オフ会 in ロンドン。トーマス・プレッシャーさんも来た! 唖然とする技術とアイデア

 By : KIH

昨日は夜中に東京で客人と飲んで、今朝は早起きして空港へ、そして(昼間のお仕事の出張で)ロンドンに着いたとたん、アメリカ人の時計友達S君が丁度ロンドンに来てるからと、晩飯へ。
『トーマス・プレッシャーの時計のオーバーホールが終わったから受け取るついでに』、なんて言ってたんですけど、なんとご本人Prescher先生も参加。そして、常にそんなに時計持ち歩いてるんですか、ってくらいの時計を拝見しました。ついでに、プレッシャー家の全員ともお会いしまして、次にスイスに来たら是非泊まりに来てほしいと、とってもフレンドリーな先生と、ご一家でした。

●AHCIの古いメンバーの1人、トーマス・プレッシャー氏。


まずは、当初は数が少ないかな、と思っていた、「お約束」の集合写真。



左端が、今回オーバーホールから戻ってきた、独立時計師好きのアメリカの友人S君の所有物。テンプスヴィヴェンディという、時が左側、分が右側の 両方レトログラードで、彼の選んだダイヤルデザインは龍の手が塒と分を指す、というもの。うーむ。デザインによって好き嫌いはあるだろうが、すごい。

真ん中はプレッシャー氏がしていた、「三軸トゥールビヨン」。まだプロトタイプですが、すごいっす。若干、分厚くはなりますが。

で、右は小生の出張用時計。だって、3か所の時間がすぐにわかって便利なので。ベゼルが動くって、GMT時計では大事です。動かなかったら2か所の時間しかわからないけど、動くことによって3か所目もわかるのです。私の場合は、日本、ニューヨーク、そして現地時間がわかるようにセットしていますが、ま、どうでもいいか、そんなことは。


しかし、氏のバックパックから時計が出てくる出てくる。というわけで今回は、料理の写真はなし!

こちらは、永久カレンダー「QP1」。表示方法がユニークでシンプルです。老眼の私にも見える。





ローターはプレッシャー氏のお得意なエングレービング入り。ちなみに、プレッシャー氏はケースからムーブメントから何でも自分でやりますが、エングレービングだけ、外注だそうです。


やや厚みはありますが、サイズ感はいいです。


そしてこちらは、S君がオーバーホールに出していたテンプスヴィヴェンディ。デザインは大体カスタマイズ。この写真は、リューズの真ん中のプッシャーを押して、「ポーズ」の状態。もう1回押すと、普通の時刻に戻ります。普通の時刻というのが、左手が「時」を表し、右側が「分」を表す、「ダブル レトログラード」。秒針はありません。


時刻を表している状態。ラグが飛び出しているのでやや大きい感じ。43㎜だとか。存在感ありますね。


こちらはPrescher先生が持ってきたものの1つ。赤に龍なんて中国っぽいですが、この赤の部分は漆だそう。そして、スイスにも漆職人が2人いるそうです! 日本で修行してきたんだとか。


そしてこちらは、テンプスヴィヴェンディ・ スクルプトゥラウナ。ムーブの基本はテンプスヴィヴェンディと同じ。ただ、こちらは真ん中に秒針があります。その分、ちょっと時計っぽいかな。


青と白にするとぐっと視認性が増しますね。サイズ感はやっぱりちょっと大きいかな。でも、39㎜バージョンもあります! 色、インデックス、なんでもカスタマイズしてくれるそうです。






このケースも先生が作ったものですが、普通はこの角度で磨いてサテン仕上げできませんよね。
このケースは普通の3ピースではなく、7ピースなのです。ラグは別途作って磨いて仕上げてからケースと合わせるので計7ピース。すごいなあ。ケース、ムーブ、カスタマイズして・・・これで基本価格を15,000米ドルくらいにしたい、とのことなので、コスパめちゃ高い感じがします。


そしてこちらは「二軸トゥールビヨン」。ほんとは、トゥールビヨンがお得意な先生です。


ケースは基本、作り方は同じです。




そしてこちらが氏も自分で着用していた「三軸トゥールビヨン」のプロトタイプ。さすがにやや厚さはあります。




周りが騒がしくて(大衆イタリア料理屋さん)、暗いですが動画でご覧ください。


最後に出てきたのがこれ。

ある年のクリスマスの3日前、奥様に『何が欲しい?』と聞いたところ、『シンプルな時計が欲しい』と。
そこで先生が丸3日間ワークショップにこもり作ったのがこれ。ほんとに3日でできたんでしょうかね。。。
(上の画像の)右側が上になります。真ん中にある丸いのはオシレーター(自動巻きのローターですね)、その左側に「時」、右側に「分」、下には「月」と「日」、真ん中にはトゥールビヨン。もちろん、コンセプトウォッチではありますが、よくこんなのを考えつくものです。




私の手首。




そして、奥様の手首。奥様のお気に入りだそうです。女性がしてたらすごいなあ。アクセサリー?


というわけで、たっくさんの時計(ただし、安全面からほとんどはモックアップ、つまり中身なし)をお持ちいただき、あたかもトーマス・プレッシャー 展示会のようでした。
実際、『日本の時計ファンにも是非見てほしい』、と。『買ってほしい展示会じゃなくて、日本の時計ファンをよく知るための会をやりたいなあ』、と仰っていました。
"買ってほしい"なんてことが最初からあるわけない、とのこと。だからこそ、お客さんの声を聞いて、お客さんの欲しいものを作るんだそうです。
曰く、『コレクターとの信頼関係が一番大切。それを無視して時計なんて売れないし、売りたくない』。

日本が誇るAHCI会員、菊野さんを推薦した2人のうちの1人として、菊野さんのことを絶賛していました。
『彼は何より正直にお客さんに接している。そこが彼の時計に表れている。(自分もそうだが)彼はもう毎年バーゼルに来る必要はないね』と。

S君は独立時計師にはまって、現在菊野さんの「朔望」の完成を待っている。菊野さんについては彼の意見も同じ。
さらに彼と意見が一致したのは、『時計ブランドや時計師との付き合いって、やっぱり"人柄"だよね』という点。人柄に惚れれば、その人の時計が欲しくなるし、逆もまたあり、と。だからS君は必ずその時計師を会って話をして、『こんなことできるか、あんなことできるか』とか話しながら、気に入った人柄の人の時計を買っている、とのことでした。なんか、共感できるなあ、私の時計の買い方と。プレッシャー氏の人柄も素晴らしかったです。ご家族もいい感じでした。

オフ会のつもりが、すっかりプレッシャー先生の時計の紹介になってしまいました。

詳しくは:
http://www.prescher.ch/


明日はパリでオフ会だ! これはほんとに出張なのか?