MB&F 「レガシー・マシン シーケンシャル エヴォ」~1つのムーブメント。2つのクロノグラフ。複数の計測モード。

 From : MB&F (エムビー アンド エフ )


LM シーケンシャル エヴォは、MB&Fの17年の歴史の中で20番目のキャリバーであり、初のクロノグラフです。これは、数々の賞を受賞したLM パーペチュアルに搭載のパーペチュアルカレンダーの複雑機構をMB&Fのために開発した、スティーブン・マクドネルと共同で開発されました。
LM シーケンシャル エヴォのムーブメントには、2つのコラムホイール式クロノグラフと画期的な「ツインバーター」バイナリスイッチを搭載。スプリットセコンドモードやラップタイマーモードなど、従来のクロノグラフにはなかった組み合わせを含む複数の計測モードを実現しています。
エヴォのケースはジルコニウム製で、80m防水性能、ねじ込み式リューズ、一体型ラバーストラップ、リング型緩衝装置フレックスリング(FlexRing)を備えます。



クロノグラフを超えて

MB&Fはクロノグラフを制作しないとマキシミリアン・ブッサーが言ったことはありません。彼の真意は、MB&Fが他社のようなクロノグラフを作ることは決してないということです。MB&Fを知る人は、この意味が分かっていました。真に良いものは時間をかけて現れる。さらに良いものはより長い時間をかけてもたらされる。17年をかけて時計製造の芸術を築いてきたMB&Fは、さらによいものをもたらすのです。

MB&Fが生み出した20番目のムーブメントのデビュー作となるMB&F初のクロノグラフウォッチ、レガシー・マシン シーケンシャル エヴォが登場します。これはクロノグラフウォッチの既成概念を破るウォッチでもあります。

MB&Fの黎明期からともに歩んできたフレンズの1人、ステファン・マクドネルによって設計されたLM シーケンシャル エヴォは、従来のクロノグラフ性能の限界を打ち破る作品です。ステファン・マクドネルがMB&Fのために制作した最新の主要ムーブメントである2015年のレガシー・マシン パーペチュアルと同様に、LM シーケンシャル エヴォにはクロノグラフ構造を根幹から見直すデザインアプローチが採用されています。



LM シーケンシャル エヴォの文字盤のプレートにはアトミックオレンジとコールブラックがあり、クロノグラフ表示を2つ備えます。1つは9時位置に秒表示、11時位置に分表示を備え、もう1つは3時位置に秒表示、1時位置に分表示を配しています。これらのクロノグラフ表示は、ケースの両側面にあるスタート/ストップボタンとリセットボタンを使用して、それぞれを完全に個別で開始、停止、リセットすることができます。1つの時計に2つのクロノグラフ機構を搭載することで、4つのクロノグラフ・プッシャーを構成しているのが一般的です。

しかし、9時位置には5番目のプッシュボタン「ツインバーター」が配置されています。これこそがLM シーケンシャル エヴォの持つ、既存のクロノグラフウォッチを超える性能の秘密なのです。このプッシュボタンは、両方のクロノグラフ装置を制御し、各クロノグラフの現在のスタート/ストップステータスを切り替えるバイナリスイッチとして機能します。つまり、両方のクロノグラフ表示が停止した場合(ゼロ位置となるなど)、ツインバーターを押すことで両方が同時に作動します。両方が作動している場合、ツインバーターよって停止させられます。一方が作動中でもう一方が停止している場合、ツインバーターは作動中の方を停止し、停止している方を開始します。



複数の計測モード

LM シーケンシャル エヴォはこのように、他のクロノグラフと同じように使用できますが、ツインクロノグラフ機構により、スプリットセコンドクロノグラフと同じ性能を発揮できるのです。ステファン・マクドネルが設計と実装を手がけ、機械的な改良が加えられた斬新なクロノグラフ構造は、エネルギー効率と精度の点で従来のクロノグラフやスプリットセコンドクロノグラフを凌駕する性能を実現しています。

それだけではありません。ツインバーターに付属するスイッチ機能により、LM シーケンシャル エヴォは、いかなる複雑なクロノグラフウォッチも従来実現できなかったことを可能にしています。既存のクロノグラフでは不可能でLM シーケンシャル エヴォが可能にした機能をいくつかご紹介しましょう。

