ヴァシュロン・コンスタンタン「メティエ・ダール - 偉大な文明へ敬意を表して -」4モデルを発表~ルーヴル美術館との素晴らしいコラボレーション

 From : VACHERON CONSTANTIN (ヴァシュロン・コンスタンタン )




メティエ・ダール 偉大な文明へ敬意を表して~ルーヴル美術館との素晴らしいコラボレーション



ヴァシュロン・コンスタンタンの新しい「メティエ・ダール」のシリーズは、ダレイオス大王が統治したペルシア帝国、黄金期の古代エジプト、ヘレニズム期の古代ギリシア、アウグストゥスが初の皇帝として即位したローマ帝国という、歴史的にに重要な基盤となる時代に焦点を当てました。
2019年に始まったルーヴル美術館とのパートナーシップの一環として、同美術館の学芸員や歴史家との緊密な協力のもと、ヴァシュロン・コンスタンタンは美術館に所蔵されている古代の彫像に基づいて、4つのタイムピースを製作しました。



各時代を象徴するこれらの芸術的なタイムピースは、熟達の職人たちが演出する比類ない傑作の主役を演じます。


- タニスの大スフィンクス 


- ダレイオス王のライオン


– サモトラケのニケ


– アウグストゥス帝の胸像


ヴァシュロン・コンスタンタンの「メティエ・ダール」コレクションは、優れた職人たちの才能によって時空を超えて旅するまたとない機会です。それは、私たちの文明の歴史的な一時代や、芸術と文化の象徴を発見する、あるいは再訪する機会でもあるのです。この観点から、2019年に始まったルーヴル美術館とのパートナーシップは、時計製造に並外れたインスピレーションをもたらしました。ヴァシュロン・コンスタンタンのデザイナーや開発担当者は、ルーヴル美術館のチームと緊密に連携を図り、同美術館の代表的な傑作から着想を得た「メティエ・ダール」の新しいシリーズの製作に取り組みました。



4つの時代を表現したタイムピースのテーマは、美術館が所蔵する素晴らしい古代のコレクションから考案されました。すなわち、ダレイオス大王が統治したペルシア帝国、歴代ファラオが君臨したエジプト中王国、ヘレニズム期の古代ギリシア、アウグストゥスの登場で誕生したローマ帝国です。それぞれの偉大な文明は、ルーヴル美術館に収められた傑作を引用し、製作された4つのタイムピースですが、このプロジェクトは、職人にとっては実に難題にあふれていました。直径が40㎜を下回るダイヤルに当時の装飾技法から着想を得た装飾や文字装飾を施し、そうした作業に職人の表現力を発揮することが求められたからです。これらを実現するために使われた技法や希少な職人技、そして時計のオリジナルデザインがひとつになって、歴史の偉大な時代にふさわしい壮大で魅力あふれる作品に仕上げられました。


真の文化的パートナーシップ
ヴァシュロン・コンスタンタンは、2019年にルーヴル美術館と美を称賛するための活動を続けるために真の芸術的、文化的パートナーシップを締結しました。このパートナーシップは、両者がそれぞれ歴史や文化、また遺産を重視する姿勢に通じます。1755年創業のヴァシュロン・コンスタンタン、その約40年後の1793年に一般公開されたルーヴル美術館は、過去の資料の保管や修復への関心を共有し、作品に関連する製作技術を継承することを約束しています。
素晴らしい過去に関心を向け、知識の継承に努める姿勢は、これまでにいくつかの共同事業の道を開いてきました。ヴァシュロン・コンスタンタンは、1754年にフランス国王ルイ15世に献呈され、「天地創造」と名づけられた18世紀の傑作精密時計の修復を支援しました。また最近では、ルーヴル美術館がオンラインで開催したオークションに寄付出品し、落札者自身がルーヴル美術館の所蔵作品から選んだ芸術作品をダイヤルにエナメルで再現した「レ・キャビノティエ」のユニークピースを製作しました。他には、それぞれの工房を映像で追いながら、熟練の職人たちの作業を紹介するといったことも行いました。



