NAOYA HIDA & Co. 「Creation 2024-2025」を発表~実機レポートも併せて掲載

 From : Naoya Hida & Co. (ナオヤ・ヒダ&Co.)





NAOYA HIDA & Co. 「Creation 2024-2025」を発表


NH WATCH 株式会社が新作4点を含む2024年度 の NAOYA HIDA &Co.の製造計画 を発表しました。


①NH TYPE5A
生産本数:2024年~2025年に10点程度を生産予定
価格: 3,300,000円(税込)

NAOYA HIDA & Co.初のレクタンギュラー・ケース、シースルー・ケースバックからは新設計の角形手巻きムーブメントCal.2524SSを見ることができ、2つの部品を組み合わせて製作されるヴィンテージ・カットガラスを思わせる形状サファイヤ・クリスタル、凹面形状のドルフィン・ハンド、手彫りで表現されたバー及びアラビック・インデックス等々の多くの要素が組み込まれています。







②NH TYPE3B-1
生産本数:2024年~2025年に5点程度を生産予定
価格: 4,180,000 円(税込)

NH TYPE3シリーズ初の派生モデル。18KRG製のベゼルと時分針を持つ2トーン・ウォッチ。夜空に輝く銀河を模したラピスラズリ製のムーンフェイズ・ディスクに手彫りされた18KYG製の月が組み込まれています。






③NH TYPE1D-2
生産本数:2024年~2025年に5本程度を生産予定
価格: 6,380,000円(税込)

NAOYA HIDA & Co.初の18KYG製モデル。洋銀製の文字盤は銀摩擦メッキによって仕上げられ、外周の分目盛りには手作業で仕上げられた60個の18KYG製目盛りが組み込まれています。18KYG製のピンバックルの裏側に彫り込まれているNHの小さなロゴは手彫りで仕上げられています。





④NH TYPE1D-3
生産本数:2024年~2025年に3本程度を生産予定
価格: 8,800,000円(税込)

18KYG製のケースの4つの側面に彫金師加納圭介によって彫刻を施したモデル。アールデコ様式の波や噴水のモチーフを立体的に彫り込んでいます。ケースバックの刻印も彫金によって仕上げられています。








また、下記の4点の時計は2023年より継続して製造いたします。

⑤NH TYPE1D(2022年に発表されたスモールセコンドが9時位置にあるTYPE1シリーズの第四世代)
⑥NH TYPE3B(2022年に発表されたムーンフェイズ表示が6時位置にあるTYPE3シリーズの第二世代)
⑦NH TYPE4A(2023年に発表されたNAOYA HIDA & Co.初のややスポーティなテイストの36mmケースのモデル)
⑧NH TYPE4A-1(2023年に発表されたNAOYA HIDA & Co.初のDLC加工によるダークグレー色の文字盤を組み込んだモデル)

なお、2024年に製造される全てのモデルはピンバックル仕様となり、昨年発表したD-バックルは、別売りのオプションとなります。今年、もしくは過去に弊社の時計を購入したことのあるお客様が注文いただくことができます。

[NH WATCH株式会社]
NH WATCH株式会社は、ヴィンテージの腕時計や懐中時計が持つ美しさと、現代の最先端の製造技術、そして彫金に代表される手作業を融合させた腕時計を作ることを目標として2018年に設立されました。
https://naoyahidawatch.com/



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NH Watch本社にて行われた発表イベントにて実機を拝見させていただけましたのでレポートします。





飛田さん・藤田さん・加納さんによるプレゼンテーションによって新作が発表されます。



個人的な興味はブランド初となる角形時計のTYPE5Aおよび、搭載されたCal.2524SSと名付けられたムーブメントの詳細です。
写真からある程度の「推測」はできましたが、それを質問します。



他のNH Watchの時計と同様、「飛田さんが欲しい時計」としてヴィンテージの角形時計から発想をスタートさせてムーブメントの検討を行ったそう。

丸型に対してスペースの有効活用が難しい角型ムーブメントで、充分な精度(≒テンワの慣性モーメント)、適切なスモールセコンドの位置、そしてスケルトンバックの美観、を考慮して検討・設計が進められます。
その結果、ベースムーブメントとしてはプゾー7001(ETA7001)の輪列・テンワを活用する、と言う決定がなされ、プゾーでは緩やかに湾曲している輪列レイアウトを直線的に配置する、と言う変更が行われました。



