【連載】WATCH MEDIA ONLINE スイス時計製造現場視察ツアー レポート"番外編Ⅱ”~チャペック 「PLACE VENDÔME COMPLICITÉ (プラス・ヴァンドーム コンプリシテ)」実機をベルナルド・レデラーの工房で拝見

 By : CC Fan

チャペックから久しぶりに発表されたプラスヴァンドームコレクションの新作、コンプリシテ(COMPLICITÉ)


「子供が同じ学校に通っていた」という奇妙な縁から、ベルナルド・レデラーとのコラボレーションが実現、「構想は存在したものの、実現できるサプライヤーがなかった」というダブルエスケープメントウォッチが製作されました。



今回、WATCH MEDIA ONLINEの時計工房を巡るツアーの「番外編」にてベルナルド・レデラーの工房とサプライヤーのMHM社を訪れました

工房だけではなく、コンプリシテも拝見してレポートしてくれよな!と言うチャペックCEOのザビエルからのアレンジでコンプリシテが用意されていたのでレポートします。
今回は「作った本人」が目の前に居て色々話を聞くこともできる、と言う素晴らしい状況でした。



「主役」たる差動歯車機構を12時位置に配置し、サファイアブリッジによって機構を余すところなく堪能することができます。



拡大してみると、構造が分かりやすいです。
差動歯車機構は3番車の位置にあり、入力された回転を分配、二つの4番車に伝えて対象に配置されたガンギ・アンクル・テンワをそれぞれ駆動します。

このテンワのレイアウトはもちろんチャペックがモチーフとして持ちている初代チャペックの懐中時計No3430の特徴的なスモールセコンドを象っています。
構造的に上手いな、と感じたのは差動歯車機構の二つの出力を4番車に接続するのと同時に香箱からの入力を使ってセンターセコンドも動かすようにしたことです。



ケースバック側から見ると、スモールセコンドを動かしている様子が分かります。
差動歯車の入力(二つの輪列の回転平均)に接続された歯車がセンターのピニオンを駆動し、センターセコンドを回転させています。
ピニオンと同軸、香箱と差動歯車の間に2番車があり、そちらからは時分針を動かしています。

回転を伝達するためだけの伝え車を省き、差動歯車で回転の分割とセンターセコンドの駆動を両立する一石二鳥の仕組みでしょう。

「ベルナルド・レデラーのムーブメント」と言うことが分かるよう、巻き上げメカニズムのラチェットにセントラル インパルス クロノメーターとの連続性を感じる構造をあしらっています。



セントラル インパルス クロノメーターのラチェット。
古典的なソヌリなどの両巻きで使われる丸穴車の中心にコハゼに相当するラチェットが配置させれています。



チャペックのデザインコードとして、サイドに設けられた溝とシャープなケース。
レデラー名義のセントラル インパルス クロノメーターとは違う印象で、ベルナルド・レデラー曰く「これはあくまでチャペックのデザイン」とのこと。

トゥールビヨンのプラス ヴァンドームは結構厚めでしたが、こちらはボックスガラスを使い、ケース自体の厚みを8.8mmに抑えており、コンプリケーションとしてもコンパクトに感じます。
風防を含めると13.3mmですが、重心が低いおかげか、あまり大きいとは感じませんでした。



リストショットも。
今更ですが、セントラル インパルス クロノメーターと並べて撮ればよかったかも…



素晴らしい!

差動歯車機構とセンターセコンドを上手く融合させたのは中々珍しいと思います。


【関連 Web Site】
CZAPEK Geneve:
https://czapek.com/

Noble Styling:
http://noblestyling.com/