ペキニエの新作お披露目イベント・レポート by L’Hiro

 By : Guest Blog


先日、ペキニエ社のプレジデントのダニ・ロワイエ氏とCEOのエムリック・ベルオル氏が来日し、6月に発売予定の「Royale Saphir」を一足早く持ち込んで、同社の魅力をお披露目するイベントが浜松町のモントル・ペキニエでありましたのでレポートさせていただきます。

 
●エムリック・ベルオル氏(左)とダニ・ロワイエ氏(右)

ペキニエ社は、エミール・ペキニエ氏によって1973年にフランスのモルトーで立ち上げられました。
最初は女性用の時計を主に作っていました。
日本に入ってきた当初、日本語では「ペキネ」と呼んでいましたが、その後、フランス語読みの「ペキニエ」に変わりました。  

その後、2004年にディディエ・レイブングッド氏がCEOに就きました。
彼は1990年代後半にはゼニスにいて、エルプリメロを再設計した逸材です。エルプリメロは1969年に出た自動巻きクロノグラフで、それまでは手作成の設計図を用いて製作していました。しかし、彼はその全ての設計データをコンピューターにインプットする方法で製作し完成度を高めました。
モルト―出身の彼はゼニスを退職後、ペキニエ社に入りフレンチ・マニュファクチュールの再興を主導し、2007年から現在の同社の売りであるカリブル・ロワイヤルの開発を開始しました。しかしながら、開発に多額の資金が必要で債務超過に陥ってしまいました。
そうしたなか、2012年にローレン・カッツ氏が自らの資産を投げ打ってCEOに就きペキニエ社を救済し、完全自社ムーブメントのカリブル・ロワイヤルを2014年に完成させました。
ローラン・カッツ氏はその後もペキニエ社のために、自分の資産を投資し続け、2017年にエムリック・ベルオル氏にCEOの座をバトンタッチしました。この事実はペキニエ社にとっては、ローラン・カッツ氏からの借入金を返さなくていいということと同義なため、法的には会社清算という形をとっています。ただし、実質的には、ローラン・カッツ氏が自分の資産を投げ打ち、ペキニエ社に何のビジネス的な荷物を負わせることなく、ダニ・ロワイエ氏に引き継いだという、とても素晴らしい物語なのです。

さて、そろそろ、ペキニエ社の売りのカリブル・ロワイヤルという仕組みについてお話ししましょう。
普通の機械式時計はセンターシャフトを回す力がゼンマイの外側(ゼンマイが解ける力が外側)が強いですが、この仕組みではセンターシャフト自身が回る(ゼンマイが外側に解ける力を止めてセンターシャフト自身の力で回る)ので、結果的に輪列の摩擦が少なくて、一回の巻き上げで88時間という長時間駆動が出来ます。
Calibre vingt et un社の沼部CEOからこの仕組みの分かりやすい説明があり、ご紹介します。一般的な三輪車の前輪の構造(ペダルがセンターシャフトに装着)がカリブル・ロワイヤル。他の一般的な機械式時計は、三輪車の前輪のペダルを対角線上に外周に装着した状態、だそうです。
ですから、前者の三輪車をこいだ場合は両手で支えるアームはぶれずにスムーズに運転出来ますが、後者の三輪車をこぐとアームがぶれて、スムーズに運転が出来ない状態なんだそうです。

 なお、意地の悪い私は、カリブル・ロワイヤルのデメリットは何ですかと、聞いてみました。香箱が大きいから時計の見かけを薄くできないことが難点だそうです。ただし、それは一つの厚い地板に複数機能が格納されているということで、逆に堅牢性というメリットとなっているそうです。車でいうとシャーシが丈夫だということと同義だとのこと。それに対して、他の機械式時計は機能が追加される毎に、その追加した機能を支える薄い地板を既存の薄い地板につなぎ合わせなければならいので、外部に対する衝撃に弱いのだそうです。  


以下はカリブル・ロワイヤルの説明です。









フランスの無形文化財企業としても認定



こちらが、最新作のRoyale Saphir、50本限定







ローターの青い百合の花のロゴは発売用の実機では金色になるそうです。



「Royale Saphir」と「Rue Royale Quatre Fonctions」





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