菊野昌宏/ Masahiro Kikuno: 和時計 改 第一号が納品されました!

 By : KIH
日本が誇るAHCI会員、菊野昌宏氏による「和時計 改」の第一号が納品された、というニュースがご本人より届きました。

2015年のバーゼルで発表された、かつて菊野氏自身が作った「和時計」の腕時計版をさらに小型化したこの作品は、年産1本と決められ、筆者も氏を何年もフォローしておりますが、その出来を楽しみにしていました。

この記念すべき1本目は、オーナーの意向によりケース一面にエングレービングが施され、また「暁鐘」と名付けられた個体となりました。インデックスの漢字、および裏面の文字は、金川恵治氏が担当されました。

PuristSPro.comではいくつも氏に関する記事、アトリエ訪問などもしましたが、それは今後こちらでも紹介していこうと思いますが、まずはこの素晴らしい作品の写真をご覧ください。




しばらく前、こちらのプロトタイプが出来上がった際に撮らせてもらった動画がこちらです。




裏側からの動画はこちらを。



では、和時計とはなんでしょうか?

まずは、こちらで基礎知識を。
https://ja.wikipedia.org/wiki/和時計


要するに、かつて日本では、不定時法が使われ、昼間を6つに、夜を6つに分けて、Xの刻、というような表現をしていました。ですから、その「刻」の長さは毎日変わっていくのです。夏至の日に昼間の時間が一番長くなり、春分・秋分の日に等しくなり(実際には、気象学で言うところの日の出、日の入りと違い、真っ暗になったら夜、と明るくなり始めたら朝、という考え方でしたので、春分・秋分の日とはじゃっかんずれていました)、冬至には昼間が一番短くなります。それらを6つに分けるのですから、常に「何か」が毎日動かなければいけません。

菊野氏は、合計12個の「刻」が書かれたインデックスを1年かけて広げて狭めるように動かす方法を考案、針の動きは変わらずとも、インデックスを動かすことにより和時計の表現を再現したのでした。今回の「改」では、時計モジュールと、和時計モジュールを時計の12時側の上半分と6時側の下半分に置いたことにより薄型・小型化に成功したというものです。ちなみに、もちろん普通の時計としても使えます。ただ、緯度によって日中の長さは変わりますので、注文するときには(後日調整も可能です)ご自分のお住まい近辺の緯度に合わせて作ってもらう必要があります。

ネジ1つから自分で作る菊野氏、まさに日本が誇る独立時計氏です。

http://www.masahirokikuno.jp/


以下は、プロトタイプ制作時の写真ですので、ご興味のある方はどうぞ。