ジラールペルゴ オート・オルロジェリーコレクション

 By : Ay&Ty Style

ジラールペルゴについては甚だ勉強不足。

しかしそんな私でも、スリーゴールドブリッジトゥールビヨンくらいは知っている。
香箱、2番車、トゥールビヨンキャリッジを、垂直方向に一直線に配列し、それぞれを大きく水平方向に張ったゴールドブリッジで支える意匠。
このアイコニックなデザインは、エッフェル塔が完成した1889年開催のパリ万国博覧会に出品され、金賞を受賞した懐中時計「ラ・エスメラルダ」(La Esmeralda)にさかのぼる。その後、1981年にはそのレプリカが20個製作され、1991年には創業200年を記念してスリーゴールドブリッジトゥールビヨンの腕時計が発表された。以来今日に至るまで、その力強いブリッジは、ジラールペルゴの象徴として繰り返し使われている。

創業225周年にあたる今年、ジラールペルゴはオリジナルと同じ「ラ・エスメラルダ」の名を与えられた腕時計を発表した。資料によれば、当時のデザインを忠実に再現し、マイクロローターによる自動巻機構を搭載しているとある。

そして今般、「オート・オルロジェリーコレクション」と題する発表会が開催され、腕時計版「ラ・エスメラルダ」を含むジラールペルゴの最新コンプリケーションの実機が披露された。

ジラールペルゴは、毎年春にスイスで開催されるBASEL WORLDの自社ブースで、オーロ・オルロジェリー(高級時計)のみを集め、製造開発部門のスタッフにより紹介がなされる特別な部屋が存在し、これは通称「HHルーム」を呼ばれている。今回の企画は、これを日本で再現したもので、百貨店外商や専門店の外販部のVIPカスタマーのみが招待されているようだ。

日本版HHルームでは、約20にも及ぶ複雑時計が展示されたほか、Sowind本社製品開発部門のトップであるステファノ・マカルーソ氏による製品説明が行われた。














では早速ラ・エスメラルダ トゥールビヨンから見てみよう。

直径44mmのPGケース。ベゼルが極薄のため文字盤の迫力が凄い。
3つのゴールドブリッジの形状は複雑で、香箱や地板へのエングレイヴ、キャリッジの繊細な形状など、このモデルが通常のものでないことは一目瞭然だ。







しかし、予想はしていたがやはり厚さは気になる。薄い時計、装着感の良い時計を好む私にはややハードルが高い。








オフィシャルムービーはこちら。




その他の複雑時計も見せていただいた。
2014年の目玉だったのはトライアクシャル、すなわち3軸のトゥールビヨン。



今や2軸トゥールビヨンは特段珍しいものではないが、3軸はまだそれほど多くない。
フランクミュラーのレボリューション3は有名であるが、それを除けばVianney Halter、Aaron Becseiといった独立時計師の時計に見られるくらいだろうか。







そして2015年の目玉、ミニッツリピーター ブリッジ トゥールビヨン



可能な限りスリーブリッジトゥールビヨンの意匠を維持しつつ、ビジブルなミニッツリピーターを搭載した、とのこと。しかし、12時位置の小さなハンマーをゴールドブリッジに見立てるのは、少々無理筋である。
ジラールペルゴは2012年にシンプルなエナメル文字盤を使った1966 ミニッツリピーターを発表している。日本人の嗜好に合うのはむしろそちらだろう。









個人的に今回のプレゼンテーションで最も惹かれたのがこちら。
ミニッツリピーターの音色を増幅する木製の装置だ。曲線の美しさはもちろんだが、性能も凄く、小さなミニッツリピーターの音が部屋中に響き渡った。



こちらがその動画。デジタルカメラの小さなマイクでこれ。凄い音量である。
この装置は非売品であるが、GPのリピーターを購入するにあたっては、ぜひ「交渉」してもらいたい。