ジャガールクルト 「マスタークラス」体験レビュー by haj

 By : Guest Blog

ゲストブロガーとして2回目の投稿になります。Hajです。

前回は大好きなスイス新興ブランドのLundis Bleusのレビュー記事を勢いで寄稿させていただきました。「私の記事を読んで実は購入してしまった!」とか「とても興味が湧いた!」いう人がいたらコメントいただけると嬉しいです。どうやらエナメルの次の新作が既に完成しているようですよ!

さて、今回は同じくスイスのブランドである名門ジャガールクルトについて記事を書こうと思います。

銀座並木ブティックで8月から一般向けに開催されている「マスタークラス」を運良く受講することができたので、その内容をレビューします。

そもそもマスタークラスって?
ジャガールクルト内で販売スタッフの研修目的で行われていたクラス。技術士の指導のもと、実機を使って実際にムーブメントの分解と組み立てを行うことで技術を肌で体感し、販売に活かすことを目的とされていました。その講座を今回ジャガールクルトのファンの方にも体感してもらおうということで一般向けに公開されることになったようです。

・私が実際に体験できたこと
ジオフィジックに搭載されているCal.770の分解・組み立てを、ジャガールクルトの修理技師にマンツーマンで教えてもらいながら体験できるという、もう時計ファンからしたらもう夢のような2時間です。ちなみに私の前に体験した人は関西にある時計学校の学生で、わざわざこのマスタークラスのために日帰りでやってきたとか。

・写真とともに内容と感想
※写真の撮影は守秘の関係からNGだったので、なんとかお願いしてジャガールクルトの店員スタッフが撮影したものをスイスのリシュモン本社の許可を特別にもらって掲載しております。銀座並木ブティックの方々にはこの場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。

まず並木ブティックに販売されていた実機「ジオフィジック」をパシャリ。ここだけは自分で撮影しております。この時計に搭載されているムーブメントだと思うと腕につけただけでワクワクしてきますね。

 

そしてムーブメントがCal.770(写真はジャガールクルトHPから拝借)

特徴は主に2つ。1つ目は「トゥルーセコンド」。機械式なのに1秒ごとにクオーツ時計のようにジャンプするステップ運針になります。ディップと呼ばれる歯車からトゥルーセコンド用に輪列が組まれていて、1秒ごとにトゥルーセコンドスプリングに溜めた力を放出させてジャンプさせるという仕組みになっています。2つ目は「ジャイロラボ」。これはJLの形を模した非円形のテンワです。空気抵抗を計算して数年間もかけて開発されたものなのだとか。残念ながら写真は取れませんでしたがキズミから見るテンワはとても繊細で美しかったです。



前置きはこのくらいにして、実際のマスタークラスの内容に入っていきます。

通常の人であれば分解する前に最初に機械式時計の仕組みを講義していただくのですが、私はマスタークラスが楽しみで事前に色々と調べてしまっていたので省略。トゥルーセコンド輪烈の仕組みだけ図を使って教えていただきました。今月のクロノスでちょうど「ルモントワールとコンスタントフォース概論」という菊池氏の寄稿があり、それを読み込んでいたので大変興味深く拝聴できました。興味ある方は是非参加して直接聞いてみてくださいね!



そこからは実際にピンセットとドライバーとキズミを使って分解・組み立て開始です。



分解・組み立てしている時にキズミから見える景色が美しすぎて、作業の手が何度も止まってしまいました。ガンギ車やテンワやエングレービングの美しさに修理技師さんは麻痺してしまうと言っていたけど、私のような愛好家からしたら勿体無いなあと思いながら、ひとつひとつ慎重に進めていきます。



特にアンクルの組込は難しすぎて不可能でした。ネジもピンセットで何度もはじき飛ばして紛失してしまいました。そんな私にも技師さんは優しく辛抱強く分かりやすく教えていただき恐縮でした。何度も写真のように予備のムーブメントから代替品を拝借して続けていきます。



慣れない作業に肩が凝り、手先が痺れながらなんとか分解・組み込みを完了。テンプを自分で組み込んで動き始めた瞬間はとても感動しました。そして、組みあがったムーブメントをウィッチ(歩度を計測する機械)にかけて、発生したビートエラーを見ながら技師さんがちょっとトルク調整すると精度が格段に上がって猛烈に感動しました。今までチューニングはなんなのかイメージが湧いていなかったのですが、これはまさに職人技だと思いました。ひとつひとつ症状の違う個体を見ながら、その場で適切な方法を見つけて精度を向上させる技術は改めて驚きました。同じ時計技師でも独立時計師のように作る方ももちろんすごいですが、そこと修理は比較するものではないと個人的に思います。作る人・修理する人どちらがすごいとかではなく、ユーザーからしたらどちらも必要で尊敬すべき方々なのです。



最後に記念写真をパシャリ。

初めてムーブメントに触れる機会がこんなに素晴らしい機会で嬉しかったです。

改めてこのような貴重な機会をくださって、さらには写真掲載を許していただいたジャガールクルト関係者の方々、ありがとうございました!! よりブランドが身近に感じることができ、何よりジャガールクルトのムーブメントに特別な愛着を感じるようになりました。いつかジオフィジック欲しいなあ。

マスタークラスはまだ開講しているので銀座並木ブティックに直接電話してみることをおススメします。尚、予約が殺到しているようですので、参加は抽選になることはご容赦ください。

以上、hajでした。

今後も時計を楽しんでいく中で記事にしたいようなことがありましたら寄稿させていただきますので、よろしくお願いいたします。