  • 「独立計測モード」:事象の計測が重なった場合でも、開始と終了が別々の複数の事象のタイムを測定できます。
  • 「同時計測モード」:同時に開始され、終了が異なる2つの事象のそれぞれのタイムを測定します。
  • 「積算計測モード」:連続しない2つの事象それぞれの積算タイムを測定します。
  • 「連続計測モード(またはラップモード)」:持続時間が1分以上のラップタイムを考慮し、連続する複数段階からなる単一の事象の各ラップタイムを測定します。
同時計測モードは、2人の競技者が同時に開始するレースなどで使用できます。ツインバーターを使用して両方のクロノグラフを完全に同時に開始でき、各クロノグラフが個別に備えるスタート/ストップボタンを押して複数のタイムを簡単に計測できます。事象の持続時間は、既存の多くのスプリットセコンドクロノグラフの限界である60秒を超えても大丈夫です。

積算計測モードはオフィス環境で頻繁に使用できます。1日を通して2つの異なるプロジェクトを往き来しながら作業する際に、それぞれに費す時間を知りたい場合などです。1つのタスクを開始するときに1つのクロノグラフをスタートさせ、次に別のタスクにシフトするときにツインバーターを使用する(最初のタスクに戻るときは再び切り替える)ことにより、各タスクに費やした累積時間を簡単に把握できます。もう1つの使用例として、チェスの試合のタイム計測もあります。

連続計測モード(またはラップモード)は、個別のラップタイムを測定するスポーツ競技でよく用いられます。競技開始時に1つのクロノグラフをスタートし、ラップタイム測定時にツインバーターを使用すると、次のラップタイムを測定するために2番目のクロノグラフが即座に起動し、最初のクロノグラフが停止し、タイムを記録するための十分な時間が確保できます。停止したクロノグラフはゼロにリセットされ、次のラップでツインバーターを使用して再スタートできるようになります。LM シーケンシャル エヴォは分積算計を搭載しているため、平均ラップタイムが1分を超えるスポーツ(ラップタイムを競うレースの多く)でも使用できます。

独立計測モードは、食事の準備に活用できます。食事を準備する際には、さまざまな材料をさまざまなタイミングで、異なる時間をかけて調理します。沸騰したお湯にパスタを入れるときに1つをスタートし、野菜をオーブンに入れるときにもう1つをスタートする、というように、2つのクロノグラフをそれぞれのプッシュボタンを使って操作します。LM シーケンシャル エヴォは、プライベートのあらゆるシーンで効率を向上させます。例えばジムでは、1つのクロノグラフをセットしてセッション全体のタイムを計測しながら、2つ目のクロノグラフでマシンごとのタイムやその間のダウンタイムを記録することにより、ワークアウトのルーチンを最適化できます。



他のハイコンセプトなクロノグラフの多くは、スポーツ用の特殊な状況に合わせてメカニズムを調整し、クロノグラフを頻繁に使用することを前提に設計されているのに対して、LM シーケンシャル エヴォは、日常生活の中の身近な状況で使うことができます。この複雑なムーブメントは、ジルコニウム製ケース、80m防水性、内部の緩衝装置「フレックスリング(FlexRing)」によりこれまで以上に耐久性に優れています。「エヴォ」コレクションは、こうした要素すべてによってMB&F初のクロノグラフのルーツとなり、エヴォ・コレクションの最初の作品、LM パーペチュアル エヴォの2020年発表時のキャッチフレーズに表されたアイデンティティをさらに進めています。「スポーツウォッチではありません。人生をともに歩む時計なのです。」

LM シーケンシャル エヴォは、その機械的複雑さにも関わらず、使いやすくとても便利です。これまでなぜ存在しなかったのか、不思議に思うかもしれません。この時計については、直感的にそう思えます。1の次に2、2の次に3がくるのと同じくらいのシンプルさなのです。1つの時計に2つのクロノグラフを配し、そこからさまざまな使用方法が生まれるのです。

切り替え機能:エンジンについて

ステファン・マクドネルの明晰なマインドから生まれた革新的な5番目のプッシュボタン、ツインバーター。これまでになく斬新なアイデアのように思えるかもしれません。多くの点ではそうですが、クロノグラフの歴史に精通する人は、このコンセプトのルーツを初期のクロノグラフ装置に見出すことでしょう。



