ヴァシュロン・コンスタンタンが創業270周年を記念し、メゾンが継承する伝統と遺産に敬意を表した天文時計「 ラ・ケットゥ・デュ・タン」を発表

 From : VACHERON CONSTANTIN (ヴァシュロン・コンスタンタン )


ラ・ケットゥ・デュ・タン(時の探求)、メカニック・ダール(機械美の芸術)~時計製造を超えた傑作


ヴァシュロン・コンスタンタンは創業270周年を記念し、メゾンが受け継ぐ伝統と遺産に敬意を表して「 ラ・ケットゥ・デュ・タン」を発表します。この天文時計は、計時装置に高級時計製造の伝統、芸術的な職人技、オートマトンの機構美を融合し、人類の創意工夫と情熱、創造性を前例のない形で表現した傑作です。

La Quête du Temps
開発期間 7年
機械部品 6,293個(時計の部品2,370個を含む)
外装部品 1,020個
時計製造に関する特許出願 7件
23の複雑機能
オートマトンのジェスチャー 144種通り
オートマトンのカム 158個
オートマトンに関する特許出願 8件
「メティエ・ダール ‒ 時の探求へ敬意を表して ‒」[※註]のインスピレーションとなった傑作


[※註]「メティエ・ダール ‒ 時の探求へ敬意を表して ‒ 」:本作「ラ・ケットゥ・デュ・タン」から着想を得た、ダブルフェイスの新作タイムピース。4件の特許出願と新たに開発された手巻きムーブメント、キャリバー3670を搭載。天文学的複雑機構、ダブルレトログラード表示、2種類の表示モードを導入し、技術力と審美性の限界に挑戦した作品。
(参照:https://watch-media-online.com/news/10426/


ヴァシュロン・コンスタンタンCEOのローラン・ペルヴェスは次のように述べています。
「常に最善を尽くし、驚きを生み出すことは可能でしょうか?それは間違いなく可能です。ヴァシュロン・コンスタンタンでは、誇りと情熱を胸に、プロジェクトに取り組んでいます。その原動力となるのは、創造の自由と情熱です。そして、それを突き動かすのは、卓越性と革新への飽くなき探求心です。このたび、7年の歳月をかけて実現したかつてない協働プロジェクトにより、驚嘆すべき作品が誕生しました。この、他に類を見ない『メカニック・ダール(機械美の芸術)』の作品は、人類と宇宙を結びつけ、文化と芸術を力強く体現しています。そしてまた、ヴァシュロン・コンスタンタンでは常にそうであるように、この作品もまた他に類を見ない「メティエ・ダール」のリストウォッチを生み出すきっかけとなりました。」



時計製造を超えた探求
人間らしい天文学者の姿をしたオートマトンは、動作によって時を示すだけでなく、見る人を宇宙の美と神秘、そして計時という人類の能力の根源にある天文現象について思いを巡らすよういざないます。
太古の昔から人類は空に魅了され、月、太陽、星々と、その天球上での動きを見つめてきました。日の出と日の入り、月の満ち欠け、季節のリズムは人々の生活を律するようになり、やがて「時間」という概念を形成します。そして、時計学はこれらの周期を時計において再現することを可能にしました。創意工夫に満ちた機械技術によっ
て、時計は時を刻み始めたのです。宇宙へのまなざしと天文現象への深い好奇心は、1755年の創業以来、ヴァシュロン・コンスタンタンの時計製造において中核をなしています。天文学者をモチーフとしたオートマトンはメゾンの精神のメタファーであり、その優美な動きは時の流れを比喩的に表現しています。



「ラ・ケットゥ・デュ・タン」は形状と内容の両面において、実用的な目的を超え、人々を魅了し、畏敬の念を喚起することを意図した創作物「メルヴェイユ」(驚嘆)や「フォリー」(幻想建築)の歴史にまで遡ります。18世紀には、「自然哲学」として科学への関心が急速に高まり、驚異的な新技術を披露することが、大衆娯楽の一種にもなりました。



メルヴェイユと呼ばれた作品は、そうした装置の中でも最も複雑で、技術と科学の進歩を示すだけでなく、芸術性と美を極めた表現を備えていました。これらの作品に対する収集熱は、ヴァシュロン・コンスタンタンが誕生した啓蒙時代のヨーロッパで最高潮に達します。


協働的アプローチ
「ラ・ケットゥ・デュ・タン」の創作は、様々な分野を極めた職人や専門家たちを結びつけ、それぞれの専門領域で築き上げてきた限界を超えるという使命へと導きました。
ヴァシュロン・コンスタンタンは、新たな発想と協働の精神に対し、常に開かれた姿勢を持ち続けています。これは、かつての時計製造において通例であったエタブリサージュの伝統にも通じています。
当時、専門技術を持つ職人たちは1つのプロジェクトの下に集まり、それぞれの技術を発揮していたのです。18世紀から19世紀、ジュネーブの専門工房群は、総称してラ・ファブリックと呼ばれました。
「ラ・ケットゥ・デュ・タン」では、メゾン内の複数のチームがノウハウを持ち寄り、技術的・美的側面から時計をデザインし、複雑機構を開発しました。時計の機構と外装の製造はL’Épée 1839と協力し、オートマトンの設計は世界最高のオートマティエ(オートマタ製作者)として知られるフランソワ・ジュノーが手掛けました。



ジュネーブ天文台の天文学者が天体の軌跡を監修し、卓越した職人たちがそれぞれの技を注ぎ込み、この傑作の芸術的な装飾を完成させました。


「メティエ・ダール」リストウォッチの着想源
ヴァシュロン・コンスタンタンは創業270周年を記念し、「ラ・ケットゥ・デュ・タン」から着想を得た「メティエ・ダール ‒ 時の探求へ敬意を表して ‒ 」を発表しました。1755年の創業以来、メゾンを特徴づけてきた人類の果てしなき冒険の象徴として、その精神を体現する新作「メティエ・ダール ‒ 時の探求へ敬意を表して ‒ 」は、3年の歳月をかけて開発されました。
このダブルフェイスのタイムピースは20本限定で製作され、新たに開発された手巻きムーブメント、キャリバー3670を搭載しています。512個の部品で構成され、4件の特許出願の対象であるこのムーブメントは、まさに小型化技術における快挙でもあります。



