ヴァシュロン・コンスタンタンの「レ・キャビノティエ」コレクションからの新作、全10作品・15モデル公開②~特殊な機構やエナメル技巧を備えたシグネチャー(4作)紹介!!

 By : KITAMURA(a-ls)

前記事を受けて、https://watch-media-online.com/blogs/2852/
ヴァシュロン・コンスタンタンからの怒涛の「レ・キャビノティエ」コレクション新作発表、その後半である。

ここでは、シグネチャー、と名付けられたテーマにカテゴライズされた4作・4モデルを紹介する。

繰り返しになってしまうが、これらはすべてピースユニーク、つまり世界限定たった1本のみで、それぞれが唯一無二の存在であることは言うまでもない!


レ・キャビノティエ・アーミラリ・トゥールビヨン
ヴァシュロン・コンスタンタンの260周年を記念し、2015年に発表された、57の複雑機構を搭載する史上最も複雑な時計「リファレンス57260」は、レ・キャビノティエ部門のウォッチメーカーたちにとって、まさしく本物の実験室の役割を果たしました。
ユニークピースの「レ・キャビノティエ・アーミラリ・トゥールビヨン」にはその開発の際の成果が生かされています。まったく現代的な感覚で作られた新作は、「リファレンス57260」に搭載されていた2つの複雑機構、すなわち瞬時に針が戻るダブル・レトログラード表示と2軸で回転するアーミラリ天球儀トゥールビヨンを、新たなスタイルで表現しています。
時計の右側に置かれた分針と時針は、ダイヤルの半分を占めるセクションに沿って移動し、60分や12時に達するやいなや元の位置にフライバックします。この特殊な時分表示により、シリコン製脱進機や球形ヒゲゼンマイが備わるアーミラリ・トゥールビヨンの全貌が時計の左半分で見渡せ、その威容が際立ちます。ドーム状のサファイアクリスタルの下に置かれたトゥールビヨンは、2つのキャリッジで構成され、それぞれが60秒で1回転します。このユニークピースを動かす手巻きムーブメント、キャリバー1990のレトログラード機構、脱進機およびトゥールビヨンは、4件の特許を取得しています。絶妙な時計機構は超軽量のチタン製ケースに収められ、このモデルのどこまでも奥深い魅力が大胆でモダンなスタイルに表れています。(※プレスリリースより引用)



レ・キャビノティエ・レギュレーター・パーペチュアルカレンダー・ジュエリー
17世紀以来、時計の時刻合わせに利用された正確な柱時計から直接考案されたレギュレーター・タイプのこのモデルは、時間と分を独立させて表示し、パーペチュアルカレンダーも併せ持ち、ユニークピースの“機能”を重視する考え方と完璧に一致する実用的な複雑時計です。
直径42 mmのホワイトゴールド製ケースを採用するこの時計において、レギュレーター・タイプの時刻表示機能とパーペチュアルカレンダーの各表示を動かすためにヴァシュロン・コンスタンタンは自動巻きのキャリバー2460 RQPを選びました。完璧な視認性をもたらすこの「レ・キャビノティエ・レギュレーター・パーペチュアルカレンダー・ジュエリー」は、手作業のギヨシェ彫りでサンレイウェーブ模様が繊細に施されたプラムカラーのダイヤルが気品を放ち、さらにベゼルにセットされた62個(約1.40ct)のブリリアントカット・ダイヤモンドがそれを引き立てます。
ダイヤモンドをセットしたクラスプを組み合わせ、ダイヤルと色調を合わせたアリゲーターレザーストラップもまた、ユニークな表示をもったこの時計独自の個性を強調しています。(※プレスリリースより引用)



レ・キャビノティエ - トゥールビヨン・スケルトン・ハイジュエリー
ヴァシュロン・コンスタンタンは「レ・キャビノティエ」のユニークピースとして「トゥールビヨン・スケルトン・ハイジュエリー」を新たに創作しましたが、この時計の特別な魅力は、自社がともに誇りとする高度な時計技術とメティエ・ダールとの融合から生まれます。機械部品で作られた本物の時計を何よりまず印象づけるのは、絶妙なスケルトン加工によって部品を削ぎ落した手巻きムーブメント、キャリバー2260の複雑に入り組んだアラベスクです。

その技術により、ヴァシュロン・コンスタンタンのシンボルマークのマルタ十字を象ったトゥールビヨンのキャリッジは宙に浮いているかのように見えます。この手巻きムーブメントは14日間のパワーリザーブが備わり、表示が12時位置に置かれています。その技術的快挙は、2個をペアにして積層した4個の香箱によって達成されました。部品に彫金を施したエングレーバーや、ダイヤルやケースなどを330個のバゲットカット・ダイヤモンドと12個のブルーサファイアで飾ったジェムセッターの熟達の技によって、機械式時計の偉大な伝統を体現するこの時計は、真の芸術作品へと姿を変えました。(※プレスリリースより引用)


