F.P.Journe トゥールビヨン・スヴラン・バーティカル(プレスリリース付き)

 By : Ay&Ty Style
こんにちは。Ay&Tyです。

SIHHウィークから早くも1ヶ月が経とうとしていますね。
今年は全体的にいわゆる大モノが少なく、堅実なモデルが目につきました。
そんな中、SIHHウィークに合わせてF.P.Journeが発表した新作は、1999年に発表された歴史に残る名作、トゥールビヨン・スヴランから20年を記念した意欲作、トゥールビヨン・スヴラン・バーティカルでした。
いわゆる多軸トゥールビヨンではなく、あくまで垂直方向の単軸トゥールビヨンです。これは、腕から外された腕時計が、水平に置かれることが多いことから、水平方向の姿勢差をキャンセルするのがトゥールビヨンとして合理的との考えによるもの。

あいにく私たちは、ジュネーヴ滞在中のスケジュールが合わず、エキシビジョンの行われたF.P.Journe本社に伺うことができなかったのですが、現地スタッフの方の気遣いで、SIHH会場に立ち寄ったフランソワポール・ジュルヌさんと会わせていただくことに。ありがとうございます!


ジュルヌさんの腕にはもちろん、新作トゥールビヨン・スヴラン・バーティカル。
腕から時計を外してじっくりと見せていただきました!

ケースの直径42ミリ、高さ13.6ミリと、これまでのジュルヌさんの時計からすると数値上はかなり厚いのですが、意外にも腕に乗せると厚さは気になりませんでした。1周30秒で垂直方向に回転するキャリッジは迫力満点。
ローズゴールドのムーブメント裏側にギョウシェを施してそのまま文字盤の一部に用いています。時分針周りはWGにエナメルを塗ったもの。

5分程度の僅かな立ち話の間でしたが、実機の写真も撮影することができましたので御覧ください!



























----------------以下、F.P.Journeのプレスリリース文を掲載します------------------



トゥールビヨン・スヴラン・バーティカル
新たなトゥールビヨンでトゥールビヨン・スヴランの20周年を祝う

 
革新的で常に独創的な時計製作を行うフランソワ—ポール・ジュルヌは、自身の更なるクリエーションの一新と精度の追求、そして一目で認識できる彼の時代を超えたスタイル、時計製造伝統倫理への敬意により現代の時計師たちをも魅了してきました。

 

若かりし頃よりトゥールビヨンに魅了されてきたフランソワ—ポール・ジュルヌは、20歳の時に彼の初めての時計を全て手作業で製作しました。それは、ポケットウォッチのトゥールビヨンでした。1991年、彼は自身初となる最初の腕時計のトゥールビヨンを製作しました。そしてこの時計は少数製作され、ほんの一握りの精通したコレクターに納品されました。1999年、彼は最初のルモントワール機構を搭載した腕時計トゥールビヨン・スヴランを発表します。完全予約制で販売されたため、当時のコレクターや彼の熱烈なファンは、発表された20本分の限定リストに名前を載せるために競い合いました。

 

2003年、フランソワ—ポール・ジュルヌはナチュラル・デッドビートセコンドを加えた、新たな世代の卜ゥールビヨン・スヴランを発表します。そして2004年以降、時計は全てにおいて美しくなければならないとの信念からムープメントは審美性と耐久性を兼ね備えた18Kローズゴールドで製作しています。これは、現代の時計製造業界における初めての試みでした。

 

このプランドを象徴する腕時計の20周年を祝うため、F.Pジュルヌは一般的に水平なケージで製作されるトゥールビヨンを垂直なケージを用いて開発しました。«私は、時計が水平または垂直に置かれていてもトゥールビヨンの機能が安定し、ディプロイメントバックルでも尾錠のどちらを装備しても同じ振り角を保つことのできる、このトゥールビヨンを製作しようと考えました。»

 

この垂直トゥールビヨンは、ルモントワール機構とデッドビートセコンドが付いており、30秒で一回転します。通常の一回転1分より早い回転により、この技術的快挙をさらに良くご覧いただける事でしょう。

 

ケージの周りには、鏡面研磨された円錐型のリングにより光が集められ、トゥールビヨンケージが映し出されます。2つ目のリングはムーブメント側にも設けられ、トゥールピヨンケージの周りに同様に美しい光を溢れさせます。