ヴァシュロン・コンスタンタンの「メティエ・ダール」コレクションに新たなモデルが加わることで、このコラボレーションが一段と緊密になりました。テーマの選定から代表的な作品の選出まで、図像の研究から歴史資料やそれに即した文字の提案に至るまで、ヴァシュロン・コンスタンタンのデザイナーと製作担当者たちは、ルーヴル美術館のチームと協力し、傑作へのオマージュにふさわしい工芸技術を決めました。



両者の関係は、資料の保管や修復だけでなく、職人の技術に関しても最良の仕事を実践するという点で結びつき、共通の論理の一部となっています。ヴァシュロン・コンスタンタンとルーヴル美術館の友好的な関係が、今回の素晴らしいプロジェクトを生み出したのです。




4つの文明を讃えて
最初の天文観測が時計製造にとってそうであったように、古代は現代社会にとって、科学や文化の基盤を形成し、その後の運命を決定しました。古代文明は私たちにとって、文字の発明や民主主義の誕生、哲学思想、記念建造物、比類ない芸術的業績など、絶対的な基盤であり続けます。私たちの言語は古代文明に起源があり、習慣もそれに影響を受けています。政治組織や世界観もそこから想を得ているのです。
古代文明の作品の分野で参照すべき美術館になっているルーヴル美術館のチームから協力を得て、文化的、芸術的な観点から歴史的な時代が選ばれました。この選択は、4つのテーマからなり、偉大な時代と古代文明を代表する主要作品に基づいて行われました。豊かで独創的なテーマと並外れて質の高い作業により、ヴァシュロン・コンスタンタンとルーヴル美術館とのコラボレーションで実現したこれらのタイムピースは、いずれも優れた職人技の素晴らしを伝え、ストーリー性にあふれる内容になっています。


- タニスの大スフィンクス - 古代エジプト王国(紀元前2035-1680年)
第21王朝と第22王朝の歴代ファラオ(王)の首都であったタニスの大スフィンクスは、高さ1.83m、長さ4.8mあり、エジプト国外で保存されているスフィンクスとしては最大級です。1826年に、英国領事ヘンリー・ソルトのコレクションとしてルーヴル美術館に収蔵されました。王の権威を象徴するスフィンクスは、横たわるライオンと人間の顔を合体して作られ、王家がかぶる頭巾ネメスをまとい、君主のみが許されるひげを蓄えています。この想像上の生き物を通して表現されているのは、ファラオのあらゆる権力です。長らく古王国(紀元前約2700-2195年)のものとされてきたこのスフィンクスですが、今ではエジプト人自身がエジプトの黄金時代と考える中王国(紀元前約2035-1680年)に関係があると考えるほうが一般的です。おそらくアメンエムハト2世のために彫像されたもので、そのカルトゥーシュ(古代エジプトで使われていた象形文字で表した枠で囲まれたファラオの名前)が刻まれています。アペプ、メルエンプタハ、シェションク1世など他のファラオも自分のカルトゥーシュを所有していました。




- ダレイオス王のライオン - アケメネス朝ペルシア帝国 (紀元前559-330年)
光沢レンガを使ってライオンを描いたこの壁飾りは、イラン南西部を支配したアケメネス朝ペルシアの首都スサにダレイオス大王が構えた宮殿の第一中庭にありました。メディア人が支配する王国を滅ぼした後に、リディア、バビロニア、エジプトを征服したアケメネス朝は、古代に存在した最も偉大な帝国を築きました。現在のパキスタンから黒海沿岸、中央アジアの草原からエジプトやリビアにまで領域を拡大し、中東における最古のさまざまな文明をひとつに結びつけました。ダレイオス王はまた、マラトンの平原でペルシア軍の侵攻を阻止したギリシアの都市国家との戦いでも知られています。




- サモトラケのニケ - アンティゴノス朝のヘレニズム期ギリシア(紀元前277-168年)
軍艦の舳先に降り立つ翼をもった女神を象ったこの勝利の彫像は、北エーゲ海のサモトラケ島で1863年に発見されました。ギリシア世界で広く崇拝されていた偉大な神々に捧げた神殿で出土したこの彫像は、海戦での勝利に関連する捧げものを表しています。アレクサンドロス大王が紀元前323年に亡くなると、配下の武将たちによってマケドニアのアンティゴノス朝を含む3つの大帝国が誕生しました。紀元前31年のローマによるエジプト征服によって終わりを告げるこのヘレニズム期に、地中海東部の覇権をめぐる海戦が繰り返されました。これらの戦勝記念のひとつが、ギリシアのこの小さなサモトラケ島の神殿で荘厳に営まれました。




