ローマン・ゴティエ初のステンレススティール・モデル、「プレスティージHMSステンレススチール」は希少なメテオライト文字盤を採用!

 By : KITAMURA(a-ls)

ローマン・ゴティエの今年のSIHH新作として、
・インサイトマイクロローター・レディー・オパール https://watch-media-online.com/news/1960/
・ロジカル・ワン ユニークピース  https://watch-media-online.com/blogs/2025/
という2タイプの作品を紹介しているが、実はもうひとつ、非常に面白い作品が隠されていた。


「バレンタインデイに発表したいので、それまで公表は待って」という条件で、SIHH会場でこっそり見せてもらってはいたのシークレット・モデルがついにそのベールを脱いだ。


その名も、「プレスティージHMSステンレススチール」!!



大きな特徴は2つ。
文字盤に美しく希少性の高いヘンブリー隕石(メテオライト)が採用されていること、そして、ローマン・ゴティエ初のステンレススチールケースのモデルであること。(当サイト熱心な読者であれば、SSケースに関しては特別な例外があることをご存知だと思う、興味のあるかたは過去記事を探してください!)


まず、鉄とニッケルの合金が織りなす帯状の模様が美しいヘブンリー隕石文字盤について、プレスリリースから引用する。



隕石(メテオライト)の中でも、希少なヘンブリー隕石の文字盤

文字盤に使われている隕石(メテオライト)は八面体をしています。鉄隕石の一つであるオクタヘドライトと呼ばれるこの隕石は、1931年にオーストラリア北部のノーザンテリトリーにあるヘンブリー・クレーターにて発見されたものです。この地は多くのクレーターが存在するオーストラリア有数の地として知られています。

隕石は硝酸につけるまでは、灰色の無機質の塊にしか見えません。硝酸につけることにより、鉄とニッケルの合金から成る帯状の模様(「ウィドマンシュテッテン構造」や「トムソン構造」と呼ばれる)が浮き上がります。この模様は、(この隕石が存在していた)元の小惑星において長い時間をかけて形成されたものです。


●隕石(メテオライト)を硝酸につける前と後

文字盤の作成は、三軸CNCマシンと放電加工機を組み合わせることで、隕石(メテオライト)を直径33㎜、厚さ0.8㎜に仕上げます。そして耐食処理を施すことで文字盤の劣化を防ぎます。

●隕石の(メテオライト)のどの部分を使うか選定している様子



●3軸CNCマシンによる切削




●文字盤に使われる隕石(メテオライト)


ヘンブリー隕石は大変希少性が高く、この時計に使用したもの以外のサンプルは、オーストラリアのアデレードにあるサウス・オーストラリアン鉱物博物館にて管理されているもののみです。

ローマン・ゴティエ本人がこの隕石に魅了されたのは彼の生い立ちに理由があります。彼の家の周りは岩に囲まれていて、父親が石や鉱物を収集していたのです。

ローマン・ゴティエは以下のように述べています。
「私の父は鉱物や宝石の展示会によく連れて行ってくれました。父は、瑪瑙(めのう)、ラブラドライト、水晶、デザートローズを好んで買っていました。幼い時にそうした石や鉱物に魅了されることや、自然により形成された美しい色や形に思いを馳せることはよくあると思うのです。」
そして続けます。

「このヘンブリー隕石を初めて見た時、帯状の模様の帯の幅や、光の反射の仕方から、この隕石は特別なものであるとわかりました。私達がこれまで見てきた他の鉄隕石と比較できないほど、素晴らしいものでした。そしてすぐに、この隕石を使った特別な時計を作ることを考えはじめたのです。」 



以下は、SIHH会場で撮影した実機画像。


角度や光の当たり方によって、様々な美しい表情を見せる、かつてないメテオライト・ダイヤルという印象だった。

次の特徴はステンレススティール・ケースだ。
これまでほぼ貴金属ケースを採用してきたローマン・ゴティエだが、文字盤の隕石(メテオライト)が、鉄隕石由来であることを考えた時、ケースもまた「鉄」であることが自然と考え、ステンレススチールを採用したという。
なるほど、筋がとおっている(笑)。

見てわかるように、 プレスティージHMSには、リューズがない。
プレスティージHMSのリューズはケース裏側にある。しかもケースバックに対して段差がない。この利点はいくつもある。たとえば、既存のリューズでは巻き上げの力を巻き芯によって90°で伝達しなければならないが、リューズが裏にあれば同じ方向の輪列上に置けるため、とても効率の高い巻き上げが実践できる。