レ・キャビノティエ - ラ・カラベル 1950
ヴァシュロン・コンスタンタンは、「レ・キャビノティエ - ラ・カラベル 1950」とともに、歴史に残る偉大な冒険を成し遂げた船に乗り大陸から船出します。しかしここでの冒険は、こうした勇猛果敢な船乗りたちの大航海を想起させるエナメル・ダイヤルを創りだすという、芸術的な意味での冒険を指します。
ダイヤルの製作にあたり、アトリエ・アニタ・ポルシェの職人たちは、ヴァシュロン・コンスタンタンのヘリテージ・コレクションに属す1950年の貴重な逸品「リファレンス4308」を参考にして想を得ることができました。このオリジナルモデルとまったく同じく、今回用いられたエナメル技法も、古代エジプトに起源を発するクロワゾネです。そして大航海時代の偉業を称える仕上げのタッチは、エナメル・ダイヤルの表面に添えられた、北極星を表現したゴールド製の輝く星です。
かつては、船乗りたちが洋上での位置を知るためのあらゆる重要な計算に、六分儀とこの北極星を利用していました。そうしたカラベル船の航海スタイルに合わせ、このモデルには振動数毎時2万8800回で時針と分針を駆動する手巻きの自社製ムーブメント、キャリバー4400が搭載されています。わずか2.8 mmというこの超薄型ムーブメントが、直径39 mmの18K(4N)ピンクゴールドケースに収められています。(※プレスリリースより引用)


機構面と工芸面におけるものすごい技術・技巧を組み合わせた、この世で唯一のピースユニーク・モデル。それを10作品も一挙に発表できるヴァシュロン・コンスタンタンというグラン・メゾンの、このエレガントな底力!
2020年にはさらにどのような仕掛けを施しているのか、今から大いに期待させてくれる、この年始の注目の大発表であった!!




“レ・キャビノティエ”とは
"屋根裏部屋”の意味で、もともとは18世紀のスイスで高度な技術を有した時計職人を指す言葉だった。スイスの時計師には、窓さえあれば日光が当たることが約束される屋根裏部屋(キャビネット)を工房・アトリエとしていた者が多かったことに由来している。
高名なキャビノティエの顧客には、他に例のない時計を所有したいと欲する富裕層がいて、彼らの欲求と新たな技術開発に挑みたいマスターウォッチメーカーとの利害が一致し、その共同制作によって1点物の貴重な複雑時計が作られることが多かった。限られたユーザーが時計師と直接話し合いながら行う(Be Spoke=ビスポーク)という特別注文形式がこれである。
以来、伝統的に“キャビノティエ”と"ビスポーク”は、超複雑機構の時計や超絶工芸による装飾時計など、特注品の発注・製作を意味する言葉となっていく。
ヴァシュロン・コンスタンタンの歴史的顧客たち、たとえばロシア皇帝アレクサンドル2世、ニューヨークの銀行家ヘンリー・グレーブス・ジュニア、自動車王ジェームズ・ウォード・パッカード、エジプトのフアード1世やファルークといった王、彼らはヴァシュロン・コンスタンタンが製作したユニークピースの熱心な収集家であり、そしてその注文窓口が「アトリエ・キャビノティエ」であった。
これはあまり知られていないことかもしれないが、他ブランドではほぼ絶滅した「キャビノティエ」部門が、ヴァシュロン・コンスタンタンにはつい最近まで2つ存続していた。
①「アトリエ・キャビノティエ」:史上最も複雑な時計「リファレンス57260」など、顧客発注ベースのビスポーク・サービスを受注する部門(工房)、
②「メートル・キャビノティエ」:ヴァシュロン・コンスタンタンが、その技術の粋を極めた世界1本の限定モデルを制作する部門、
という2つであり、どちらも「世界唯一の時計を制作する」ということには変わりないのだが、違いは、その主導が「顧客の発注=(1)」か、あるいは「ヴァシュロン・コンスタンタン主導=(2)」かという点にあった。
しかし2017年にこの2つの部門は統合され、「レ・キャビノティエ」という名称になったのである。
ヴァシュロン・コンスタンタンにおいて、《Piece unique》や《Les Cabinotiers》の文字が刻印されるのは、ここで受注・製造された時計を示し、文字通り、世界に1本しか存在しない証しとされるのである。
ちなみに日本では銀座ブティックが、ビスポーク・サービス「レ・キャビノティエ」の窓口となっているので、世界1本限定のユニークピースのオーダーを相談することも可能だ。





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Vacheron Constantin
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