ヴァシュロン・コンスタンタンの「レ・キャビノティエ」コレクションからの新作、全10作品・15モデル公開①~まず鳴り物系ラ・ミュージック・デュ・タン(6作)の紹介!

 By : KITAMURA(a-ls)

ヴァシュロン・コンスタンタンの「レ・キャビノティエ」コレクションの新作が、ものすごいことになっている!!


昨年まで1月に開催されていたSIHHに合わせて、着々と準備していた結果だと思うが、今年はSIHHがウォッチズ&ワンダースと名称を変え、急きょ4月開催となったため、この時期の公開となったと予想されるが、

全10作・15モデルものピースユニークが用意されているのである。


新作は“鳴り物”を意味する   ラ・ミュージック・デュ・タン(6作)と、機構的なスペシャライズを誇るシグネチャー(4作)、という2つにカテゴライズされているのだが、特に「ミュージック=鳴り物」系のモデルの充実ぶりは素晴らしく、今年の「レ・キャビノティエ」の大きなテーマとなっている。

もちろんのことだが、これらはすべてピースユニーク、つまり世界限定1本のみ、それぞれが孤高の存在であることは言うまでもない。

ではまず、ラ・ミュージック・デュ・タンの6作・11モデルを見ていこう。



レ・キャビノティエ・ミニットリピーター・トゥールビヨン・スカイチャート・セレスティアル・ノート
複雑時計の分野でも極めて独創的な、さまざまな専門技術を駆使した作品で、トゥールビヨン、ミニット・リピーター、回転する天空図が一体になったダブルフェイスの世にも稀な複雑さが特色のユニークピース。
18K(5N)ピンクゴールドによる直径45mm、厚さ15.1mmのケースの中で時を刻むのは、キャリバー2755 TMRCC。
413個の部品から成る手巻きムーブメントは、伝統的な時計製造では典型的な毎時1万8000回で振動。パワーリザーブは58時間。

表の時分針は、マルタ十字のモチーフを象ったトゥールビヨンキャリッジ上のスモールセコンドによる秒表示が印象的で、さらに裏側では、天の川や星座の素晴らしい眺めが鑑賞できる天空図が恒星時に合わせた23時間56分で回転。ヴァシュロン・コンスタンタンのリピーター・ウォッチの高貴な伝統を反映するミニット・リピーターも搭載。




レ・キャビノティエ・グラン・ソヌリ– 交響曲第6番
グラン・ソヌリを搭載する初めての腕時計が登場したのは1992年のことでした。
時刻の経過に沿って時間とクォーター(15分)の数を音で告げ、さらにグラン・ソヌリ・モードでは15分間隔で時間数とクォーターの数を、プチ・ソヌリ・モードでは時間数のみを告げるという、厳密を極めた機構を持つグラン・ソヌリの技術に熟達した者はごく限られたままでした。
ヴァシュロン・コンスタンタンのアーカイブには、19世紀の早い時期からこの種の懐中時計が登場していますが、腕時計としての初のグラン・ソヌリは、ミニット・リピーターを併せ持つキャリバー1860を搭載して2017年に発表されたモデルでした。「レ・キャビノティエ・グラン・ソヌリ - 第6交響曲」には、これと同じ727個の部品から成るムーブメントが用いられ、18K(5N)ピンクゴールドのケースにバス・レリーフ(浅浮彫り)の精緻なエングレービングで楽譜が描かれています。

楽譜はベートーベンの交響曲第6番『田園』ヘ長調から取られたもので、背景を成すオリーブの葉の手彫りエングレービング装飾は、ヴァシュロン・コンスタンタンのヘリテージ・コレクションに収められた『アルカディアの牧人たち』と題した1923年作の懐中時計から想を得ています。(※プレスリリースより引用)



レ・キャビノティエ・ミニットリピーター・エクストラフラット ア・ロマンティック・ノート
このユニークピースに搭載されているのは、わずか3.9 mmの超薄型ミニット・リピーター・ムーブメント、キャリバー1731。
薄さ、透明な音響や好ましい見栄え、信頼性、堅牢性などを併せ持つミニット・リピーター・ムーブメントを開発するには極めて複雑な方程式を解かなくてはならず、そのために4年を要したという。

透明感のある明瞭な響きや音の完璧な調和を確保するためにさまざまな技術が開発されており、リピーター機構とケースとの間の空気の流れが音の伝播を最適化する微妙なパラメーターも取り入れた設計となっている。
ムーブメントと一体化したフォルム・デザインは、直径41 mm、厚さ8.5 mmの18K (5N) ピンクゴールドのケースを用い、文字盤はエナメル技法の中でも最も難度が高いとされるグランフーが用いられ、その卵の殻のようなエッグシェルホワイトの色彩がこのモデルの美しいデザインと見事にマッチしている。
クラシカルな趣を放つこのモデルのデザインを引き立てるのが、オリジナルフォントを用いた斜体の黒いエナメルのアラビア数字やレイルウェイ分目盛りであり、ブラウンのアリゲーターレザーストラップも気品を添えている。ケース左側に配されたスライダーが、無駄の無いデザインのこの作品に複雑なミニット・リピーター機構が搭載されていることをさりげなく示す唯一のしるしであり、まさに時計に精通した愛好家向けの逸品といえる。



レ・キャビノティエ・ミニットリピーター・トゥールビヨン フォーシーズンズ
1941年に発表された、超薄型でミニット・リピーターを搭載する自社初の腕時計からの着想。その卓越した時計づくりの伝統は、キャリバー2755 TMRを搭載する今回の「レ・キャビノティエ・ミニットリピーター・トゥールビヨン-フォーシーズンズ」の中に受け継がれた。このムーブメントは、地球の重力の影響を相殺する回転キャリッジを装備した1分間トゥールビヨンと、任意の起動操作で時刻を時・クォーター(15分)・分単位で告げるミニット・リピーター機構を備え、それぞれの文字盤はミニアチュール・エナメル芸術的技巧が施されている。