人物像をモチーフとし、両腕がダブルレトログラード表示によって時刻を指し示します。この人物像のモチーフは、1755年のメゾン創業日にジュネーブから見上げた天空図を背景に、ダブルレトログラード・パワーリザーブ表示と、月齢を示す立体の高精度ムーンフェイズが組み合わされています。背面のダイヤルは、天空図上で星座の動きをリアルタイムで追跡し、恒星時を表示します。
メゾンは、希少な手仕事による工芸の保護と発展に尽力すると同時に、現代的な装飾技法の探求にも取り組み、伝統と革新の調和を実現しました。


「時」に命を吹き込む芸術
オートマトンに関する最古の記録は、古代の中国やペルシャの帝国にまで遡ります。その当時からオートマトンは、独立した装置、あるいは時計に魅力的な動きを添えるだけの機構のどちらかでした。ヴァシュロン・コンスタンタンはオートマトンと時計製造の概念を再定義し、この2つの異なる世界を融合させたいと考えました。オートマトンに時・分表示の役割を与え、真の複雑機構へ昇華させることを目指したのです。時と分は、機械式の「記憶装置」によって時計からオートマトンへと伝達されます。オートマトンの動作を引き立てる機械式音楽装置は、この作品のために創作された3つの楽曲を奏でることができます。




メゾンの伝統と遺産に敬意を表して
ヴァシュロン・コンスタンタン独自のスタイルを表現するため、メゾンは伝統と遺産を振り返り、歴史的作品から着想を得ました。2005年に創業250周年を記念してフランソワ・ジュノーと共同制作したミステリークロック「レスプリ・デ・キャビノティエ」、1933年に作られたアールデコ様式の置時計から着想を得た「アルカ・クロック」(2015年)、腕時計の「メティエ・ダール・コペルニク・スフェール・セレスト」(2017年)に加えて、17世紀から19世紀にかけてヨーロッパの宮廷から依頼を受けて製作された極めて精巧な置時計も貴重な資料となりました。


Métiers d’Art Copernicus Celestial Spheres series of watches  (2017)

また、ヴァシュロン・コンスタンタンの長い歴史において伝統を誇るレトログラード表示がさらなる着想を与えました。ムーンフェイズ表示にレトログラードを採用し、さらに日付表示、前面および背面のダイヤルに配したパワーリザーブ表示、ダイヤルおよびドーム下の時・分表示もレトログラード機能を搭載しています。オートマトンの時刻を示す動作は、1920年代の末にメゾンが製作した懐中時計「ブラ・アン・レール」を再解釈しています。

Bras en l’air pocket watch 1930

また、天文学的複雑機構と天体表示におけるメゾンの専門技術が、パーペチュアルカレンダー、日の出・日の入り時刻表示を備えるとともに、回転式の天空図により恒星時を追跡するムーブメントの設計に発揮されています。さらに、トゥールビヨンが計時の精度を向上します。重力による調速装置への影響を補正するこの機構は、常に垂直の状態を保つ置時計において、よりいっそう価値あるものとなります。


三部構成の構造美
高さ1メートルを超え、圧倒的な存在感を誇る「ラ・ケットゥ・デュ・タン」は、ドーム、天文時計、台座の3つの統合された要素から構成されています。



1. ドーム
上部には、天空図とゴールドの太陽をあしらったガラスドームを配し、その内側には宇宙の中心に佇んでいるかのようにオートマトンの天文学者を配置しています。その前方の平らな半円形の面にはレトログラードの立体的な月を設置し、オートマトンの足元には昼と夜を描いています。オートマトンの左右には、宙に浮かんでいるかのようにカーブした時・分の目盛りを配し、ローマ数字で時、アラビア数字で5分刻みの分を、連続順ではなくランダムに記しています。
ガラスドームには、北半球の天空図と、黄道面(地球から見た天空を横切る太陽の見かけの通り道)に位置する獅子座、牡牛座、双子座、乙女座、天秤座を描いています。ここには、オリオン座とおおぐま座、こぐま座も加わっています。子どもたちが最初に覚えるこれらの星座が、子ども時代の夢を詩情豊かに呼び覚まします。



これらの星座は、ヴァシュロン・コンスタンタンが創業した1755年9月17日のジュネーブの天空図を再現しています。ジャン=マルク・ヴァシュロンが最初の見習いと雇用契約を交わしたのは、午前10時。その時間の星座と星の位置を正確に知るため、メゾンはスイス、ヴェルソワにあるジュネーブ天文台の天文学者の協力を得ました。ジュネーブ天文台はヨーロッパにおける最も重要な天文観測所のひとつであり、特に太陽系外惑星の発見や恒星進化のモデリングで知られています。



天文学者らの調査により、1755年9月17日のその時刻には金星、火星、木星、土星がジュネーブの空に現れ、興味深いことに地球から見て木星が太陽と同じ方向にくる合が起きていたことが明ら
かになりました。


2. 天文時計
「ラ・ケットゥ・デュ・タン」の中央部には、象徴的な複雑機構と2つのダイヤルを備えた天文時計を配置しています。
ダイヤル(前面)
前面のダイヤルは、ミラー仕上げを施した4層のロッククリスタルで構成しています。いくつもの弧、曲線、円形内の円を組み合わせた左右対称の配置は、直感的な読み取りを可能にします。ダイヤルの上半分を占める12時位置のトゥールビヨンは極めて大きな直径を備え、ムーブメントであるその心臓部の奥深くを覗き込めるよう拡大鏡を装着しています。
トゥールビヨンのキャリッジは、ヴァシュロン・コンスタンタンを象徴するマルタ十字の形をしています。開口部を囲むようにセットしたバゲットカット ダイヤモンドが、内部で繰り広げられる機械仕掛けのバレエを際立たせます。レトログラードの15日間パワーリザーブ表示は、ダイヤルの外縁に配置した2つのカーブセクションに分割。ラピスラズリとムーンストーンのセッティングがブルーからホワイトへのグラデーションを描きます。トゥールビヨン右側の小窓は、パーペチュアルカレンダーの閏年を表示します。10時位置と2時位置の小窓は、それぞれ日付表示と月表示です。



