グルーベル・フォルセイ「ナノ・フドロワイアントEWT」 実機レポート~8月のジュネーブ ウォッチデイズにて実機をいち早く拝見!

 By : CC Fan

初期のジュネーブ ウォッチデイズレポートで情報解禁前
だったグルーベル・フォルセイの新作、ナノ・フドロワイアントEWTがいよいよ11月1日に公開されました。

実は、ジュネーブ ウォッチデイズにて、このグルーベル・フォルセイ ナノ・フドロワイアントEWTを拝見しておりましたので、最速の実機レポートもお届けします。



グルーベルフォルセイとしては最小サイズになる37.90mmケース、初のクロノグラフ、初のフライングトゥールビヨン、加工の難しいタンタルとホワイトゴールドを組み合わせたケース…と「初めて尽くし」の作品ですが、やはり一番「主役」は「第10の発明」とされ、作品名にも冠されているナノ・フドロワイアントEWTでしょう。

過去のコンプリケーションを作るのではなく、「現代に相応しい」コンプリケーションを作り出すというグルーベル・フォルセイの姿勢に共感し、今までもメカニカル・ナノプロジェクトについて掲載してきました。

メカニカル・ナノプロジェクトの中間報告アートピースのケースを応用した初期プロトタイプ写真掲載がNGだったので論文の図を引用したデモンストレータ2の記事…とその年の新作に勝るとも劣らない特集として報告しています。
最近ご無沙汰だったので、どうかな?と思っていたところ、新CEOのミシェル・ニデック氏から「ジュネーブウォッチデイズで発表するよ」という情報をキャッチ、行くしかない!という事でジュネーブに向かったわけです。



フライングトゥールビヨン以外の部分を先に見ると、機能としてはクロノグラフになります。
9時位置にあるのが60分のクロノグラフ分積算計、7時30分の位置にあるのはスモールセコンド(永久秒針)で、センターの時分針と同軸にクロノグラフ秒積算計があります。

クロノグラフとして珍しいポイントとしては、スタート・ストップボタンは通常の2時位置にありますが、フライバック機能付きのリセットボタンはリュウズと同軸の3時位置に配置されています。
一見すると奇妙ですが、操作力が必要なフライバックリセットの方を大きなボタンにする、という意味では理に適った構造にも見えます。

デザインとしてはトゥールビヨン24セコンズビジョンなどどちらかというと伝統的なデザインを踏襲したものを採用しています。

クロノグラフの操作感、針飛びなどもプロトの段階で試すものではないかもしれませんが、かなり好印象で「触っていて怖さを感じない」と言ういつものグルーベル・フォルセイに使っている表現になります。
大型のケース・ムーブメントによるものか、と思っていたのですがここまで小型化されても同じような信頼性を感じるため、設計の方法論によるものだと思い至りました。

さて、ブランド初のクロノグラフ、という事だけでもニュースではありますが、それは「前座」に過ぎず、主役はフライングトゥールビヨンの中に組み込まれた新コンプリケーション、ナノ・フドロワイアントEWTです。



トゥールビヨンの上に1-6までの目盛りが刻まれたダイヤルと赤い針が載っています、これがナノ・フドロワイアントEWTです。
デモンストレータ2と同様にガンギ車から駆動される針が1秒で1周し、6振動の逆数である1/6秒単位の表示を行います。

さて、上の画像で違和感を感じませんでしょうか?
トゥールビヨンが回転しているのに、6の目盛は12時の方を向いています、たまたまこうなる様に撮ったのでしょうか?



もちろん違います、トゥールビヨンケージが60秒で1周するのに合わせ、フドロワイアントサブダイヤルが逆方向に回転し、どの位置であっても正立しているように見える用に動作します。
同時に針もこの回転を考慮して常に正立するような変速比になっています。

実機を見ながら何度見返しても「継ぎ目」が分からず固定してあるようにしか見えないのに動いているとちゃんと回転している…という不思議な体験でした。

システムとしてはデモンストレータ2のものを応用した「噛みあってるだけ」がベースで規制バネなどが無くても針の位置決めがぴったりとするシステムのようで、規制バネなどのロスがないのに加え、ダウンサイジングによって必要なエネルギーが大幅に減少、典型的なフドロワイアントが1ステップ30μJ(マイクロジュール)消費するのに対し、ナノ・フドロワイアントは16nJ(ナノジュール)しか消費せず、1800分の1のエネルギー消費という正に「桁の違う」高効率を実現しました。
実際にはダイヤル側も回す必要があり、ダイヤル側が固定の通常のフドロワイアントよりも複雑なことをやってるにもかかわらずエネルギー効率は向上していることになります。

