MB&F レガシー・マシン「スプリットエスケープメント エヴォ」 重要性を増すエヴォ コレクション

 From : MB&F (エムビー アンド エフ )


LMパーペチュアル エヴォ、 LMシーケンシャル エヴォ、LMスプリットエスケープメント エヴォ(初代はアラブ首長国連邦の建国50周年記念限定エディションとして発表)に続き、MB&Fは新たにエヴォの2つのエディションを発表。エヴォはいま、ひとつのコレクションになりつつあります。




LMスプリットエスケープメントのストーリー

素晴らしい物語はどれもそうであるように、このストーリーも、始まりから語るだけの価値があります。LMスプリットエスケープメントの背景にあるアイデアは、2015年にLMパーペチュアルとともに誕生しました。パーペチュアルカレンダーには、北アイルランドの時計の名匠、ステファン・マクドネルが設計・考案した2つの基準がありました。それは、誤作動を防止すること、そしてMB&Fの特徴であるフライング バランスホイール(テン輪)を文字盤の中央に配することでした。そこでマクドネルは、すぐにある問題に気づきます。エスケープメントを配するスペースがないということに。それ以前のレガシー・マシンでは、テン輪と脱進機を時計の前面に配置するという方法が取られていましたが、より複雑になったLMパーペチュアルのカレンダーの場合、その両方を配置するスペースがありませんでした。

どんな問題にも解決策を見出すマクドネルは、画期的なアイデアを思いつきました。それは、ムーブメントを貫く世界最長のテン真を作り、大ぶりのテン輪は時計の前面に残し、残りの脱進機の部分、つまりアンクルとガンギ車はムーブメントの反対側に移動させ、テン輪の約12mm下に配する、というものでした。「スプリットエスケープメント(分割された脱進機)」という名前はこの構造に由来しています。



ところが、LMパーペチュアルが発表された当時は、他にも特筆すべきイノベーションが多すぎて、スプリットエスケープメントはそこまで注目されていませんでした。そこで2017年、MB&Fはマクドネルの天才的なアイデアにスポットを当てたLMスプリットエスケープメント(LM SE)を製作することにしました。298の部品からなる手巻き式のムーブメントは、2つの香箱を搭載し、72時間のパワーリザーブを実現。また、日付調整時に誤ってムーブメントを損傷することがないよう、誰でも簡単に使えるクイック日付調整システムも備えています。

EVO-LUTION - 進化するエヴォ

LMスプリットエスケープメントの最初のモデルでは、MB&Fのクラシックなレガシー・マシンのケースが採用されていましたが、現在は、アクティブなライフスタイルに合わせて考案されたエヴォ ケースが採用されています。



2020年、LMパーペチュアルエヴォの発売時に初登場したこの新しいデザインのケースは、80m防水性能、ねじ込み式リューズ、一体型ラバーストラップを備え、ベゼルのないデザインを特徴としています。エヴォに施された創意工夫はそれだけではありません。もうひとつの特徴となるのが、ケース内部に装備された「フレックスリング」システムです。世界初公開となった一体鋳造のこの緩衝装置が、着用時に生じる縦横の衝撃からムーブメントを保護します。



LMパーペチュアル エヴォ以降、エヴォのケースはレガシー・マシン コレクションに採用されるようになり、最近ではMB&F初のクロノグラフ「レガシー・マシン シーケンシャル エヴォ」で華々しい登場を果たしています。それ以前にも控えめながら、UAEのゴールデン・ジュビリー(建国50周年)に発表された10点限定エディションのLMスプリットエスケープメント エヴォにも採用されています。

ゴールデン・ジュビリー エディションには、エヴォのケースの他にも、LMスプリットエスケープメントのデザインを根本から変える大きな特徴がありました。メカニズム全体が時計回りに30度傾けられ、リューズの位置が2時ではなく4時30分の位置に移動。これにより、時計のシンメトリーが大きく変わり、まったく新しい個性が生まれています。

新しいアイシークール・エディテョン

MB&Fは、LM SEエヴォの新作エディションを発表します。しかも今回は、2つもあります。1つ目は、グレード5のチタン製で、アイスブルーのベースプレート、スレートグレーの文字盤、オープンカウンターなど、心が踊るような魅力を備えています。



