HAUTLENCE - キャリバー2.0

HAUTLENCE（オートランス）の自社製コンプリケーション・キャリバー HL2.0を解剖します。
このキャリバーを搭載しているのが、HL2.5です。



まず、このムーブメントがどのような動きをするのか、動画でご覧ください。



さて、この複雑な動きを支配する4つのモジュールについてご説明します。


モジュール1 : 「ジャンピング」制御装置

                                                                   
毎時ムーブメントにより駆動する制御装置はテンプ、レバーのヒゲゼンマイ、レバーホイール、2番車、3番車から構成され、前の位置から正確に60º、新しい位置へ移動します。最終的に、この輪列は、手首と平行する軸を中心に回転を行います。この独創的かつ洗練された構造により、制御装置は毎時位置を移動させることが可能です。クラシックなトゥールビヨンと同じように、この回転により、テンプはすべての位置を連続的に動作させることができます。このプロセスを通じて、垂直姿勢の平均歩度を取得。これにより、計時機能が明らかに改善されました。簡単に言えば、制御装置は、バランススプリング・システムの均衡の誤差を補正し、その結果、時計を装着しない場合でも、重力の悪影響を統計的に打ち消すことができます。






モジュール2 : ジャンピングアワー・チェーン

各リンクは毎時、連続的にジャンプすることによって移動し、現在の時間が専用窓に表示されます。この優れたメカニズムは、アワーチェーンと制御装置を衝撃から守るために、4秒毎に回転する減速車により駆動されます。60分毎に、このメカニカルな輪列により、時計を身に着ける人は、一連の機械的な動作が行われる数秒の間、専用窓で時間を示す数字が切り替わるプロセスを見ることができます。

モジュール3 : スピード・レギュレーター

チェーンの回転と制御装置の同期的な回転をうまく管理するために、バレルに蓄えられたエネルギーが、工夫されたメカニズムにより制御されています。レトログラードの分針がゼロに戻った時点から、コンプリケーション専用のバレルのエネルギーがこのメカニズムに供給されます。コネクティング・ロッドがセンサーとして機能、スターホイールに介入し、コンプリケーションがカム＋スライドシステムにより、1回転を開始します。

現在ある運動エネルギーを抑制し、最適化するために、慣性摩擦による調速機が装備されており、4秒間、アセンブリの回転速度を制限します。一連の機械的なプロセスにより、チェーンがやさしく動作し、時計の正確な動作に悪影響を及ぼす衝突を起こすことなく、次の時間を表示することができます。

モジュール4 : 自動巻き機構 

このような、ビッグ・コンプリケーションでは高いエネルギーが必要とされるため、キャリバーの見直しが必要でした。その結果、テンプのエネルギーを維持するメインバレルと、コンプリケーションを駆動する第2バレルを搭載し、自動巻き構造とすることでこれを実現しました。

つまり、コンプリケーションにもう1つの専用バレルを追加し、時間測定と表示に必要なエネルギーをそれぞれ区別したということです。この専用バレルは、レトログラードの分針がゼロに戻った時点でバレルのエネルギーを解放する、コネクティング・ロッド、センサーおよびスパイラルのシステムにより、作動を開始します。バレルの速度は、（レトログラードの分針の中心にある）スピード・レギュレーターにより制御されます。

チェーンについては、毎時、コンプリケーションのバレルにより駆動されます。これは、スピード・レギュレーターを通して、チェーン上で動作し、1時間につき1ステップ進むメカニズムを使用して、やさしく移動するように設計されています。

そしてチェーンは制御装置と一部の時間測定ホイールをサポートするメインプレートを60 °移動します。この操作では、時間測定に回転の影響を与えることはありません。

キャリバー HL2.0　スペック

自動巻き、18Kホワイトゴールド製のローター。3つのパテントを取得済み
サイズ : 37.8 x 33.2 x 12.35 mm
製造技術 : マルチ・アクシスの微細加工、ワイヤー放電加工（wire EDM)、
　LIGAフォトリソグラフィ
　LIGAとは、フォトリソグラフィ（Lithographie）、電解めっき（Galvanoformung）、
　形成（Abformung)による微細加工
総部品数 : 552
パワーリザーブ : 約45時間
振動数 : 18,000 A/h
石数 : 92石

在庫もございますので、ご興味のある方はお問い合わせください。