オーデマ ピゲ 限定新作「リマスター 01 オーデマ ピゲ クロノグラフ」を発表

 By : KITAMURA(a-ls)


オーデマ ピゲ新作「リマスター 01 オーデマ ピゲ クロノグラフ」、"歴史"をリマスターするモデル



2020年の新作発表について、各ブランドが拡大するコロナウイルスの影響で、延期や新作発表自体を中止するような動きのある中、オーデマ ピゲは興味深い新作を発表した。
「リマスター 01 オーデマ ピゲ クロノグラフ」と命名されたこのモデルは、第二次大戦下の1943年にわずか3本のみ販売された「ref.1533」の外装デザインからのインスパイアを現代的に再解釈し、新たに開発された自動巻(フライバッククロノグラフ)ムーブメントで駆動させたもので、歴史的希少性と現代的最新技術を合体させたものと言える。
オーデマ ピゲのミュージアム「ミュゼ アトリエ」のオープンを記念して発表されたブティック限定500本のタイムピース。




オーデマ ピゲ コンプリケーション部門の責任者で、2018年に出版された『Audemars Piguet 20th Century Complicated Wristwatches』という書籍の編集にも"オーデマ ピゲ歴史研究家"として深くかかわっていた(参考 →https://watch-media-online.com/blogs/1065/https://watch-media-online.com/blogs/1067/ )は、次のように語っている。

「1970年代と2000年代初めに見られた腕時計のデザイン改革は、世に広く知られています。しかしオーデマ ピゲの歴史において、ケースの形状やダイヤルのデザインにおける創造的改革は、その年代にとどまりません。
リマスター 01では、1943年に製作されたクロノグラフ搭載の腕時計が持つ力強さとエレガンスを、2020年の視点から掘り下げようと考えました。この時計は単なる昔のモデルの復興ではありません。過去の捜索を現代的にリマスターしたモデルなのです。」



リマスターとは、もともと音楽業界の用語で、過去の音源を再発する際に原盤の元になっているマスター・テープを作り直すことを指す。本来はアナログ・テープに残されている各チャンネルの音量・音圧やエフェクトを変えてミックスダウンし直す作業を意味していたが、デジタル技術が進歩した現在では、元のアナログ素材をデジタル化して編集するデジタル・リマスターとほぼ同義語となっている。
つまりこの作品を例えるなら、1943年にレコーディングされたアナログ音源を、現代の最新技術でデジタル化し、原盤を作り直してCD再発もしくは配信を行うようなことだ。
冒頭にref.1533の外装デザインからのインスパイアと書いたが、それは単なるコピーを意味するものではない、サブダイヤルの位置や配置はオリジナルの美意識を損ねないように変更が加えられ、より高い視認性を実現している。

まずはそのオリジナル版、ref.1533から見ていこう。

プレスリリースによると、1951年まで、オーデマ ピゲの時計はすべてが一点ものとして制作され、その中でもクロノグラフは、ブランドの時計生産全体の1/10にも満たない貴重なものだったという。ref.1533は、当時としては先進的なステンレススティールとゴールドのコンビカラーケースにゴールドカラーの文字盤を合わせ、また31mmから34mmというケース径が主流だった中に36mmという大型径を持つという、デザイン的にも当時の最先端モデルで、例外的なことなのか3本の販売が記録されている。


●『Audemars Piguet 20th Century Complicated Wristwatches』掲載のref.1533

このref.1533は近年のオークション市場でも話題となった。3本のうちの2本が、2015年と2018年にフィリップス・オークションに登場し、最初の個体は305,000スイスフランで落札(オーデマ ピゲ・ミュージアムへ貸与)、もう1本は384,500スイスフランという値を付け、その希少性の高さを証明するとともにオーデマ ピゲ・ヴィンテージ・クロノグラフの最高値記録を塗り替えている。


●ref.1533

このリマスタリングプロジェクトの始まり(今回の"リマスター01"というナンバーには今後の継続性が感じられる)として、
1930年代以降から計測という実用性が求められ腕時計に搭載されたクロノグラフ機能に着目し、第二次大戦下という激動と変遷の時代におけるマニファクチュールの創造的名作に光を当てたのは、このプロジェクトの性格をよく表していると言えるかもしれない。