 

文字盤の代わりとなる4Nゴールド製の輪列受けは、«クル・ド・パリ»ギョーシェ彫刻が施され、3時位置にはプランド初となる美しいエナメル文字盤で時間を表示します。

 

トゥールビヨン・バーティカルは、12時位置に80時間のバワーリザーブと6時位置にスモールセコンドを表示し、ルモントワール機構は7時位置に設けられています。42mmのケ一スはプラチナ製または18Kローズゴールド製(6N)でご用意しております。


«人類は、太古の時代から時を均等な断片に分割したり、等時性という概念を生み出したりする等、時間の計測を絶えず続けてきました。時計づくりの専門家たちが脱進機に伝わる動力を均等にするための方法を模索するようになったのは、機械式時計が初めて登場して以来の事です。この当時、機械式時計にはまだひげゼンマイが存在せず、フォリオと呼ばれる天秤棒状のバランスが不規則なリズムを刻んでいました。当時はバネや歯車の伝達装置が不完全であったため、バランスに送られる力が不安定でした。その頃の時計は12時間で1周する1本の針しか備えず、その精度は分を計れるほど正確なものではありませんでした。やがて主ゼンマイが発明され、それによってテーブル・クロックの製造が行われるようになると、ヨスト・ピュルギという16世紀の時計師が、従来の輪列に主ゼンマイによって短期間巻き上げられる独立したシステムの追加を思いっきます。それは、主ゼンマイから生じる一瞬の力を一定に保ちながら伝える独立したシステムとなりました。この脱進機は数ヶ月に渡り安定したエネルギ一を持続する時計を実現させました。これが初のルモントワール機構です。

 

17世紀になってオランダの時計師クリスティアン・ホイヘンスがひげゼンマイと振り子を発明しました。彼の発明は振り子時計とウォッチ(小型時計)にかつてない裔い精度をもたらし、これによって分針も広く用いられるようになりましたが、ー方でルモントワール機構は1世紀もの間忘れ去られてしまいます。啓蒙時代として知られる18世紀の稲開けと共に、航悔のための天文観測や経度測定にさらなる高粘度が求められました。そのために開発された新しい時計技術によって、秒針が当時の時計共通の特徴になりました。イギリスではトーマス・マッジがマリンクロノメーターH.3のためにルモントワール機構を発明し、ー方でフランスの有名な時計師ロベール・ロバン(国王御用達時計師)が自作の厳密なレギュレーター用にルモントワール機構を発明しました。19世紀になるとルモントワール機構が建物の壁に取り付けられる時計の製造に一般的に利用されるようになります。その目的がゼンマイの力の流れを改善することではなく、時計機構を壁の外に配された針から独立させるためであったのは逆説的ですが、実際、これらの針は外で風にさらされ、機構の調整を狂わせることがあったからです。

 

ルモントワール機構の製作は複雑で困難を枢めたため20世紀になると再び忘れさられていきました。そのような状況下においても、それに取り組むごく少数の例外的な人物がいました。自作のトゥールピヨン・ポケット・ウォッチにこれを用いたイギリス人時計師ジョージ・ダニェルズや、ジョン・ハリソンのマリンクロノメーター、「H4」の原理に想を得て製造したテープル・クロックにこの機構を用いた彼と同世代の時計師アンソニー・ランドール、そして私自身です。私はルモントワール機構を3つのポケット・ウォッチ・トゥールピヨンやシンパティック・クロックに用いました。そして、F.P.JOURNE"lnvenitetFecit"コレクションの最初のモデルとして発表したトゥールビヨン・スヴランにおいて、初めて腕時計にルモントワール機構を搭載しました。ルモントワール機構の原理が私を魅了するのは、この機構の製作に取り組んだ時計師の一人一人が、基本的なアイデアは同ーにもかかわらず、彼らがそれぞれ独自の解釈を施し、さまざまな形で表現されているからです。»


デッドビートセコンド     時間を止める芸術...