「クロノグラフ」の語源はギリシャ語に由来します。最初の部分は、「chronology(年表)」や「chronicle(年代記)」などに見られるように「時間」を意味する「χρόνος(クロノス)」から来ています。語尾の部分は「γρᾰ́φω(gráphō)」から派生したもので、何らかの記録を作成するために「記す」ことを意味します。「phonograph(蓄音機)」が記録された音を体系的に記述し、「photograph(写真)」が記録された光であるのと同様に、「クロノグラフ」は記録された時間を記録します。19世紀初頭、クロノグラフは競馬と関係が深く、スピーディーなスポーツのタイムを正確に測定する必要に応じて開発されました。こうした初期のクロノグラフは時間を記録するために文字盤上でインクの液滴を使用し、特定の時間を記録として残していました(少なくとも、次のレースのためにクロノグラフを止め、文字盤がきれいに拭かれるまでは)。

その後、トラック競技用の複数の経過時間計測装置が開発され、複数のクロノグラフを別々に作動させるのではなく、レバーで連結して同時に作動させるようになりました(この方式では、どうしてもスタート時刻にわずかな誤差が生じる)。



マキシミリアン・ブッサーは2016年、ステファン・マクドネルに相談します。レガシー・マシン パーペチュアル(2015年)の後続モデルの可能性を打診すると、ステファンは4語で返答しました。「I have an idea(考えがある)」。ステファン・マクドネルの頭脳から生まれたアイデアを知る者には、それはエキサイティングであると同時に謎めいた回答でした。マックスとの会話により、ステファンがそれまで熟考していたある一連の考えが加速しました。その考えとは、現代のクロノグラフの大部分が設計された機能を適切に実行できていないということです。

手動で操作する機械式クロノグラフで競技を最高の精度で測定する方法として、クロノグラフレバーを組み合わせる案が即座に浮かび上がりました。クロノグラフ装置を個別に操作できるようにすることは、結果を記録するのに十分な時間を確保し、複数のタイムを計測して保存できることを意味します。

この時から、さまざまな解決法が見出されました。2つの独立したクロノグラフを同一のオシレーターにリンクさせるというアイディアは、中央に配された宙に浮くようなテン輪を備えるレガシー・マシンのために実際に制作されたもので、異なるタイマー間のわずかなクロノメーター間の誤差を排除することができます。



ステファン・マクドネルは、理想的なビジョンを追求し、クロノグラフをさらに洗練されたものにしています。振幅調整用のフリクションスプリングを用いることなくクロノグラフ秒針の悪名高いズレを排除するために、クロノグラフの垂直クラッチをメインギアトレイン内に配するように構成し直しました。さらに、クロノグラフの内部に宝石を埋め込んだクラッチシャフトを組み込み、クロノグラフの作動時と非作動時の振幅の変化をなくすことにも成功しました。

理想的なクロノグラフを求めるステファン・マクドネルが加えた至高のタッチは、歴史的なクロノグラフ装置においてスタートレバーが担ってきた役割をさらに強化した「ツインバーター」のコンセプトです。クロノグラフの作動モードを瞬時に切り替える機能により、旧来のこの複雑機構を現代の日常生活のさまざまな状況で使用できるようになります。これは機械式時計製造のプログラミングに用いられる論理ゲートであり、レガシー・マシン パーペチュアルの核心をなす機械式プロセッサーの開発者だけが考案し得るものなのです。

進化するエヴォ:エヴォ コレクションについて

2020年、レガシー・マシン パーペチュアル エヴォが発表され、エヴォ コレクションがMB&Fの世界に登場しました。レガシー・マシン コレクションが確立したコードに基づいて、エヴォは着用感、堅牢性、汎用性をそのアイデンティティの中心に据えています。

LMパーペチュアル エヴォ発表時のバージョンにはジルコニウムが使用されました。ジルコニウムは現在、LM シーケンシャル エヴォのデビューバージョンのケース素材となっています。ジルコニウムは、ステンレススティールよりも軽量でチタンよりも耐久性があり、深みある光沢が目を引く銀白色のメタルです。こうした特性に加え、低アレルギー性で抗菌性にも優れているため、アクティブなライフスタイルに最適です。ジルコニウムは粉末状で自然発火することで知られ、機械加工は厳しい環境管理条件下で行わなければ非常に危険です。時計製造の世界で稀にしか用いられないのはこのためです。



