SNGLRTY (シンギュラリティ)、特許取得済みのシングルハンドウォッチ 一本針+差動装置! 実機レポート

 By : CC Fan

CVDK実機を拝見した時
、「隠し玉」として紹介されたSNGLRTY(シンギュラリティ)という新しいブランド、個人的な好みにドハマりだったので詳細をレポートします。



ノーブルスタイリング葛西氏が「知り合い」の紹介で取り扱うことになったそうですが、個人的な興味に合致する「一本針」かつ「差動装置」を活かした特許取得済みという表示システムを理解するとなるほど!と唸りました。

ブランド名のシンギュラリティ(本来の綴りはSingularity)とは数学・物理学における「特異点」の意味で、発明家・思想家のレイ・カーツワイルが提唱したコンピューターの進化が人間の知能を超えるテクノロジカル・シンギュラリティ(技術的特異点)または単にシンギュラリティとしても有名な言葉です。
個人的にはこの名前で、まずは興味を惹かれました。

上記の写真で、時間は針で分はディスクで表示する時計、という事は伝わったかもしれませんが、分ディスクの部分の動きに工夫があります。
動画で見るのが分かりやすいと思うので、まずは動画をどうぞ。



リュウズで時間を進めると針(時間)は時計回りに回転し、ディスク(分)は逆時計回りに回転します。
逆時計回りの理由は、針を固定しインデックス(ディスク)側を回すなら逆回転させた方が針とインデックスの相対的な移動方向は針が動く場合と同じでより自然であるから、と考えられます。

普通の感覚であれば、時間は1時間で1/12回転に対し、分は1時間で1回転する…としそうですが、この時計では分のディスクは1時間で11/12回転しか回りません。
しかし、時間の針が1時間で1/12分回転するため、時間の針を基準に分のディスクを見るとディスクは1時間で1(1/12+11/12)回転しているように見え、時間の針の開口部から見える分の数字は1時間で0-60までの分を均等に表示します。

つまり、これはメカニカルコンピューターなどと同じ「差動装置」で、分は固定位置で読むのではなく、動き続ける時間の針とディスクの「差」に相当する重なる部分で読み取るようにした方法です。
この方式のメリットとしてはまず針が一本であるためスッキリとした外観にすることができること、常に時間の直下に分があるため読みやすいという事でしょうか。
シングルハンドは針が一本しかない美しさと引き換えにどうしても読み取り精度が劣る、という課題に対し、美しさを保ったまま読み取り性を向上させるアプローチとしてかなり有効な方法だと思いました。

ちなみに、「差動装置でディスクと針を併用して表示する」という意味では、以前にインプレッションと機構解説をレポートしたファーブル・ルーバ レイダー ハープーンもベースとなる考え方は同じです。
ただし、レイダー ハープーンは主役は「分の視認性」であり、分を表示する針とその上部に時間を表示するディスク、とシンギュラリティとはまた別の方向を目指した表現、と理解しました。
さらに、「困惑させること」が主目的ではありますが、ヴティライネン先生のISOも比較すると面白いかもしれません。



今回拝見できたのは日付付きのモデル。
真ん中のコンパス上の意匠はセンターセコンドを使ったスモールセコンド相当の表示です(変な表現ですが)。



針が1本しかない、と言う特性を活かし文字盤と時針の間隔は詰められています。



ケースは装着感の良い窄まった形状、造形もユニークです。
リュウズにはSを意匠化したブランドマークが記されています。



この表示では10時35分になります。
分をより読みやすくするために針の開口部に矢印状の意匠が設けられています。



ムーブメントは潔い汎用+表示モジュール方式で、ベースのセリタSW200またはSW300にエクスクルーシブ設計・製造の表示モジュールを組み合わせています。
私の感覚としては、「下手な自社ムーブメント」よりも好ましい、と感じます。



個人的な好みにドハマり、という事で真剣に検討したいところ…
決め手は、技術的な面白さと、デザインは全体としての佇まい、でしょうか。
モジュールを作っているサプライヤーの実力も気になるので試してみたい!



一本針仲間、という事で我がグランウールとも…



同じ時間に合わせてみても、だいぶ印象が違います。

英語ですが公式の動画でも説明されていますので良かったらどうぞ。



特許も調べるか…


関連Web Site

SNGLRTY WATCH: Patented Single-Hand Watch
https://www.snglrtywatch.com/

Noble Styling
http://noblestyling.com/