Ay&Ty Style in Geneva #2 -Audemars Piguet 1-

 By : Ay&Ty Style
今年のオーデマピゲ、会場で最も衆目を集めていたのはRoyal Oak Perpetual Calendar Black Ceramicでした。
一般向けに公開されているショーケースに他素材のパーペチュアルと並べて飾ってあったのですが、その前はいつ見ても人。

ロイヤルオークのブレスレットは、エレガントに絞られているため1コマずつ幅が異なります。そしてすべてのコマに施された丁寧な面取り、サテン仕上げ。これはエントリークラスにおいても変わらないこだわり。抜群の装着感を担うブレスレットのフィニッシュと組み上げには、通常のステンレスのもので6時間を要するのだそうですが、セラミックの場合、5倍にあたる約30時間をかけて作られるのだそうです。
セラミックブレス自体はシャネルやラドによる前例があります。しかしさすがに、手に取ったときに伝わって来る質の高さは比較にならない。まったく異質ものと考えてよいと思います。

少しだけ指摘もしておきましょう。
第一に、光の加減にもよるとはいえ、サテン仕上げの施されたブレスレットは、意外にもシャイニーな印象でした。なので、マットブラックというか、むしろグレーっぽい渋い感じをイメージしていると、違和感を覚えるかもしれません。
第二に、価格。加工に手間がかかるとはいえ、また、最近はリシャールミルを筆頭に、ゴールド以上に高価な異素材も珍しくないとはいえ、ステンレスとの間の価格差(350万円くらい?)は強気ですよね。ステンレスのパーペチュアルも相当出来が良いだけに、あえてセラミックにステップアップするか、という点は悩ましいものがあります。

もちろんこれらの点を加味してもなお、SIHH2017で最も注目されたモデルであることは間違いないですし、何と言ってもカッコいい!
軽量で、傷がつきにくく、変質もしにくいという、スペック的には言うことなしのセラミック。
年間生産本数も僅かと聞いていますので、気になる方は早めに動いた方がよさそうです。







ブース内で、ブレスレットの製作工程の解説を行なっていました。
動画を撮影してきましたので、質感の確認にどうぞ!




ハイエンドのモデルで次にご紹介したいのは、Royal Oak Tourbillon Extra Thin Openworked。
エクストラシンのトゥールビヨンのスケルトンです。
2012年にプラチナで発表されたものですが、今年はいよいよステンレスが登場しました。
スケルトンの仕上げも素晴らしかったです。







こちらも動画をどうぞ!



ゴールドも発表されましたが、これは私には重すぎました。





今年のオーデマピゲ、各新作については素晴らしかったのですが、ひとつ不満をいうと、ロイヤルオーク以外の新作がほとんどなかったことは残念でした。
オーデマピゲが本当の意味でかつての輝きを取り戻すには、ロイヤルオーク以外のドレスラインの再構築が必須だと個人的には思います。
具体的には、手巻きのベースムーブメント、手巻きのクロノグラフで、伝統を強く意識させ、かつ理念であるBreak the Ruleに沿ったモデルの開発。すでに着手しているとは思いますが、それを期待します。

そんな中、ジュールオーデマからの唯一の新作。これは素晴らしかった!
昨年ロイヤルオークオフショアに搭載されたスーパーソヌリが、クロノグラフのないシンプルリピーターとして登場。ダイヤルは青エナメル。
特殊なケース構造をしているためどうしてもケースに厚みは出てしまいます。しかし、昨年のオフショアと比べると格段に「使えるサイズ」まで降りてきました。






リピーターの音色を録音しましたのでどうぞ。
クリアでハイトーン、なおかつ大きな音量に驚きますよ!



いかがでしょうか!十分な音量ながら、それでも昨年のオフショアと比べると若干弱めです。
しかしこれは、あえて弱めに調整をしたのだとか。購入の際にリクエストすればある程度は好みに調整してくれるかもしれませんね。
比較のため、オフショアのスーパーソヌリの音色もお聴きください。



ジュールオーデマ・スーパーソヌリは、来年以降のオーデマピゲの新作に期待を抱かせる好モデルでした!

次回は、オーデマピゲのその他のモデル、デイリーに使えるモデルをご紹介します。