Ay&Ty Style in Geneva #5 -VC&A, Lange-

 By : Ay&Ty Style
独立時計師の広場は、そちら方面がお好きの方なら1日楽しめるワンダーランドでしたが、今回私たちはSIHH会場全体で1日というタイトなスケジュール。Kari Voutilainenさんと話をしたいのをグッと堪えてメイン会場に戻ります。
午後は、ヴァンクリーフ&アーペル、A.ランゲ&ゾーネ、ジャガールクルトの3ブランドを回り、その他のブランドは表側だけをざっと眺める程度にしました。

ヴァンクリーフ&アーペルは、機械式時計を用いた物語的、詩的な表現「ポエトリー オブ タイム」を毎年楽しみにしています。
2006年から続く人気のシリーズ。その歴史は、こちらの拙ブログ記事をご参照ください。
http://ayty.sblo.jp/article/175910889.html

今年は、ブース中央に置かれた巨大なオートマタクロック「オートマタ フェ オンディーヌ」がビジターを魅了していました。もっともこれは量産を予定したものではありません。
腕時計では、レディーアーペル パピヨン オートマタウォッチが今年の目玉。



MOPやジュエリーで描かれた背景の美しさはもちろん、8時に設置されたバタフライの羽はヒラヒラと開閉するオートマタになっています。
オートマタは毎時きまった時刻に作動するのではなく、ランダムに感じられるように不規則な歯車が用いられているとのこと。また、作動する際には、主ゼンマイの巻上げ残量に応じて開閉の回数が変わってくるようです。
正確に時を刻むことが求められる腕時計のダイヤル上で、思いがけないタイミングで作動するオートマタは、オーナーに格別の癒しを与えるのでしょうね。

なお、気の短いオーナー様への救済措置といいますか、8時位置のプッシャーでオートマタを強制的に作動させることもできます。この場合、プッシャーを押している間ずっと開閉を続けます。これを良しとするかは意見が分かれるかもしれませんね笑。
動画をご覧ください。



今年は、機械式時計の新作は残念ながらこの1モデルだけで、他はすべてクォーツ式のレディースウォッチでした。
いくつか気になったものを撮影してきましたのでどうぞ。










続いてA.ランゲ&ゾーネです。
当メディアではすでにALSさんによる詳細なレポートがされていますので、私からはリストショットと簡単な感想の補充にとどめます。



Preで発表されていたランゲ1ムーンフェイズ。旧モデルとデザイン上の違いはあまりないため、一見、よく言えば正当に進化した、悪く言えば無難な印象。ただ、我々ユーザーサイドから見ると、奇をてらって残念な方向に行かれるよりは、こういった堅実な新作が長期的に見るとありがたかったりするわけです。
インダイヤルは、ムーンフェイズのディスクとその背景の空のディスクの二重構造になっていて、空のディスクは1日に1回転してナイト&デイを表示します。ナイト&デイの表示は、止まっている時計の日付け合わせの際に(地味ながらも)重宝しますし、そこはさすがランゲで、それ自体美しい仕上がり。
旧型から乗り換える価値もあるのではないでしょうか。



ただ個人的には、1815アニュアルカレンダーの方に惹かれました。
ダイヤルのバランス、特にインダイヤルの配置が大変素晴らしい。サクソニアのアニュアルも良かったですが、個人的にはこちらの方が好きですね。
やはりランゲといえばランゲ1と初代プールルメリットなわけで、クラスは違うものの初代プールルメリットの香りをほのかに感じさせる1815アニュアルカレンダーには、最近ランゲから遠ざかっている私ですら、グッとさせられるものがありました。
端正なWGもいいですが、RGがさらに素晴らしい。今年のランゲの中では一番気に入りました。





女性向けのリトル1ムーンフェイズ。
こちらも秀逸でした。リトル1のギョウシェダイヤルは、限定モデルを除いて初めてかも(違っていたらすみません)。以前、MOPダイヤルのランゲ1ソワレにギョウシェの入った綺麗なモデルがありましたが、今回はMOPではなく、プレーンなホワイトダイヤル。
そしてお気づきのとおり、ムーンフェイズの背景の夜空もホワイトで表現していれ、より女性らしい印象を与えるのに成功しています。ケースはRGのみ。
かなりいい感じで、同席した女性の皆様も大きくうなづいていました。



他方、大物としては、2代目プールルメリット、トゥールボグラフに永久カレンダーを付加したモデルを発表。
個人的には、コンセプト的に機構的にも特段惹かれませんでしたが、こういった大物の開発で得たノウハウや技術は、後年、熟成されて他モデルの開発に生かされ、マニュファクチュールとしての成長につながるのだと思います。



あとは、ツァイトベルクのストライクタイムから、10分刻み(デシマル)のタイプが発表されました。昨年のミニッツリピーターをデシマルで作ったため、それをストライクタイムに還元したものと思います。素材にはハニーカラーゴールドが使われています。これも個人的には射程外ですが、綺麗ではありました。



続いて、ジャガールクルトに移動します。