モリッツ・グロスマンの自動巻き時計「ハマティック」~わずかな腕の振り幅で効果的な巻き上げを実現

 By : KITAMURA(a-ls)


自動巻きという″コンプリケーション″

モリッツ・グロスマンの自動巻き時計「ハマティック」


昨年のバーゼルで発表されたものの、その構造上の精密さを期すための試行錯誤が続けられたに違いない、画期的かつ古典的な自動巻きウォッチ、「ハマティック」のデリバリーがついに開始されるようだ。




まずは約一年前のバーゼル発表直後に書いたプレヴューを再録しておこう。
https://watch-media-online.com/blogs/1403/

モリッツ・グロスマン初の自動巻き時計「アトゥム・ハマティック」
しかし、よくあるローター式の自動巻きではない。伝統的な振り子式自動巻機構を基に新たに設計した機構なのである。
自動巻き時計の黎明期におけるハンマー式のメカニズムに、モリッツ・グロスマンが現代的な解釈を加えたもので、そのハンマーという特性からハマティックと名付けられたものである。



中心に見える振り子状のパーツが、振動によってスイングし、それを囲む楕円のパーツを左右両方向に動かすことで巻き上げを行う。裏側のシースルーは、そんな自動巻き上げ時計論理の基本を可視化したものといえる。
両方向ハンマー式自動巻き機構は、均一な巻き上げ性能で高いエネルギー効率を備え、アトゥム・ハマティックの精度と信頼性を保証。完全に巻き上げた場合のアトゥム・ハマティックのパワーリザーブは約72時間!



カットされたダイヤルも18Kゴールド製ハンマーヘッドが見えるようにデザインされたものだが、これはプロトなので、デザインが変更される可能性も当然まだある。
針も歴史的なモデルへのオマージュで、グラスヒュッテ時計産業の祖であるアドルフ・ランゲ銘の懐中時計を思わせる。もちろん手作業仕上げだ。


ハマティック機構を搭載したキャリバー106.0は、この作品のために新しく設計・構築されたもの。3分の2プレートのクラシックな支柱構造を備え、両方向ハンマー式自動巻き機構は、ハンマーヘッドとハンマーばねとハンマー本体との相互作用によって作動する。 



予見したとおり、ダイヤルデザインはシンプルな方向に修正されたようで、香港でのロードショウを皮切りに、各国でそのベールを脱ぐ予定だ。
ブランドからの最新のプレスリリースでは、「ハマティック」について、以下のような説明が加えられている。


『モリッツ・グロスマンは香港で行われる2019年ロードショーにて古典的な振り子式自動巻き上げ機構を搭載したブランド初の自動巻き時計「ハマティック」を発表いたします。


重りのついたハンマー式(振り子式)の自動巻き機構は人の動きを時計の動力へとつなげる画期的な機構です。モリッツ・グロスマンのエンジニアたちは懐中時計の時代にも僅かながら存在したこの古典機構の構想へと回帰し、ブランド独自の魅力的で確かなムーブメントを実現しました。中央部が空いたフレームに沿って双方向に動くハンマーが、ほんのわずかな動きをも捉え、効率的な巻き上げを実現します。



キャリバー106.0
ハマティックの為に開発されたキャリバー106.0はグロスマン特有の古典的な支柱構造を持ち、プレートには6本のグラスヒュッテ様式リブ模様が施されています。
ハンマーヘッドとバネの相互作用によりハンマー本体が左右両方向へ振れ、その振動はサファイアローラーを通してぜんまいへと伝わります。フレームに十分な可動域を持ったことで安定した高いトルクを生み出します。この独自の構造には、わずかな人の動きをも即座に動力として捉え、なおかつムーブメントへは負担がかかり過ぎないよう、大きな動作の際にも巻き上げ機構の動きは緩やかに抑えるという二つの課題を叶える必要がありました。過度な動きは精巧に設計されたハンマーフレームのエンドストップにより抑制されます。また緩やかな動きもハンマーが無駄なく歯車を通して香箱へと伝えるため、たった5度の振り幅でも効率的な巻き上げを可能にします。
独自のキャリバー106.0はサファイアクリスタルのケースバックを通して楽しむことが出来ます。
また完全に巻き上げられた状態から約72時間のパワーリザーブを実現しました。