トゥールビヨンの位置とのバランスを考慮し、ダイヤルの下半分にはバゲットカット ダイヤモンドのベゼルが際立つ円形の24時間表示を配しています。手彫りのハイレリーフ(浮き彫り)で表現した太陽と月のモチーフを、手作業によるギヨシェ彫りでサンレイ模様を施したディスクの上にセットしています。モチーフを囲むリングには、24時間の目盛りを記し、昼から夜への移行をブルーからホワイトへのグラデーションを描くラッカーで表現しています。サファイアクリスタルディスクの裏面に時表示の数字が転写されており、円形の小窓が現在の時間を示します。
24時間表示を挟むカーブした目盛りは、斜角を付けたロッククリスタルにアプライド・アワーマーカーを備え、レトログラード針によって日の出と日の入りの時刻を示します。サブダイヤルの下で半円を描くレトログラード日付表示は、ゴールドの数字を備えたロッククリスタルの象嵌を使用しています。小さな太陽の形をしたポインターは、ゴールドを彫刻し、手彫りを施しています。半円状の目盛りに沿って動き、その月が終わると瞬時にジャンプして次の月の1日へと戻ります。
ダイヤルの外縁には、ロッククリスタルの象嵌を施した幅広の半円2つを配しています。一方はローマ数字によるレトログラード時表示、もう一方はアラビア数字によるレトログラード分表示を担い、これらはドームの下に収めた目盛りと呼応しています。

ダイヤル(背面)
背面のダイヤルは、北半球の天空図上で星座の動きをリアルタイムで追跡するほか、恒星時を計測します。地球が太陽に対して1回転するよりも、星に対して1回転する時間が短いことから、恒星日は常用時を定義する24時間の暦日よりも約4分短くなります。恒星を基準点とすると、地球が360度の自転を完了するのにかかる時間(恒星日)は、正確には23時間56分4秒です。



ダイヤルの上部には、ブルーの針によって示されるもうひとつのレトログラード・パワーリザーブ表示を配してい
ます。ダイヤルの周囲には、数字で示される月のリング、季節と分点・至点を記した第2リング、最も外側に12星
座のリングを同心円状に配置しています。

3. 台座
時計の下に配した2層の台座は、ラピスラズリの背景に太陽系を描いています。装飾に用いるハードストーンのカボションで惑星を表し、その名称をマザーオブパールの象嵌で示しています。その下にある八角形のベースには、オートマトンの動きを駆動し、動きに合わせて音楽を奏でる機構を収めています。ロッククリスタル、ラピスラズリ、クォーツァイトで覆ったベースに前面の太陽から背面の月へとつながる幾何学的なモチーフをあしらっています。




オートマトンの動きと音楽
オートマトンは3つの異なる動作で構成され、合計1分半にわたって続きます。動きは任意で作動させることも、24時間前から選択した時刻にプログラムすることも可能です。楽曲は、ヴァシュロン・コンスタンタンと長年コラボレーションを続ける音楽作曲家でアーティスティック ディレクターのウッドキッドによって特別に創作されました。



第1の動作は、オートマトンの作動を告げる音とともに始まります。メタロフォン(鉄琴)とワウワウチューブを使って音を奏でる機械仕掛けの「音楽機械」は、フランソワ・ジュノーが考案したもので、オートマトンの機構に組み込まれています。



この楽曲を「アラーム」にして目覚めたオートマトンは、まず周囲を見渡し、続いて足元の昼と夜のシンボルに向けて、大きく手を広げます。やがて手を前方に動かし、月と、それが正面の弧上で描く軌跡を示します。動作が終わると、オートマトンは元の位置に戻ります。
続いて、新たな音が第2の動作の始まりを告げます。オートマトンは天空図の星々を示し、その方向に視線を向けます。この動作が繰り広げられる間、再び「音楽機械」が楽曲を奏でます。楽曲が終わると、オートマトンは中立の姿勢に戻ります。



最初の2つの動作は、オートマトンが作動するたび、常に同じ動きが繰り広げられます。しかし、第3の動作では、オートマトンがドーム内部に浮かんでいるような目盛りの上で時刻を示すため、時間によって所作が異なります。この動きには、驚きをもたらす要素が組み込まれています。それは時計師にとって技術的な挑戦となりました。目盛りの始まりと終わりは1時から12時、あるいは0分から55分であるものの、その間の時と分は、目盛りの上にランダムな順番で配置されているのです。時と分が数字の順に並んでいたら、動きは毎回よく似たものとなってしまうところが、この工夫により、前回の作動から間もない場合でも、オートマトンの動作は明確に異なるものとなります。



オートマトンによる時刻表示は時計の計時機構によって駆動されています。時刻は時計のダイヤルにも表示されるため、見る人はすぐに時刻が一致していることを確認でき、オートマトンの前回の作動から時間がどれほど経過したかを把握することができます。


革新と技術開発
「ラ・ケットゥ・デュ・タン」は23の複雑機能を備えた、6,293の部品で構成され、158のカムで駆動されるオートマトンを制御する仕組みを備えています。15件の特許出願の対象であり、そのうち7件は時計製造に関する特許です。

時計製造の技術革新
時計製造に関する特許出願:
1. 時刻調整用安全装置
2. 輪列2つを備える時計の作動機構
3. 1日ごとに日付を日送りシステム
4. 調整サイクル用安全システム
5. パワーリザーブ表示用同軸駆動システム
6. レトログラード日付表示機構
7. 2つのセクターからなるパワーリザーブ表示機構



「ラ・ケットゥ・デュ・タン」では、オートマトンを運動経路の中心としながら、もうひとつ、ゼンマイ仕掛けのオートマトンである立体のレトログラード・ムーンが組み込まれています。これは110年間調整の不要な高精度ムーンフェイズ表示で、29.5日周期で動作します。機構は2層構造で、中空の球体の内部に専用の機構と香箱を備え、天文学者のオートマトンと時計双方連動しています。新たな複雑機構であると同時に、この月はそれ自体がオートマトンとなっています。この機構は時計製造に関する7件の特許出願のひとつです。



