スイス取材紀行 グルーベル フォルセイ

 By : CC Fan
スイス取材紀行もいよいよ終盤、土曜日のフライトで帰国です。
2日間ご一緒させていただいたノーブルスタイリング葛西氏は一足先に帰国、いろいろいい方向にお話がまとまったようで、上機嫌、良かったです。
現在はこちらは朝6時、ジェットラグ(時差ボケ)で早く目が覚めるので、早朝に記事をアップしてはその日の取材に向かうというサイクルです。

今回は3年越し?の念願叶って工房見学に訪れることができたグルーベル フォルセイ(Greubel Forsey)です。
立場としてはメディアとではなく、"KIHさんグルーベル フォルセイ、WMO、そして私の間の友情との証として、友人を招待した"というスタンスで呼んでいただけました、非常にありがたいことです。
彼らとしても"今回のことに恩を着せて記事にすることを強制するつもりは全くない"と明言しています、どうなるかはわかりませんが、可能な形で恩返しはしたいと思っています。
グルーベル フォルセイしてはメディア対応やマーケティングに投資するぐらいなら、研究開発・設備投資に使い、より良い製品を作ればよいというスタンス、個人的には大賛成です。


本日のアポイントは8時にチャペックCEOザビエルの家へ、あと1時間ぐらいなのでクイックに掲載し、詳細はまた別途。
正直、全部説明すると数日かかりそうです。



ラ・ショー=ド=フォン(La Chaux-de-Fonds)郊外にあるグルーベル フォルセイの工房、研究開発・外注を行っているコンプリタイム(Complitime)などと一緒の建物です。
向こう側に見える黒い建物ははジャケ・ドロー(Jaquet Droz)の工房、いつかは行きたいですね。


 
非常に特徴的な傾斜した建物。
丘を掘り下げて作られており、太陽に向けたガラス張りにより自然光を取り込むデザインです。
中から見ると建物の中とは思えない解放感、納得です。



建築模型。
左側の元々の建物は18世紀の農家、取り壊されることになっていたそうですが、"伝統を守りたい"と考えたグルーベル フォルセイが購入、社屋として使うための大改造と右側の新しい建物を建築しましました。
正直な話、取り壊して新しい建物を作るよりもお金がかかってしまったそうですが、お金よりも大切なものがあるという考えです。



世界観を現したイラストレーション。



今回アテンドしてくれたエマニュエル氏。



1714年の建築、社屋として使うための大改造にはほかの取り壊された建物から出た木材なども使い、なるべく当時の材料を使ったとのこと。
我々がミーティングを行った会議室はもともとはキッチンだったそうです。



唯一、農家の建物側にあるユニークピース部門。
文字盤違い・ケース違いというレベルではなく、ムーブメントから新規設計のタイムピースを作る部門です。
世界有数の富豪をクライアントに抱え、素晴らしいピースを作っている"らしい"ですが、その情報を表に出すことは絶対にNG、製作個数すら秘密とのこと。
ここで働いている時計師はグルーベル フォルセイが誇る精鋭の中でもさらにトップクラスとのこと。

屋根裏部屋の心地よい狭さを感じます。

地下で連結された新しい建物へ、取り急ぎ写真のみで。















開放感を生み、各部門を分けるのではなく、交流を推奨することでより良い作品づくりにつなげてほしいという考え方だそうです。

見学を終えたのちは再び応接スペースに戻ります。
そして、"公私混同"(別に全部"私"ですが)で…



デテント天文台クロノメーター(仮)、だれか詳しそうな人はいない?とエマニュエル氏に相談していました。



開発部門のデビット(David)氏がお忙しい中、駆けつけてくれました。

鑑定?結果はやはり天文台か時計学校の卒業制作時計(スクールウォッチ)ではないかという見立て。
ブリッジの形や組み方はル・ロクル(Le Locle)やラ・ショー=ド=フォンの流儀に見える、謎のナンバーを控えて時計学校に問い合わせてみるのはどうか?というアドバイスをいただきました。
ただ、歴史はわからなくても機会としての出来は最上級、このコンディションを保っているのはすごいそうです。
日常的にデスククロックとして使いたいと思うんだけどどうだろう?という質問にも、全く問題ないとのこと。

日常使いについては関口氏のお墨付きは貰っていたので大丈夫だとは思っていましたが、さらに安心しました。
デビット氏は次のアポがあるということで退席、お忙しい中ありがとうございます。

最後にいくつかの作品を拝見させていただきました。
"ワガママ"として個人的な興味を優先したチョイスで、すべて完売の作品です。


"発明"を前面に押し出したインベンションピース(Invantion Piece)の3作品!
それぞれがダブルトゥールビヨン30°、クアドラプルトゥールビヨン、トゥールビヨン24セコンドです。
まるで芸術ではありますが、それを言い訳にして精度が悪いわけではなく、高精度かつ芸術的です。



わずか6本だけ作られた、ダブルテンプ。

だいぶ時間が押しましたが、最後にランチをご一緒させていただきました。
珍しく写真を撮ったので掲載します。



魚のパテ。



チューリッヒ風のステーキとニンジン、ハッシュドポテト。



クランベリーのデザート。 

これは来客用ですが、仕出し業者により福利厚生の一環として朝食と昼食が出されるようです。
一緒に食事することによりより親密になり情報交換も進む、素晴らしい試みです。



素晴らしい、願わくは時計作りについても書きたいですね。



羊が放されていますが、残念ながらこれは"期間雇用"、ジュウ渓谷からの出稼ぎで、雪のシーズンには帰っていくそうです。

改めて、友情に感謝します、ありがとうございました!
さて、そろそろ出発です。



おまけ、落差がアレなその日のディナー。
別の日のドギーバックピザを電熱調理器で何とか焼くの図。