概念実証と凄さを表現するために「トゥールビヨンに載せて一緒に動く」という前代未聞のフドロワイアントの搭載位置を決定し、更に通常は補助香箱を搭載したりクロノグラフ動作時だけ動く(常時動かすとパワーリザーブが足りない)フドロワイヤントが常に動き続けるパーペチュアル表示にすることを選びました。
エネルギー消費量が桁違いに小さいため、常時動かしていてもメインのトゥールビヨンの計時能力にほとんど影響しないからです。

実は「秘密とさせてください」と書いたインタビュー時にCADまで拝見しており、「これマジで動くの?」というのが偽らざる感想でしたが、ちゃんと動いているのは流石のグルーベル・フォルセイのクオリティでした。



ケースバックはグルーベルフォルセイらしい独特のブリッジ分割を行ったクロノグラフ機構が可視化されています。
動力伝達は垂直クラッチらしいのですが、その部分は直接は見えないようです。
スタートストップはコラムホイールで管理され、コラムホイール自体とレバーが回す様子も堪能できます。

フライバックリセットに対応しているため、スタートストップの状態に関わらずリセットハンマーが動き、リセットすることができ、ダイナミックな動きが楽しめます。
ここにも「いろいろやってそう」なので、改めてお話は伺いたいですね…



レバーやコラムホイールはプラックポリッシュで仕上げられ、角度によっては黒く見えます。
また、センターの秒積算計を駆動する歯車にはグルーベル・フォルセイを象徴する「碑文」が直接彫りこまれています。
ケースや文字盤、ダイヤルに彫りこんでいましたが、機能部品は珍しいのではないでしょうか(香箱はありましたが…)。



2004年から2024年の20周年を記念するというレターも彫りこまれ、「15周年」の2019年のバーゼルはもう5年前なのね…と個人的な感傷も。



まだまだ「解禁前」の情報も伺えたジュネーブウォッチデイズのグルーベル・フォルセイ。
行って良かった!

<グルーベル・フォルセイについて>

2004年の創業以来、絶えず卓越性を探求し、高級時計製造のピラミッドの頂点で活動するグルーベル・フォルセイは、一線を画したクオリティで名高いタイムピースを設計・製造しています。ラ・ショー=ド=フォン(スイス)に位置するマニュファクチュールのアトリエは、傑出したノウハウ、並外れた革新力、そして卓越した希少な職人技を結集しています。グルーベル・フォルセイは《アート オブ インベンション》を自らの羅針盤として、創業以来、高級時計の世界を根本から覆す8つの重要な発明を想像して特許を取得してきました。グルーベル・フォルセイのタイムピースはすべて、発明と革新、ハンドメイドと手作業による装飾、性能と信頼性、構造とデザイン、希少性と特別性という5つの原則を満たしています。一切の妥協を許さないブランドは、わずか数年で、テクニカルで現代的な高級時計業界において代表的な地位を確立しています。今年創業20周年を迎えたグルーベル・フォルセイは完全な独立性を有しており、根本的な変革に着手して、創意に満ちたアトリエから正真正銘のウォッチブランドへと進化を遂げています。

<YOSHIDAについて>

1920年に東京・渋谷区幡ヶ谷で創業したYOSHIDA(ヨシダ)は、パテック フィリップ、オーデマ ピゲ、ウブロなど世界最高峰の時計・宝飾品を扱う正規販売店です。現在では、創業地である東京から大阪・名古屋へと店舗を展開。各ブランドとのパートナーシップから生まれたYOSHIDA限定モデルをはじめ、稀少なコレクションの数々を取り揃えております。また、食の分野においても東京にてレストラン「松阪牛 よし田」「鮨 東京 よし田」を展開し、お客様お一人おひとりへのさらなるおもてなしを追求しております。2020年に創業100周年を迎え、次なる100年に向け、YOSHIDAはこれからも進化し続けます。

<グルーベル・フォルセイ 取り扱い店舗>

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