- アウグストゥス帝の胸像 - ユリウス=クラウディウス朝のローマ帝国 (紀元前27年-紀元68年)
カエサルの養子になったアウグストゥスの胸像は、樫の葉で編んだ「市民冠」をかぶった姿を描いています。この冠は、アウグストゥスがローマの「市民第一人者」になり、紀元前27年に元老院の議決でアウグストゥスの尊称を授けられた際の特別なしるしを表しています。彼は実際にクレオパトラとマルクス・アントニウスの連合軍を破ってエジプトを征服し、長く続いた内戦を終結させ、その後4世紀にわたって続く政治体制の基礎を築きました。アウグストゥスは、紀元68年に自殺したネロをもって幕を閉じるユリウス=クラウディウス朝の最初の「君主」でした。




芸術作品のために用いられるキャリバー
「メティエ・ダール -偉大な文明へ敬意を表して -」を動かすムーブメントとして、ヴァシュロン・コンスタンタンは、4つのディスクで時、分、曜日、日付を表示する自社製の自動巻きキャリバー2460 G4/2を選びました。



時刻とカレンダーの各表示を読み取る窓はダイヤルを縁取るようにして四隅にシンメトリーに配置され、職人たちが技を発揮するための空間が確保されています。また針を用いないので、これらミニチュアの傑作が遮られることなく鑑賞できます。



237個の部品で構成されたムーブメントではテンプが4Hz(毎時28,800回振動)で時を刻み、ローターにも特別な演出が施されています。



そこには、ルーヴル美術館の東側のファサードが描かれています。このファサードを設計したクロード・ペローが建築家ルイ・ル・ヴォーから着想を得た壮麗な列柱も、18世紀のエッチングを元にして描かれています。そのデザインの金型は手作業で彫られ、このシリーズに含まれる20個のローターに型押しされました。




賢明な構成
これらの時計は、彫刻作品の形で取り付けるアップリックをはじめ、さまざまな文字や装飾要素などの象徴的な作品によってテーマを表現するため、ヴァシュロン・コンスタンタンは、複数の構成部分のケーシング方法を考案しました。


ムーブメントの上に配されるダイヤルは、装飾帯で取り巻かれています。これらの異なる2つの同心円の部分は、熟練職人が技を存分に発揮する場になっています。ダイヤルの装飾は、ルーヴル美術館所蔵の作品から着想を得ており、それらには時代の異なるさまざまな装飾技法が見られます。例えばローマ時代のモザイク、エジプトの棺、バス・レリーフ状(浅浮き彫り)に彫られたギリシアの陶器や壺、釉薬で彩色したバビロニア式レンガのフリーズなどです。サファイアクリスタルは、古代から着想を得た4大作品のひとつをゴールドに彫って再現したアップリックを取り付け、ダイヤルの上に配置されています。わずかにスモークがかかったこのクリスタルには、メタライゼーション(金属被覆法)により、個々のモデルに応じて楔形文字や、象形文字、古代ギリシアやラテン語が刻まれています。



これらの文字は、ダレイオスの宮殿の設立宣言書をはじめ、タニスのスフィンクスに彫られたメルエンプタハ王のカルトゥーシュからの転記、サモトラケ神殿で発見されたサモトラケの偉大な神への讃辞、そしてアルジェリアで発見されたローマ時代の石碑に刻まれた皇帝アウグストゥスへの加護を求める言葉からの抜粋になっています。これらのさまざまな要素がムーブメントの上に配置された後に、ケースがアウタークリスタルで密閉されています。




希少な職人技
ダイヤルとその装飾帯は、表現されたモチーフと同時代のさまざまな作品に由来するいくつかの“装飾”要素で構成されています。ヴァシュロン・コンスタンタンは、こうした壮麗な背景を創り出すために、各分野の工芸職人が実践する様々な技法を選択しました。

- シャンルべ・エナメルとグリザイユ・エナメル
エナメルとは、色ガラスやエナメル絵具を細かく砕いて水や油と混ぜて金属の表面に施し、高温の窯で焼いてその表面に耐久性のある面を作る装飾技法を指します。シャンルべ・エナメルは、金属を彫ってエナメルを施す窪みを作る手法で、エナメルの層を窯で焼きながら順に重ねていきます。



