Ay&Ty Style in Geneva #12 -> Atelier de Chronometrie

 By : Ay&Ty Style
Day-4
Atelier de Chronometrie(アトリエ・ド・クロノメトリー:AdC) というウォッチメーカーをご存知の方は、まだそれ程多くないかもしれません。
ハンドメイドによるユニークピースの時計を売りにするスペイン、バルセロナの小さな独立系工房。
彼らが作った最初の手巻き時計(AdC number.1)が発表されたのが2015年の暮れのことでしたので、まだ1年そこそこ。
しかし、その最初の時計の、ヴィンテージ時計に根ざした意匠と、オメガの著名キャリバーCal.266をベースにしつつハンドメイドの部品で再構築された美しいムーブメントが評判を呼びました。そして昨年2016年には、2作目(AdC number.2)、3作目(AdC number.3)を追加して、ロンドンの気鋭のウォッチイベントSalon QPに出品し、ネット系メディアに大絶賛されました。

ビンテージムーブメントをベースにファインフィニッシュするウォッチメーカーは他にもありますが、AdCの特徴は何と言っても、すべてビスポークによるユニークピースということ。そのため、全く同じ仕様の時計を複数本は受け付けないそうです。
例えばケースサイズは35ミリから40ミリまで自由に指定でき、ベゼル、ラグの形状、針の形状、ダイヤルのデザインも自由。ムーブメントのフィニッシュも選ぶことができ、ブリッジの分割方法も指定できるようです。

私は、どうしてもAdCの実機を見てみたくて、昨年のSalonQPに参加しようとしましたが、日程が合わず断念せざるを得ませんでした。そのため、今回のジュネーヴの際に見ることができないかと直接オファーしたところ、スペインからジュネーヴまで時計を持ってきてくれることになり、このセッションに至りました。





場所は、私たちが滞在したホテルのバー!



では早速紹介しましょう。



ネットで大きな話題になっているAdC Number 3。

オメガの手巻きムーブメントCal.266をベースに、主要部品はハンドメイド。
37ミリのRGケース。コンケイヴベゼル。
ダイヤルはツートン。極めてリッチなRG製リーフハンド。
スモールセコンドはブルースチール。





肉厚の針と、ピカピカの2トーンダイヤルが凄い!









ムーブメントはギルト仕上げですね。
ブリッジはベースのオメガCal.266から大きく変えています。4番車とガンギ車を分割。
テンプを囲むような円弧状のブリッジの曲線が綺麗ですね。コハゼもいい。
緩急針はなく、フリースプラング化されています。



続きまして、こちらはAdC number3と同じオメガCal.266を使ったAdC number1。
最初に制作されたモデルですね。WGゴールドケースのソリッドバック。WGブレス。
文字盤はサーモン。ブレスが薄く作られているため、WGでありながら軽くてなめらかです。



シンプルな文字盤が痺れます!







続きまして、AdC number 2
こちらはオメガのCal.283をベースにしたセンターセコンドの自動巻。
40ミリのRGケースに黒文字盤。ブレゲインデックス。



このムーブメントも凝ってますね。テンワも自製。







最後にこちら。現時点で唯一のコンプリケーション。Semanario(デイデイト)。
ムーブメントを構成する部品のうち60以上がCNCマシーンを使わない完全なハンドメイド。









オーダーして10ヶ月程度で完成するピスポーク時計。
いかがでしょうか!
私の中では、理想とするおおよその仕様はシミュレーションが終わりました。
あとはバルセロナに図面をメールするだけ、、、。
しかし、いざオーダーするとなると、自分のセンスの限界を見せてしまうようで恥ずかしいですね笑。











午後はパテックフィリップミュージアムを見学しました。
写真撮影不可のためレポートは割愛しますが、個人的にはRef.5959の原型となったスプリットセコンドクロノグラフを見つけて感激しました。

次回は、Day-4の夜、Ay&Ty Style Partyです。