他にも、動作の異なる2つの脱進機が駆動する時計の機構や、前面のダイヤルのパワーリザーブ表示を駆動する新機構も、時計製造に関する特許出願の対象です。後者は2つの独立したセクターが連続して作動し、それぞれが計15日間のパワーリザーブの半分を表示します。
前面の24時間表示と、太陽の形をした月・季節・星座を示すインジケーターにも技術革新が採用されています。審美性と視認性の両面から、これらのインジケーターは見る人に対して常に同じ向きを保つ必要があります。そのため、24時間サブダイヤル上の太陽と月の顔は、下部に重み加えたボールベアリングシステム上にセットし、常に垂直を保っています。背面のダイヤルでも、類似の取付システムを太陽の形のインジケーターに使用しています。インジケーターが1年をかけてダイヤルを1周する間も、エングレービングを施した太陽の顔は常に見る人と正面から向き合っています。


オートマトンの技術革新
技術革新に関する特許出願:
1. レトログラード・ムーンフェイズ表示機構
2. 機械式メモリーシステム
3. オートマトン制御システム
4. 2つの出力を備えた香箱の構造
5. オートマトン頭部の運動経路
6. オートマトン用関節システム
7. オートマトンの感知探針の待機位置制御
8. ワウワウ音



オートマトンで目指したのは、可能な限り自然な動きを生み出し、あたかも「人間」のように見せることです。オートマトンはなめらかで流れるような動きを複数の平面上で繰り広げ、頭部が手の動きを追いかけます。さらに、その動作は無音でなければなりませんでした。



動作の種類の多さが、難易度をいっそう高めました。このアニメーションでは、12時間の表示に加え、1時間のうちに5分おきのインターバルを12回挟むため、計144種類もの異なる動きが必要でした。これを実現するために、ヴァシュロン・コンスタンタンは158個のカムを備えた機構を開発しました。



この機構は、時を記憶する機械式メモリーを介して時計と連動しています。さらに、オートマトンの動きに合わせて楽曲を奏でる機構も開発しました。




デザインと仕上げにおける挑戦
軽やかさと透明感
「ラ・ケットゥ・デュ・タン」はそのデザインと複雑さ、そしてオートマトン機構の3,923個もの部品を収めるため大規模な構造が必要だったことを考慮すると、デザインにおいては軽やかさや開放的な印象を与えることが不可欠でした。そうして選ばれたのが、本作を象徴する素材となるロッククリスタルです。



透明なロッククリスタルでベース全体を覆うことで、機構の美しさを際立たせながら、オートマトンの起動時にさまざまな部品が命を吹き込まれたかのように動き始め、魔法のような瞬間を披露しています。



しかし、作品全体が軽やかで透明であるがゆえに、上部とベースの間には視覚的な「基盤」が必要でした。ラピスラズリの象嵌を施し、太陽系を描いた二層の台座が、デザインにおいてその役割を果たしています。




部品に施す仕上げの芸術
部品に施す正確で緻密な仕上げの技巧は、ヴァシュロン・コンスタンタンの時計製造において核心となります。「ラ・ケットゥ・デュ・タン」ではこれが大きな壁となって立ちはだかりました。ひとつひとつの部品が非常に大きいため、ごく小さな不完全さも目立ってしまいます。



例えば、ブリッジや受け石のくぼみには手作業で面取り仕上げを施し、トゥールビヨンのキャリッジやブリッジには手作業でポリッシュ仕上げを施しています。また、部品の多さも難易度を高める要因でした。



本作は合計6,293個の部品を使用し、そのうち2,370個は時計の機構のためのものです。部品はすべて、高級時計製造の最高水準に基づいて仕上げられています。




天球ドーム
ガラスドームを使用するアイデアは、星空の下に佇む天文学者のオートマトンを創るという構想から生まれたものです。しかし、これはデザインにおける技術的な挑戦を伴いました。直径40cmのドームを支えるには堅牢な支柱が必要でしたが、それは審美性を損なうものであってはなりません。そこで採用したのが、天球儀の様式を想起させるアーチ形の支持構造です。これにより、18世紀の天文学の要素と自然なつながりが生まれました。



ドームの内部に吊り下げた目盛りで時刻を表示するというアイデアも、独自の難しさがありました。極めて軽量でありながらも、強度と精度を保たなければならないためです。膨大な研究を経て見いだした解決策が、チタン合金粉末の焼結です。この手法により、非常に繊細でありながら強固なグリッドに仕上げています。時と分の数字には金箔を施しています。




装飾芸術
「ラ・ケットゥ・デュ・タン」は、さまざまな工芸技術を結集させた芸術作品です:
• ジェムセッティング
• ハードストーンとマザーオブパールのマルケトリー
• ロッククリスタルの象嵌
• グラン・フー・エナメル
• ギヨシェ彫り
• エングレービング:ハイレリーフ(浮き彫り)、タイユ・ドゥース(線彫り)
• ブロンズ鋳造彫刻
• ガラスへのミニアチュール・ペインティング

トゥールビヨンと24時間表示を囲むベゼルに、計100個(約11.6カラット)のバゲットカット ダイヤモンドを施しています。
さらに、オートマトンの体には122個のブリリアントカット ダイヤモンドをグレインセッティングであしらい、ドームに描いた星座の主要な星を表しています。



時計を設置した台座には、古鉱山から採掘のラピスラズリのプレートの象嵌を施し、ハードストーンのマルケトリーの技法によって太陽系を描いています。太陽の周りを回る惑星は、それぞれに適した美的特性を持つ装飾用ストーンのカボションで示しています。地球はアズライトによって「青い星」をイメージし、火星はレッドジャスパー、木星は雲で覆われた大気を思わせるクレイジーレースアゲート、水星はこの星の色合いを思わせるシルバーオブシディアンで再現しています。



各惑星の名前はホワイトマザーオブパールの繊細な象嵌で記し、バイカラーのマザーオブパールの象嵌で星々のきらめきを表現しています。
背面のダイヤルは、バゲットカット ムーンストーンのマルケトリーを施したリングで囲んでいます。リングの内側は、斜角を施したロッククリスタルのマルケトリーによる12のセクションに分かれ、それぞれの上にゴールドの星座モチーフをあしらっています。



