陽極酸化処理されたアルミ、ブラックバージョンでは黒の陽極酸化処理
サイズ:横 381 mmx 縦 476 mm x 高さ 140 mm、総重量:約3 kg
音響増強プラットフォーム: マット仕上げ黒色木材

ムーブメントと仕上げ
MusicMachine 1 Reloadedは2組の3.72ムーブメントを採用(3は各シリンダーの曲数、72はコームの弁数)、一方のムーブメントは右用、他方のムーブメントは左用に構成(互いに逆方向に回転)。

地板: 真鍮にニッケルメッキ、コート・ド・ジュネーブ装飾地板が両ムーブメントを保持。各ムーブメントにはメインスプリング、シリンダー、コーム、レギュレーターを搭載。
メインスプリング: プロペラで巻き上げ。
バレル: ステンレススチール。上部に青焼きネジ6本、溝付き「ピストン」側面
レギュレーター: ステンレススチール製ファン
パワーリザーブ:約10分
シリンダー:真鍮製
スタート/ストップ、続行機能
シリンダーサポート: 真鍮にニッケルメッキ
1曲 = シリンダー1回転
各シリンダーに3曲
各曲の長さ: 約35秒
シリンダーごとのパワーリザーブ: 約10分
手作業で研磨・配置されたピン
ピンの長さ: 1mm ピン直径: 0.3 mm
右シリンダーのピン数: 1279 左シリンダーのピン数: 1.399
コーム: 合金鋼と鉛。各コームに72弁。各コームは青焼きスチールネジ6本で真鍮の振動盤に取り付け

メロディ
右シリンダー – 次から抜粋:
『アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール』(1979年)、作詞・作曲:ロジャー・ウォーターズ、原曲演奏:ピンク・フロイド
『スモーク・オン・ザ・ウォーター』(1973年)、作詞・作曲・原曲演奏:ディープ・パープル
『イマジン』(1971年)、作詞・作曲・原曲演奏:ジョン・レノン

左シリンダー – 次から抜粋:
『スターウォーズ』(1977年)メインタイトル、作曲:ジョン・ウィリアムズ
『帝国のマーチ』(1980年)、作曲:ジョン・ウィリアムズ
『スタートレック』(1979年)メインタイトル、作曲:ジェリー・ゴールドスミス


シャルル・リュージュがスイスのサント・クロワに最初のオルゴール懐中時計店を開業したのは、1865年のこと。シャルル・リュージュは、時計のムーブメントにミュージカルシリンダーとミニチュアのコームを組み込んだ先駆者でした。彼の息子アルベール・リュージュは、1886年に家族経営のアトリエを小さな工場に発展させます。リュージュのミュージカルムーブメントは、化粧コンパクトやたばこ用ライターといった、思いもよらないオブ ジェに取り入れられるようになりました。20世紀には、ギド・リュージュが60年以上にわたりこのブランドを率いました。

ギドは革新的な経営者で、1930年に現在のリュージュ社の工場をサント・クロワに建設し、会社を拡大しました。1960年代と70年代には、リュージュ社はボンテム社とエシュレ社の機械仕掛けのシンギングバードの製造及びマーケティングを引き継いで業務を多様化します。さらに知識ベースの拡大にも努め、スキルと生産能力を発展させてほぼどんな曲でも創作・再現できるようになりました。シンギングバードはリュージュのコレクションの中でも重要な作品で、2019年には現代的にアレンジしたタバティエールを発表。かつては過ぎ去った時代の芸術品とされていたものが、モダンでエモーショナルな姿を見せています。オルゴールの不可思議なリアリズムは、製造者の創意とノウハウの証です。



サント・クロワは、スイスのオルゴール産業の中心地としてその名を轟かせ続けています。2021年、この伝統的なノウハウがユネスコの無形文化遺産として認定されたことで、この村は再び注目を集めました。今日もサント・クロワの丘の上にオルゴールのように佇む、リュージュの新しい社屋。CEOを務めるアムル・アロテシャンは、この文化遺産を未来に残すべく、唯一無二のノウハウの保護と発展に全精力を傾けています。

MB&F – コンセプトラボの誕生

2005年に設立されたMB&Fは、世界初の時計製作専門コンセプトラボとして傑出した創造性を誇ります。ブランドはこれまでに約20種類の秀逸なキャリバーを開発し、それらをベースにして製作されたオロロジカル・マシンとレガシー・マシンは高い評価を得てきました。そして現在も、創業者でありクリエイティブディレクターでもあるマキシミリアン・ブッサーのビジョンに基づき、従来の時計作りの殻を破ってキネティックアートを思わせる立体感豊かな作品を生み出し続けています。