16世紀に登場したグリザイユ・エナメルでは、ダイヤルにまず濃色のエナメルを塗布し、その上に白いエナメルの層を塗り重ね、層を重ねる毎に800℃以上に熱した窯で焼きます。




- ストーンマルケトリー
時計製造の分野ではめったに用いることのないストーンマルケトリーは、デザインに応じてカットされた色石の断片を使って模様を描く手法です。



この作業は、石のそれぞれに性質の違いがあることや、劈開が強いものは割れやすいので、いっそう繊細に扱う必要があります。



これらの石の断片は集められ、ひとつひとつダイヤルに貼り付けられますが、石と石の間を結合するものはありません。石の間にわずかな隙間が残ることで、デザインに立体感が生まれます。




- ストーンマイクロモザイク


時計製造では極めて珍しいこの技法は、装飾を形成する微小な硬質石の非常に精巧に組み合わせ石をつなぐ部分が見えないように、石の隙間をうめ、見えないように張り付ける技法です。



石の大きさは、微小な四角の各辺がわずか0.55㎜で、モチーフの構成のみならず、個々を結合する仕方の点でもこの種の装飾はとくに繊細なものになります。




- エングレービング
手彫りのエングレービングは、金属を窪ませたり、モチーフを彫り出すなどして装飾を生み出しますが、今回のカーブしたゴールド素材に用いられたのは、ラモレイエ技法です。



ラモレイエ技法は、レリーフの効果を作り出すために、素材を彫って取り除くことで成り立っています。元に戻すことのできないこの作業には、非の打ち所がない器用な手さばきが必要です。エングレービングの熟練職人は、まずドライポイントの技法でモチーフを描画し、それからゴールドの塊に彫刻を施して繊細な丸みを帯びた独特のフォルムを作り出します。



そしてモチーフの周囲はパティーナ加工で年月を経た雰囲気に仕上げられます。この一種のだまし絵のような演出は、とりわけ奥行き感を錯覚させるのに適しています。また、装飾帯には、素材を凹面に彫り抜くインタリオ(沈み彫り)という彫金技法を用いたものもあります。





メティエ・ダール - 偉大な文明へ敬意を表して- 
タニスの大スフィンクス

「スフィンクス」という言葉は、ギリシア語で人間の頭を持つライオンのエジプトの像を指し、古くからエジプト語の「シェセプ・アンク」と関連づけられてきました。この「シェセプ・アンク」は、一般的に像を指しますが、エジプト人の概念では「生ける像」を表す言葉として用いられていました。



王家を象徴するスフィンクスは、神殿へと続く道の両側にしばしば並べられました。このタニスの大スフィンクスは、石から切り出されて表面が磨かれていますが、その正確な仕事ぶりは称賛に値します。彫金師は、このスフィンクスの頭部を再現する立体的なゴールドの彫像に加え、小さなスペースに大きなつけ髭までも表現することは難題のひとつでした。



熟練の彫金師はまた、薄い地金に、ラモレイエ技法を使って浮き彫りを施す必要があり、その後ブロートーチと手を使って素材にパティーナ加工を加えて奥行き感を際立たせました。



ダイヤルの黒と青のエナメルを混ぜた深い色合いは、窯で6回焼成して出来上がりました。ダイヤルの装飾要素は、Nakht-khonsou-irouのミイラを収めた棺のカートネッジの上に描かれた首飾りから着想を得ています。



第22王朝時代、死者のミイラは布に巻かれ、棺を覆うカートネッジは、材料を何層にも重ねて固め、スタッコ(化粧漆喰)や絵を描いた布などで作られていました。ミイラを巻く布や棺は、死者の人物像を表していて、多くの守護モチーフや鮮やかな色のモチーフで飾られています。人物は冥府の神オシリスや他の神々によって永遠に守られています。その胸元は常に幾何学的な花のモチーフで構成される大きな首飾りで覆われています。この首飾りには花びらが縁どられ、それらをシャンルべ・エナメルで再現していますが、外側の装飾帯に経年変化を与えるため、ところどころに内包物を加えています。