作品の下部は、八角形のセクションをロッククリスタルのパネルで囲み、エメラルドカット ロッククリスタルをレール状に配して太陽と月、昼と夜を表すデザインに仕上げています。半透明のロッククリスタルを使用したことで光がベースに届き、内部のオートマトン機構の美しさと精巧さを披露することが可能となりました。
ダイヤル中央はミネラルガラスで作られた天空図となっており、星と星座のエングレービングをゴールドカラーのインクで仕上げています。天空図は1恒星日(23時間56分4秒)で1回転します。



透明な部分の下にはダークブルーに着色したメタルの楕円を配し、その地点から見える空の領域を示しています。天空図を囲む2つのリングは、ホワイトのグラン・フー・エナメルを施し、月、季節、至点、分点を表示。それぞれの要素をブラック、ゴールド、レッドの転写プリントで記しています。

天文学者の像には、伝統的な彫刻の技法を用いています。まず粘土の型に手作業で彫刻を施し、8つのパーツをブロンズで鋳造し複雑な関節を備えたことで、求める動きが可能となりました。高さ約28cmの像は中性的な姿に仕上げ、ダンサーを思わせるエレガントな姿勢に仕上げています。鋳造後は、ジュエリー製作の手法に則って組み立てと仕上げを行いました。手作業によるタイユ・ドゥース技法での星座のエングレービングや、主要な星を示すダイヤモンドのグレインセッティング、そしてイエローゴールドプレートがその例です。



ガラスの球体に描いた壮大な天空図は、そのすべてが手作業によるミニアチュール・ペインティングです。下絵や機械は一切使用せず、アーティストは完全なるフリーハンドで成し遂げました。ペイントはガラスの内側に施しているため、これには左右反転の星座を描くという難題も加わりました。わずかな手元の狂いも許されない複雑な作業であるため、実際に描き始めるまでに6か月間の研究と試行錯誤の期間を経ています。実際の描画には3週間をかけています。




文化と技術継承への真摯な取り組み
ヴァシュロン・コンスタンタンとルーヴル美術館のパートナーシップにおいて節目となる「ラ・ケットゥ・デュ・タン」は、同美術館で開催される「Mécaniques d’Art( メカニック・ダール ‒ 機械美の芸術)」展覧会の中心的作品として、2025年9月17日から11月12日まで展示されます。



「ヴァシュロン・コンスタンタンが構想したオートマトンと響き合うよう、ルーヴル美術館のコレクションから展示に選ばれた作品は、複雑な機構やさまざまな科学的な機械に対する古代、あるいは太古の昔の人々が抱いた情熱を想起させます。『ラ・ケットゥ・デュ・タン』は、コルドバの精巧なオートマトンや古代エジプトの水時計を想起させる一方、その構成要素の多くは17世紀の天球儀時計や多面体ダイヤルを連想させます。芸術的な工芸は、多様な時代と文明をまたぐ系譜の一部なのです。」と、ルーヴル美術館美術品部門ディレクター、オリヴィエ・ガベ氏は述べています。



「ラ・ケットゥ・デュ・タン」と共に展示される12の作品(ルーヴル美術館コレクションより)
◆Pendule La Création du Monde「天地創造」:1754年、ルイ15世に献上された天文時計。2016年にヴァシュロン・コンスタンタンが修復を支援。
◆ クジャクのオートマトン。銅合金製、962年または972年に作られた品。
◆リシュリュー枢機卿の紋章入り馬車用時計、フランス製。フランソワ・ド・エック作、1640年頃。
◆置時計。ブロンズ、パティーナ仕上げの真鍮製。アトラスが支える天球儀付き、フランスまたはイタリア製、1800年頃。
◆頭蓋骨の形をした置時計。シルバー、金箔を施した真鍮製。ジュネーブ製、ジャン・ルソー作、1640~1660年。
◆球体の置時計。鉄、真鍮製。1551年製、日付と署名が確認できるフランス最古の時計。ロワール渓谷のブロワにて、ジャック・ド・ラ・ガルド作。
◆四角塔の形をした置時計。シルバー、ブロンズ、真鍮製。ドイツ製、1585年〜1600年頃。
◆置時計。真鍮、シルバー、スティール製。三角形のベースの上に天球儀。1600年〜1615年頃、フランス・リヨンにて、ピエール・ノワトロン作。
◆多面体の形をした置時計。銅合金、シルバー合金、ブルースティール、ガラス製。1662年、ピエール・スヴァン作。
◆水時計の断片2点。1点はアレクサンダー大王時代(紀元前332〜323年)の玄武岩製、もう1点はプトレマイオス朝時代(紀元前305〜30年)の花崗閃緑岩製。ともにエジプト、テル・エル・ヤフディーヤで出土。


クリスチャン・セルモニ(ヴァシュロン・コンスタンタン スタイル&ヘリテージディレクター)へのインタビュー
――時を知らせるオートマトンを製作するという挑戦に至った経緯を教えてください。
『ヴァシュロン・コンスタンタンの時計師、デザイナー、職人、設計者たちは、常にメゾンの精神を保ちながら、高級時計製造の領域で自らの限界を超えることを信条としています。古代ギリシャやペルシャ帝国の時代にまで遡る世界最古のオートマトンの記録から、現在に至るまで、時刻表示機構に統合されたオートマトンの記録は見つかっていません。記録上、すべてが独立した装置か付加的なアニメーションです。メゾンはオートマトンと時計製造の二つの世界を再解釈する方法を探りました。そして、計時機構にもう1つの複雑機構として、時・分を示すオートマトンを加えることを決めたのです。

これはまさに、ヴァシュロン・コンスタンタンの領域です。メゾンが創業した18世紀、この時代に科学と芸術は目覚ましい発展を遂げました。この啓蒙時代には、機構の精巧さと美しさを融合した科学的装置への関心が急激に高まり、その美しさが際立つ作品が次々と生み出されました。このプロジェクトでは、オートマトンの形は数多くの候補が上がりましたが、最終的に人の姿を選んだことは、メゾンの精神に深く結びついた哲学的な選択でした。
これほど高度な技術と芸術的な複雑性を持つ作品を創るために、どのように限界を押し広げこの境地へと導いたの
でしょうか? 7年に及ぶこのプロジェクトを率いた魔法があったのでしょうか。何よりもまず、人による冒険でした。同じ情熱と才能を兼ね備えたさまざまな人々を結びつけることが、このプロジェクト全体の鍵となりました。彼らは、共に夢を追い、切磋琢磨し、互いの発想を支え合う人々です。各段階で、そのさらに上を目指そうという考えがありました。それは絶えず創造性を呼び覚まし、常に問いを投げかけ、わずかずつでも限界を押し進めるプロセスでした。非常に厳しく、多くの難題と向き合うことになりましたが、幻想的な要素や遊び心を失うことはあ
りませんでした。それが言わば取り組みに向けてのルールであり、非常に興味深い相互作用と素晴らしい瞬間をもたらしたのです。多様な人々で分かち合った大規模な冒険でした。』

