錆落とし

 By : Daiwatokeiten
この時期ならではの修理と言えば、水入りした時計です。
初夏~秋にかけて持ち込まれる数が多くなります。

汗や雨が入った場合もあれば、ウッカリ洗濯機で洗ったり、
時計を着けたまま、お風呂やサウナに入ったり、
ダイバーウォッチだと安心しきって、マリンスポーツを楽しんだりと理由は様々。

時計を持ち込まれた際によく訊かれるのは
「水が入った時、どうしたらいいですか?」という質問。

端的に言うと、1分1秒でも早く時計屋さんに持ち込んで
ケースからムーブを取り出して乾かしてもらうことをお薦めします。

現行品の時計メーカーが提示している防水の分類については
こちらのブログに掲載しております。

http://watchserviceman.blog85.fc2.com/category6-1.html

参考にして、時計をご使用下さい。


さて、湿気が入ったままの状態で放置してしまうと部品が錆びてしまい、
結果的に錆落とし作業が必要になります。



小さなパーツを1つ1つ、
ひたすら錆を落として磨く作業を想像してみて下さい。

地味・・・ですよね。

錆びの状態が酷い場合、
錆び取り作業が数日間続くこともあります。

ちなみにこれくらい酷い状態になると
錆取り作業にどのくらい時間を費やすと思いますか?



朝9時から閉店時間の19時まで、
黙々と錆を落として、洗って、磨いてを繰り返すこと、2日半。

合計24時間費やした結果、綺麗な状態になりました。



全然違うでしょ!
ちなみに、錆の状態と部品数によっては1週間かかることもあります。


ネジ1本1本の溝まで、磨いて錆を落とします。



螺子以外にも歯車も



日の裏車も



カナも



何かの部品も



インナーリングも



ヒゲゼンマイも



勿論、他の部品も全て1つ1つ、細部まで錆や汚れを取り除きます。

部品の替えパーツが豊富で、載せ換えれば良い現行品の修理とは違い、
アンティークウォッチ・ビンテージウォッチの修理が手間暇と時間がかかる理由を
ご理解頂けましたか?

時計をお使いの際には水気や湿気には充分に気を付けてご使用下さい。