ベゼルのないケースデザインは内部のムーブメントを強調し、ステファン・マクドネルによる繊細な調和を見せるシンメトリーな作品を堪能することができます。LMコレクションを象徴するサファイアクリスタルドームは、LM シーケンシャル エヴォではクロノグラフ表示と宙に浮く3 Hz(毎時21,600振動)のテンプの配置に合わせて、形状に複雑な変更が加えられました。文字盤のクリスタルは完全に滑らかなアーチを描いていますが、手首に装着したときのLM シーケンシャル エヴォ全体の厚みを最小限に抑えるために、カーブを描くクリスタルの内には2つの絶妙な(そして実現するのが難しい)角度が施されています。一体型のラバーストラップは、エヴォの重要な特徴であり、従来のMB&Fマシン以上にフィットする装着感を実現します。

エヴォは、着用する人にさらなる快適さをもたらし、ケースとムーブメントの間に据えられたリング状緩衝装置「フレックスリング(FlexRing)」により縦横両方向の衝撃から保護します。一塊のステンレススティールから削り出されたこの緩衝装置は、内部のムーブメントに優れた堅牢性を与えます。エヴォは、あなたのアクティブな生活をあらゆるシーンでフォローする時計なのです。

ドリームメーカーとウォッチメーカーの出会い:マックスとステファンについて

MB&Fのストーリーを知る人なら、北アイルランド出身の時計職人ステファン・マクドネルが、マックス・ブッサーの最初の作品を世に送り出した主要人物の1人に数えられることをご存知でしょう。彼は、オロロジカルマシンN°1となる最初のいくつかのムーブメントを組み立てた、数少ない時計職人の1人です。



10年後、ステファン・マクドネルはMB&Fの世界に再び参入し、レガシー・マシン パーペチュアルを開発。これは、伝統的で名高い、高度な複雑機構の1つであるパー​​ペチュアルカレンダーに対する画期的なアプローチです。彼の時計製造の哲学は、マックスの哲学と補完し合うものです。宇宙時代のファンタジーを手首に装着して現実に変えるマックスの哲学に対し、既成概念にとらわれないアプローチを実用的な時計にまで高めるアプローチなのです。
彼らは2人とも、多くの人が疑問に思うことに巧妙に答えるコツを知っています。LM シーケンシャル エヴォ ツインバーターを人にも使用できるなら、そのパラレルな世界では、マックスとステファンがタグを組んでさらに時計製造の常識を覆すことでしょう。

MB&Fは創業20年に近づいています。ブランドの実現に尽力した人が、時計の正当性をさらに次の新しいレベルへと導くのにふさわしい時期です。MB&Fの20番目のキャリバーは単に時間を記録するだけではなく、マキシミリアン・ブッサーと、彼が生み出したブランド、そしてそこに最初からいた時計職人との間に横たわる歴史を記録するのです。

【技術仕様】
LM SEQUENTIAL EVO 


レガシー・マシン シーケンシャル エヴォは、アトミックオレンジの文字盤プレート(オレンジのCVDコーティング)とコールブラックの文字盤プレート(ブラックのPVDコーティング)の2種類のジルコニウム製モデルで展開されます。

エンジン
ステファン・マクドネルがMB&Fのために開発した完全一体型のデュアルクロノグラフシステム。複数の計測モードを可能にするツインバータースイッチを備えています。
2つのメインスプリングバレルを搭載した手巻き式。
72時間(3日間)パワーリザーブ。
12時位置に調整ネジを備えたフライングテンプ、ブレゲオーバーコイル。
最高級の手仕上げ。職人技を強調する面取り加工を施した内部の縁。研磨した面取り部。コート・ド・ジュネーブ装飾。手作業によるエングレービング。ダークカラーに仕上げたブリッジ(NAC加工)。
スーパールミノバを塗布した数字と針を備えたガルバニック仕上げブラックの文字盤。
振動数:3 Hz(毎時21,600振動)
部品数:585
石数:59

機能
6時位置の時刻表示(時、分)。
左側クロノグラフ:9時位置に秒表示、11時位置に分表示。10時位置にスタート/ストッププッシュボタン、8時位置にリセットプッシュボタン。
右側クロノグラフ:3時位置に秒表示、1時位置に分表示。2時位置にスタート/ストッププッシュボタン、4時位置にリセットプッシュボタン。
9時位置にツインバータープッシュボタン:両方のクロノグラフの現在のスタート/ストップステータスを反転させるバイナリスイッチ。
ムーブメントの後ろにパワーリザーブ表示。

