セイコー: 桜田・照井スペシャル「Orochi」が再び現る!

 By : KIH
正式にはこれは「セイコー」と呼ぶと、各方面からお叱りを受けるかもしれない。

これは、Long Slow Distanceという、原宿にあるショップのオーナーが(広島等にあるUnited Salonのオーナーでもあり、BIK-Globeグループ)、長年 桜田氏、照井氏、そしてセイコーインスツルメンツと交渉して実現した夢のプロジェクトである。すなわち、Long Slow Distanceのショップモデルであり、もちろん時計はすべて雫石工房で作られているが、どこにも「SEIKO」の文字も、68系の薄型ムーブが従来入るブランドである「Credor」の文字もない。

知らない読者が多いかもしれないが、それは無理もない。8つしか作られなかったからだ。筆者は、これをローンチ時の2013年7月に取材している。某雑誌に紹介されて取材し、ネット上では英語メディア(残念ながらこのサイトは今年初めにオーナーチェンジによりすっかり違うコミュニティーになってしまい私も脱退し多数の古株と新しいサイトに移ったが)にしか公開していない。その某雑誌を見られた方は覚えているかもしれない。とにかく、写真を見ていただきたい。

2013年、プロトタイプを取材したときの写真


モチーフである「おろち」の3D感覚がわかるだろうか。


リューズのトップにはダイヤモンドが入っている。ケースはプラチナ、リューズはホワイトゴールド。


当時はやや大きめかな、とは感じた。周りの白い部分はMOP。ケースはプラチナ。


そして、その場にいらっしゃった、桜田氏と照井氏。当時はすでに何度もお会いしているので、インタビューもスムーズに進んだことを覚えている。大変ご無沙汰している。お元気でいらっしゃるだろうか。。。


このモデルを出すにあたって、ちょっと遊び心満載の写真も公開されました。

ミック・ジャガーのような桜田さん


どこぞの親分さんのような照井さん

このモデルの「ブランドロゴ」も作られました。




そして今日。

今回ひょんなことからその「No. 8/8」を手にしている。懇意にしているアメリカの友人と5月だったかにロサンゼルスで会った時に、彼が友人からもらい受けたといって見せてくれた。オーバーホールが必要、ということで私が預かって帰ってきた、というのが今回の再会の理由であり、なんとも珍しいモノが巡り巡って、しかも海外から自分の手元に来るとは(私のものではありません!)、不思議な縁を感じた。オーバーホールから帰ってきたので写真を撮ってみた。この時計との縁、桜田・照井という、現代の名工にして非常にフレンドリーなお二人との縁、そしてLong Slow Distanceさんというほんとに6年ぶりに訪れたお店との縁。そんな縁に感謝です。

それでは、今回私と一緒に日本に里帰りした(雫石にてオーバーホール済み)No. 8を見てみましょう。











これ、ほんとにすごいと思う。海外の人が買っていったのもわかる気がする。ん? ひょっとして私の当時の英語の記事を読んだ人かな? 他に英語メディアでは取り上げられていないので、だとすればそれもすごい。




SEIKOの文字はひとつもない。雫石、なのだ。








今では、サイズ的にもそんなに悪くないと思う。




筆者の手元にある間、折に触れ気が付いたことを書いていきたいと思う。。。

と、今回ご紹介したわけだが、もう手に入るものではない。しかし、こういう作品があるんだ、ということを皆さんとシェアしたく、この記事を書かせていただいた。いつオーナーの手元に戻っていくか、今のところは未定であるが、その間、申し訳ないが(新品仕上げはオーナーが希望しなかったので使用キズは普通にあるし)、しばらく楽しませてもらおうと思う。これぞ、日本! という1本である。