BaselWorld 2019: シチズン 年差 +/- 1秒 の衝撃!

 By : KIH
速報的にお伝えしたニュース記事では、本当に「さわり」の部分しか発表されなかったが、バーゼルでその実機を触らせていただき、自分なりに理解したことをレポートする。

まずは、シチズンの毎年定評のあるブースの様子から。









さて、ついに年差1秒時計との対面である。









なにが年差1秒を可能にしたのか? チャレンジは何だったか? どうやって克服したのだろうか?
シチズンは、実は1975年に年差3秒のクォーツを出している。その後、コンスタントに年差5秒のモデルを出している。

今回シチズンは、ATカット型水晶振動子を採用。従来の256倍の周波数、約8.4MHzのクォーツムーブメントを開発した。従来の音叉型に比べてはるかに多くのエネルギーが必要ではあるが、温度特性が非常によく、姿勢差がほとんどなく(従来の音叉型水晶振動子にはある)、経時変化も安定していることが知られている。このエネルギーを供給するために、エコ・ドライブの進化が大きな役割を果たしている。それだけの電力を発生することができるエコ・ドライブになった、ということである。

その高エネルギー(高トルク)を利用し、今回のザ・シチズンは針には従来のアルミではなく、真鍮を採用している。また、超精密部品を高精度で作り、摩擦を極限まで減らすため、LIGA(LIthographie Galvanoformung Abformung = (ドイツ語)フォトリソグラフィー 電解メッキ形成)プロセスによって、微細部品を製作している。

また、1日に1440回(すなわち、毎分)温度をチェックし、その温度によって周波数を調製する機構あり、耐衝撃、耐磁能力も高い。

というわけで、年差1秒をうたっているが、それは実用数値である程度余裕を持った数字である、ということらしい。実際にはこちらの写真のように、この個体は、日差-0.0009秒で動いており、年差に直すと0.25秒なのである。この精度には脱帽。



では、もう少し外側を見ていこう。





リューズもラグも、水晶をイメージしているのがわかるだろうか。

そして、わかりにくいかもしれないが、文字盤自体は「すり鉢」状になっており、秒針は下に向かって曲がっており、文字盤と秒針が最遠部で出会うイメージで作られている。




この文字盤にもソーラーパネルが入っていることを忘れてはいけない(白蝶貝文字盤)。


そして黒い文字盤に太陽光を通すためにこんなメッシュを入れる工夫をしているのだ。


やはりエコ・ドライブは進化を続けていた!

日本の技術は大したもんだと、素直に思った。このモデルはすごい。

それぞれ限定版。

こちらは、ホワイトゴールドケース、100本限定、180万円(税抜)


黒文字盤は500本限定、80万円(税抜)


白蝶貝文字盤は200本限定、80万円(税抜)


大したものである。裏からクォーツメカニズムを見せるところが自信の表れだろう。

シチズンはシチズンらしい方向に向かって着実に毎年新しいものを出してきている。