首飾りの下方には、雄羊の頭をも持つ翼を広げた鷹が表現され、その翼の羽がシャンルべ・エナメルで見事に表現されています。そしてエジプト文明にまつわる最後の文化要素は、ゴールドのアップリックが取り付けられ、タニスのスフィンクスのカルトゥーシュに刻まれた象形文字をメタライゼーションで彫り込んだサファイアクリスタルです。



これはファラオのメルエンプタハ(紀元前1213-1203年)の名を表しています。ラムセス2世の息子で後継者の彼の名は、「上エジプトおよび下エジプトの王 Ba-en-Ra-mery-Amon (王位名)」という言葉で始まり、「マアト(正義の女神)に満足するラー・メルエンプタハの息子は永遠の命を授かる」とあります。



この「メティエ・ダール - 偉大な文明へ敬意を表して - タニスの大スフィンクス」は、古代エジプトを支配したファラオたちの威厳を余すことなく表現しています。






メティエ・ダール - 偉大な文明へ敬意を表して- 
ダレイオス王のライオン

スサにダレイオスが構えた宮殿の来客を迎える第一中庭を飾るライオンのフリーズは、現地で発見された数少ない装飾要素のひとつです。この動物の装飾は、ペルシアの宮殿を特徴づける図像の一部として重要なものですが、それ以前のアッシリアやバビロニアの宮殿でも同じでした。



王の動物であり神性が宿る生き物を意味するライオンの象徴的な姿は、このような歓待用の庭や、ペルシアの君主たちやそれ以前のアッシリアの統治者たちが狩猟のために取り置いた特別な場所にもしばしば見られました。ライオンを際立てるフリーズは、百獣の王に具象化された王の権力を象徴するものであったのです。ケイ酸土で作られた艶のあるレンガを石灰のモルタルで固定したこの装飾は、リアリズムと力強いスタイリングが一緒になり、アケメネス朝ペルシア芸術の模範となる傑作です。



このようなライオンのひとつを描写する彫像に取り組んだ彫金師にとって、オリジナルのフリーズに見られる高貴な動物の筋肉やたてがみの毛を正確に表現するのは困難な挑戦になりました。



また、このライオンはフリーズの一部を成すため、ダイヤルの背景は、壁に貼り付けられた光沢レンガの装飾として表現する必要がありました。これを実現するために職人が選んだのは、ストーンマルケトリーでした。さらによりリアルさを強調するために、縞模様の強い石の小片、つまり石目のないものよりも割れやすい石を選んだのです。石のカッティングで大量のロスが生じるため、見た目も大きさも異なる69個のマルケトリーのパーツを全て取得するのには、3回もの注文が必要でした。元の像と比較すると、石の色は明るく、色褪せる前の本来の装飾の外観を表現しています。



モザイクの技術的な難しさとともに、色の制限もあるなかで、石は、ターコイズとモッカイトジャスパーを選択しました。ダイヤルを取り巻く装飾帯も、ダレイオスの宮殿のもう一つの有名作品The Frieze of Archers (弓の射者)の三角形の装飾から着想を得ました。この装飾は、彫金と経年変化の効果を生む内包物を加えたシャンルべ・エナメルで作られています。また、サファイアクリスタルへのメタライゼーションによって刻まれた文字要素は、古代ペルシアの時代に粘土板に刻まれた楔形文字から取られています。



権力の座についたダレイオスによって初めて書かれたこの楔形文字は、宮殿の設立趣意書を綴ったものです。「メティエ・ダール - 偉大な文明へ敬意を表して - ダレイオス王のライオン」は、その壮麗な宮殿の輝きを再現しています。



メティエ・ダール - 偉大な文明へ敬意を表して- 
サモトラケのニケ

ギリシア神話でニケと呼ばれる勝利の女神を象ったこのサモトラケのニケは、パロス産白大理石を彫る巧みな技術といい、船の舳先に立つ女神の姿を描くデザインの構成といい、まさにヘレニズム期の彫刻を代表する比類ない傑作です。



彫刻家の名は不明ですが、その技法は、「ペルガモンのゼウスの大祭壇」を飾る巨人の戦いのフリーズ(紀元前180-160年)を思わせます。2つの作品は、紀元前2世紀の典型的な彫刻活動を最もよく伝えていますが、女神像は、サモトラケの神殿での捧げものという観点から見る必要があります。地中海東部の争奮戦が繰り広げられたこの時期、つつましいものから、華麗なものまで、捧げものは海軍の勝利や海上での救援を称えて慈悲深い神々に感謝するために相当数が作られました。