また、裏に置くことでリューズの直径が大きくできるうえ、さらに外周に波状の加工を施すことで、腕に時計をつけながらでも簡単に巻き上げを行うことが可能だ。



そして、裏リューズの最大の利点は、リューズという突起物が無いぶん、完全なラウンドを基調としたデザイン的な美が追求できることだ。プレスティージHMSの43mm径のエレガントなケースは全てに干渉されない完全な曲線ラインが実に美しくムーブメントを包み込んでいる。

ムーブメントは自社製ムーブメントCal.2206HMSを採用。
シースルーバックからはCal.2206HMSのイノベーティブな設計や、手作業による最上級の仕上げを眺めることができる。
数少ない問題点のひとつは、希少な文字盤だけあって、それほど多くは製造できないことだろうか。「プレスティージHMSステンレススチール」は世界限定10本のモデルとなっている。


プレスティージHMSの「H.」、「M.」、「S」は、Hours(時間)、Minutes(分)、Seconds(秒)の頭文字から取られている。
つまり確実な視認性により時刻確認を最重視したモデルなのだ。以下は、再びプレスリリースから、ローマン・ゴティエが「プレスティージHMS」に込めた、その特性を引用しておく。


◆時刻表示
時分は12時位置の大きなサブダイヤルにより表示され、秒は5時位置のサブダイヤルで表示されます。この時計の持ち主が、時分を確認し、そのまま5時位置の秒針のサブダイヤルへ視線が移るように設計されています。

視認性の高さはこれだけにとどまりません。黒色表面処理の施されたスチールの時分針、そしてホワイトゴールド製のインデックスにはスーパールミノバが塗布され、夜間でも時刻の確認が容易です。

◆段差なくフラットで、直径の大きな裏リューズ

裏リューズの構造上の特徴は、セラミック製の小さなボールとラバー製のバネです。この構造により、巻き上げや時刻設定の際に、既存のリューズ内のバネよりも効率的に力を伝えることができます。同時に、ボールに使われているセラミックは耐久性が高く、摩擦を減らします。二つのOリングのパッキン(一つは大きめに作られています。)は防水性、防塵性を有し、リューズを引き出した時も安全です。
仕上げのコントラストは、ステンレススチール製ケースを引き立てます。ベゼルとケースサイドはきらびやかな鏡面仕上げ、リューズ、ラグは控えめな輝きを放つサテン仕上げとなっています。

 

 ◆自社製ムーブメントの最高級の眺め

時計を裏返した時に見えるのは、裏リューズだけではありません。シースルーバックからはCal.2206HMSをご覧いただけます。このムーブメントは60時間のパワーリザーブを有します。アイデアの着想から、発展、設計、組立、調整にいたるまで全てジュウ渓谷のローマン・ゴティエの工房にて行われています。ほとんど全てのパーツに、ローマン・ゴティエの美しい仕上げが施されています。


◆ジュウ渓谷の伝統を継承。「フィンガーブリッジ」と「手作業の仕上げ」

ムーブメントはローマン・ゴティエの生まれ育ったジュウ渓谷の時計作りの伝統に忠実です。フィンガーブリッジとは、歯車、ピニオン、シャフトなどの部品一つ一つにそれぞれ作られたブリッジ(受け)です。使用されているフィンガーブリッジの特徴は、手作業による鏡面仕上げ(ポリッシュ)と丸みを帯びた断面です。パーツの角を落とす工程や、穴石用の穴のポリッシュに至るまで手作業で行われます。

ブリッジ(受け)や地板はブラックNAC処理がなされています。しかし、同じブラックNAC処理でありながら、ヘアライン仕上げの受けと、ハンドフロスティングが施された地板は、美しいコントラストをなしています。そして、ロジウムメッキが施され、同心円状のヘアライン仕上げの歯車とも、ブラックNAC処理はコントラストをなしています。香箱の両側はらせん状のヘアライン仕上げが施され、歯車の間や、受けの裏側に見られる部分からはペルラージュ仕上げが顔をのぞかせます。ムーブメントの見えない部品にまで仕上げはおよび、ムーブメントには60時間あまりの手作業による仕上げが施されます。


◆独自設計のテンワ、三角形のアンクル

脱進機の特徴はローマン・ゴティエを象徴するカーブしたアームを持つテンワと補正ネジです。耐久性を重視した形状の三角形のアンクルは、職人の手により組み立てられます。


◆歯車の特徴は円の重なったスポークと、高い効率性を誇る歯

歯車の円の重なったスポークは、エレガンスと高い耐久性を有します。特許を取得した歯は理想的な効率を実現しました。


◆S
字状の溝を持つネジ頭

ネジ頭のS字状の溝は美しいだけでなく、ムーブメントの組み立て時に、より強いトルクをもたらします。

 

【プレスティージHMS技術仕様】

 

