Jules Audemars Grande Sonnerie Carillon for Hour Glass Ginza 20th Anniv.

 By : Ay&Ty Style
ミニットリピーターをカタログに掲載する時計ブランドは今や珍しくなくなったが、同じチャイムウォッチであるグランソヌリ機構を持つ腕時計は圧倒的に少ない。

グランソヌリとは、正時ごとに時刻と同数のゴングを鳴らし、15分ごとにクオーターを知らせるゴング(毎時15分は1回、毎時30分は2回、毎時45分は3回)を鳴らす機構。ミニットリピーターがオンデマンドで時刻を知らせるのに対し、自動的に作動するのが大きな違いだ。15分ごとにハンマーを作動させるのだからそれだけ機械に負担がかかり、壊れるリスクを伴う。

時計ファンの間で比較的有名なのは、ジャガールクルトのHybris Mechanica a Grande Sonnerie (ハイブリスメカニカ・グランソヌリ)だろうか。
かのパテックフィリップですら、2014年に創業175周年を記念してグランドマスターチャイムRef.5175Rを発表するまではソヌリの腕時計を持っていなかった。ヴァシュロンコンスタンタンは8年以上の開発期間を経て2015年に発表した懐中時計Ref.57260に搭載しているが、腕時計はこれからである。A.ランゲアンドゾーネはどうか。確かに2013年発表のグランドコンプリケーションにグランソヌリが搭載されているが、直径50ミリ、厚さ20ミリの時計を腕時計を言ってしまうのは正直反則技だろう。
これらを見るだけで、グランソヌリがいかに特別な機構であるかが分かる。

独立時計師ではフィリップ・デュフォーが有名だ。ダニエル・ロートもグランソヌリを設計した数少ない時計師であり、それはブルガリに引き継がれている。F.P.Journeはブランド創設後まもなく(ミニットリピーターより先に)グランソヌリに取り組み、2006年に発表したSonnerie Souveraine(ソヌリ・スヴレンヌ)でジュネーヴウォッチグランプリで金の針賞を受賞しているが、これは異例中の異例といってよいだろう。ジュルヌ氏はブランド創設前にピアジェ向けにグランソヌリを限定制作したことがあり、その経験が自ブランドで生かされた格好である。

そんな中オーデマピゲは、20年以上前(1994年)から今日に至るまでグランソヌリを作り続けている老舗だ。しかもカリヨン、つまり3つのハンマーとゴングが用いられ、クオーターの打刻は3音で構成されるもの。リピーター=パテック、ソヌリ=オーデマピゲと総括するのは言い過ぎだろうか。

そしてこの度、アワーグラス銀座店の開業20周年の大トリを担うアニバーサリーピースとして、プラチナケース、ゴールド製のブラックダイヤルのユニークピースが制作された。



グランソヌリのような超複雑機構と聞くと、大きな時計を想像してしまうが、実機は驚くほど引き締まったサイズ。
40ミリ、いや手に取った感じではもう少し小さい印象を受けた。そして薄い。



そしてこのギョウシェ。素晴らしいの一言。
非常に高額な時計だからこそ、外装にも一切妥協はしたくないものだが、その要求に応えられる出来だ。



グランソヌリでは、プチソヌリ(正時のみチャイムを鳴らす機能)を備えるのが一般的。
ケースサイド2時位置のスイッチで、グランソヌリモード、プチソヌリモード、そしてサイレントモードを切り替える。



もちろんミニット・リピーター機能も併せ持つ。
ケースサイド10時位置にあるのがミニッツリピーターの作動ボタン。スライダーではなく、チャイム専用の香箱からのトルクを使う。



それでは音色をお聞きください!



いかがでしょう?
クオーターが3音構成なのをお分かりいただけるだろうか。

美しい音色を鑑賞した後は、オーデマピゲの時計を肴にシャンパンとワインでプチ忘年会。
SIHH2017まで1ヶ月を切り、自然と話題もそちら方面に。










アワーグラス銀座さん、グランソヌリを目にすることができる貴重な機会をありがとうございました!
ご興味をお持ちの方は、ぜひ連絡してみてください!