Naoya Hida & Co.(NH WATCH株式会社) 2022年 新作4本 +コラボレーション1本 実機レポート
By : CC Fan2022年5月20日:TYPE2のキャプションを修正
現在、2022年新作モデルの既存ユーザー向けのオーダー受付が開始されている飛田 直哉氏率いるNaoya Hida & Co.(NH WATCH株式会社) 。
2022年の新作は4本+コラボレーション1本の合計5本が発表され、そのすべてを既存モデルと共に拝見する機会が得られましたのでレポートします。

去年までのモデルは全てディスコンとし、新たに製作した第三世代ケースを採用した5本の新作。
生産目標としてトータルで70本の生産を目指しているそうです。
左からスモールセコンドのTYPE1の1D・1D-1、センターセコンドのTYPE2の2C・2C‐1、ムーンフェイズのTYPE3の3Bです。
このうち、2C-1はメンズウェアの専門ブランドであるThe Armoury(アーモリー)とのコラボレーションによって製作されたモデルで、販売もアーモリー専売になるそうです。
第三世代ケースは新たな挑戦としてケースに今までのスナップバックに代わり、スクリューバックを採用しました。

このスクリューバックは防水性の向上…ではなく、飛田さんが「やってみたかったから」とのことで、防水性はスナップバックと変わらず5気圧防水です。
ただ、スクリューバックをねじ込むために工具をかける12角形のエッジにはこだわり、「鋭すぎる」試作品TYPE 1Aのエッジを思わせるようなギリギリを攻めた鋭さのエッジを実現したそうです。
感じ方に個人差はあるものの、エッジに触れてみるとすこしヒヤッとするような鋭さで、不特定多数を相手にするような大手ではクレームになりそう、「理解者」にだけ伝わって使ってもらえばよいという飛田さんの「俺のやり方」、と理解しました。

TYPE1はケースの変更とダイヤル構造を行った1Dとゴールドベゼルとのコンビモデルとなった1D‐1が登場。
洋銀を用いた手彫り文字盤はよりエッジを立てるために今まで一体成型だったスモールセコンドのサブダイヤルを独立させ、重ね合わせるようにしたそうです。
ヴィンテージより一層思い起こさせる、ゴールドコンビの1D‐1は針もゴールドを使い、スモセコは1Dとは異なる1Bの頃の形状を使う…など細かい調整が行われています。

飛田さんが装着して評価中の1D-1、このデザインを決めるにあたってゴールドとステンレスの部品を集め、コンビをどのように組み合わせるか検討した結果今のバランスに落ち着いたそうです。
古典ではリュウズもゴールド、というものもあったそうですが、このデザインではリュウズをゴールドにするのは「過剰」との判断でベゼルと針がゴールド、ケースとリュウズは904Lステンレスという組み合わせになりました。

センターセコンド初代のTYPE 2A(左)とインデックスが変化したTYPE 2B(右)。

そして、今年の新作TYPE 2Cではインデックスの数字が小さくなり、印象が変わりました。
(初出時、BとCを間違えていました、申し訳ありません)
解像度が悪いのでオフィシャルの写真も掲載いたします。

これぞ「未来の時計」センターセコンド!
2Cでは2Bと同様、偶数時だけ数字、奇数時はバーインデックスの手彫り文字盤を採用、写真にはいまいち写り込んでいませんが、比較すると1Aはむき出しの洋銀が徐々にエージングすることによって色が穏やかになっており、他の個体にも同様の変化が見られました。
非常にゆっくりですが、確実に変化していく様を楽しめるのもオーナーの特権でしょう。

アーモリーとのコラボレーションモデル、2C‐1。
通常は形式を示す数字+バージョンを示すアルファベットというモデル名ですが、今回の2C‐1にはそれに加え、「Lettercutter」というペットネームが与えられました。
これは、建築の定礎などに使う石にノミとハンマーで刻み込むフォント(Lettercutter)をベースにしたアーモリーデザインのフォントで、2Cオリジナルのフォントより直線と真円に近い要素で構成されています。
直線と真円のため、少しでも歪んでいると人は違和感として認識してしまうため、彫りこむ難易度はより高くなるそうです。
このフォントに合わせてカシュ―(人工漆)の色もブルーに変更され、6時位置にはTHE ARMOURYのレターが加わっています。

