チャペック アンタークティック テール・アデリー「プロトタイプ」レポート

 By : CC Fan

チャペック初のラグスポとして発表されたアンタークティック(Antarctique)
ムーブの解析とかやりつつ実機があれば見てみたいな…と思っていたら、まさかの情報の段階でメーカー予約完売(SUBSCRIPTION CLOSED)とのこと、おめでとうございます。



さて、この嬉しい結果に対し、今更「見本」を送るか?とは悩んだそうですが、「プロトタイプ」のワールドツアーが決定、日本スタートで1本届いたとの連絡があったので早速拝見してきました。
ただ、「プロトタイプ」と繰り返し書いているように、細部の詰めやムーブメント自体も完全ではないとのことで、最終形ではなく方向性についてレポートしたいと思います。
チャペックに関しては、今までの作品のプロトと最終形のクオリティの差を振り返ればちゃんと詰めて作ってくると信頼はしています。



いきなりリストショット、ラグスポで重要なメタルブレスレットの感触について。
チャペックの頭文字を象った特徴的なCシェイプで滑らかに動きますが、動きすぎて心許ないという事もなく、またケースからブレスレットへ繋がるラグ部分の角度が適切なので腕から浮く様な感触もありませんでした。
時計本体が薄いのも相まって、メタルブレスレットと本体のバランスが良く、全体として釣り合っています。



可動域は大きく、平置きするとちゃんと平らになるぐらい自由度があります。
Cシェイプの部分は腕に巻いた状態で、おそらくデザイン上の処理でわずかに出っ張りますが、面取りされているため引っかかるような感触はありません。
また内側の角は全てキッチリ仕上げられているので肌にあたって不快という事もありませんでした。

すでに半袖でしたが、ザビエル曰く「カフス付きのシャツでも使える」そうで、今回は試せませんでしたが、ワンタッチ交換でラバーまたはカーフにすることもできるので、より幅広いシーンで使えそうです。



本体とメタルブレスレットのマッチングによって全体としての装着感は優れていることが分かりました。

本体はちょっとレトロと言うか、あまり見かけないような平らなケースに幅の狭いベゼルとドーム型風防を組み合わせたユニークなデザインです。



ケース外形とベゼル外周は重ならず、段を設けてあります。
これにより全体の厚みに対してケース部分は更に薄くなります。



腕に着けた状態で横から見ると分かりやすいかもしれません。
ドーム風防とベゼルに対し、ケースが1段下がっており、時計の厚みとしてはケース部分で認識するため薄く感じます。



ケ・デ・ベルクから引き継いでいる「チャペックらしい」ケースサイドに溝を設ける意匠。
平らなケースよりもサイド部分のデザインを引き締めます。



リュウズ側には溝の中にリュウズガードを追加しています。
溝の形が有機的だったケ・デ・ベルクに対し、スポーティーさを求めたのか直線的です。

創業年が記されたリュウズはねじ込み式、自動巻きと組み合わせることで操作頻度を減らしています。
またこの写真でわかるようにブレスはしなやかに可動します。



バックルの開閉部にも同じX状の意匠が設けられています。



バックルは押しボタンによるロック付きの両開き、閉じたときに手首へのあたりは均一で装着感は良いです。



センターセコンドのために3番車を2つ設けたユニークな意匠のムーブメント。

自動巻きローターは稼働しましたが、巻き上げ輪列が繋がっていないため、ローターが動きすぎるので、手に付けた時に巻き上げが気になるかは判断できませんでした。
手巻きで巻いた感触も自動巻き機構が繋がっていないので現時点ではノーコメントです。



リサイクル18kゴールドによるマイクロローターは結構な迫力があります。
おそらく、輪列の途中にある1方向にだけ巻き上げトルクを伝えるワンウェイホイールがまだついていないようです。



メタルブレスレット・ケース・ムーブメントとどれも期待が持てましたが、一番見てよかったと思うのはこの文字盤かも知れません。
今回、文字盤サプライヤーのメタレムが30年前に開発した独自のラメ技術をこのプロジェクトのために復刻したそうです。
一見すると普通のブラシによるサテン仕上げの文字盤に見えますが…



光の当たり方によって反射と色の変化を楽しめます。



この文字盤はディープブルーですが、光の当たり方ではまるで黒文字盤のようにも。



斜めから光を当てると周辺のインデックスリングと文字盤本体が別の仕上げという事が分かります。

「プロトタイプ」という事で、ベルトの遊びなど気になる点がないわけではなかったのですが、ラグスポとして全体的な方向性は間違っていないと感じました。
写真を一見しただけだと「チャペックらしさ」がないのでは?と思っていたのですが、それぞれの要素として入れ込んであり、全体としてもまとまっていると感じました。

ここからのザビエルCEOの手腕に期待です!



【関連 Web Site】

CZAPEK Geneve
https://czapek.com/

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