フェルディナント・ベルトゥー WATCHES AND WONDERS 2022 にて『精度の守護者』を展示

 From : FERDINAND BERTHOUD (フェルディナント・ベルトゥー)


WATCHES AND WONDERSにて 精度の守護者が展示されます


それは、単なる時計でも、新作でもありません。その製作者と話をすることも、それを装着することも、触ることさえもできません。もしかすると、一生に一度だけ見ることができるかもしれません。この技術と時計製造における傑作を、ぜひジュネーブのWatches and Wondersでご覧ください。



フェルディナント・ベルトゥーは、彼の生涯を通して重錘式マリンクロックを21のみ製作しました。現在では、そのうちの12作品が、プライベートコレクションやミュージアムで所蔵されおり、パリのフランス国立工芸院(CNAM)だけで、その中の7つを所有しています。クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーは、その12作品のひとつがフルリエにあるミュージアム「L.U.CEUM」のコレクションに加わることを発表しました。

精密計時のパイオニア的なオブジェを見ることのできるまたとない機会



この計測機器は、大洋を航海し、新たな土地を見つけることに貢献した機器のひとつです。このようなマリンクロックのみが、数か月にわたり経度を計算し、針路を守り続けることを可能としていました。すべて手作業用の工具を用いて製作されたこの作品は、±1秒/週という究極の精度を備えていました。この驚異的な結果は、現代の最高級クロノメーターにおいても、いまだ困難なものです。
興味深いのは、このオブジェが今の時代に貴重になったのではなく、すでに250年前にそうであったということです。この作品は、航海中の最も重要な機器であり、艦長が自身の部屋に置き、細心の注意を払っていました。この≪経度≫マリンクロックは、常に2つ1組となっていました。このように航海の運命を左右する機器を重ねて持つことは、現在でも航海や航空の分野において規範となっています。
後の時計製造に影響を与え、この黎明期の時代を象徴する極めて希少なこの作品を、メゾンは細心の注意を払い、ジュネーブのWatches and Wondersで展示することを決めました。N°14と刻まれたこのマリンクロックは、1775年に製作され、今日の時計製造、そして特にクロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーが根本とするすべての要素を備えています。

インスピレーションの源



フェルディナント・ベルトゥーは、彼のマリンクロックの最高の精度を確保するため、複数のシステムを考案しました。そうすることで、彼は大洋横断する航海の際に根幹を成す経度計算の基礎を築くことができました。そして、18世紀のヨーロッパの列強たちにならい繁栄を目指すスペイン海軍は、フェルディナント・ベルトゥーに8つのマリンクロックを注文しました。そして、製造した中のひとつで、1775年から1776年にかけて届けられ、N°14が刻まれたこの作品を手に入れるのです。

搭載された様々なシステムのひとつがコンスタントフォース機構で、最も安定した動力トルクを脱進機に確実に伝達することを目的としています。この装置は、今日でもまだ使われており、クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーのすべてのタイムピースに採用されています。



その当時の時計製造の重要な2つ目のプロセスは、ピボテッドデテント脱進機です。その動作が安定し、エネルギー消費効率に優れ、一定なデテント脱進機は、最初のフリースプラング脱進機であると考えられます。この構造では、ガンギ車から推進力が伝わります。それゆえ、フェルディナント・ベルトゥーはガンギ車を大型(直径58.4mm)に設計しました。ガンギ車が大きいほど慣性が大きくなり、精度が向上するため、完璧な精度が得られます。この脱進機は、その当時数多くのマリンクロックに採用されていたゼンマイ駆動の脱進機の展開を阻むこととなりました。このゼンマイ駆動式脱進機は、フェルディナント・ベルトゥーにとって、十分な精度を備えていなかったのです。