ケース
素材:ジルコニウム
サイズ:直径44 mm x 厚さ 18.2 mm
部品数:74
防水性能:80 m / 8ATM / 270フィート
ねじ込み式リューズ。
フレックスリング:ケースとムーブメントの間に取り付けられたリング状の緩衝装置で、縦横方向に衝撃から保護。
表面と裏面のサファイアクリスタルはともに両面反射防止加工済み。

ストラップ&バックル
チタン製フォールディングバックル付きラバーストラップ一体型。

MB&F – 17年間で20のキャリバーを開発

2005年~2021年



2005年 MB&F創立

2007年 HM1
「ファウンデーションピース」。8の字型のケースはMB&Fの象徴です。これは2つの世界の出会いを象徴するもので、1つは「MB」(マキシミリアン・ブッサー)、もう1つは「フレンズ」で、ブランド創設者のアイデアを実現する多くの職人を表します。HM1の型破りな3次元のケースとムーブメントのデザインは、MB&Fの将来のマシンの青写真となります。

2008年 HM2
サイエンスフィクションに着想を得た多くのオロロジカルマシンのうち、最初のHM2は、宇宙基地のような構造をした建築的なケースを備え、瞬時のジャンピングアワー、同心のレトログラード式分針、レトログラード式日付、両半球ムーンフェイズ表示など、高度な複雑機構が搭載されています。

2009年 HM3
時計製造におけるMB&Fの3次元アプローチを確立したオロロジカルマシン。宇宙船のようなデザインのHM3 サイドワインダーとスタークルーザーの後には、丸みを帯びて有機的なフォルムのバージョンHM3 フロッグが続きます。

2010年 HM4 サンダーボルト
模型飛行機に対するマキシミリアン・ブッサーの幼少時の情熱にインスパイアされたHM4のディスプレイは一見するとシンプル(右側に時と分、左側にパワーリザーブ)で、ケースとムーブメントの非常に複雑でほとんど無秩序なデザインとは対照をなしています。時計の世界では驚異の念とともに受け止められ、HM4はジュネーブ ウォッチ グランプリでベストデザインウォッチ賞を受賞しています。

2011年 LM1
MB&Fは、伝統を打ち破る4つのオロロジカル・マシンを製作した後、レガシー・マシン No1の発表によって、クラシックな感覚のタイムピースを擁する新しいコレクションを打ち出し、時計製造の世界にさらなる驚きをもたらします。翌年、LM1がジュネーブ ウォッチ グランプリにおいて、パブリック賞とベストメンズウォッチ賞の2つの賞を受賞しました。

2012年 HM5 オン・ザ・ロード・アゲイン
MB&F初のドライバーウォッチ。マキシミリアン・ブッサーが若かりし頃、カーデザイナーになることを夢見ていたことから誕生。スーパーカーのようなデザインのHM5キャリバーは、機械工学(自動巻きムーブメント)と高精度の光学工学(時刻表示用のサファイアクリスタルプリズム)を組み合わせています。


2013年 LM2
最初のレガシー・マシンが製作されてから2年を経て、LM2が誕生。MB&Fは、著名な時計師たちによるデュアル・レギュレーター機構(二つの調速機)を備えた作品からインスピレーションを得て複雑なタイムピースを創作し、レガシー・マシン コレクションの進化に取り組みます。中央の差動装置によって、完全に独立したレギュレーターが2つの歩度の平均値を割り出します。

2014年 LM101
MB&Fは、レガシー・マシン101では、機械式ウォッチに欠かせない要素に焦点を当てています。LM101キャリバーはMB&F社内のエンジニアリングチームが構想・設計を手がけた初のキャリバーでもあり、その後多くの作品に採用されました。

2014年 HM6 スペースパイレート
マキシミリアン・ブッサーを夢中にするSF小説にインスパイアされて生まれたもう1つのオロロジカルマシン。ここでは日本のTVアニメキャラクター「キャプテンフューチャー」に出てくる複数の球体を備えた構造の宇宙船に着想を得ています。HM6には、MB&Fの作品の中でも有機的で生物形態的なデザイン要素が取り入れられています。

2015年 HMX
スーパーカーをインスピレーション源にもつMB&Fの2番目のタイムピース。HMXはMB&Fの10周年を記念した作品です。ラグジュアリーの世界で一般的な、きわめて複雑で高価なアニバーサリー時計を開発する代わりに、MB&Fは品質を犠牲にすることなくマージンを削減した前代未聞の価格で真のオロロジカルマシンを提供しました。