――この野心的なプロジェクトを実現するあたり、主な技術的課題はなんでしたか?
『最大の課題はもちろん、オートマトンを駆動する機構、そしてそれを時計に統合する機構の開発でした。144種の動作を行うには、158個のカムを備えたカルーセル機構が必要でした。また、時刻表示の複雑機構であるために、時計とオートマトン間で情報を伝達する「機械式メモリー」が必要となりました。アニメーションに合わせて異なる楽曲を奏でるという案が加わったことで、2種の機械式「オルゴール」が開発されました。
フランソワ・ジュノーは、「オートマタ製作してきた人生の中で、これが最も難しいプロジェクト」だと述べています。時計の機構そのものに関しても、そのスケールはメゾンが通常対応できる範囲を超えていました。例えばトゥールビヨンは、メゾンが製作してきた腕時計のものに比べて2倍以上です。テンプの直径は調整ネジを除いて16.8mm、マルタ十字は28mm、固定用バーの長さは43.3mm。これほどの大きさであるにも関わらず、誤差は一切許されませんでした。』

――外装の複雑な装飾は、どのような点が挑戦となりましたか?
『審美性に関しては、デザイン完成後にまず、どのような装飾を施すかを決めることが第一の課題でした。素材の選定と調達には非常に多くの時間がかかりました。まだ緻密な製作のプロセスが始まる前の段階です。例えば、ロッククリスタルは、オートマトンの機構を収めるベースに使用するため、非常に大きく、また高品質な素材が必要でした。適切な調達先を見つけるのに、2年がかかりました。何キロにも及ぶ素材を入手した後は、カット、機械加工、手作業による仕上げが待っていました。さらにその後には、作品にそれを設置するという工程も残っていました。もうひとつの大きな課題は、ガラスドームの内側に手作業で天空図を描くことでした。テンプレートはなく、フリーハンドで細筆を使い、ガラスの内側から描くために図像を左右反転させて作業を進めなければなりませんでした。』

――哲学的な意義について言及されていますが、啓蒙時代の影響を踏まえ、この作品では具体的にどのように体現されているのでしょうか?
『哲学的な側面とは、この時計を目にした人が抱く個々の解釈にあります。デザイナーたちは、美の哲学を象徴するディテールを随所に散りばめました。例えば、太陽系の惑星の数であり、無限の象徴でもある数字「8」を巧みに取り込んでいます。「ラ・ケットゥ・デュ・タン」のオートマトン機構を収める台座や上部を支えるロッククリスタルの柱は八角形に仕上げられ、オートマトン自体も八芒星の上に配されています。



【仕様】
「ラ・ケットゥ・デュ・タン」
[特長]

・時を超えて:時計製造の卓越性と装飾芸術にオートマトンの魅惑を融合した、前例のない機械芸術の傑作
・機能する複雑機構として時計に組み込まれたオートマトン
・時を探求し、極めるという志のもとに熟練の職人、デザイナー、オートマティエ(オートマタ製作者)、エンジ
ニア、天文学者、時計師が結集
・キャリバー9270 – 2,370個の部品、23の複雑機能を備え、時刻を示すオートマトンを作動
・ヴァシュロン・コンスタンタンとルーヴル美術館のパートナーシップにおける節目:2025年9月17日から11月12日まで同美術館で開催される「Mécaniques d’Art( メカニック・ダール ‒ 機械美の芸術)」展覧会の中心的作品として本作を展示
・最先端の技術を駆使したダブルフェイスのリストウォッチで、4件の特許出願と新たに開発された手巻きムーブメント、キャリバー3670を搭載する20本限定の「メティエ・ダール ‒ 時の探求へ敬意を表して ‒ 」にインスピレーションを与える。

【技術データ】
1) 時計ムーブメント:キャリバー 9270
・ムーブメントサイズ:直径 223mm/厚さ 262mm
・宝石 148
・振動数:毎時1万8000回振動
・パワーリザーブ:15日
・エネルギー クロックムーブメントを駆動する香箱5つ
・月のレトログラード機能を駆動する香箱1つ
・部品数 2,370
・トゥールビヨン サイズ テンプの直径:18.8mm(調整スクリューを含む)、16.8mm(スクリューを除く)マルタ十字の直径: 28mm 固定用バー:長さ43.3mm

2) オートマトン
・動力源 香箱1つ、ハンドルによる手巻き
・カルーセル 回転式カルーセル1つにつきオートマトンの動きを生み出すカムを備えた3軸構造
・動き 任意で作動、または24時間前から事前プログラム可能
・天文学者のオートマトン 18K(3N)ゴールドプレートを施し、ブリリアントカット ダイヤモンド
122個をセットしたブロンズ鋳造
・部品379個
・時計ムーブメントからの常用時の伝達機構 2つの垂直柱状の軸
・機械式メモリー :常用時情報を記録し、オートマトンに伝達メロディ
・楽器2種:メタロフォン (鉄琴) 1つとワウワウチューブ4つ・部品534個
・部品数 3,923
カム総数:158 - カルーセル1 – アラーム:11個
- カルーセル2 – 月:11個
- カルーセル3 – 分:60個
- カルーセル4 – 時:60個
- ベルカム用カルーセル:1個
- ワウワウダンパー:4個
- 機械式メモリー用スネイル:2個
- 時計出力用スネイル:2個
- 機能の停止・解放:6個
- アラームの初期化:1