減速ギアと巻き上げ機構
ハマティックのシステムは、ハンマー本体の中軸に組み込まれたラチェット機構で双方向に作動する巻き上げ機構です。ハンマー本体の揺動運動を二つのラチェットレバーで受け止め、ラチェットホイールの交互の回転方向を通じて連続する回転運動に変換します。これが減速車を介して伝え車に伝わり、さらに香箱の角穴車に伝達されます。
手巻き機構は一般的なカンヌキ式で別のブリッジに取り付けられています。そのシンプルで信頼性の高いカンヌキ式巻き上げ機構は、自動巻き機構を理想的に補完しています。

手巻きモードになると、減速ギアはアンクル爪フリーホイールによって角穴車から切り離されます。リュウズを引き出すとテンワが止まり時刻を合わせることが出来ます。同時に丸穴車と角穴車はカンヌキによって切り離されます。リュウズを元の位置に押し戻すと再び巻き上げモードになり、テンワの停止が解除されカンヌキにより丸穴車と角穴車は噛み合います。


ダイヤル
大きく精巧なデザインのローマンインデックスは、モリッツ・グロスマンの歴史あるポケットウォッチを偲ばせる仕上がりとなっています。また繊細な針も歴史的なモデルからインスパイアされたデザインとなっています。時針は梨型の柔らかな曲線を描いており、分針はより細く針のようなシャープなデザインです。どちらの針も最も細い部分は0.1mmという非常に繊細なつくりとなっています。先端の幅が僅か0.05mmしかない秒針も含め、針は全て手作業で仕上げられ、モリッツ・グロスマン特有のブラウンバイオレットカラーへと焼き戻されています。』


バリエーション

HAMATIC rose gold(Ref. MG-002302)
ケース 18Kローズゴールド

ダイヤル オパリン、ローマンインデックス
針 手仕上げ、ブラウンバイオレットに焼き戻したスチール
価格 ¥5,500,000 税



HAMATIC white gold(Ref. MG-002303)
ケース 18Kホワイトゴールド

ダイヤル オパリン、ローマンインデックス
針 手仕上げ、ブラウンバイオレットに焼き戻したスチール
価格 ¥5,500,000 税


【仕様】
ムーブメント :自社製キャリバー106.0、自動巻き、5姿勢調整
部品数 :312個
石数 :38石(うち3石はネジ留め式ゴールドシャトンに使用)
脱進機 :アンクル脱進機
調速機 :質量ネジ4本および調節ネジ2本を装着した耐震軸受式グロスマン製テンプ、ニヴァロックス1ヒゲゼンマイ(ブレゲタイプ80番、グスタフ・ゲルステンベルガー案に基づく)
テンプ 直径: 10.0 mm
振動数: 21,600振動/時
パワーリザーブ :完全巻き上げ状態から約72時間

機能: 時、分、ストップセコンド機能搭載スモールセコンド
操作 :リュウズ18K ゴールド(時計の巻き上げおよび時刻設定用)
ケースサイズ :直径41.0 mm /厚さ11.35mm
ムーブメントサイズ :直径: 36.4mm 厚さ: 5.15mm
ケース :スリーピース、18Kゴールド

ダイヤル :シルバー無垢、ローマンインデックス印字
針 :手仕上げ、焼き戻してブラウンバイオレットに発色させたスチール
風防 :片面反射防止加工をしたサファイアクリスタル
ストラップ :手縫い、アリゲーター・ストラップ、バックル18Kゴールド

特徴 :グロスマン製テンプ/小型化したグラスヒュッテ式コハゼ装置(改良型戻し機能付き)/段差式テンプ受け、グロスマン製精密調整ネジによる緩急調整装置/表面処理をしない洋銀の3分の2プレートおよび支柱構造、3分の2プレート・テンプ受けのハンドエングレービング/幅広く水平なグラスヒュッテ・ストライプ模様、2段のサンバースト模様で装飾された香箱/平型ネジ留め式の盛り上がったゴールドシャトン/個別に取り外し可能なクラッチ式巻き上げ機構/時刻設定時にテンワを止めるストップセコンド機能/振り子ハンマー式自動巻き機構/両方向ラチェット歯車/アンクル爪によるフリーホイール/レバー式手巻き機構/香箱軸を分けた香箱配置の最適化


Calibre 106.0




近々に日本でもお披露目が行われるそうなので、実機画像とともに、より詳しく「ハマティック」をお伝えできる予定ですので、ご期待ください。




【詳細・問合せは】
www.grossmann-uhren.com

モリッツ・グロスマン・ジャパン株式会社
モリッツ・グロスマン・ブティック
〒112-0002東京都文京区小石川4-15-9
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