ジュネーブウォッチデイズ速報、レデラー 3つの機関による公的クロノメーター試験を通過させる「トリプルサーティファイ オブザバトリークロノメーター」の実機とショートトーク

 By : CC Fan

現在開催中のジュネーブウォッチデイズより、「速報で伝えたい」と思った作品を夜なべ(スイス時間基準)でお伝えする企画の第2弾。

直前にニュースが配信され、これは見なくては!と強く感じたレデラーによる独立した3つの機関によるクロノメーター検定に合格して精度を保証した「トリプルサーティファイ オブザバトリークロノメーター」
正式な取材は31日に予約していましたが、本日30日の空き時間に実機を拝見し、あわせて少し話を伺うことができた。

より詳細は追って報告することとし、まずは速報的にお伝えします。



精度の良い読み取りを実現し、針自重によるムーブメントを負荷を最小に抑えるための細い針とクラシカルなクロノメーターを想起させるシルバー文字盤を持つデザインです。
特に分針は10秒ごとに打たれた分割インデックスを針先端の開口部から読み取る方式、ルモントワールにより10秒に一回しか動かない、という性質が重なることで10秒単位をデジタル的に読み取ることができます。
CICで特徴的った重なり合う2つの逆回転するスモールセコンドは負荷を最小にする1つに変更され、読み取りやすい極細の秒針と組み合わされています。
写真では見づらいですが、3つのクロノメーター認証機関がある位置が緯度・経度にて記されています。



事前リリースではあまり触れられていなかったムーブメントについては基本的にCIC44mmと同じもの。

まず気になったこととして、「トリプル サーティファイ」のために特別調整された(オリジナルのCIC44mmとは別物になった)ムーブメントなのか?ということ。
これに関しての回答は「No」、基本的にノーマルのCIC44mmと同様の基準で調整されたムーブメントを検定に通した「だけ」、逆にいえばノーマルのCIC自体の特性の良さを感じることができます。

また、3つの検査を受けるにあたり、「検査と検査の間では追加の調整を行うことはない」とのこと。
一度調整したら一気通貫で3つの検査機関を通し、それぞれの基準で「クロノメーター規格内」に収まっていることを確認します。
これも考えてみれば当たり前で、せっかく検定を通ったのにそのあとに開けて弄ってしまえば、本当に元通りなの?という疑問が発生してしまいます。
より単純に、3つの検定ではなく、1つの検定でも検定が終了した後には弄らないよね?と言われれば確かにその通りです。



ケース造形、有機的なサファイアクリスタルのケースバックもCIC44mmと同じですが、素材はステンレススティール904Lに変更されています。
これはステンレススティールでより日常的に使いやすくするためと、ケースに格納した状態で検定を行うブザンソン天文台などの検定で傷がつきにくくするためだそう。
そのためステンレスでも特に強度に優れた904Lを使ったそうです。

44mmも39mmも「同じ性能」になることを目指して設計されているそうで、「トリプル サーティファイ」の存在によってCIC自体の優位性を客観的に証明しよう、という気概を感じます。



もう一つはムーブメントをアップサイドダウン構造にしてムーブメント構造を常に楽しむことができるInVertoのちょっとしたネタ。
時分針を読み取るための5分ごとの控えめなインデックスは風防に直接印刷され、LEDERERのレターも風防に記されています。
「回転を取り出す側」を変更することでムーブメントの部品数をほとんど変えずにアップサイドダウン構造に変更することができる、というのもメリットです。



裏面にディスク表示の秒針が付いているのは「逆にしたから」ぐらいの理由だと思っていましたが、本来の目的は「COSCを通すため」とのこと。
COSCに必要な精度確認のためには秒単位で読み取れる秒針が必要ですが、レギュレーション的に「同じ面にある必要はない」と判断、後ろの面に回すことで腕につけているときは秒針が見えずに時分とテンワの動きに集中することができる構造が実現しました。



タイミング良くベルナルドとエワの両者に話を伺うことができました。
どちらかというと雑談と興味本位の話が多く、「事前質問」はまだまだたくさん、本日改めてお話を伺います…