バーゼルワールド2019 アクリヴィア クロノメーター コンテンポランとレジェップ・レジェピ氏インタビュー

 By : CC Fan
バーゼルワールド2019より、アクリヴィア(Akrivia)のクロノメーター コンテンポラン(Chronomètre Contemporain)の新バリエーションブラック文字盤と、時計師 レジェップ・レジェピ(Rexhep Rexhepi)氏へのインタビューをレポートします。



アクリヴィアというと少し未来的なデザインが使われていましたが、クロノメーター コンテンポランは"レジェピ氏の卒業制作時計をイメージした"という古典的なデザイン。

ブランド名である、Akriviaというのはギリシャ語でprecision、すなわち精度という意味だそうです。
ロゴの上の六角形のマークは何?と伺ったところ、ガンギ車を意匠化したものとのこと。



ローズゴールドケース、ブラックグランフーエナメル文字盤のモデル。
2018年のGPHGでメンズ ウォッチプライズを獲得したモデルです。
読みやすさとユニークさを両立した独特の文字盤を持っています。

"現代的なクロノメーター"の名にふさわしく、5振動/秒のロービート機ながら、精度は各姿勢で最大±4秒/日、全体平均として0秒/日になるように調整されるそうです。
パワーリザーブは100時間で精度と実用性を両立させています。

さらに、オーナーが希望し、追加のコストを負担すればブザンソン天文台によるクロノメーター認定を受けることもできます。
ケーシングした状態での16日間連続の徹底的なテストにて精度が確認され、"Bulletin de marche de chronometrie"の称号が与えられます。



ダイヤルに刻まれるのはアクリヴィアではなく、レジェップ・レジェピ銘、卒業制作時計のようなストイックさです。
ゴールドカラーのインデックスはエナメルの上に転写、厚めで存在感がある印刷になっています。

"クロノメーターらしい"ぎりぎりまで広がった大型のスモールセコンドも大迫力で、高精度を主張します。



プラチナケース、ホワイト文字盤のモデルと…
クロノメーターらしいストイックなホワイト文字盤と色気がすごいブラック文字盤、どちらも魅力的です。



文字盤のシンプルさと対照的なこのムーブメント!
レジェップ氏の美学である対称性を重視した独特の輪列レイアウトを持ちます。



もっと拡大。
12時位置の香箱からムーブの中心にある2番車、向かって左の3番者、中央の4番車(スモールセコンド軸)を経て、向かって右の大径のテンワに至ります。
テンワと3番車がほぼ同径なので全体として線対称の鏡像のような美しい調和を持ったレイアウトです。
また、すべてのブリッジが独立して外れ、個別に調整可能という整備性も兼ね備えています。
無駄がない…



この立体感…
直径38mm、厚さ9.5mmのケースは日常使いにもぴったりです。



にこやかにタイムピースの説明と質問に答えてくれたレジェピ氏。
GPHGの記事で"お若い!"と書きましたが、現在32歳だそうです。

GPHG受賞の反響は大きく、引き合いも増えているそうですが、質を落としてまで数を追うことは絶対にしないということと、名前(ブランド)だけではなく、自分の時計作りを理解したうえでオーナーになってもらいたい…と語っていました。
現在の工房は氏を含めて5人の時計師と1人のエンジニアという小規模な構成で、年間の生産数は30本から35本程度。
クロノメーター コンテンポランを1本作るのに最短で1人で2か月で、現在は需要に対して供給が完全に追いついていない…といううれしい悲鳴も。
時計作りに対する態度は真摯そのもので、下手な拡大路線で自分を見失わなければきっと大丈夫だと思いました!

関連 Web Site

Akrivia
https://www.akrivia.com/