スモールセコンドを適切な位置に配置するために4番車をムーブ中心に置き、4番車とガンギを独立したブリッジで支えています。
そのままではプゾーのオリジナル設計ではテンワと同じ高さに配置されている3番車が干渉してしまうため、3番車を逆につけて、向かって一番手前に3番車を配置しました。
この変更に合わせ4番車のホゾを変更し、輪列のレイアウトを変更しました。

輪列・テンワはプゾーのものを使いつつ、地板やブリッジ、巻き芯やカンヌキなどのリュウズ周り、コハゼは飛田さんの理想とする感触を実現するためにオリジナルの設計・製造を行った部品を使いNH Watch Cal.2524SSとしてまとめ上げました。

この「2524SS」と言う名前についても伺いました。
SSはスモールセコンド(Small Second)であろう、と言うのは予想できましたが、2524と言うのはETAに同名のキャリバーがあり、ベースがこれか?と予想したものの、明らかに違っていたからです。

答えは25がムーブメントの全長(長辺)である25.9mmの25、24は2024年の開発、を組み合わせて2524になった…とのことで納得しました。

ムーブメントの外観についても現在はプロトタイプで最終ではないのか、と確認したところ、ブリッジはこの形が気に入っているが仕上げについてはより別の表現ができないか検討している、とのこと。



もうひとつ目を引いたのはアンティークのカットガラスのような複雑な造形のサファイアクリスタ風防。
(あまりうまくとれていません…)

カットガラスでは作れる形状でも硬度が高いサファイアクリスタルでは製造が難しく、削り出して作ってみたものも満足する出来ではなかったとのこと。

しかし、古典的なガラスでは「現代の時計」としての実用性が担保できない…と言う葛藤から、開発されたのが「二つの部品から構成されるサファイアクリスタル」という逆転の発想です。
レンズ状の凸型のメインの風防サファイア部品とロの字型で真ん中が中空のフレームサファイア部品を別々に製造した後、NH Watchで組み合わせて接着、複雑な形状のカットガラスの様なサファイアクリスタル風防を完成させました。

これにより古典を思わせるカットガラス形状とサファイアクリスタルの信頼性を両立した飛田さんの理想の時計が出来上がりました。



そして、ブランド初となる18KYG製ケースを備えたTYPE1D-2とエングレーブを施したTYPE1D-3。
新採用の文字盤は古典技法の銀摩擦メッキ仕上げによって仕上げられた洋銀文字盤で、この銀摩擦メッキは今回は18KYG製ケースのみ使用とのこと。

また、60個のミニッツインデックスは洋銀に開けられた穴にイエローゴールドの「ピン」を一つずつ埋め込むことで作られており、5の倍数のインデックスはツライチ、それ以外は少し凹んでいるように見え、立体感を楽しむことができます。
「ピン」と表現しましたが、ピンは文字盤の高さよりも短く、一つずつ埋め込む際に均等な高さになるように調整して凹凸を表現するとのこと、大変そうです…
印刷やメッキではなく、ケース同様のリアルなイエローゴールドの色をインデックスで楽しむことができます。



エングレーバーの加納さんが持てる力をフルに発揮したアールデコ期の噴水や波をイメージした彫刻。
「深さ」を表現するためにかなり深く彫りこんでいるのと同時に、エングレーバーとしてエッジが丸まってしまうバフ掛け研磨を行わずに「彫刻刀だけ」最後の鏡面仕上げまで彫りこむことに挑戦しています。
その結果、彫刻刀だけで滑らかな表面を作り出し、エッジも立っている、を両立しました。

上記の写真はラグの間にもエングレーブがあるので是非外して見てほしい!の図です。



TYPE1D-3のストラップはTAKUYA MADE BY HAND(T・MBH)が制作したハンドメイドのスペシャルなもの。
T・MBHのアイコンで特徴的な「えくぼ」(YouTubeの解説動画)もケースに合わせてイエローゴールドで制作されています。
遊革も独自のノウハウで継ぎ目が見えにくく形を保つようなノウハウが投入されているそうです。



そしてラピスラズリのムーンディスクと18KRG製ベゼルが特徴的なTYPE3B-1。
ゴールドのムーンとラピスラズリの青色、そしてベゼルのコントラストが特徴的です。

どれも飛田さんが作りたい、と思ったものを形にしていると感じる作品群。
是非実機を見てほしい!と思える作品でした。