3) 外装およびその他のアイテム
・部品数:1,020
・サイズ 1070 x 503m

[出願中特許 一覧]
◆レトログラード・ムーンフェイズ表示機構:
立体ムーンフェイズ表示:表示機構自体に香箱を組み込んだレトログラード表示構造。ゼロ回帰を確実にし、すべての歯車に常時張力をかけることで歯車の遊びを防ぐ。

◆2つの可動式駆動装置を備え、安全装置を介在させたムーブメント
時刻調整用安全機構:時刻調整キーを差し込むと解除されて操作が可能となり、同時に時刻更新機能をロックする構造。時刻の更新中はロック機能により時刻調整キーが完全に差し込まれるのを防ぐ。

◆時計の作動制御機構
動作の異なる輪列2つを備え、時刻表示を優先する機構。

◆2つの作動運動経路を備えた可動式表示用駆動装置
1日ごとに日送りする特別な配置

◆タイマー機構を備えた作動装置
所定の操作サイクル(この場合は調整)が終了するまで、リリースボタンの押された状態を維持。サイクルが完了するまで、機構が再起動されることを防ぐ。

◆パワーリザーブ表示を備えた機構用作動装置
制御ユニットと同軸上のパワーリザーブ表示。作動により機構の残存持続時間が減少する。

◆レトログラード日付表示機構
日付歯車上の爪が、月末にインジケーターの回帰を作動。

◆パワーリザーブ表示機構
2つの同軸カムを備えた2つのセクターからなるパワーリザーブ表示。中心をずらした同心円状のセクターを採用し、各セクターが7.5日分の持続時間を表示。

◆機械式メモリーシステム
時・分カム上に干渉せず情報を記録する機構。情報を瞬時に記録し、遠隔格納。

◆オートマトン制御システム
複数のシャフトにカムを設置した、完全な「回転式」機構。一部のシャフトはシャフト上で変換可動。

◆2つの出力を備えた香箱
シャフトの回転またはカルーセル自体の回転のいずれか一方の機能へ動力を供給できる構造。

◆オートマトン頭部の運動経路
頭部で自然な動きを表現。

◆オートマトン用関節システム
四肢の1つに2種の動きを組み合わせるため、差動装置を組み込んだオートマトン。

◆感知探針の待機位置制御
感知探針の対応する動きが単方向か双方向かによって、異なる待機位置を可能にする。

◆ワウワウ音
鐘管上の開閉フラップの動作と打鐘機構を組み合わせ、波のよ
うな音響効果を生み出す。



複雑機構およびシステム
常用時表示 (4)
・追加の24時間回転式時・分表示
・オートマトンによって示される立体レトログラード時・分表示
・1分トゥールビヨン
・昼夜表示

パーペチュアルカレンダー (6)
・グレゴリオ暦パーペチュアルカレンダー
・曜日表示(グレゴリオ暦に基づく)
・前面文字盤に月表示(グレゴリオ暦に基づく)
・背面文字盤に月表示(グレゴリオ暦に基づく)
・レトログラード日付・月表示(グレゴリオ暦に基づく)
・閏年および4年周期

ムーン表示 (3)
・高精度ムーンフェイズ表示(110年間にわたって調整不要)
・月齢
・レトログラード機能を備えた回転式の立体的な月、内部にレトログラード機能に動力を供給する香箱を搭載

天文表示 (5)
・日の出時刻(ジュネーブの緯度に基づく)
・日の入り時刻(ジュネーブの緯度に基づく)
・天空図(北半球)
・恒星時
・季節、夏至・冬至、春分・秋分の表示

追加機能 (5)
・12星座
・オートマトン起動用アラーム
・2つのセクターからなるレトログラード・パワーリザーブ表示
・背面文字盤に針によるパワーリザーブ表示
・日送り機能用パワーリザーブ表示

追加システム (9)
・サマータイム用の調節可能な磁気ブレーキ
・アラームの逆方向設定を防止する安全装置
・専用の香箱を備えた日送り機能
・日送り機能用パワーリザーブ表示
・時刻設定用二重安全装置
・立体の月に動力を供給する香箱(月の内部に搭載)
・月のレトログラード機能のジャンプを制御する調節可能な磁気ブレーキ
・輸送用安全装置6つ
:時計上に重力によって下降する時・分表示

オートマトンシステム
- すべての動きを制御する軸とカムを駆動する、360度回転式カルーセル。すべてのアニメーションのために必要となる多数のカムに対応するための革新的なカルーセル方式。
- カムを備えたシステムが横方向の動きにより時計から常用時情報を取得し、格納されていた情報をオートマトンに伝達。
- オートマトン起動用アラーム機能:指定の時刻になると、時計に取り付けた棒状装置が機構を作動。
- 前面から見てベース右側にオートマトンのパワーリザーブ表示用針。
- オートマトンの香箱はハンドルによる手巻き。前面から見てベース右側に差し込み口。
- カムの帰零システムにより、情報を常に正確に表示。
- オートマトンの像は、カムが駆動する感知探針に取り付けたタングステンケーブルによって可動。オートマトン本体の内部に、ケーブルと接続した機構を搭載。これにより、人間らしい動作を実現。
- オートマトンの肩は球関節を採用。腕が動く際に機構を隠す連結式カバー付き。
- 2種類の楽器(メタロフォン(鉄琴)とワウワウチューブ)が奏でるメロディは、オートマトンを駆動する香箱から伝わる動力を受けた輪列によって制御。


外装、素材、装飾
◆ベース
- 八角形

◆台座
- ステンレススティール製の八角形構造2つ、マットアンスラサイトのベース

◆台座(下段)
- ロッククリスタルのマルケトリー

◆台座(上段)
- 古鉱山から採掘のラピスラズリのマルケトリー

◆オートマトン機構用キャビネット
- ステンレススティール製フレーム、ロッククリスタルのマルケトリー
- クラウディロッククリスタルのパネル
- 2面にサンバーストモチーフ
- ステンレススティール製の装飾要素
- ロッククリスタルにセットした、クォーツァイト、ラピスラズリの装飾要素
- 面取り仕上げのミラーパネル8枚をセットした平面トップ

