【速報】アントン・スハノフ ファロス 「緊急開封会」レポート

 By : CC Fan

少し前に日本導入の情報をお伝えした気鋭のロシア人ウォッチメーカー、アントン・スハノフ(Anton Suhanov)。

Twitterで散発的に経緯を紹介してきましたが、3月24日にノーブルスタイリングギャラリーに到着、色々あって即日「緊急開封会」が執り行われました。
より詳細にお伝えする予定ではありましたが、後回しにして取り急ぎライブ感と共にファーストインプレッションをレポートします。



サムズアップと共にモスクワのオフィスから発送されたファロス。



ロシア語と日本語で注意書きが厳重に書かれています(英語は…?)。
シンガポールを経由し、3月19日には成田空港を到着、税関検査を待つばかりとなり一安心。



無事税関も通過し、3月24日にノーブルスタイリングギャラリーに到着、箱は結構くたびれています…
この週の別の日に「納品会」と撮影、「日本ラウンチのお祝い」をやりましょう…という事になっていましたが、オーナー氏がたまたま渋谷(恵比寿の隣)に、今から行って開けます!という事になったと連絡が、私も本業を中断して駆けつけます。
いつものデジカメ(といろいろ入った取材ポーチ)は持ってきてなかったので、iPhone SEとオーナー氏のiPhone 11Proの内蔵カメラが頼りです。



英語はないけど万国共通のピクトグラムがあるから安心!?



超厳重な梱包、化粧箱に入れたうえで外箱、スチロール、高密度スチロールパネル…



ロシアンな高密度スチロールパネル。



外箱が登場…



8角形の化粧箱が登場!
円形のガラスはケースに入れた状態でも3Dトゥールビヨンを楽しむための開口部ですが、輸送用のスチロールがつまった状態。
このスチロールもちゃんとぴったりに機械で切られたような形になっており、「手作り感」は皆無。



化粧箱は筒状で上から被せる形。
しまっておく用途の他、下部分は飾っておくための土台(島をイメージ?)としても使えるようになっています。



オープン!

説明書(保証書・メンテナンスノートを兼用)もきちんとした形で作られており、「製品」としてきちんとしています。
サイズは高さが190mm、円筒形が86mm、テーブルクロックとして使いやすいサイズだと思います。
しかし驚くべきはその重さ、パッと見て「これぐらいだろう」とイメージする重量の倍はあろうかというヘビー級で、数字で表すと約5Kgです。
おそらくムーブメント機械が重いうえに、それ以外の部分は金属(ステンレススティール)が詰まったソリッドな構造なのだと予想されます。



はめ込まれた部分を取り出すとこのような形に。
メインの文字盤にはアントン・スハノフとファロスの名前が特徴的なフォントで記され、厚い針と共に特徴的な世界観を生み出しています。
その下の穴は時合わせ用のカギ穴、さらに下のスリットはパワーリザーブインジケーター(後述)です。

トゥールビヨンの周りにはいわゆるルイ・コティエ式のワールドタイムが配置されており、正面位置がメイン文字盤の時間(24時間表示)と同じになるように、24時間で1周します。
これにあわせて、UTCからの時差と世界の都市名、ロシアの都市名(ロシアは領土が広いため国内にも時差がある)が記されたリングがあり、正面を現在のタイムゾーンにあわせることで全世界の時刻を直感的に見ることができます。



カギはベース部分に格納、巻き上げ用の太いカギとボタンを押すと飛び出す時合わせ用の細いカギが1本にまとまった十字状のカギ。
ちょっと埃っぽいのは後ほどテープで掃除しました。



止まった状態でしばし堪能…
シャープな形状のケージは軽量かつ強度に優れるチタン製、独特の形状のテンワやあまり見ない形のガンギ車も見えます。
写真だと腕時計とそんなに変わらないように見えるかもしれませんが、とにかくこの大きさは凄いとしか言いようがない迫力。
テンワも大きく、ギアもがっちりしています。



上からのショット、ガンギ車は炎のようにも見える形状です。
ワールドタイマーの時差表示が控えめに彫り込まれているのもわかります。

最外周の固定歯車は厚く、よく見ると二つある歯車が通過する軌道はズレていることが分かります。
これは60秒で1周し、スモールセコンドを兼ねており、片方は内部のケージを回転させ、もう片方は支えとして機能します。



ガンギ車と反対側でバランスをとるカウンターウェイトがわかりますでしょうか?
ダイナミックバランスを重視しているようで、調整可能なカウンターウェイトが各軸に設けられそれも独特の意匠になっています。

さて、外観上問題がないことも分かったので、「納品会」と撮影まで止めた状態で置いておきますか…?と顔を見合わせた結果…



オーナー氏が巻き上げ!
かなり重い主ゼンマイを巻き上げると、トゥールビヨンが静かに動き出します。
軽量なチタンで作ってあるとはいえ、これだけの大きさの3軸ケージを回すパワーはやはりすごいようです。



大きさも相まってすさまじい迫力で動くトゥールビヨン。
この写真がわかり易いですが、外側の固定クラウンギアに噛みあってる歯車は60秒で1回転するため、そのままスモールセコンドとしても使われ、そのための矢印上のパーツもケージに備えられています。



ライティングを検討しているときにとれた偶然の1枚。
希望の象徴としてのファロスの表情をと思ったのですが、周りが散らかってますね…



ショーケースの上で撮影を…
先に述べたパワーリザーブインジケーターは巻き上げに伴って溝からヨットの帆の形状のものが現れ、これが最大まで飛び出した状態でフル巻き。
パワーリザーブは8日間と充分な値なので、1週間に1回巻けばOK。



見てて飽きないですね…と語り合いながらしばし堪能。



ちゃんとデザインされたアントン・スハノフのロゴ。
オロロジカル・エンジニアリング!



ファーストピース納品をお祝いし特別なものとするため、オーナー氏との話し合いで作られたファロスのキリル文字表記とロシア語で「最初のひとつ」と記載されたプレート。
色々考えたそうですが、これが良かったと。



ワールドタイムの都市は1タイムゾーンに4都市、何でそこが!?というような都市が選ばれていてそれはそれで面白いとのこと。

UTC 9はヤクーツク(ロシア)、ピョンヤン(北朝鮮)、ソウル(韓国)、東京(日本)と言うチョイス。
あれ?ピョンヤンって政治的理由で30分ズレてなかったっけ?と思って調べたら、2018年5月5日にUTC+9に戻したとのこと、知らなかった…

フォントのユニークさに目を引かれますが、全体として調和したデザインと感じました。

最後にトゥールビヨンを連続で…



最内が33.75秒、中間が60秒、最外も180秒と言う高速回転3軸トゥールビヨンです。
金属色とルビーの赤色のコントラストが光に映えます。



本体の動きもさることながら、フラットなベース部分に作られる影も次々と表情を変え、見ていて本当に飽きません。
影の落ち方やカバーガラスによる光の屈折・反射すら計算尽くなのでは!?と思えてくるような調和です。



これはがっちり三脚とマニュアルフォーカスで追ってみたい!という事で今週中に本来の「納品会」と撮影を行い、週末には詳細レポートをさらに掲載したいと思います。



顔の見える「作り手」の写真用に提供された、アントン・スハノフの写真。

バーゼルでお会いできる?という話もありましたが、それは延期に、やはりロシアに行くしかない!?
まずは、カメラと三脚で「夜」の表情を撮らないと…

関連 Web Site

Workshop ≪ANTON SUHANOV≫
http://www.anton-suhanov.com/

Noble Styling
http://noblestyling.com/