チャペック アンティークピース

 By : CC Fan
私事ですが、先週の木曜日、延命処置を施しながら使ってきた愛用のキーボード(2003年製造で15年物)がついに力尽きてしまい、記事を書くことができませんでした。
購入した時は大学生でしたが、キャリングケースに入れて持ち歩き、研究室でも自前のキーボードを接続して使っており、社会人になっても習慣としてずっと続けてきました。
一部で有名な"馬の鞍"という考え方で、15年も使っていると愛着も、喪失感もあり、今までありがとうという気持ちです。

とは言ってもキーボードが無ければ本業も日常生活もWMOの更新にも差しさわりがある、ということで取り急ぎ同じ型のキーボードを調達し、複数の場所で繋ぎ変えて使っているとUSB端子が一番最初に壊れることは経験済みだったのでBluetoothを採用した無線版にしました。
"チューンナップ"も施しましたが、今まで手に馴染んでいたものとはやはり感覚が違います。

なのでリハビリを兼ねてこの記事を書いています。

さて、いきなりWMOらしくない話題で失礼しました、"自分に合った良いものを長く使う"というのは改めて大切だなと思った次第で、あえて掲載させていただきました。

三越ワールドウォッチフェア期間中のチャペック(CZAPEK)の記事の続きでCEO ザビエル・デ・ロックモーレル(Xavier de Roquemaurel)氏・スペシャルピースのオーナー氏とセイコーミュージアムを訪問したレポート…と思ったのですが、前回の記事で何の説明もなく一覧画像とTOP画像に使ったチャペックのアンティークピースについて先に説明したいと思います。

チャペックは製品開発と並行して、"初代"チャペックの偉業を知るためにアンティークピースを収集することも行っています。



今年のジュネーブで披露された女性向けサイズの懐中時計、我々が伺った時には"忘れていた"ということでこれが初めての遭遇です。

そして今回のイベントに合わせてザビエル氏が持ち込んだのが…



チャペックにとって初めてブティックを設け、ブランドにとって象徴的な場所、パリのヴァンドーム広場(Place Vendôme)のエナメル画が施された懐中時計!



アンティークとは思えない保存状態。



文字盤にはクラックがあるものの、色は美しいまま。
対候性の高いエナメル文字盤のおかげです。

特徴的なデザインでケ・デ・ベルク(QUAI DES BERGUES)のデザインソースになったNo.3430に比べると"普通"のデザインです。
個人的に注目したいのはムーブメント側の蓋に銘を入れることで、文字盤は無銘であること。
あえての無銘…惹かれます。



ムーブメントもNo.3430と比べ、オーソドックスな造りに見えます。
巻き上げ歯車は巻き上げ方向に力を伝えやすくした非対称のウルフトゥースと呼ばれる歯形が使われています。



脱進機はシリンダー脱進機。
これはテンワの軸に装着された一円筒状(シリンダー)の部品にガンギ車が直接噛み合って停止と衝撃を与える機構です。
直接衝撃を与えられる点は良いのですが、停止の時の摩擦がもろに回転するテンワの軸にかかるので摩耗しやすいデメリットがあります。



裏蓋にはCzapekの銘が。
このアンティークピースはオークションなどではなく、言わばザビエル氏の"コネクション"によって手に入ったという貴重なものだそうです。

ケ・デ・ベルクの"次"のインスピレーションはこのピースから得られるのかもしれません。

関連 Web Site

CZAPEK Geneve
https://czapek.com/

Noble Styling
http://noblestyling.com/