2015年 LM パーペチュアル
独立時計師のステファン・マクドネルとの協力により、従来のパーペチュアルカレンダー機構を再解釈。その結果として誕生したのが、革新的で、信頼性と操作性に優れたレガシー・マシン パーペチュアルです。2016年、ジュネーブ ウォッチ グランプリにおいてLM パーペチュアルがベストカレンダーウォッチ賞を受賞しました。

2016年 HM8 カンナム
自動車に着想を得たMB&F3番目のマシンHM8は、1960年代後半から70年代にかけて活躍したレーシングカー「カンナム」へのオマージュでもあります。自動巻きローターがすべて見え、マシン前面トップからテーパード型のバックまで伸びるチタン製のロールバーを備えます。

2017年 HM7 アクアポッド
MB&Fのオロロジカルマシンが初めて大空や道、宇宙を離れて水に飛び込み、クラゲから着想を得たマシンです。有機的なフォルムのケースデザインには、中央に60秒フライングトゥールビヨンを配した自動巻きキャリバーが搭載されています。「浮遊する」逆回転防止ベゼルが、HM7 アクアポッドの水生動物を思わせる外観を強調しています。

2017年 LM SE
再びステファン・マクドネルとコラボレーションを行い、LM スプリットエスケープメント(LM SE)を発表。このマシンでは、フライングテンプ、そして当初はLM パーペチュアル用に考案された、スプリットエスケープメント機構の美しい姿を眺めることができます。
2021年、LM SEはジュール・ヴェルヌに着想を得た8つのユニークピースの表現の場となり、名高い彫刻家エディ・ジャケが物語を刻みます。このシリーズは2021年ジュネーブ ウォッチ グランプリでアーティスティック・クラフト・ウォッチ賞を受賞しています。

2018年 HM9 フロウ
ミッドセンチュリーな自動車や飛行機の持つ無駄のない流線型のデザインにインスパイアされたHM9 フロウは、HM4 サンダーボルトとHM6 スペースパイレートによって開かれた道を歩みます。内部の複雑なキャリバーは、LM2で初めて採用されたデュアルレギュレーターシステムを見直したものです。

2019年 LM フライングT
マキシミリアン・ブッサーは、家族の女性にインスパイアされた初の時計、LM フライングTの制作にあたり、レガシー・マシン コレクションを選択しました。LM フライングTは同年、ジュネーブ ウォッチ グランプリで最優秀レディス・コンプリケーションウォッチ賞を受賞しました。

2019年 LM サンダードーム
MB&F、カリ・ヴティライネン、そして世界を代表する時計師エリック・クドレが、8秒、12秒、20秒で回転する3軸回転機構を搭載した世界最速の3軸レギュレーター、LMT サンダードームで世界記録を更新しました。

2020年 HM10 ブルドッグ
ブルドッグを象ったデザインのHM10は、これまでのMB&F マシンの「ベスト・オブ・マシン」です。型破りなケース、独立した巻き上げリューズ、回転する時分ドーム、吊り下げ型テンプ、ブルドッグの顎が開閉してエネルギー残量を示す3次元パワーリザーブ表示を備えています。

2021年 LMX
その名のとおり、LMXはレガシー・マシン10周年(2011~2021年)を記念する作品です。LM1の特徴を継承しながらも、全く新しい作品として仕上げられたLMXは、2つのタイムゾーンと立体的なパワーリザーブ表示を備えている一方、LM フライングTとLM サンダードームから傾斜した文字盤とスマートなラインのケースデザインを受け継いでいます。LMXは、同年にジュネーブ ウォッチ グランプリでメンズ・コンプリケーションウォッチ賞を受賞しました。

2022年 LM シーケンシャル エヴォ
MB&Fは、長年にわたる友人ステファン・マクドネルとともに、複数の計測モードを提供する革新的なデュアルクロノグラフシステムでクロノグラフを刷新しました。この画期的なソリューションの鍵となるのは、両方のクロノグラフを同時に作動させることができるプッシュボタン「ツインバーター」です。

レガシー・マシン シーケンシャル エヴォの「フレンド」たち



コンセプト:マキシミリアン・ブッサー(MB&F)
製品設計:エリック・ジルー(Through the Looking Glass)
技術・製造管理:セルジュ・クリクノフ(MB&F)
ムーブメントデザインと仕上げ仕様:ステファン・マクドネル、MB&F
ムーブメント開発:ステファン・マクドネル、MB&F
研究開発:トマ・ロレンザト、ジョイ・ミゼレス、ジュリアン・ピーター(MB&F)