去年登場し、反響が大きかったムーンフェイズのTYPE3の新型TYPE 3B。
ユニークなイエローゴールドムーンフェイズは手彫りで仕上げられています。
どのモデルも特徴的な「手彫りのダイヤル」を持っていますが、今回のサプライズとして紹介されたのは、このダイヤルを手掛けているエングレーバーの加納 圭介氏が正社員としてNH WATCH株式会社に加入し、今回の発表会の会場となった人形町のオフィスを拠点に活動していくという事でした。

自身の設計した作業机で、実際に文字盤にエングレーブを施す方法を説明していただきました。

各工程のダイヤル。
中央で光っている(鏡面)のものが微細加工機で削り出した直後、その後にサンドブラストをかけて表面を荒らすと向かって左の梨地になり、そこに文字を彫りこんでいきます。
最初の表面が綺麗なほど梨地も綺麗になるため、文字盤を製造する業者との協力関係でほぼ鏡面にまで仕上げているそうで、別途研磨とかではなく微細加工機の削りっ放しの時点で鏡面になっているとのこと。

「ろくろ」のように回転する専用のテーブルに固定し、回転させながら一彫り一彫り、彫っていきます。

ビュラン(のみ)は超硬合金(超硬)製、洋銀は比較的硬いため、ハイスピード鋼(ハイス)ではすぐに鈍ってしまうようです。

「Lettercutter」の下書きと掘り込み後。
シャープさを強調するためか、外周の60分割のインデックスは別パーツです。

TYPE 1のダイヤルで、9時位置のスモールセコンドとインデックスの数字が重なっているところはフリーハンドで「壁」を作ってカシュ―が流れ込まないようにしています。

ムーンと星もフリーハンドでそれぞれに「個性」が出ます。

人の皮脂で容易に変色する洋銀を扱うため、指先をガードしています。
2018年のTYPE1Aから始まり、飛田さんの「自分が作りたいもの」を作り、それが受け入れられてきたNH WATCH株式会社、創業時からかかわってきた時計師の藤田氏、彫金師の加納氏が正式に加入し、これからより活発な活動になることを期待します!
冒頭にも述べましたが、2022年の新作は現在オーダー受付中、ご興味がある方はお急ぎください!
【お問い合わせ】
NH WATCH株式会社
www.naoyahidawatch.com
info@naoyahidawatch.com
https://www.instagram.com/naoya_hida_co.official/
https://www.facebook.com/profile.php?id=100017145943910
https://twitter.com/naoyahidawatch
冒頭にも述べましたが、2022年の新作は現在オーダー受付中、ご興味がある方はお急ぎください!
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私もTYPE2のセンターセコンドはかなり好きです。
正直、先ずは実機を見てほしい!と思いますので、ご興味があればイベントまたは飛田さんにコンタクトして実機を見ることをお勧めします。
そのうえで、ご質問に回答するのであれば、私は(いわゆる)自社ムーブメントやフリースプラングといった「要素」、そして雲上ブランドにそれほど魅力を感じない(より正確には業界が言うほどいいものとは思えない)という立場ではありますが、私見を述べさせていただければと思います。
価格について主な理由はおっしゃるように生産数の違い、そして部品代(微細加工機+手作業を使った洋銀文字盤・904Lケース)と人件費(ハンドエングレーブによる文字盤製作)であり、私自身としては納得はしています。
また、飛田さん自身が「俺のやり方」として信じている方法論は素直に応援したいと思います。
ただ、いくら理由を並べてもそれによって「適正」かZettourさんが納得できるかは別であり、私の力が及ぶことではありません。
結局は「自分」が納得するか否かであり、「有名な○○さんが良いと言っていた」「時計愛好家として云々」で買うというのは本来不健全だと思っており、自分で決めてほしいと思っているからです。
以上から、ご質問への回答としては「私は適正だと思っていますが、それを強制はできません」になりますでしょうか。
いわゆる独立系は、「buy the watchmaker not the watch」の領域であり、時計だけではなく、その作り手を買うと考えると良いかもしれません。
最初に述べたように、実機を見て飛田さんと話したうえで時計だけではなく、製作者としてどうか?を感じていただければ…
ただ904LとはいえSSケース、手を加えてるとはいえ自社製ではないムーブメント、非フリースプラングで200万前半という価格は適正なのでしょうか?
生産数の違いもありますが、雲上系の貴金属ケース&自社製ムーブも買える価格ですが、それらと比べてどうでしょうか?
ネットで調べる限り針や文字盤に手がかかってるのかと思いますが、この価格帯になるとポンポンと買えるわけではなく、やはり価格的にも納得した上で購入したいので実機を触った方の意見を聞きたいです。
非常に答えにくい質問かと思いますがよろしくお願いします。