勝利のほとんどは、紀元前190年と189年に小アジア沿岸の都市シデやミョネススで起きた戦いに関係していました。この2つの戦いは、ロードスやローマと同盟したペルガモン王国が宿敵のアンティオキアやマケドニア王国に勝利しました。女神像がまとう衣は、風にあおられ、大きな布の流れが両足の間に深いひだを作って垂れ下がり、その繊細さを再現するのは、彫金師にとって最大の難題でした。



ダイヤルの中央部には、茶色のエナメルが施されていますが、この色味をだすのは非常に難しく、現在では生産されていない希少なエナメル素材を組み合わせ、窯で6回も焼成をする必要がありました。



外側を取り巻くグリザイユ・エナメルは、ギリシアの2つの壺に描かれたフリーズを表現しています。赤い塗料で模様が描かれたこれらの陶器の壺は、葉や幾何学模様の装飾が特徴的で、これらのモチーフはダイヤルにも取り入れられています。





外周部はまた、線彫りの彫金技法を用いたゴールドの装飾帯で囲まれています。これは、バス・レリーフの技法で大理石を彫刻した紀元前2世紀の傑作、ペルガモンの壺から着想を得ました。



ニケの彫像を取り付けたサファイアクリスタルにメタライゼーションで刻まれた古代ギリシア文字は、サモトラケで紀元1世紀に発見された奉納の石碑から引用されました。このタイムピースは、ソクテラスの案内のものとでサモトラケ島の偉大な神々の秘儀に加わったアテナイ人を記したもので、「メティエ・ダール - 偉大な文明へ敬意を表して - サモトラケのニケ」によってギリシアの永遠の栄光を見事に讃えています。





メティエ・ダール - 偉大な文明へ敬意を表して- 
アウグストゥス帝の胸像


樫の葉で作った冠をかぶるアウグストゥスの姿は、他の冠をかぶった肖像よりも老けて見え、これは彼が紀元前27年に元老院から市民冠を授与された日付と関係があります。ローマ帝国が誕生したこの年、アウグストゥスは36歳でしたが、この肖像は彼が50代のときのものです。



この種の肖像にはあることですが、皇帝の髪は、強く渦巻いて髪が額の上に垂れています。そして老齢が兆し、やつれていたにもかかわらず、ローマの工房で鋳造され、ローマ帝国全土に流通したコインには皇帝の理想化された姿が描かれていました。胸像の姿は、軍団総司令官であることを表しており、それは彼の権威が全市民の意思によってのみ生じることを強調するためでした(架空にもかかわらず)。アウグストゥスの胸像を再現するゴールドのカーブした彫像は、胸甲を伴うフィブラにより留められたケープのドレープが樫の冠をかぶる巻き毛と相まって、力強いイメージを与えます。



ダイヤルの中央部はブルーグリーンのエナメルが施され、その外周がマイクロモザイクによって装飾されています。これは、イスラエルのロッドで発見された4世紀の有名なモザイクで、ダイヤル外周に見られる装飾モチーフは、それから着想を得ています。



熟練職人にとっての難しさは、硬質石の小片の配置や固定を少しでも間違えると下地に用いるグラン・フー・エナメルのダイヤルのエナメル作業をやり直さなくてはならないことです。モチーフの輪郭とその色に合わせて硬質石を調整する際には細心の注意が必要です。このマイクロモザイクを形成するのに使われた石は7種類以上、全部で660個にもなりました。クォーツァイト、カショロング、デュモルチライト、ムーアカイトジャスパー、レッドジャスパー、グロッシュラー、レッドアベンチュリンなどです。



ホワイトゴールドによる外周の装飾帯は、線彫りの彫金と窯で焼き色付けを施し、チュニジア東部の港町スースで発見された楽器を演奏する動物を描いた4世紀のモザイクから着想を得ました。