洗練されたコンビカラーのデザイン
この項はプレスリリースを引用する。
1943年の先行モデルである「ref.1533」本来のデザイン言語に忠実に、リマスター01にはステンレススティール製のラウンドケースとラグ、さらに魅力を引き立てる18Kピンクゴールド製のベゼルとオリーブ型のプッシュボタン、面取りが施されたリューズが備えられています。非常に細身のベゼルが綿密に仕上げられたダイヤルの景観を邪魔することなく包み、ティアドロップ型のラグはコンビカラーケースの調和のとれた曲線を強調します。ケースは手作業で入念にポリッシングが施されています。



(中略)ブラックのアワーマーカー、ピンクゴールド製の時針、分針、秒針、ブルーのクロノグラフ針、ブルーのタキメータースケールがバランスがよく配され、サテン仕上げが施されたゴールドカラーのダイヤルが合わせられています。
ダイヤルデザインはオリジナルタイムピースのクラシックな特徴を継承し、アール・デコから着想を得たフォントを採用しながらも、従来より大きくなった40ミリの外径におり、現代の使用にふさわしい視認性の高さを実現しています。

視認性の向上のため、クロノグラフカウンターにもアレンジが加えられています。それでいて、リマスター01には、(中略)9時位置にある30分計の15分を示す目盛りの上に記された4/5表示というオリジナルモデルの特徴が、さりげなく残されているのです。これは、オーデマ ピゲ創業者一族の三代目に当たるジャック=ルイ・オーデマ(1910-2003年)が、自らが好んだサッカーのハーフタイムを知らせるためにとリクエストして作られた表示でした。
ライトブラウンのハンドステッチ・カーフスキンストラップがエレガントな印象を与えるこの時計には、ブラウンアリゲーターのスペアストラップが付属しています。
(中略)
リマスター01には反射防止加工サファイアクリスタルガラス製風防とケースバックが採用され、クロノグラフ機構と、ベゼルに合わせて特別につくられた22Kピンクゴールド製ローターの美しさを楽しむことができます。ローターにはサテン仕上げと、1950年代からオーディマ ピゲで採用されている伝統的な装飾技法「クル・ド・パリ」で装飾が施されています。(ここまで引用)。





また、リマスター01では、ダイヤル上に「Audemars Piguet&Co. Geneve」という銘が記されているが、これは1943年のオリジナルを踏襲している。プレスリリースによれば、オーデマ ピゲは1885年頃から1970年代半ばまでジュネーブにも工房があった。そのため20世紀初頭の作品には、文字盤上に"ジュネーブ"と、その生産地名を刻んだものがしばしばみられるという。


オーデマ ピゲ リマスター01 クロノグラフ 40ミリ
ref.26595SR.OO.A032VE.01
ケース径: 40 mm
ケース厚: 14.6 mm
ケース素材: ステンレススティール +18Kピンクゴールド


機能:クロノグラフフライバック、時、分、スモールセコンド

ケース:ステンレススティールケースとラグ、18Kピンクゴールドのベゼル、リューズとプッシュピース、反射防止加工サファイアクリスタルガラス製風防とケースバック
防水:2気圧防水

ダイヤル:イエローゴールドカラーダイヤル、ブルーのタキメーター目盛、ピンクゴールド針、ブルーのクロノ秒針。

ストラップ:ハンドステッチのライトブラウンカーフスキンストラップ、ステンレススティールのピンバックル。ブラウンアリゲーターストラップ付属。


ムーブメント仕様
自動巻き自社製キャリバー4409
外径:32ミリ(14リーニュ)
厚さ:6.82ミリ

部品数:349
石数:40
パワーリザーブ:約70時間
振動数:4Hz(28,800振動/時間)



限定数:500本(オーデマ ピゲ・ブティック限定販売)
価格:6,105,000円(税込)



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オーデマ ピゲ ブティック