黄金期

 By : Daiwatokeiten
世界最大規模のBasel Worldと言えば
新作ウォッチが発表される為、
現行品の時計ファンの方々にとっては楽しみなイベントの1つですね。
 
ご存知の通り、各ブランドが新作時計をお披露目する場なので
アンティークウォッチを取り扱ってる私達はあまり興味が無く、
開催期間中に仕入でスイスに滞在していてもBasel Worldの会場に行くことはありません。
現行品の時計ファンの方々から
「折角その場に居るのにモッタイナイ」と言われちゃいそうですが・・・
 
余談ですが、とある独立時計師さんがまだお元気だった頃のお話です。
Basel World開催期間中、実は別の場所ではアンティークウォッチのマーケットがあるんです。
当然のことながら、私達の目的地はそっち。
ある年、そのとある独立時計師さんが
マーケットでアンティークウォッチを何点か購入していました。
それらの時計、どうしたと思います???
 
「ご自身用の私物かな?」と思っていたのですが、見事にハズレ。
なんと、Basel Worldの独立時計師ブース内にあるご自身のケースの中に陳列し、
自国から来た関係者や知り合いに売ろうとしてたんですよね。
 
もうビックリ!!!

実際に売れたかどうかはずっとその場に居たわけではないので分かりませんが、
彼の商魂の逞しさに驚かされたいち場面でした。
 
Basel Worldというと私には強烈な思い出がいくつかあるのですが、
この出来事はその内の1つです。

 
近年はBasel Worldの会場に赴くことは無いですが、新作の傾向等々の情報は一応気に掛けます。
今年は「黄金時代への回帰」でした。
スイスでの時計産業の黄金期といえば、1950~1960年代。
SEIKOがクォーツ時計を販売し、スイスの時計産業が大打撃を受ける前の時代です。
 
数年前からこの時代の復刻版モデルが販売される傾向にはありましたが、
今年は特に数多く発表されました。
日本でのアンティークウォッチのブームは20年ほど前が最大のピーク時期だったそうですが、
ヨーロッパでは今もなおアンティークウォッチ・ビンテージウォッチは人気があり、
その影響があるのか、
現行品の時計メーカーが過去の自社モデルの価値や魅力を改めて認識し始めたことで
復刻版モデルの発表が多くなったのかもしれません。
 
復刻版モデルも良いのですが、
残念ながら復刻版では醸し出せない当時の風合いがあるのが
オリジナルのアンティーク・ビンテージウォッチの良さなんですよね。
 
1940~1950年代に作られたDOXAのビンテージウォッチ



良い感じの雰囲気を醸し出しています。
http://daiwatokeiten1.cart.fc2.com/ca8/1002/p-r-s/

ブラックダイヤルはダメージが目立ちやすい為、
なかなか綺麗なコンディションの物を見つけるのが難しくなってきていますが、
文字板も外装も良いコンディションを保っています。
 
DOXAというとブランド銘としては今ではあまり知名度が高くないですが、
1905年、ベルギー・リエージュにて開催されたコンテストで優勝し、
イタリアの展示会では金賞を受賞したメーカーです。



1908年には画期的な8日巻きムーブメントを開発し、
その結果、自動車や航空機用の計器パネルクロックにも採用されました。

イタリアの自動車メーカー「Bugatti」の



レーシングカーに搭載された為
ビンテージカーが好きな方達にも知られる時計ブランドです。
 
 
現行品メーカーが復刻版モデルを販売するということは
長い年月を経てもその当時のデザインが流行に左右されないと評価しているからだとも言えます。
 
現行時計メーカーがこぞって復刻版モデルを発表している中、
当時のオリジナルを実用するなんて、結構オシャレじゃないですか