アウグストゥスの胸像が付けられたサファイアクリスタルに刻まれたラテン語の文字は、都市ルシカーダ(現アルジェリアのスキークダ)のゲニウス(守護神)に捧げた献辞から取られています。そこには皇帝への讃辞とともに加護を求める現地の高官によってその就任を記念する言葉が記されています。この「メティエ・ダール - 偉大な文明へ敬意を表して - アウグストゥス帝の胸像」は、まさに不滅のオーラが授けられたタイムピースです。




【概要】
ヴァシュロン・コンスタンタンは、ルーヴル美術館との緊密なコラボレーションによって、古代文明を讃え、それらをテーマにした「メティエ・ダール - 偉大な文明へ敬意を表して -」を発表。4つの時代(文明)を代表するルーヴル美術館所蔵の傑作をそれぞれのダイヤルに再現。
選ばれた文明は、
・ダレイオス大王のペルシア帝国
・ファラオが君臨したエジプト
・アレンサンドロス大王の継承者たちのヘレニズム期ギリシア
・ローマ帝国
それぞれの時代を象徴する装飾技法から着想を得たダイヤルの上には、ゴールドの立体的な彫刻で再現・創作した文化的なシンボル(ミニチュアのアプリック)を配置。
また、この特別な彫刻を引き立てるために、当時の装飾芸術から取られたモチーフが組み合わされています。ルーヴル美術館が所蔵する古代の遺物から想を得たこの装飾も、エナメルやストーンマルケトリー、エングレービング、マイクロモザイクなどの分野で活躍する熟練職人に委ねられました。さらに、ゴールドを彫金したアプリックが取り付けられたサファイアクリスタルには、メタライゼーションでよって各時代に関連する代表的な文章が添えられ、当時の楔形文字や象形文字、古代ギリシア語やラテン語のままで再現されています。
20本限定(製作に携わった職人の類まれな才能に焦点を当てた、各モデル5本限定のタイムピース)からなるこのシリーズは、ダレイオス王の宮殿のケイ酸土で作られた艶のあるレンガのフリーズ、スフィンクスとエジプトの棺から取られた絵模様、サモトラケのニケ、ギリシアの陶芸品、アウグストゥス帝の胸像やローマモザイクの傑作が用いられています。いずれもダイヤル外周の四隅で時、分、曜日、日付をディスクで表示する自社製の機械式自動巻きキャリバー2460 G4/2で駆動します。この配置は、卓越した名人芸と独創性を発揮するデザイン構成に、広々とした空間が確保されています。


【技術データ】
メティエ・ダール - 偉大な文明へ敬意を表して -タニスの大スフィンクス
リファレンス・ナンバー :7620A/000R-B927

ジュネーブ・シール :取得
キャリバー・ナンバー :CAL.2460 G4/2(ヴァシュロン・コンスタンタン自社開発・製造)
駆動方式 :機械式自動巻き
ムーブメント・サイズ :直径31MM×厚さ6.05MM
パワーリザーブ :約40時間
振動数 :4HZ(毎時2万8800回振動)
部品数 :237
石数  :27
表示  :時、分、日付、曜日(窓で表示)
ローター  :22Kピンクゴールド製ローターにルーヴル美術館の東側ファサードをエングレービングで描写
ケース :18K(5N)ピンクゴールド、サファイアクリスタルのシースルーケースバック
ケースサイズ :直径42MM×厚さ12.9MM
防水機能 :3気圧(約30M)
文字盤   :シャンルべ・エナメルの装飾帯、シャンルべ・エナメルおよびエナメルの背景
     メタライゼーションでサファイアクリスタルに刻まれた文字
     手彫りによる3Nゴールドの彫像、パティーナ加工
ストラップ :ブルーのミシシッピアリゲーターレザー、アリゲーターレザーによるライナー
       手縫いサドルステッチ、ラージスクエア・スケール
クラスプ :18K(5N)ピンクゴールド、ポリッシュ仕上げの半マルタ十字
限定数:個別番号入り5本限定
販売:ヴァシュロン・コンスタンタン・ブティックのみで販売