◆八角形の接続用台座
- 側面:インクルージョンを含むロッククリスタルのマルケトリー
- 上面:ラピスラズリのマルケトリー、クレイジーレースアゲート、ターコイズ、縞模様入りカルセドニーを含むカボション
- マザーオブパールのマルケトリーで描いた惑星の名前
- 2色のマザーオブパールのマルケトリーで描いた六芒星の装飾ベースと時計の接続
- 18K(3N)イエローゴールドプレートを施したステンレススティール製の脚2つ

ムーブメントキャビネット
◆オートマトン用アラームを備えた八角形台座
- 側面:インクルージョンを含むロッククリスタルのマルケトリー
- 上面:ラピスラズリのマルケトリー、シルバーオブシディアン、グレーアゲート、アズライト、レッドジャスパーのカボション
- マザーオブパールのマルケトリーで描いた惑星の名前
- 2色のマザーオブパールのマルケトリーで描いた六芒星の装飾
- ミッドナイトブルーのラッカーを施した回転式24時間表示。18K(3N)ゴールド製アプライド・インデックス

◆時計用キャビネット
- ロッククリスタルのマルケトリーを施した八角形のステンレススティール製柱4本
- 天文学者のオートマトンの足元に、8つのロッククリスタル製セクションからなる平面トップ。昼を表すタイガーズアイのマルケトリー、夜を表すブルズアイ
- 昼は透明、夜はブルーラッカー仕上げのミネラルガラス製中央
ディスク

時計表示
◆文字盤(前面)
- 時・分表示用のカーブしたセクション2つ。 ロッククリスタル製セクター。ゴールド製アプライド・インデックス
- パーペチュアルカレンダー用の小窓3つ、ホワイトからブルーへのグラデーションのムーンストーンとラピスラズ
リをセットした2セクターのパワーリザーブ表示
- ロッククリスタル製日の出・日の入り表示、ブラックメタル製アプライド・アワーマーカー
- ロッククリスタルをセットした31日レトログラード日付表示、日付用18Kイエローゴールド製アプライド・イン
デックス
- 拡大鏡付きトゥールビヨン、24時間昼夜表示
- 中央に手作業によるエングレービングを施した太陽と月のモチーフ
- 手作業によるギヨシェ彫りを施したサンレイ模様
- ホワイトからブルーへのグラデーションを描くラッカー仕上げの24時間リング
- 昼夜表示およびトゥールビヨンのベゼルに計100個のバゲットカット ダイヤモンドをセット(約11.6カラット)
針・インジケーター
- レトログラード時・分表示およびパワーリザーブ表示に真鍮製インジケーター
- 太陽の形に彫刻し、手彫りを施した31日日付表示の18Kイエローゴールド製インジケーター
- ブルースティール製日の出・日の入り時刻用針

◆文字盤(背面)
- バゲットカット ムーンストーンをセットした外周リング、斜角を施した12のロッククリスタル製セクションから
なる星座リング、手彫りを施したアプライド・ゴールド製12星座
- 季節、夏至・冬至、春分・秋分表示用エナメルリング
- 月表示用エナメルリング
- 天空図:エングレービングを施したミネラルガラス製天体図、ゴールドカラーのインク、ブルーラッカー仕上げ
の楕円
- エングレービングとインク仕上げを施したパワーリザーブ表示

◆針・インジケーター
- 月、至点、星座表示に手彫りを施した太陽の形のインジケーター
- パワーリザーブ表示にブルースティール製サーペンタイン針

天文学者のドーム
◆アーミラリ・サークル
- 円形サテン仕上げを施したステンレススティール製外周リング、上面はポリッシュ仕上げ、下面に面取り仕上

- 外周リングに星座のエングレービング
- 月を駆動する2つのステンレススティール製リング、外縁に面取り仕上げ

◆半円
- 天球ドーム用のステンレススティール製構造体、アーミラリ・サークルと同様の仕上げ

◆外周サークル
- 黄道に対する銀河赤道の傾き(67度)を再現したステンレススティール製リング、アーミラリ・サークルと同様
の仕上げ

◆ドーム
- 1個のミネラルガラス製球体を最大径から4cm下でカット
- ヴァシュロン・コンスタンタンの創業日、1755年9月17日のジュネーブの空を再現した天球
- ドーム内側にフリーハンドによるペイントで描いた星座と子午線
- 天文学的様式で描かれた主要な星の名前、この日の空に見られた7つの星座(牡羊座、牡牛座、双子座、蟹座、
獅子座、乙女座、天秤座)、おおぐま座とこぐま座、オリオン座

◆レトログラード・ムーン表示
- ステンレススティール製構造体、サテン仕上げ
- アプライド・ゴールド製ムーンフェイズ表示
- 独自の機構を備え、内部の空洞に香箱を収めた2層構造の立体ムーン、レトログラード機能

◆時・分目盛り
- オープンワークのカーブしたチタン製目盛り
- 金箔を施した時刻表示
- ランダムに配置した時(ローマ数字)・分(アラビア数字)

◆太陽
- 手彫りを施した太陽のアプライド・モチーフ

◆オートマトンの像
- 8個のパーツからなるブロンズ鋳造、イエローゴールド加工、5か所に関節
- 星座が手彫りされたボディに計122個のブリリアントカット ダイヤモンドをセット(約0.35カラット)



【お問い合わせ】
Vacheron Constantin
0120-63-1755(フリーダイヤル)




[ヴァシュロン・コンスタンタン] – The Quest(探求)
1755年、ヴァシュロン・コンスタンタンの飽くなき探求の旅はジュネーブで始まりました。創業以来、一度も途切れることなく受け継がれてきたこの探求心は、今日に至るまでメゾンの独自性を形づくる原点となっています。
卓越した技術への探求は、複雑機構、計時精度、小型化、独創的な表示、精巧な仕上げ、そして常に革新的であり続けるという確固たる意志によって表現されています。芸術性への探求においては、エレガントなデザインや複雑な装飾の創造を育むだけでなく、芸術や文化、工芸品や職人への長期的な支援へとつながっています。またこの探求心は、人とも結びついています。メゾンは絶えず学びを深め、改善の余地を探ると同時に、知識やノウハウの継承にも力を注いでいます。
「できる限り最善を尽くす、そう試みることは少なくとも可能である」。1819年に、フランソワ・コンスタンタンが記したこの言葉が表す探求の精神こそが、270年間、メゾンの創造と革新の歴史を導いてきたのです。
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