CZAPEK オフィスイベント&新作ピース

 By : CC Fan
SIHHの期間中にジュネーブ市内で行われたイベントから、チャペック(CZAPEK Geneve)のイベントの様子と新ピースの情報をお送りいたします。
時計業界にて"偉人"を復興させる試みは数多く行われていますが、チャペックは大手資本ではなく時計愛好家から小規模多数の投資を募るクラウドファンディングによって資金を調達するというユニークな手法で話題となりました。

今回のイベントではカクテルパーティーのような形式ではなく、出資者・オーナー・興味がある方とゆっくり時計を見ながら語りたいという趣旨で、ジュネーブ市内のオフィス(Rue Saint-Léger 2)にて直接CEOのザビエル(Xavier de Roquemaurel)氏や事業推進メンバーから説明を受けることができるという方法を取っていました。
余談ですが、日本代理店のノーブルスタイリングさんによると、このイベントに参加したプレスは日本では当サイトだけではないか?とのことなので、独占情報かもしれません。



チャペックは水平分業方式で外部のサプライヤーにて部品を作成しており、工房の多くはル・ロックル(Le Locle)やラ・ショー=ド=フォン(La Chaux-de-Fonds)に存在します。
最終組み立てを工房もラ・ショー=ド=フォンのため、ジュネーブのオフィスは純粋な事務所と言った佇まいでした。



今回、ケ・デ・ベルク(QUAI DES BERGUES)の新作として、既に発表されている188本限定のFirst Edition ”RENAISSANCE(ルネサンス)”に対して追加されたプラチナ(PT950)バージョンと、100本限定の38.5mmバージョン "Éternité(エテルニテ)"が初公開され、実機を拝見することができました。





向かって左がすでに発表済みのNo33、真ん中が38.5mmのNo13 ”Éternité"、向かって左がプラチナバージョン(型番刻印なし、No未定?)です。

プラチナは顧客からの要望が多かったため10本のみ追加したが、First Edition全体で188本という生産本数に変更はないとのことでした。



デザインモチーフである"初代"チャペックのNo3430懐中時計と同じ、アヤメを意匠化したフルード・ド・リス針を備えています。
他のピースには見られないフルード・ド・リス針と青色の組み合わせですが、ブルースチールでは作れないため、ホワイトゴールドにロジウムプレートをかけた上にブルーのコーティングで色を付けたものだそうです。
文字盤はほかの貴金属ケースモデルと同様、ドンツェ・カドラン(Donze Cadran)製のグラン・フー・エナメルです。



プラチナバージョンのみの意匠として、リュウズガード部分にハンドエングレーブが施されます。



ムーブメントは他のケ・デ・ベルクと同様のSXH1です。
(プロトタイプのため、ホールマークや刻印は製品版とは異なります)
こちらは既にオーダーを受け付けているとのことでした。



日本の愛好家に好まれそうなサイズ感の38.5mmケースに収まったNo13です。
フルード・ド・リス針はプラチナと同じ青色、文字盤も同じくグラン・フー・エナメルです。
スモールセコンドとパワーリザーブの針は上手くバランスを取って収まっています。



直径32mmのSXH1ムーブメントが38.5mmのケースに収まっているため、非常に見応えがあります。



ムーブメントの収まり具合と”Éternité"の刻印です。

”Éternité"シリーズ全体で100本製作し、30本程度はRG、残りのケース素材が何になるかはまだ未定だそうです。
ザビエル氏によると、42.5mmケースのREVOLUTIONケースや段差付きダイヤルは38.5mmケースでは"おそらく"無理ではないかとのことなので、XOスチールやグレード5チタンも貴金属と同じケース構造になると予想されます。
今年の6月ごろには出荷する予定で、現在すでに問い合わせがあるそうです。



First Edition ”RENAISSANCE"はGPHG Public Prize受賞の影響もあってか好調で、すでに100本ほどオーダーがあり、順次納品が行われているそうです。

時計本体の出荷に合わせるように、ストラップやアクセサリーなども徐々に揃えられてきているようです。



カミーユ・フォルネ製の革ストラップについては現在これだけのカラーが選べるそうです。
また、個人的に"夏用"として期待しているラバーストラップも現在最終プロトタイプを作成中とのことでした。



お店用のロゴ入りトレイ?



訪問中にサプライヤーが持参したキャリングケースをチェックするザビエル氏。

気になっていたREVOLUTIONケースの構造についてはCADの図で説明していただきました。



照明が思いっきり映り込んでしまっていますが…
防水を担当するインナーケースとラグからケースサイドの造形を担当するパーツに分かれています。
この構造により、5気圧防水とサイドの継ぎ目のない造形が実現されています。

しかし、REVOLUTIONケースの研磨は極めて困難とのことで、実際の数字は差し控えますが、特にグレード5チタンケースの生産性とカーボンファイバー文字盤の生産性はなかなか厳しいようです。

Dバックルについては現在の尾錠のデザインをベースにしたものを計画中で、"課題は順次解決"とのことでした。



ザビエル氏は、去年に日本でお会いした時と同じく精力的でしたが、さすがにちょっとお疲れかもしれません。



ここからは私事ですが、去年末に納品されたNo27は直接ザビエル氏とやり取りしてユニークな仕様を決めていましたが、一点伝達ミスがあったっため、今回修正のために持ち込みました。

日曜日(15日)に時計師のセバスチャン(Sébastien Follonier)氏に渡し、そのまま氏がラ・ショー=ド=フォンの工房へハンキャリで持ち込み、修正・検査を行い木曜日(19日)には受け取ることができるというスピーディな対応でした。



こちらの詳細については別途ご報告させていただきます。

関連 Web Site

CZAPEK Geneve
https://czapek.com/

Noble Styling
http://noblestyling.com/