もう1つの特徴は、ムーブメント側に施された特殊なダーク処理。ホイール、ロジウムメッキの香箱、ローズゴールドのディテールとのコントラストを際立たせるこのデザインは、エヴォ コレクションのアクティブで現代的な要素と、ムーブメントの伝統的な仕上げとのコントラストを象徴的に表現しています。MB&Fは今も手作業で丹念に部品を仕上げる数少ない職人気質のブランドのひとつであり、文字盤と同様、ムーブメントもうっとりするような美しさを湛えています。

ビバリーヒルズ・エディション

2つ目の新作は、MB&Fラボのために作られた限定エディションのシリーズ第一弾です。MB&Fラボは、MB&FのM.A.D.ギャラリーの成功に続く新しい販売業態で、本格的なM.A.D.ギャラリーを開設するほど広くはない比較的小規模のスペースに、MB&Fのタイムピースと限られた数のアート作品を組み合わせて展示します。今年はパリ、シンガポール、ビバリーヒルズにMB&Fラボがオープンする予定で、こちらの新作は、ロサンゼルスのロデオドライブにオープンするMB&F ラボのために特別にデザインされたモデルです。



ビバリーヒルズのMB&Fラボは、米国の有名時計販売店Westimeによって運営されます。Westimeはブランド創設当初からのパートナーであるだけでなく、MB&F ラボをいち早くオープンさせる先駆的な存在でもあります。25点限定のビバリーヒルズ・エディションは、Westimeのコーポレートカラーであるブルーとブラックを基調に、ブラックのベースプレート、メタリックブルーの文字盤、オープンカウンターが印象的なモデルで、今年発売される唯一のMB&F ラボ・エディションとなります。




【技術仕様】
レガシー・マシン「スプリットエスケープメント エヴォ」


レガシー・マシン「スプリットエスケープメントエヴォ」の2つのバージョン:

■Tiバージョン:グレード5のチタン製ケース、パステルブルーのベースプレート、ダークグレーの文字盤。
■ビバリーヒルズ・エディテョン:25点限定エディション。グレード5のチタン製ケース、ブラックのベースプレート、ブルーの文字盤。

[エンジン]
ステファン・マクドネルがMB&Fのために開発したムーブメント
スプリットエスケープメント(分割された脱進機)。テン輪は文字盤の上で吊り下げられ、アンクルはムーブメントの下側に配置
2つのメインスプリングバレルを搭載した手巻き式
ムーブメント上部に従来型調整スクリューを備えた、専用の直径14mmのテン輪
全体に19世紀のスタイルを踏襲した最高の手仕上げ、面取り加工を施した内部の縁(手作業で研磨)、研磨した面取り部、コート・ド・ジュネーブ装飾、手作業によるエングレービング
フレックスリング:ケースとムーブメントの間に取り付けられたリング状の緩衝装置で、縦横方向に衝撃から保護
スーパールミノバを塗布した数字と針
ねじ込み式リューズ
パワーリザーブ:72時間
テンプの振動数:2.5Hz / 18,000bph
部品数:298
石数:35

[機能&表示]
時・分、日付およびパワーリザーブインジケーター
日付ダイヤルの横に、クイック日付調整用のプッシュボタン

[ケース]
素材:グレード5チタン
サイズ:44 x 17.5mm
部品数:52
防水性能:80m / 8ATM / 270フィート

[サファイアクリスタル]
表面と裏面のサファイアクリスタルはともに両面反射防止加工済み

[ストラップ&バックル]
チタン製フォールディングバックル付きラバーストラップ一体型

レガシー・マシンの「フレンド」たち
スプリットエスケープメント エヴォ



コンセプト:マキシミリアン・ブッサー(MB&F)
製品設計:エリック・ジルー(Through the Looking Glass)
技術・製造管理:セルジュ・クリクノフ(MB&F)
ムーブメントデザインと仕上げ仕様:ステファン・マクドネル、MB&F
ムーブメント開発:ステファン・マクドネル、MB&F
研究開発:トマ・ロレンザト、ジョイ・ミゼレス、マエル・メンデル、ピエール=アレクサンドル・ガメ(MB&F)



