ファーブル・ルーバ 「レイダー ハープーン」の 特徴的なワンハンド表示をより詳細にグラフで理解する(数式控えめ)~ブランドのダイバーズウォッチ・ヒストリー付!

 By : CC Fan


以前にインプレッションを掲載したファーブル・ルーバ(FAVRE-LEUBA)の特徴的なワンハンド・ウォッチ レイダー・ハープーン(RAIDER HARPOON)。
通常の時針と分針による時刻表示ではなく、特徴的な分針に相当するワンハンドと時針に相当するディスク状のインデックスによるユニークな時刻表示を実現しています。



インプレッションの時は文章で説明しましたが、何か分かりやすい表現がないか…考えて、グラフにすればいいのでは?と思いつきました。
前回は三角関数を含む数式も載せましたが、今回はより単純なのでグラフだけ、数式も控えめで説明できればと思います。

原理としては運動そのものではなく、2つの運動の「差」に情報を持たせる差動装置というもので、メカニカルコンピューターにも使われている原理です。
メカニカルコンピュータ―でも見たように、近い周期の回転を重ねることでより長い周期を作り出すというものになります。

まず、比較のために通常の時計をグラフ化したものを見てみます。



青色が時針、オレンジ色が分針の角度(Degree)です。
ノコギリ状になっているのは角度が360度で1周し、361度分は1度と同じ位置になるため、積算の角度を360度で割った余りをグラフにしているからです。
見ての通り、時針は12時間で1周(360度)回転し、分針は1時間で1周(360度)、12時間で12周します。



3時間分を拡大してみましょう。
当然分針は3周し、時針は1/4週に相当する90度分動きます。

では、レイダー・ハープーンの針とディスクの角度を同じ方法でグラフ化してみましょう。



まず、灰色は通常の時計の分針と同じ動きをするワンハンドの角度で、これは先程の分針と変わりません。
そして、それに重なるように微妙にずれた水色のグラフが、1時間に11/12周し、12時間で11周するディスクの角度です。

この二つだけ見ても分以上の情報を持っているようには見えませんが、ディスクを基準にした分針の角度を求めると先程の時針のように12時間で360度(1周)の速度で変化していることが分かります。
これはディスクを基準として固定したとすると、針先がディスクに対して12時間で一周しているよう見えるということです。
このように、二つの回転の「差」を使うのが差動装置です。



同じく3時間分を拡大してみましょう。
分針の周期は60分(1時間)、ディスクの周期は約65分(60×12/11)で、それぞれを見ているとそれ以上の情報があるようには見えませんが、その「差」を読むことで時間情報が読み取れることが分かります。

如何でしょうか、この原理を覚えたうえで動画を見てみましょう。



分針とそれよりわずかに遅い速度で動くディスクが時間が経つにつれ「差」が広がり、分針の先端が指している時刻インデックス(「差」そのもの)が増加していく様子が分かるかと思います。
動きとしては分針とそれに近い速度のディスクしかないにもかかわらず、「差」使う事で12倍の周期の時も表示できました。

機構としてもシンプルで、信頼性に優れる汎用ベースムーブメントの筒カナにワンハンドを取り付け、そこから変速して外周のディスクを回す仕組みです。



風防・ベゼル・ディスクの仕組み、ディスクのガタを防ぐために平ばねでテンションをかけています。
ディスクには内歯車が切られており、表示モジュールの歯車から駆動されます。



筒カナに取り付けた歯車から1つ歯車を経由し、ディスクの内歯車を回します。
時合わせはベースムーブメントの機能でできるためとモジュールは表示のみを行えばいいことになります。

ダイバーズウォッチとして一番重要な「分」の表示を重視し、針が重なることを無くしたというハープーンの表示システム、こうやって見ると理に適っています。



大きなディスクを蓄光にすることで、ダイバーズ・ウォッチには不可欠の暗所視認性もバッチリ!

【レイダー・ハープーン】
ケース径:46.0mm
ケース素材:SS
防水性50気圧 / 500m
自動巻き
価格:税抜385,000円~


以上を踏まえて、ここから改めてファーブル・ルーバのプレスリリース資料から、同社のダイバーズウォッチ・ヒストリーを簡単におさらいしておきましょう!!



ファーブル・ルーバ、ダイバーズウォッチの歴史


ファーブル・ルーバは、近年ではクリストフ・ルメール騎手や東京ヤクルトスワローズの小川泰弘投手といったブランドアンバサダーや、『仮面ライダーシリーズ』、『スーパー戦隊シリーズ』へのレギュラーキャラクターの着用が話題ですが、世界で初めて水深計を搭載した腕時計「バシィ」(1968年)を発表するなどダイビングとの関わりも深いブランドです。
今回は現行モデルと、ダイバーズウォッチの歴史についてご紹介させていただきます。



■現行の代表的なダイバーズ



レイダー・ハープーン
(税抜385,000円~)
針は分針のみ。秒は中央の秒ディスクが回転。
時針はアワーリング表示。分針の先の数字を読み取る。写真は10と11の間で10時。
潜水時間「分」に特化した機構は深海でも視界良好。
Cal.FL301搭載(自動巻き) ケース径42㎜/300m防水、ケース径46㎜/500m防水




レイダー・ディープブルー(税抜260,000円~)
伝統あるレトロフューチャーデザインをまとうだけでなく、機械式腕時計の中でも長く使える工夫がなされている。
例えば、ベゼルは、経年による傷や退色も美しいアルミニウム製。


ブレスレットのコマも一つずつネジ留めされていて頑丈。
また、ムーブメントは長年作られている実績あるスイス製ムーブメントを採用。
41mmはETA2824-2、44mmはSW200がベース。共に修理できる職人も多く、スペアパーツも豊富。




■ファーブル・ルーバのダイバーズウォッチの歴史
ファーブル・ルーバとしてダイバーズウォッチの原点は1960年発売の「ウォーターディープ」です。
1963年には後継機の「ディープブルー」が登場、現代まで続くシリーズとなりました。その後、世界初の水深計搭載の腕時計「バシィ」や、防水クロノグラフ「シースカイ」が登場しました。現代でも実用性の進化と、それを証明する取り組みは続いています。

1968年 世界で初めて、腕時計に水深計を搭載(バシィ)を発表。水深50mまで計測可能であった。


1969年 当時としては珍しい、ねじ込みリューズとスクリューケースバックを有する防水クロノグラフ「シースカイ」。Valjoux72を搭載。



2018年 レイダー・ディープブルー着用の木下紗佑里選手がフリーダイビング女子世界記録樹立。



2019年 レイダー・バシィ120メモデプスが水深101mを表示(フリーダイバー廣瀬花子選手) 。 レイダー・バシィ120メモデプスは2018年に、世界で初めて水深120mまで計測できる機械式腕時計として登場。



ファーブル・ルーバの機械式ダイバーズウォッチは、電池を使っていないことや、世代を越えて使えることから、私達としてはSDGs(持続可能な開発目標)の観点からも機械式時計業界全体に、今後もっと注目が集まることを願っています!




【お問合せ】
ファーブル・ルーバ日本総代理店 スイスプライムブランズ株式会社
〒104-0061 東京都中央区銀座1-16-7 銀座大栄ビル5階
TEL 03-4360-8669

ファーブル・ルーバ公式サイト
http://favre-leuba.com/jp/


ファーブル・ルーバ日本版サイト
https://www.gressive.jp/satellite_site/favre-leuba/