17世紀末になるとクロックの精度が向上し、時計師達は秒を計測するための針を追加するようになりました。

オランダの時計師クリスティアン・ホイヘンスが振り子式時計を発明し、従来の«クロック»が«振り子時計»になりました。この当時の振り子は1mの長さがあり、1周期1秒でした。1秒ごとにジャンプする秒針のために、文字盤を60に区分し表示していました。

 

18世紀に秒針を配した最初の小型時計が作られるようになると、時計師たちは振り子時計と同じ視党効果を実現しようと考えるようになりました。そして、バランスホイールの周期を長くする数々のシステムを発明しました。その中でも特に知られているのは、クラウン歯車脱進機もしくはMプゼの巨大なバランスホイールですが、これらのシステムは精度に悪影響を及ぼしたため、間もなく使われなくなりました。従って特別な装置を追加せず、当時最も広く普及していた振動数による2分の1秒刻みの運針が一般的でした。1秒刻みの運針は、針が1秒間停止しているため時間が見やすくなり、19世紀の時計師たちに新たなインスピレーションを与えました。

 

その後、広く普及したのが«seconde morte»デッドビートセコンドと呼ばれる3つの方式でした:

—第1の方式主ゼンマイと連結されたばねにより駆動される小さな輪列により構成されます。脱進機が1秒ごとに解放する力によって針が秒を刻みます。フランス語で«seconde morte independante»(独立したデッドビートセコンド)と呼ばれるこのシステムは、時計の精度に悪影孵を及ぼさず、しかも時計の使用者がこの機能の接続をいっでも切り離すことができるという利点を備えていました。

 

第2の方式:ガンギ車から追加した60歯の4番車までの補助輪列がばねにより抑制される非常に簡易なシステムですが、これにより時計の精度が著しく低下しました。

 

第3の方式:«A coups perdus»(失われた衝撃)と呼ばれテンプが完全に2振動してガンギ車が1秒を進めるいわゆるシングルビート脱進機です。この脱進機は中国への輸出用時計に多く使われました。中国の思想によれば、時を止めること、それは時を制することを意味するからです・・・

 

そして今日、トゥールビヨン・スヴランには«seconde morte naturelle»(ナチユ―フル―プッドビートセコンド)が採用され、ルモントワール機構のひとつの歯車に取り付けられており、時計の精度に不利に働くようなことは全くありません。»

 

トゥールビヨン・スヴラン・バーティカル_技術仕様:

   ムーブメント:  キャリバー1519、18Kローズゴールド製(4N)
ジュネーブ製
手巻き/全巻きにはリューズを29回転

ムーブメントのサイズ:

ムーブメント直径:34.60mm
ケーシング直径:34.20mm
ムーブメント全高:10.86mm
巻き芯までの高さ:3.66mm
巻き芯のネジ部分の直径:S1.20mm

バランスホイール:

4つの調整用イナーシャウエイトが付いたバランスホイールフィリップカーブ付ヘアスプリング
固定式ヒゲ持ち受け緩急針なし
へアスプリングはコレットヘピンによって伝統的に固定へアスプリングはヒゲ持ちヘピンによって固定
振動数:            21,600振動/時     3Hz
慣性:              11.00mg·cm2
拘束角               52゜
振り角:            全巻き上げ水平姿勢260°
       24時間後垂直姿勢     260°

主な特徴:

ルモントワール機構とデッドビートセコンドが付いたトゥールビヨン
2つのポジションを持つリューズ
リューズのポジション1で巻き上げリューズのポジション2で時刻調整

脱進機:

15歯のガンギ車
90度のアンクル

表示:

3時位骰に時分針
6時位置にスモールセコンド
12時位置にパワーリザーブインジケーター
9時位置に垂直トゥールピヨン

パワーリザーブ: 約80時間
装飾:

クル・ド・パリギョーシェ彫りを施したブリッジ
円形コート・ド・ジュネーブ仕上げを施したベ一スプレートネジの頭は研磨、溝は面取り仕上げ
ピンの先端を球状に研磨仕上げ

ケ一ス:

プラチナ製または18Kローズゴールド製(6N)
直径:42mm
厚み:13.60mm

文字盤:

18Kローズゴールド製(6N)ムーブメント
ホワイトゴールドの上にエナメルを施した時刻表示文字盤 

部品点数:

ムーブメント:230
ケ一スにストラップを取り付けた状態:260
石数:32