マリンクロックN°14は柵状の部品を備えます、これは、ムーブメントの金属の膨張による温度変化を補正する初の本格的な金属機構です。現代の合金は、まったく同じ目的で使われています。3世紀前にその合金を使用することは不可能でしたが、すでにフェルディナント・ベルトゥーは、温度変化の重要性とその補正の必要性を理解していました。

偉大なるヘリテージの継承

マリンクロックN°14の修復するために、400時間にわたる作業を必要としました。このタイムピースは機能する元の状態に戻すため、完全に修復されましたが、経過した時が添えたパティナはそのまま残しています。
フェルディナント・ベルトゥーの名を冠するメゾンの開発を常に導く、彼の技術的な挑戦は至る所に見て取れます。コンスタントフォース脱進機は、FB 1.1以降採用されてきました。この時計のムーブメントが見えるピラー式の垂直構造から、今日のフェルディナント・ベルトゥーのクリエイションのケースの誕生につながりました。その名に由来するクロノメトリーは、フェルディナント・ベルトゥーが1775年当時すでに主張していたように、彼のタイムピースの修理可能であるという特徴を丁寧に継続しています。まさに効果的なアプローチにより、マリンクロックN°14は、製造から246年経った今日、大きな問題もなく動き出しました。

伝承

この類をみないタイムピースに、クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥー社長のカール-フリードリッヒ・ショイフレを導く哲学が要約されています。その考えとは、時計製造の歴史に対する情熱、フェルディナント・ベルトゥー創業の精神への揺るぎない忠誠心、唯一無二の彼の名を冠したミュージアムに所蔵されるコレクションは、機能する状態に修復され、真正なるタイムピースのみで構成されています。そして、この一連の価値観を、偉大な時計師の革新と実験感覚を共有する現代のコレクションの中に移し、時計精度の新たな高みに到達させることです。この厳格な基準のため、毎年クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーの工房からは数十のタイムピースしか出荷されていません。


ファストファクト
マリンクロック、フェルディナント・ベルトゥー No. 14, 1775

【歴史】
[8]: このマリンクロックは、フェルディナント・ベルトゥーが総数8体の注文を受け、フランスで製作し、スペインのカディスに1775年から1776年にかけて届けたもののひとつです。この熟練時計師が、スペイン海軍に初めて供給したタイムピースの注文です。

[14]: このタイムピースは、フェルディナント・ベルトゥーが48歳の時に製作した14番目のマリンクロックです。

[1775]: この貴重なマリンクロックN° 14が発明され、製作された年。

[1793]: フェルディナント・ベルトゥーの元で修業をした、当時24歳のカイエタノ・サンチェスがこの時計の監督を務めた年。彼は、カディス湾のサン・フェルナンド海軍国立天文台のクロノメーターのメンテナンスを担当しました。

[21]: 現在までの資料で分かっている限り、フェルディナント・ベルトゥーが製作した重錘式のマリンクロックの数(12はミュージアムやプライベートコレクションに所蔵されていることを把握、そのうち7つはパリのフランス国立工芸院(CNAM)に保管されている。

【仕様】
[24 h]: この堂々たるタイムピースのパワーリザーブ

[/- 1 sec.]: マリンクロックN° 14の一週間での精度。ジンバルシステムの上に設置され船の動きにも関わらず、時計の位置を維持することができました。

[139]: この希少なマリンクロノメーターを構成する正確な部品数

[58.4 mm]: このガンギ車の直径。これはホールクロックのものより大きかった。

[130 mm]: 金メッキ仕上げの真鍮製のテンプの直径。このテンプは、薄い金属のブレードから吊り下げられ、天真は3つのローラーを備える2つの受けの間で回転します。

[18.5 cm] 地板-文字盤の直径

[52.5 cm] マリンクロックN°14の高さ

[400 h] 完全な修復に要した時間(歴史的な資料の研究も含む)

[1,260 g] 鉛の2つのシリンダー型の錘の重量、2つの総重量は、2,520 g

[15.8 kg] マリンクロックN° 14の総重量


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