Inside Czapek - その2

 By : NOBLE STYLING GALLERY
9月1日の投稿で、Czapekのファースト・モデル Quai des Bergues(ケ・デ・ベルク)の特徴であるマスター・ホールマーク、シークレット・シグネチャー、フルール・ド・リス針についてご紹介しました。
あれから少し時間がたってしまいましたが、その第二弾です。 


ダブル・ハンド



Czapekのダイアル・レイアウトの特徴である、下部にセットされた2つのインダイアルのうち、4時側にあるのがダブル・ハンドによる、7日間のパワーリザーブと曜日表示です。この手法が最初にフィーチャーされたのが、モデル3430でした。


19世紀のクロックは週に1回、日曜日のミサの後、巻き上げられました。François Czapek (フランソワ・チャペック)はそのことに気づき、このモデルにこの針を搭載しました。パワーリザーブは、日曜日にフルに巻き上げられた状態で、土曜日にはゼロに近い状態になるということです。(パワーリザーブは、時計が日曜日に止まってしまわないように、7日と約12時間以上に設計されています。)


< REVOLUTION > ケース



18K製ケースは、どちらかというとトラディショナルなラウンド・シェイプですが、スティールのケースには、非常に手間のかかかった仕上げがなされています。ひとつは、リューズガードとケースを一体化させるために、2つのラウンドを一体化するいう手法がとられています。そしてもうひとつは、大胆にえぐられたラグのサイドです。


ミステリアスなスティール - XOスティール



XOスティール、聞きなれない言葉だと思います。
もともとこのスティールは、北欧で作られたもので、そのきっかけは、北海のような塩分濃度の濃い環境での作業に耐えうるマテリアルが必要だったことによります。ということで、このスティールは「耐腐食性に優れる」というのが、一番大きな特徴です。このマテリアルを初めて採用したのが、Czapek社です。
そしてその供給元は、スイスのイタリアン・パートStabioに本社屋を構える、スティールのスペシャリストMontanstahl(モンタンシュトール)という会社です。


カーボン・ダイアル



カーボンのダイアルはよく見かけますが、Czapekのカーボン・ダイアルは2枚仕立てになっています。
0.43mmのカーボン繊維を使い、センターは単方向のカーボンシート、そしてその外周はレコード盤のような同心円を描いています。これは、カーボンシートをカーボンの棒に巻きつけ、0.4mm厚にスライス、ダイアルベースに接着したものです。イメージとしては、バウムクーヘンをつくるような感じかもしれません。


オープン・ラチェット(角穴車)

続いて、ムーブメントに目を向けましょう。

このムーブメントは、 1850年、François Czapek によって製作された歴史的なムーブメントにインスピレーションを得たものです。

 

Quai des Bergues コレクションに搭載されている、キャリバーSXH1は、LeLocle にChronode (クロノード)という工房を構える、ウォッチメーカーでありデザイナーであるJean- François Mojon(ジャン・フランソワ・モジョン)との協力によりウォッチメイキングの厳密なルールに従ってCzapek のために特別に製作された、最初のムーブメントです。

この2つのムーブメントを比べると、この2つに共通の美しい一対のオープン・ラチェットなど、ポケットウォッチ用に製作されたキャリバーが見事に腕時計用として再現されたことがよくわかります。
そして、あえてコート・ド・ジュネーブなどではなく、サンドブラストでブリッジを仕上げているところにも個性を感じますし、時計の美しさを追求したフランソワ・チャペックの精神を引き継いでいると思います。

このような数多くの特徴を持つQuai des Bergues。当店に常設してございます。
ぜひお手にとって、この時計のディテールをお楽しみください。