ホイール、ブリッジ、ピニオンおよび軸:ジャン=フランソワ・モジョン(Chronode)、Atokalpa、ポール=アンドレ・タンドン(Bandi)、ダニエル・ギュミ(Decobar Swiss)、ロドリグ・ボーム(Horlofab)、DMP、Le Temps Retrouvé
テンワ:アンドレアス・クルト(Precision Engineering)、バンジャマン・シニュード(AMECAP)、マルク・ボリス(2B8)
香箱:ステファン・シュワブ(Schwab-Feller)、Swiss Manufacturing
パーペチュアルカレンダー部品:アラン・ぺレ(Elefil)
ムーブメント手彫り:Glypto
フィックスリング:Laser Automation
ムーブメント部品手仕上げ:ジャック=アドリアン・ロシャ(C.-L. Rochat)、デニス・ガルシア(C.-L. Rochat)
PVD/CVD処理:ピエール=アルベール・ステインマン(Positive Coating)
ケースとムーブメント部品:アラン・ルマルシャン、ジャン=バティスト・プレト、ステファニー・カルヴァロ、ファビアン・ラマジナ(MB&F)
ムーブメント組み立て:ディディエ・デュマ、ジョルジュ・ヴェイジー、アンヌ・ギテ、エマニュエル・メートル、アンリ・ポルトブフ、マチュー・ルクルトル(MB&F)
アフター・サービス:トマ・インベルティ(MB&F)
品質管理:シリル・ファレ、ジェニファー・ロングペ(MB&F)
ケース装飾:サンドラ・ランベール(Bripoli)、ジュゼッペ・ディ・ステファノ(STG Creation)
文字盤:ハサン・シャイバ&ヴィルジニー・デュヴァル(Les Ateliers d’Hermès Horloger)
文字盤上のスーパールミノバ:フレデリック・ティエリー(Monyco)
バックル:G&F Châtelain
リューズとコレクター:Cheval Frères
針:Waeber HMS
サファイアクリスタル:Stettler
サファイアクリスタルの反射防止加工:アントニー・シュワブ(Econorm)
ストラップ:ティエリー・ロニョン(Valiance)、BIWI
化粧箱:オリヴィエ・ベルトン(Soixanteetonze)
ロジスティックスおよびプロダクション:ダヴィド・ラミー、アシュレイ・ムシエ、ファニー・ブティエ、フーダ・ファイルー、メラニー・アタイド(MB&F)

マーケティングおよび広報:シャリス・ヤディガログルー、ヴァネッサ・アンドレ、アルノー・レジュレ、ポール・ゲ(MB&F)
M.A.D.ギャラリー:エルヴェ・エスティエンヌ(MB&F)
販売:ティボー・ヴェルドンク、ヴィルジニー・マルション、セドリック・ルーセル、ジャン=マルク・ボリー、オーギュスタン・シヴォ(MB&F)
グラフィックデザイン:シドニー・ベイ(MB&F)
製品撮影:マールテン・ファン・デル・エンデ、ロラン=グザヴィエ・ムラン
ポートレート撮影:レジス・ゴレ(Federal)
ウェブマスター:ステファン・バレ(Idéative)
映像:マルク=アンドレ・デシュー(MAD LUX)、マヌリ・カラペツィス、ドミニク・ラング(Brosky Media)
テキスト:ソフィー・フュルレイ(WorldTempus)


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【お問い合わせ】
シャリス・ヤディガログルー cy@mbandf.com/アルノー・レジュレ arl@mbandf.com
MB&F SA, Rue Verdaine 11, CH-1204 Genève, Switzerland
電話番号: 41 22 508 10 38




[MB&F]~コンセプトラボの誕生
2005年に設立されたMB&Fは、世界初の時計製作専門コンセプトラボとして傑出した創造性を誇ります。ブランドはこれまでに約20種類の秀逸なキャリバーを開発し、それらをベースにして製作されたオロロジカル・マシンとレガシー・マシンは高い評価を得てきました。そして現在も、創業者でありクリエイティブディレクターでもあるマキシミリアン・ブッサーのビジョンに基づき、従来の時計作りの殻を破ってキネティックアートを思わせる立体感豊かな作品を生み出し続けています。
マキシミリアン・ブッサーは15年間にわたり高級腕時計ブランドをマネージング。2005年ハリー・ウィンストンのマネージングディレクターの職を辞し、MB&F(マキシミリアン・ブッサー&フレンズ)を創立しました。MB&Fは、ブッサーが尊敬し、働く喜びを分かち合うことのできる才能あるオロロジカル職人を集め、先鋭的なコンセプト・ウォッチのデザインと小規模生産を行う芸術的なマイクロエンジニアリング・ラボです。