マキシミリアン・ブッサーは15年間にわたり高級腕時計ブランドをマネージング。2005年ハリー・ウィンストンのマネージングディレクターの職を辞し、MB&F(マキシミリアン・ブッサー&フレンズ)を創立しました。MB&Fは、ブッサーが尊敬し、働く喜びを分かち合うことのできる才能あるオロロジカル職人を集め、先鋭的なコンセプト・ウォッチのデザインと小規模生産を行う芸術的なマイクロエンジニアリング・ラボです。

2007年、MB&Fは初のオロロジカルマシーンであるHM1を世に送り出しました。HM1の彫刻の様な立体的なケースと美しく仕上げたエンジン(ムーブメント)は、その後のブランド特有のオロロジカルマシーンの基準となりました。全てのマシーンは時を告げるためというより、時を語るマシーンなのです。こうして製作されたオロロジカルマシンでは、宇宙(HM2、HM3、HM6)や大空(HM4、HM9)、道(HM5、HMX、HM8)、動物王国(HM7、HM10)を探索するマシンがイメージされています。

2011年には、MB&Fはラウンドケースのレガシーマシン・コレクションを発表。これらはMB&Fにとってよりクラシカルなものです。現代的な芸術品を創作するために往年の偉大な時計製造革新者とは異なる視点で複雑機構を解釈し、19世紀の腕時計製造の卓越性への敬意を払っています。LM1 及びLM2に続いて発表されたLM101は、全て自社開発したムーブメントを搭載する初のMB&Fマシン。そして、コレクションの幅をさらに広げるLM パーペチュアル、LM スプリットエスケープメント、LM サンダードームの登場。2019年は史上初のレディース用MB&Fマシン「LM フライングT」の制作によりターニングポイントを迎えました。2021年には、MB&Fはレガシー・マシン誕生10周年を記念してLMXを発表。MB&Fは現代的で型破りなオロロジカルマシーンと、歴史からインスパイアしたレガシーマシンを交互に発表しています。

MB&Fの「F」が「フレンズ」(Friends)を表していることから分かるように、優れたアーティストや時計職人、デザイナー、様々な分野の製造業者をブランドにとっての「友人たち」と考え、協力関係を築くことはごく自然な成り行きでした。

そうした姿勢がブランドにもたらしたのが、パフォーマンスアートとコラボレーション作品という新たな2つのジャンルでした。パフォーマンスアート・モデルは、創造性豊かな社外のフレンドがMB&Fのマシンをベースにしてアレンジを加え、新たな形で表現した作品。一方のコラボレーション作品は、腕時計ではなく別のタイプのマシンで、MB&Fのアイデアとデザインに基づいて独創的なスイスのマニュファクチュールが設計、製造を行います。レペ1839と共同で製作されたクロックなど、コラボレーション作品の多くは時間を知らせるマシンとなり、リュージュやカランダッシュとのコラボレーションでは別の種類のメカニカル・アートが創作されました。

ブッサーは、こうして誕生したあらゆるマシンにその魅力を発揮できる舞台を与えるため、従来型のブティックに陳列するのではなく、他のアーティストによる多彩なメカニカル・アートとともにアートギャラリーに展示することを思いつきました。このアイデアにより、ジュネーブに最初のMB&F M.A.D.ギャラリーが設立され(「M.A.D.」はMechanical Art Devices:メカニカル・アート・デバイスの略)、その後台北、ドバイ、香港にもM.A.D.ギャラリーがオープンしました。

MB&Fがこれまでに成し遂げた革新的な成果に対しては、いくつもの権威ある賞が与えられてきました。いくつか例を挙げると、名高い「ジュネーブ時計グランプリ」においては7つもグランプリを獲得しています。2021年、MB&Fは2つの賞を受賞。1つはLMXがベストメンズコンプリケーション賞を、もう1つはLM スプリットエスケープメント エディ・ジャケ「Around The World in Eighty Days」がアーティスティック・クラフト部門で受賞しました。2019年にはLM フライングTが「ベストレディースコンプリケーション賞」を獲得。2016年にはレガシー・マシン・パーペチュアルが「ベストカレンダー ウォッチ賞」を受賞。2012年にはレガシー・マシン No.1が「パブリック賞(時計ファンによる投票)」と「最優秀メンズウォッチ賞(プロの審査員による投票)」をダブル受賞。また2010年の同グランプリでは、HM4サンダーボルトで「最優秀コンセプト&デザインウォッチ賞」を受賞。さらに2015年には、HM6スペースパイレートが国際的な「レッドドット・デザイン賞」において最優秀賞である「レッドドット:ベスト・オブ・ザ・ベスト賞」を受賞しています。


詳細についてはこちらまでお問い合わせください
シャリス・ヤディガログルー cy@mbandf.com/アルノー・レジュレ arl@mbandf.com
MB&F SA, Rue Verdaine 11, CH-1204 Genève, Switzerland
電話番号: 41 22 508 10 38