フェルディナント・ベルトゥー レギュレーター・スケルトン FB RS 実機レポートと新たなる試み

 By : CC Fan

2021年4月1日:Typoを修正、シリアルに対する注釈を追加しました

本日18時、この記事の直前にニュースが公開されているであろう、フェルディナント・ベルトゥー(FERDINAND BERTHOUD)の新作、レギュレーター・スケルトンFB RS。


※写真はプロトタイプで、実際のシリアル番号はケースに入りません

発表に先立ち、プロトタイプを拝見させていただく機会を頂きましたのでレポートします。

先ずはムーブメント、キャリバーFB-T.FC-RSと実機について。
今までのレギュレーターFB1 Rではデザインの元となったマリンクロックNo.8を模して文字盤側が塞がれていました。



今回、初めてのスケルトンムーブメントにより今までで最大になるサイズの開口部が設けられ、トゥールビヨンを表と裏から余すことなく堪能することが可能となりました。


※写真はプロトタイプで、実際のシリアル番号はケースに入りません

新しいデザインのトゥールビヨンの受けによって支えられるトゥールビヨンがセンターセコンドを駆動する4番車から「ダイレクト」に駆動されている様子が分かります。
文字盤側から見るとトゥールビヨンは反時計回りに回転しており、ケースバック側から見たときに時計回りになります。
駆動用歯車と固定歯車も文字盤側にあるため、このトゥールビヨンの「正面」は本来ケースバック側であり、ケースバック側から鑑賞することを想定していたことが窺い知れます。



スケルトン化に伴い、部品を大幅に再設計し、仕上げ方法も変えたそう。
元々のケージが大きいため、トゥールビヨンは浮いているような印象です。


※写真はプロトタイプで、実際のシリアル番号はケースに入りません

ケースバック側からは古典に習ったコーンとウォームギアを使ったパワーリザーブインジケーターの仕組みを初めて上側から見ることができるようになりました。
部品の新造により、「通常ムーブメントを肉抜きした」スケルトンではなく、「スケルトンのための設計」と感じる出来栄えです、偉大なベルトゥーの名前にふさわしい作品しか作りたくないというカール‐フリードリッヒ・ショイフレ氏の姿勢を考えれば当然かもしれません。


※写真はプロトタイプで、実際のシリアル番号はケースに入りません

美しいだけではなく、「高精度」なのでCOSCクロノメーター規格を取得済み。



角度によって各部品の仕上げの違いによるコントラストの対比が強調されます。
個人的には最も読み取り精度が要求される秒が一番大きく表示されるのがレギュレーター(標準時計)として「計測器」と感じるので好きです。


※写真はプロトタイプで、実際のシリアル番号はケースに入りません

腕に載せるとケースサイズ44mmという数字からの印象よりは小さく感じます。
これは、オクタゴナル(8角形)ケースを使い、ラグをケースに取り込んだラグレス調のデザインでベルト取り付け部分の距離はラグつきのケースより相対的に短いからというのが理由として考えられます。



私より細いKIHさんの腕でも収まりは良さそうでした。

さて、作品そのものとは別に、新たなる希少性の指標として「ムーブメント数の限定」という方針が示されました。
この作品の名称はスケルトンFB RSであり、数字がついていません。
FB1(オクタゴナルケース)とFB2(ラウンドケース)を内包したシリーズとして発表され、オーナーは両方のケースを好みに合わせて選ぶことができ、限定数はムーブメントを20個に限定するという方法で定められます。

自分の持っている作品は希少であってほしいという顧客の利益と、開発費(初期投資)を考えるとなるべく同じムーブメントをたくさん作りたいというブランドの利益は相反する部分もありますが、顧客の満足度を高めることがブランド価値を高めることというベルトゥーの姿勢をより明確に示したと感じます。

2つのケースが「トランスフォーム」する様子は、公式アカウントからこの作品のティザーイメージとして公開されていました。

In the 18th century, Ferdinand Berthoud imagined a window to observe the movement working on his marine clocks. A detail that you can find on all our modern timepieces.#FerdinandBerthoud pic.twitter.com/ERQhj89t0L

— Ferdinand Berthoud (@FBerthoudChrono) March 26, 2021 >

ここで気になるのは、FB1のムーブメントがFB2のケースに入るのであれば、FB2のフュゼ・コンスタントフォースムーブメントをFB1のケースに入れた作品も作れるのでは?と思い質問を投げかけましたが、「現時点で決定していることはなく、あくまでこのケースを選べるのは今回のFB RSから」との回答でした。
スケルトンFB RSのすばらしさと共に、今後の展開にも期待したいです。

https://www.ferdinandberthoud.ch/en/