メティエ・ダール - 偉大な文明へ敬意を表して -ダレイオス王のライオン
リファレンス・ナンバー  :7620A/000R-B926

ジュネーブ・シール :取得
キャリバー・ナンバー :CAL.2460 G4/2(ヴァシュロン・コンスタンタン自社開発・製造)
駆動方式 :機械式自動巻き
ムーブメント・サイズ :直径31MM×厚さ6.05MM
パワーリザーブ :約40時間
振動数 :4HZ(毎時2万8800回振動)
部品数 :237
石数  :27
表示  :時、分、日付、曜日(窓で表示)
ローター  :22Kピンクゴールド製ローターにルーヴル美術館の東側ファサードをエングレービングで描写
ケース :18K(5N)ピンクゴールド、サファイアクリスタルのシースルーケースバック
ケースサイズ :直径42MM×厚さ12.9MM
防水機能 :3気圧(約30M)
文字盤 :彫金を施したメタルとシャンルべ・エナメルの装飾帯、ストーンマルケトリーの背景
     メタライゼーションでサファイアクリスタルに刻まれた文字
     手彫りによるホワイトゴールドの彫像、パティーナ加工
ストラップ :グレーのミシシッピアリゲーターレザー、アリゲーターレザーによるライナー
       手縫いサドルステッチ、ラージスクエア・スケール
クラスプ :18K(5N)ピンクゴールド、ポリッシュ仕上げの半マルタ十字
限定数:個別番号入り5本限定
販売:ヴァシュロン・コンスタンタン・ブティックのみで販売


メティエ・ダール - 偉大な文明へ敬意を表して -サモトラケのニケ
リファレンス・ナンバー  :7620A/000G-B928

ジュネーブ・シール :取得
キャリバー・ナンバー :CAL.2460 G4/2(ヴァシュロン・コンスタンタン自社開発・製造)
駆動方式 :機械式自動巻き
ムーブメント・サイズ :直径31MM×厚さ6.05MM
パワーリザーブ :約40時間
振動数 :4HZ(毎時2万8800回振動)
部品数 :237
石数  :27
表示  :時、分、日付、曜日(窓で表示)
ローター  :22Kピンクゴールド製ローターにルーヴル美術館の東側ファサードをエングレービングで描写
ケース :18Kホワイトゴールド、サファイアクリスタルのシースルーケースバック
ケースサイズ :直径42MM×厚さ12.9MM
防水機能 :3気圧(約30M)
文字盤 :手彫りのゴールド製の装飾帯、グリザイユ・エナメルとエナメルの背景
     メタライゼーションでサファイアクリスタルに刻まれた文字
     手彫りによるホワイトゴールドの彫像、パティーナ加工
ストラップ :ダークブラウンのミシシッピアリゲーターレザー、アリゲーターレザーによるライナー
       手縫いサドルステッチ、ラージスクエア・スケール
クラスプ :18Kホワイトゴールド、ポリッシュ仕上げの半マルタ十字
限定数:個別番号入り5本限定
販売:ヴァシュロン・コンスタンタン・ブティックのみで販売



メティエ・ダール - 偉大な文明へ敬意を表して -アウグストゥス帝の胸像
リファレンス・ナンバー :7620A/000G-B929

ジュネーブ・シール :取得
キャリバー・ナンバー :CAL.2460 G4/2(ヴァシュロン・コンスタンタン自社開発・製造)
駆動方式 :機械式自動巻き
ムーブメント・サイズ :直径31MM×厚さ6.05MM
パワーリザーブ :約40時間
振動数 :4HZ(毎時2万8800回振動)
部品数 :237
石数  :27
表示  :時、分、日付、曜日(窓で表示)
ローター  :22Kピンクゴールド製ローターにルーヴル美術館の東側ファサードをエングレービングで描写
ケース :18Kホワイトゴールド、サファイアクリスタルのシースルーケースバック
ケースサイズ :直径42MM×厚さ12.9MM
防水機能 :3気圧(約30M)
文字盤  :手彫りのゴールド製の装飾帯、エナメルとストーンマイクロモザイクの背景
      メタライゼーションでサファイアクリスタルに刻まれた文字
      手彫りによるホワイトゴールドの彫像、パティーナ加工
ストラップ :バーガンディのミシシッピアリゲーターレザー、アリゲーターレザーによるライナー
       手縫いサドルステッチ、ラージスクエア・スケール
クラスプ :18Kホワイトゴールド、ポリッシュ仕上げの半マルタ十字
限定数:個別番号入り5本限定
販売:ヴァシュロン・コンスタンタン・ブティックのみで販売



【お問い合わせ】
Vacheron Constantin
0120-63-1755(フリーダイヤル)