ホイール、ブリッジ、ピニオンおよび軸:ジャン=フランソワ・モジョン(Chronode)、ポール=アンドレ・タンドン(Bandi)、ダニエル・ギュミ(Decobar Swiss)、ロドリグ・ボーム(Horlofab)、DMP、Le Temps Retrouvé and Roud’Hor SA
テンプ:セバスチャン・ジャヌレ(Atokalpa)、バンジャマン・シニュード(AMECAP)、マルク・ボリス(2B8)
ゼンマイ、ジャンパー:アラン・ぺレ(Elefil Swiss)
香箱:ステファン・シュワブ(Schwab-Feller)
ルビー:Pierhor、Crelier
ムーブメント手彫り:Glypto
フィックスリング:Laser Automation
ムーブメント部品手仕上げ:ジャック=アドリアン・ロシャ(C.-L. Rochat)&デニス・ガルシア(C.-L. Rochat & DSMI Electronics SA)
PVD/CVD処理:ピエール=アルベール・ステインマン(Positive Coating)
ムーブメント組み立て:ディディエ・デュマ、ジョルジュ・ヴェイジー、アン・ギテ、エマニュエル・メートル、アンリ・ポルトブフ、マチュー・ルクルトル(MB&F)
ケースとムーブメント部品:アラン・ルマルシャン、ジャン=バティスト・プレト、ロマン・カンプロ(MB&F)
アフター・サービス:トマ・インベルティ(MB&F)
品質管理:シリル・ファレ、ジェニファー・ロングペ(MB&F)
ケース装飾:サンドラ・ランベール(Bripoli)
文字盤と文字盤上のスーパールミノバ:Cadramont SA
バックル:G&F Châtelain
リューズとコレクター:Boninchi
針:Waeber HMS
サファイアクリスタル:Novocristal
サファイアクリスタルの反射防止加工:アントニー・シュワブ(Econorm)
ストラップ:ティエリー・ロニョン(Valiance)
化粧箱:オリヴィエ・ベルトン(Soixanteetonze)
ロジスティックスおよびプロダクション:ダヴィド・ラミー、アシュレイ・ムシエ、ファニー・ブティエ、フーダ・ファイルー、メラニー・アタイド(MB&F)

マーケティングおよび広報:シャリス・ヤディガログルー、ヴァネッサ・アンドレ、アルノー・レジュレ、ポール・ゲ(MB&F)
M.A.D.ギャラリー:エルヴェ・エスティエンヌ(MB&F)
販売:ティボー・ヴェルドンク、ヴィルジニー・マルション、セドリック・ルーセル、ジャン=マルク・ボリー、オーギュスタン・シヴォ(MB&F)
グラフィックデザイン:シドニー・ベイ(MB&F)
製品撮影:マールテン・ファン・デル・エンデ、ギュスターヴ・クリ
ポートレート撮影:レジス・ゴレ(Federal)
ウェブマスター:ステファン・バレ(Idéative)
フィルム:ファブリス・ラビ(Le Truc)、マヌリ・カラペツィス、ドミニク・ラング(Brosky Media)
テキスト:スザンヌ・ウォン(Worldtempus)

MB&F – コンセプトラボの誕生



2005年に設立されたMB&Fは、世界初の時計製作専門コンセプトラボとして傑出した創造性を誇ります。ブランドはこれまでに約20種類の秀逸なキャリバーを開発し、それらをベースにして製作されたオロロジカル・マシンとレガシー・マシンは高い評価を得てきました。そして現在も、創業者でありクリエイティブディレクターでもあるマキシミリアン・ブッサーのビジョンに基づき、従来の時計作りの殻を破ってキネティックアートを思わせる立体感豊かな作品を生み出し続けています。

マキシミリアン・ブッサーは15年間にわたり高級腕時計ブランドをマネージング。2005年ハリー・ウィンストンのマネージングディレクターの職を辞し、MB&F(マキシミリアン・ブッサー&フレンズ)を創立しました。MB&Fは、ブッサーが尊敬し、働く喜びを分かち合うことのできる才能あるオロロジカル職人を集め、先鋭的なコンセプト・ウォッチのデザインと小規模生産を行う芸術的なマイクロエンジニアリング・ラボです。

