あるようで無かったかも!?

 By : @kikuchi
A. ランゲ&ゾーネといえば、当ニュースサイトのメインブロガーである「a-ls」さんが専門ですが、 “ヘェ〜”なんておもわず感心してしまったので、今回は新ランゲ1・ムーンフェイズについて書かせていただきます。

※「a-ls」さん、もし間違った記述があったらご指摘くださいませ(汗)



さて、「a-ls」さんも5月1日に投稿されていましたが、A.ランゲ&ゾーネの2017年新作が見られるというので、僕は去る4月5日に銀座のブティックにお邪魔して、実機を見させていただいたのであります。

そのなかのひとつ、ランゲ1・ムーンフェイズは、2015年にランゲ1に新たに搭載されたL121.1をベースにムーンフェイズ機能を付加した新キャリバー、L121.3が搭載されて今回リニューアルを果たしました。もちろん、この優秀なムーヴメントもすばらしいですが、僕が今回「ヘェ〜」なんて感心したのは、実はムーンフェイズ機構についてなのです。


このムーンフェイズ機構、外見的な見た目にはよくあるものと何ら変わらないように感じますが、これがまた意外や意外、あるようで無かった(詳しく調べたわけではなく僕の記憶ではたぶん・・・)実に実用的な作りなのでございます。

そこで、複雑部門の責任者であるマックス氏にムーンフェイズについて話しを聞いてきました。



で、まずは簡単に一般的なムーンフェイズを説明すると、
ムーンフェイズとは、月が描かれたディスク(ムーンディスクと言う)で、月の満ち欠けを視覚的に表現した機構です。その満ち欠けの周期(朔望月・さくぼうげつ)は29日12時間44分3秒・・・。ただし、一般的なムーンフェイズは端数の44分3秒を切り捨てて29.5とし、さらに歯車の歯数で0.5を表現することは無理なため、その倍数である59日として、1日で1歯進むように59個の歯がついた歯車がムーンディスクにセットされています。ムーンディスクに月が必ず二つ描かれているのはこんな理由からなのです。

ランゲ1・ムーンフェイズも月齢表示自体の考え方は同じですが、ランゲ1のそれは資料によると「122.6年で誤差の累計が1日という高精度で月の満ち欠けを表示する」のだそうです。

一般的なムーンフェイズの場合は、44分3秒を切り捨ててしまうわけですから、当然、実際の朔望月と毎回その分の誤差が生じてしまいます。そしてその累計は2年半で24時間になります。それに対してランゲ1のそれはわずかに1分以内(正確には57.2秒だそうです)のため、誤差の累計が24時間になるのに122.6年かかる。。。


これはグランド・ランゲ1・ムーンフェイズ(上の展開図)と基本的に同じ仕組みで、7つの歯車で超滑らかな動きを実現しているのだそうです。
そういえば、同じドイツブランドで独立系メーカーであるシャウボーグウォッチも、パーペチュアル・ムーンコレクションとして、122.6年で誤差の累計が1日という高精度の独創的なムーンフェイズを展開していますね。

さて、新作のランゲ1・ムーンフェイズにはこのグランド・ランゲ1・ムーンフェイズと同じ高精度さを受け継ぎつつも、新たな機能が追加されています。



ムーンフェイズ機構の場合、本来は1枚のムーンディスクで表現されるのが一般的です。しかし、上の写真を見るとわかるように、これは2層式になっており、ひとつは月が表現された、いわゆるムーンディスク(下のパーツ)と、もうひとつは昼から夜へと1日の空の変化を表現した天空ディスク(上のパーツ)の2枚で構成されているのです。そして、それらは独立して動くというから“なるほど”と思ったわけであります。ムーンディスクは平均朔望月でゆっくりと半周し、天空ディスクは24時間で1周する。つまり、デイ&ナイト表示を備えたムーンフェイズというわけですね。いままでなかったのが不思議なぐらい、理想的なムーンフェイズ機構と思った次第であります。

では、どのような仕組みなのか・・・
百聞は一見にしかず、ですね。
https://www.alange-soehne.com/-/AHwUXOr