2007年、MB&Fは初のオロロジカルマシーンであるHM1を世に送り出しました。HM1の彫刻の様な立体的なケースと美しく仕上げたエンジン(ムーブメント)は、その後のブランド特有のオロロジカルマシーンの基準となりました。全てのマシーンは時を告げるためというより、時を語るマシーンなのです。こうして製作されたオロロジカルマシンでは、宇宙(HM2、HM3、HM6)や大空(HM4、HM9)、道(HM5、HMX、HM8)、動物王国(HM7、HM10)を探索するマシンがイメージされています。
2011年には、MB&Fはラウンドケースのレガシーマシン・コレクションを発表。これらはMB&Fにとってよりクラシカルなものです。現代的な芸術品を創作するために往年の偉大な時計製造革新者とは異なる視点で複雑機構を解釈し、19世紀の腕時計製造の卓越性への敬意を払っています。LM1 及びLM2に続いて発表されたLM101は、全て自社開発したムーブメントを搭載する初のMB&Fマシン。そして、コレクションの幅をさらに広げるLM パーペチュアル、LM スプリットエスケープメント、LM サンダードームの登場。2019年は史上初のレディース用MB&Fマシン「LM フライングT」の制作によりターニングポイントを迎えました。2021年には、MB&Fはレガシー・マシン誕生10周年を記念してLMXを発表。MB&Fは現代的で型破りなオロロジカルマシーンと、歴史からインスパイアしたレガシーマシンを交互に発表しています。
MB&Fの「F」が「フレンズ」(Friends)を表していることから分かるように、優れたアーティストや時計職人、デザイナー、様々な分野の製造業者をブランドにとっての「友人たち」と考え、協力関係を築くことはごく自然な成り行きでした。
そうした姿勢がブランドにもたらしたのが、パフォーマンスアートとコラボレーション作品という新たな2つのジャンルでした。パフォーマンスアート・モデルは、創造性豊かな社外のフレンドがMB&Fのマシンをベースにしてアレンジを加え、新たな形で表現した作品。一方のコラボレーション作品は、腕時計ではなく別のタイプのマシンで、MB&Fのアイデアとデザインに基づいて独創的なスイスのマニュファクチュールが設計、製造を行います。レペ1839と共同で製作されたクロックなど、コラボレーション作品の多くは時間を知らせるマシンとなり、リュージュやカランダッシュとのコラボレーションでは別の種類のメカニカル・アートが創作されました。
ブッサーは、こうして誕生したあらゆるマシンにその魅力を発揮できる舞台を与えるため、従来型のブティックに陳列するのではなく、他のアーティストによる多彩なメカニカル・アートとともにアートギャラリーに展示することを思いつきました。このアイデアにより、ジュネーブに最初のMB&F M.A.D.ギャラリーが設立され(「M.A.D.」はMechanical Art Devices:メカニカル・アート・デバイスの略)、その後台北、ドバイ、香港にもM.A.D.ギャラリーがオープンしました。
MB&Fがこれまでに成し遂げた革新的な成果に対しては、いくつもの権威ある賞が与えられてきました。いくつか例を挙げると、名高い「ジュネーブ時計グランプリ」においては7つもグランプリを獲得しています。2021年、MB&Fは2つの賞を受賞。1つはLMXがベストメンズコンプリケーション賞を、もう1つはLM スプリットエスケープメント エディ・ジャケ「Around The World in Eighty Days」がアーティスティック・クラフト部門で受賞しました。2019年にはLM フライングTが「ベストレディースコンプリケーション賞」を獲得。2016年にはレガシー・マシン・パーペチュアルが「ベストカレンダー ウォッチ賞」を受賞。2012年にはレガシー・マシン No.1が「パブリック賞(時計ファンによる投票)」と「最優秀メンズウォッチ賞(プロの審査員による投票)」をダブル受賞。また2010年の同グランプリでは、HM4サンダーボルトで「最優秀コンセプト&デザインウォッチ賞」を受賞。さらに2015年には、HM6スペースパイレートが国際的な「レッドドット・デザイン賞」において最優秀賞である「レッドドット:ベスト・オブ・ザ・ベスト賞」を受賞しています。