特徴と外観

時分針表示
希少性の高いヘンブリー隕石を全面に用いた文字盤
ステンレススチール製ケース
人間工学に基づく巻き上げを実現し、段差のないフラットな裏リューズ
シースルーバックより見られる最高級の手仕上げ、および自社製ムーブメント

文字盤と針

オフセンターに配置された時・分のサブダイヤル(12時位置)
スモールセコンド(5時位置)
黒色表面処理の上にスーパールミノバの塗布された時分針
黒色表面処理を施された秒針
スーパールミノバの塗布されたホワイトゴールド製インデックス

隕石(メテオライト)詳細

発見場所:オーストラリア北部、ノーザンテリトリーにあるヘンブリーメテオライト保護区
発見年:1931年
分類:オクタヘドライト

ムーブメントと仕上げ

自社製ムーブメント Cal.HMS 2206 (手巻き)
サイズ:34mm × 5.5mm
パワーリザーブ: 60時間
石数: 22石
部品数: 128個
振動数: 毎時28,800回 / 4Hz
仕上げ:オートオルロジュリ(高級時計)における最高級の手作業の仕上げ
その他:受けのブラックNAC処理、歯車のロジウムメッキ

ケース

素材:ステンレススチール製
サイズ:43mm x 12.1mm
防水性:10m /1気圧
リューズ:裏リューズ
風防:サファイアガラス(無反射コーティング)

ストラップとバックル

ブラックアリゲーターストラップとステンレススチール製ピンバックル

世界限定10本
本体価格:10,000,000円



ローマン・ゴティエ お問い合わせ先:
スイス・プライム・ブランズ 03-4360-8669 



ローマン・ゴティエについて
2005年に誕生したローマン・ゴティエは、情熱に満ちた創業者ローマン・ゴティエ本人が指揮を執る、スイス・ジュウ渓谷に拠点を置く高級時計ブランドです。ゴティエは、スイスの時計製造の中心地であるこの絵のように美しいジュウ渓谷で生活し、学び、そして働くことで培ったノウハウを、オートオルロジュリ(高級時計製造)に対する妥協のないアプローチと結びつけることで、類まれなタイムピースを創出しています。
これらのタイムピースは、その人目を引き付けるデザイン、革新的な自社製ムーブメント、そして極めて高いレベルの仕上げによって称賛されています。ローマン・ゴティエの時計の特別さは、年産約60本というわずかな生産本数からも保たれています。

ブランド創業者について
ローマン・ゴティエは1975年、スイスの時計作り発祥の地と言われるジュウ渓谷に生まれました。ローマンはこの地で、伝統的なオートオルロジュリへの情熱、機械学やエンジニアリングへの理解、そしてデザインに対する鑑識眼を養いました。
技術学校で精密機構を学んだローマンは、その後1997年に精密機械のコンストラクターとしての資格を取りました。1年後、彼は初仕事として時計部品メーカーの機械プログラマー兼オペレーターの職に就き、その工場をヨーロッパ内で最も性能の良い設備の整った施設へと進化させました。
ローマンは、自身の高級時計を一から創造するだけでなく、自らの高級時計ブランドを立ち上げることを固く決心し、2002年にMBAを取得しました。彼の修士論文は、自身のブランドの経営計画についてでした。
3年間非公開で自身のタイムピース製作に取り組んだ彼は、2005年にローマン・ゴティエ ブランドを創設し、ブランドのファーストモデル「プレスティージ HM」を、2007年のバーゼルワールドで披露しました。その後、次々とプレスティージ HMS(2010年)、ロジカル ワン(2013年)、ロジカル ワン シークレット(2014年)、インサイトマイクロローター(2017年)、インサイトマイクロローター レディー(2018年)を発表。これらの作品群は、クラシカルで洗練された作品、現代的でカジュアルな作品、そして極めて優美な芸術的作品を網羅し、そのどれにも、最高の仕上げが施された自社製ムーブメントが搭載されています。2013年、時計界のオスカーと称されるジュネーブ・ウォッチ・グランプリにて、ローマン・ゴティエの「ロジカル ワン」は、ベスト・メンズ・コンプリケーション賞を受賞しました。 

マニュファクチュール・ローマン・ゴティエ
ローマン・ゴティエが類まれなタイムピースを製作できるのは、彼が着実につくり上げていった、スイスのル・サンティエにあるマニュファクチュールのおかげです。
 このマニュファクチュールでは、熟練した職人たちと昔ながらの時計製造工具が、経験豊かな技術者たちおよび最先端の製造方法と融合し、ローマン・ゴティエの時計に搭載するムーブメントの設計から製造、装飾、組み立て、調整に至るまでの工程すべてを一貫して行う設備が整っています。
これらのノウハウは、妥協のない品質および優れた精度を約束するだけでなく、ローマン・ゴティエのタイムピースに最高の美しさと唯一無二の魂をもたらしています。