2007年、MB&Fは初のオロロジカルマシーンであるHM1を世に送り出しました。HM1の彫刻の様な立体的なケースと美しく仕上げたエンジン(ムーブメント)は、その後のブランド特有のオロロジカルマシーンの基準となりました。全てのマシーンは時を告げるためというより、時を語るマシーンなのです。こうして製作されたオロロジカルマシンでは、宇宙(HM2、HM3、HM6)や大空(HM4、HM9)、道(HM5、HMX、HM8)、動物王国(HM7、HM10)を探索するマシンがイメージされています。

2011年には、MB&Fはラウンドケースのレガシーマシン・コレクションを発表。これらはMB&Fにとってよりクラシカルなものです。現代的な芸術品を創作するために往年の偉大な時計製造革新者とは異なる視点で複雑機構を解釈し、19世紀の腕時計製造の卓越性への敬意を払っています。LM1 及びLM2に続いて発表されたLM101は、全て自社開発したムーブメントを搭載する初のMB&Fマシン。そして、コレクションの幅をさらに広げるLM パーペチュアル、LM スプリットエスケープメント、LM サンダードームの登場。2019年は史上初のレディース用MB&Fマシン「LM フライングT」の制作によりターニングポイントを迎えました。2021年には、MB&Fはレガシー・マシン誕生10周年を記念してLMXを発表。MB&Fは現代的で型破りなオロロジカルマシーンと、歴史からインスパイアしたレガシーマシンを交互に発表しています。

MB&Fの「F」が「フレンズ」(Friends)を表していることから分かるように、優れたアーティストや時計職人、デザイナー、様々な分野の製造業者をブランドにとっての「友人たち」と考え、協力関係を築くことはごく自然な成り行きでした。

そうした姿勢がブランドにもたらしたのが、パフォーマンスアートとコラボレーション作品という新たな2つのジャンルでした。パフォーマンスアート・モデルは、創造性豊かな社外のフレンドがMB&Fのマシンをベースにしてアレンジを加え、新たな形で表現した作品。一方のコラボレーション作品は、腕時計ではなく別のタイプのマシンで、MB&Fのアイデアとデザインに基づいて独創的なスイスのマニュファクチュールが設計、製造を行います。レペ1839と共同で製作されたクロックなど、コラボレーション作品の多くは時間を知らせるマシンとなり、リュージュやカランダッシュとのコラボレーションでは別の種類のメカニカル・アートが創作されました。

ブッサーは、こうして誕生したあらゆるマシンにその魅力を発揮できる舞台を与えるため、従来型のブティックに陳列するのではなく、他のアーティストによる多彩なメカニカル・アートとともにアートギャラリーに展示することを思いつきました。このアイデアにより、ジュネーブに最初のMB&F M.A.D.ギャラリーが設立され(「M.A.D.」はMechanical Art Devices:メカニカル・アート・デバイスの略)、その後台北、ドバイ、香港にもM.A.D.ギャラリーがオープンしました。

MB&Fがこれまでに成し遂げた革新的な成果に対しては、いくつもの権威ある賞が与えられてきました。いくつか例を挙げると、名高い「ジュネーブ時計グランプリ」においては7つもグランプリを獲得しています。2021年、MB&Fは2つの賞を受賞。1つはLMXがベストメンズコンプリケーション賞を、もう1つはLM スプリットエスケープメント エディ・ジャケ「Around The World in Eighty Days」がアーティスティック・クラフト部門で受賞しました。2019年にはLM フライングTが「ベストレディースコンプリケーション賞」を獲得。2016年にはレガシー・マシン・パーペチュアルが「ベストカレンダー ウォッチ賞」を受賞。2012年にはレガシー・マシン No.1が「パブリック賞(時計ファンによる投票)」と「最優秀メンズウォッチ賞(プロの審査員による投票)」をダブル受賞。また2010年の同グランプリでは、HM4サンダーボルトで「最優秀コンセプト&デザインウォッチ賞」を受賞。さらに2015年には、HM6スペースパイレートが国際的な「レッドドット・デザイン賞」において最優秀賞である「レッドドット:ベスト・オブ・ザ・ベスト賞」を受賞しています。


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シャリス・ヤディガログルー cy@mbandf.com/アルノー・レジュレ arl@mbandf.com
MB&F SA, Rue Verdaine 11, CH-1204 Genève, Switzerland
電話番号: 41 22 508 10 38