まず手彫りによるバス・レリーフ(浅浮彫り)の技法で遠近感を際立たせ、次にシャンルヴェ・エナメルの技法を用い、12色以上もの釉薬を使って順に塗り重ね、何度も炉に入れてエナメルを焼成。4つの特別な時計それぞれに1点ものの文字盤が出来上がった。




レ・キャビノティエ・ミニットリピーター・パーペチュアルカレンダー パーフェクト・コンビネーション
搭載キャリバーは、ヴァシュロン・コンスタンタンのキャリバー1731 QP。名称がジャン=マルク・ヴァシュロンの生誕年にちなむこのムーブメントは、メゾンの歴史的な業績から想を得ており、今や極めて薄いミニット・リピーター・ムーブメントのアイコンとして名高い存在。

キャリバー1731にパーペチュアルカレンダーを加えて厚さ5.7 mmを維持。正確さや信頼性、使いやすさなどを共存させるのは至難の業だったが、カレンダーの曜日、日付、月の各表示はクラシカルかつエレガントなスタイルでサンレイ・ギヨシェ彫りが施された文字盤の上方に置かれ、ムーンフェイズ表示のためにたっぷりとスペースを割いた文字盤下方には、星を散りばめた背景にゴールドの月が映えている。直径42 mmでピンクゴールドとホワイトゴールドの2モデルが用意されている。



レ・キャビノティエ・ミニットリピーター・エクストラフラット ダンス・オブ・ジェムストーン
特徴的なルビー・インデックスの、わずか3.9mmの超薄型ミニット・リピーター。
こちらのムーブメントもキャリバー1731を搭載。薄さ、透明な音響や好ましい見栄え、信頼性、堅牢性などを突き詰めつつ、この薄さを実現している。「レ・キャビノティエ・ミニットリピーター・エクストラフラット - ダンス・オブ・ジェムストーン」は、ケースに18K(5N)ピンクゴールドを用い、ベゼルはブリリアントカット・ダイヤモンドによって飾られ、その輝きはラグやカボションがセットされたリュウズまで続いている。

直径41 mmと39 mmの2モデルがあり、後者は、ヴァシュロン・コンスタンタンがこのサイズで発表する初の女性用ミニット・リピーターとなっている。


ちょっと長くなってきたので、すべてにミニット・リピーターが搭載されたこのラ・ミュージック・デュ・タン(6作・11モデル)コレクションをまずUPし、続いて、シグネチャー(4作・4本)コレクションのUPという、2部構成とすることにした。

というわけで、この続き、シグネチャーの4作・4本は https://watch-media-online.com/blogs/2853/ をご覧ください!

また参考として、以前に書いた「レ・キャビノティエとは」という小文を追記しておきます。


“レ・キャビノティエ”とは
"屋根裏部屋”の意味で、もともとは18世紀のスイスで高度な技術を有した時計職人を指す言葉だった。スイスの時計師には、窓さえあれば日光が当たることが約束される屋根裏部屋(キャビネット)を工房・アトリエとしていた者が多かったことに由来している。
高名なキャビノティエの顧客には、他に例のない時計を所有したいと欲する富裕層がいて、彼らの欲求と新たな技術開発に挑みたいマスターウォッチメーカーとの利害が一致し、その共同制作によって1点物の貴重な複雑時計が作られることが多かった。限られたユーザーが時計師と直接話し合いながら行う(Be Spoke=ビスポーク)という特別注文形式がこれである。
以来、伝統的に“キャビノティエ”と"ビスポーク”は、超複雑機構の時計や超絶工芸による装飾時計など、特注品の発注・製作を意味する言葉となっていく。
ヴァシュロン・コンスタンタンの歴史的顧客たち、たとえばロシア皇帝アレクサンドル2世、ニューヨークの銀行家ヘンリー・グレーブス・ジュニア、自動車王ジェームズ・ウォード・パッカード、エジプトのフアード1世やファルークといった王、彼らはヴァシュロン・コンスタンタンが製作したユニークピースの熱心な収集家であり、そしてその注文窓口が「アトリエ・キャビノティエ」であった。
これはあまり知られていないことかもしれないが、他ブランドではほぼ絶滅した「キャビノティエ」部門が、ヴァシュロン・コンスタンタンにはつい最近まで2つ存続していた。
①「アトリエ・キャビノティエ」:史上最も複雑な時計「リファレンス57260」など、顧客発注ベースのビスポーク・サービスを受注する部門(工房)。
②「メートル・キャビノティエ」:ヴァシュロン・コンスタンタンが、その技術の粋を極めた世界1本の限定モデルを制作する部門
という2つであり、どちらも「世界唯一の時計を制作する」ということには変わりないのだが、違いは、その主導が「顧客の発注=(1)」か、あるいは「ヴァシュロン・コンスタンタン主導=(2)」かという点にあった。
しかし2017年にこの2つの部門は統合され、「レ・キャビノティエ」という名称になったのである。ヴァシュロン・コンスタンタンにおいて、《Piece unique》や《Les Cabinotiers》の文字が刻印されるのは、ここで受注・製造された時計を示し、文字通り、世界に1本しか存在しない証しとされるのである。
ちなみに日本では銀座ブティックが、ビスポーク・サービス「レ・キャビノティエ」の窓口となっているので、世界1本限定のユニークピースのオーダーを相談することも可能だ。


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Vacheron Constantin
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