レデラー 「マスターズオブエスケープメント」シリーズの2章と3章を予告、2章はCharles Fasoldtの同軸脱進機をフィーチャー
By : CC Fan2024年のGPHGセレモニーに参加したのはレデラーをはじめとした「義理と人情」で、そのあとレデラーの工房も再訪しました。
セントラルインパルスクロノメーターの話題ばかりですが、最初期には「エスケープメントの巨匠へのトリビュート」コレクションの最初の作品で、ベルナルド・レデラーが長年研究してきた脱進機の研究の成果を今後も発表していくようです、と書いていました。
そのため再会するたびに「次はどう?」とは聞いていました。
今回初めて2章と3章の概要が明らかになったのでレポートします。

MHM社にて小柳時計店の小柳さん提供のトリプルサーティファイドオブザベトリークロノメーターが掲載された雑誌クロノスを受け取るベルナルド・レデラー。
脱進機シリーズの次の話題になり…

脱進機の解説本が!
「ダニエルズほど高名ではない歴史の中に忘れられた存在に光を当てる」「CICとは基本構造から全く異なるものになる」…と言った概要と、CIC同様にクロノメトリー性能については妥協しない、という事も語られます。
そして帰国後、プレスセンターにしれっと2章と3章の情報が掲載されていることを発見します。

チャプター2の概要。

2章はCharles Fasoldtの同軸脱進機へトリビュートを捧げるもの、3章は発明の伝統をさらに推進したものとされています。
3章はまだ全体が見えてこないので、2章を見ていきましょう。
ドイツ出身のアメリカの時計師Charles Fasoldtが提唱した同軸脱進機のアイディアを現代によみがえらせることを目指しています。
複数のガンギ車を使って停止と衝撃を分ける、というアイディアはダニエルズがまとめ上げて検証し、オメガが工業化したコーアクシャル脱進機が唯一のもの、とされているかもしれませんが、似たようなアイディアはいくつか存在し、そもそもコーアクシャル(Co-Axial:同軸)というのは一般的にガンギが同軸に重なっている構造を示したにすぎません。
(似たようなグランドセイコー9SA5について「推測」した記事もどうぞ)
ダニエルズのコーアクシャルは片方向の衝撃を直接ガンギが叩くダイレクトインパルス方式にすることで効率の改善を目指していますが、Fasoldtの同軸脱進機は爪石の衝撃面をガンギが「こじる」代わりに追加のガンギと爪石が90°で当たって「押す」ことでロスを減らし効率よくエネルギーを伝達するようです。
衝撃を与える「押す」動作はガンギとテンワの回転方向が一致している時のみ行われるため、2つある止め石の位置を調整し、逆方向の空回りの時のガンギの回転量を最少にして捨てるエネルギーを最小に抑えています。
これは先に挙げたセイコーやCICも行っているテクニックです。
アンクルによって二つの止め石の内の片方は必ずガンギの軌道内にあるため、デテントのような「すっぽ抜け」は発生せず、安全性はスイスレバーと同等と考えられます。
脱進機の他にもFasoldtは様々な試みを行っており、そのスピリッツを引き継いだ作品子期待が膨らみます!

45年の時計製作、40年の独立時計師アカデミーメンバー、20年のムーブメントサプライヤーとして活躍、4年にレデラーブランド、そして2回のGPHG受賞…
これからも個人的に追っていきます!

ヌーシャテル天文台の話も後ほど…
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